原告らが原告株式会社に同社株式を譲渡し,原告会社がこれを他の原告に再譲渡したことに関し,税務署長が,原告株式会社への譲渡が所得税法の「著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡」に当たるとして,原告らの確定申告について更正処分等をし,また再譲渡は廉価でされたものであり,その経済的利益は所得税法の「給与等」に当たるとして,他の原告の確定申告について更正処分をするとともに,原告会社に対して源泉徴収義務を負うとして納税告知処分等をしたことから,原告らがそれぞれ処分等の取消しを求めたのに対し,処分等はいずれも適法として,請求を棄却した事例
所得税更正処分等取消請求事件(第1事件,第2事件,第3事件)
【事件番号】 東京地方裁判所判決/平成30年(行ウ)第389号、平成30年(行ウ)第400号、平成30年(行ウ)第401号
【判決日付】 令和4年2月14日
【判示事項】 原告らが原告株式会社に同社株式を譲渡し,原告会社がこれを他の原告に再譲渡したことに関し,税務署長が,原告株式会社への譲渡が所得税法の「著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡」に当たるとして,原告らの確定申告について更正処分等をし,また再譲渡は廉価でされたものであり,その経済的利益は所得税法の「給与等」に当たるとして,他の原告の確定申告について更正処分をするとともに,原告会社に対して源泉徴収義務を負うとして納税告知処分等をしたことから,原告らがそれぞれ処分等の取消しを求めたのに対し,処分等はいずれも適法として,請求を棄却した事例
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 T&Amaster962号14頁
所得税法33,36,59,
(給与所得)
第二十八条 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。
3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前項に規定する収入金額が百八十万円以下である場合 当該収入金額の百分の四十に相当する金額から十万円を控除した残額(当該残額が五十五万円に満たない場合には、五十五万円)
二 前項に規定する収入金額が百八十万円を超え三百六十万円以下である場合 六十二万円と当該収入金額から百八十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額
三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合 百十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額
四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え八百五十万円以下である場合 百七十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額
五 前項に規定する収入金額が八百五十万円を超える場合 百九十五万円
4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。
(譲渡所得)
第三十三条 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
(収入金額)
第三十六条 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。
(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)
第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
所得税法施行令
(時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲)
第百六十九条 法第五十九条第一項第二号(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)に規定する政令で定める額は、同項に規定する山林又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡の時における価額の二分の一に満たない金額とする。
租税特別措置法37の10
(一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)
第三十七条の十 居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、平成二十八年一月一日以後に一般株式等(株式等のうち次条第二項に規定する上場株式等以外のものをいう。以下この条において同じ。)の譲渡(金融商品取引法第二十八条第八項第三号イに掲げる取引(第三十七条の十一の二第二項において「有価証券先物取引」という。)の方法により行うもの並びに法人の自己の株式又は出資の第三項第五号に規定する取得及び公社債の買入れの方法による償還に係るものを除く。以下この項及び次条第一項において同じ。)をした場合には、当該一般株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(所得税法第四十一条の二の規定に該当する事業所得及び雑所得並びに第三十二条第二項の規定に該当する譲渡所得を除く。第三項及び第四項において「一般株式等に係る譲渡所得等」という。)については、同法第二十二条及び第八十九条並びに第百六十五条の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該一般株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」という。)に対し、一般株式等に係る課税譲渡所得等の金額(一般株式等に係る譲渡所得等の金額(第六項第五号の規定により読み替えられた同法第七十二条から第八十七条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額)をいう。)の百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、一般株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。
2 この条において「株式等」とは、次に掲げるもの(外国法人に係るものを含むものとし、ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利に類するものとして政令で定める株式又は出資者の持分を除く。)をいう。
一 株式(株主又は投資主(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十六項に規定する投資主をいう。)となる権利、株式の割当てを受ける権利、新株予約権(同条第十七項に規定する新投資口予約権を含む。以下この号において同じ。)及び新株予約権の割当てを受ける権利を含む。)
二 特別の法律により設立された法人の出資者の持分、合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分、法人税法第二条第七号に規定する協同組合等の組合員又は会員の持分その他法人の出資者の持分(出資者、社員、組合員又は会員となる権利及び出資の割当てを受ける権利を含むものとし、次号に掲げるものを除く。)
三 協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)に規定する優先出資(優先出資者(同法第十三条第一項の優先出資者をいう。)となる権利及び優先出資の割当てを受ける権利を含む。)及び資産の流動化に関する法律第二条第五項に規定する優先出資(優先出資社員(同法第二十六条に規定する優先出資社員をいう。)となる権利及び同法第五条第一項第二号ニ(2)に規定する引受権を含む。)
四 投資信託の受益権
五 特定受益証券発行信託の受益権
六 社債的受益権
七 公社債(預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第二項第五号に規定する長期信用銀行債等その他政令で定めるものを除く。以下この款において同じ。)
3 一般株式等を有する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、当該一般株式等につき交付を受ける次に掲げる金額(所得税法第二十五条第一項の規定に該当する部分の金額を除く。次条第三項において同じ。)及び政令で定める事由により当該一般株式等につき交付を受ける政令で定める金額は、一般株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなして、同法及びこの章の規定を適用する。
一 法人(法人税法第二条第六号に規定する公益法人等を除く。以下この項において同じ。)の所得税法第二条第一項第八号の二に規定する株主等(以下この項において「株主等」という。)がその法人の合併(法人課税信託に係る信託の併合を含む。以下この号において同じ。)(当該法人の株主等に法人税法第二条第十二号に規定する合併法人(信託の併合に係る新たな信託である法人課税信託に係る所得税法第六条の三に規定する受託法人を含む。)又は合併法人との間に当該合併法人の発行済株式若しくは出資(自己が有する自己の株式又は出資を除く。次号及び第三号において「発行済株式等」という。)の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人のうちいずれか一の法人の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配として交付がされた金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付がされる金銭その他の資産を除く。)の交付がされなかつたものを除く。)により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
