大木9式;
- 大木8b式に特徴的な渦巻文が大木9式の古い段階まで継続してつけられる。両者の区別は難しいが、9式になると渦の巻き具合が緩くなったり、渦巻きを表現する隆帯の断面が先鋭化するなどの変化が見られる。
- 宮城県上深沢遺跡の発掘調査により、その内容が明らかにされた。
- 器形は上半でくびれ、口縁に向かって内彎しながら外にひらく器形をなす。
- 文様帯は、大きく口縁帯と胴部に分かれ、「隆沈線」で口唇および口縁部に横位渦巻文・楕円文が施され、胴部には従位渦巻文・楕円文・「⋂」文などが施され、それらに囲まれた中に縄文が残る、いわゆる磨消縄文などが施される。
- 大木9式は三分されている(小林1966, 柳沢1980)。
資料55 (楠本コレクションの調査 縄文土器編 丹波 2009 東北歴史博物館)
大木9式(仁斗田貝塚)高18.6㎝. 口縁部は内湾する大波状(3波に復元)で、肩 が張り、底部に向かってすぼまる深鉢である。胴部 は内湾気味に外傾する。 頚部に緩やかな波状の隆帯が巡り、口縁部は無文となっている。胴部には縦に長い∩文が並列し、 部分的残存も含めると7個まで確認できる。 頚部隆帯は断面隅丸台形状で、その下に接続させて∩文が垂下する。∩文は幅広(約1㎝・)の沈線 (∩文頂部が深く、下部に向かうに従って浅くなる) で描かれ、内部に単節斜縄文(LR:3㎜ /1条・2㎜ /1 節)が縦回転施文されている。隣接する∩文間に紡錘形状沈線の配された部分もある。 口縁部・頚部隆帯は横、∩文の沈線・∩文間無文部は文様に沿った強いミガキが加えられている。底部にもミガキがみられる。
資料56(楠本コレクションの調査 縄文土器編 丹波 2009 東北歴史博物館)
大木9式(仁斗田貝塚)高15.4㎝. 胴中央部でくびれ、上半部・下半部とも内湾 しながら外傾する。 「縦長の∩文」と「縦位楕円文+∩文」を交互 に配した文様で、2組分まで確認できる。 これらの文様は沈線(幅約6㎜・深さ1.0~1.5㎜) で描かれ、内部に単節斜縄文(RL 多条撚り:3.5㎜ /1条・1.5㎜ /1節)を縦回転施文している。 沈線及び文様間の無文部は丁寧なミガキが加えられ、光沢が生じている。
資料57(楠本コレクションの調査 縄文土器編 丹波 2009 東北歴史博物館)
大木9式(仁斗田貝塚)高23.0㎝. 口縁部が軽く外反し、胴部中央に膨らみを持ち、底部に向かってすぼまる。 全体に「縦長の∩文」と「縦位楕円文+∩文」 を交互に配した文様が繰り返されている(5組)。 文様は浅い沈線(幅約5㎜・深さ1㎜)で描かれ、内部には単節斜縄文(RL:5㎜ /1条・2.5㎜ /1節)が縦回転施文されている。 沈線及び無文部には器形・文様に沿ってミガキが 加えられ、施文された縄文の周縁にも及んでいる。
129/130 大木9式(大木囲貝塚)
大木9式(宮城里浜貝塚畑中地点)
大木9式(宮城里浜貝塚畑中地点)
大木9式(宮城里浜貝塚畑中地点)
【参考Link】