二 法人の株主等がその法人の分割(法人税法第二条第十二号の九イに規定する分割対価資産として同条第十二号の三に規定する分割承継法人(信託の分割により受託者を同一とする他の信託からその信託財産の一部の移転を受ける法人課税信託に係る所得税法第六条の三に規定する受託法人を含む。)又は分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人のうちいずれか一の法人の株式又は出資以外の資産の交付がされなかつたもので、当該株式又は出資が法人税法第二条第十二号の二に規定する分割法人(信託の分割によりその信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託又は新たな信託の信託財産として移転する法人課税信託に係る所得税法第六条の三に規定する受託法人を含む。以下この号において同じ。)の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数又は金額の割合に応じて交付されたものを除く。)により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
三 法人の株主等がその法人の行つた法人税法第二条第十二号の十五の二に規定する株式分配(当該法人の株主等に同号に規定する完全子法人の株式又は出資以外の資産の交付がされなかつたもので、当該株式又は出資が同条第十二号の五の二に規定する現物分配法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該現物分配法人の各株主等の有する当該現物分配法人の株式の数又は金額の割合に応じて交付されたものを除く。)により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
四 法人の株主等がその法人の資本の払戻し(株式に係る剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち法人税法第二条第十二号の九に規定する分割型分割(法人課税信託に係る信託の分割を含む。)によるもの及び同条第十二号の十五の二に規定する株式分配以外のもの並びに所得税法第二十四条第一項に規定する出資等減少分配をいう。)により、又はその法人の解散による残余財産の分配として交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
五 法人の株主等がその法人の自己の株式又は出資の取得(金融商品取引所(金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所をいう。次条第二項において同じ。)の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び所得税法第五十七条の四第三項第一号から第三号までに掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
六 法人の株主等がその法人の出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、その法人の出資の払戻し、その法人からの退社若しくは脱退による持分の払戻し又はその法人の株式若しくは出資をその法人が取得することなく消滅させることにより交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
七 法人の株主等がその法人の組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をしたその法人の株式又は出資以外の資産が交付されたものに限る。)により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
八 公社債の元本の償還(買入れの方法による償還を含む。以下この号において同じ。)により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額(当該金銭又は金銭以外の資産とともに交付を受ける金銭又は金銭以外の資産で元本の価額の変動に基因するものの価額を含むものとし、第三条第一項第一号に規定する特定公社債以外の公社債の償還により交付を受ける金銭又は金銭以外の資産でその償還の日においてその者(以下この号において「対象者」という。)又は当該対象者と政令で定める特殊の関係のある法人を判定の基礎となる株主として選定した場合に当該金銭又は金銭以外の資産の交付をした法人が法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当することとなるときにおける当該対象者その他の政令で定める者が交付を受けるものの価額を除く。)の合計額
九 分離利子公社債(公社債で元本に係る部分と利子に係る部分とに分離されてそれぞれ独立して取引されるもののうち、当該利子に係る部分であつた公社債をいう。)に係る利子として交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
4 投資信託若しくは特定受益証券発行信託(以下この項において「投資信託等」という。)の受益権で一般株式等に該当するもの又は社債的受益権で一般株式等に該当するものを有する居住者又は恒久的施設を有する非居住者がこれらの受益権につき交付を受ける次に掲げる金額は、一般株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなして、所得税法及びこの章の規定を適用する。
一 その上場廃止特定受益証券発行信託(その受益権が金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されていたことその他の政令で定める要件に該当する特定受益証券発行信託をいう。以下この号及び次号において同じ。)の終了(当該上場廃止特定受益証券発行信託の信託の併合に係るものである場合にあつては、当該上場廃止特定受益証券発行信託の受益者に当該信託の併合に係る新たな信託の受益権以外の資産(信託の併合に反対する当該受益者に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)の交付がされた信託の併合に係るものに限る。)又は一部の解約により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
二 その投資信託等(上場廃止特定受益証券発行信託を除く。以下この号において同じ。)の終了(当該投資信託等の信託の併合に係るものである場合にあつては、当該投資信託等の受益者に当該信託の併合に係る新たな信託の受益権以外の資産(信託の併合に反対する当該受益者に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)の交付がされた信託の併合に係るものに限る。)又は一部の解約により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額のうち当該投資信託等について信託されている金額(当該投資信託等の受益権に係る部分の金額に限る。)に達するまでの金額
三 その特定受益証券発行信託に係る信託の分割(分割信託(信託の分割によりその信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託又は新たな信託の信託財産として移転する信託をいう。次条第四項第二号において同じ。)の受益者に承継信託(信託の分割により受託者を同一とする他の信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託をいう。同号において同じ。)の受益権以外の資産(信託の分割に反対する当該受益者に対する信託法第百三条第六項に規定する受益権取得請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)の交付がされたものに限る。)により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額のうち当該特定受益証券発行信託について信託されている金額(当該特定受益証券発行信託の受益権に係る部分の金額に限る。)に達するまでの金額
四 社債的受益権の元本の償還により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
5 前三項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
6 第一項の規定の適用がある場合には、次に定めるところによる。
一 所得税法第二条第一項第三十号から第三十四号の四までの規定の適用については、同項第三十号中「山林所得金額」とあるのは、「山林所得金額並びに租税特別措置法第三十七条の十第一項(一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)に規定する一般株式等に係る譲渡所得等の金額(以下「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」という。)」とする。
二 所得税法第二十四条第二項の規定の適用については、同項中「又は雑所得」とあるのは、「、譲渡所得又は雑所得」とする。
三 所得税法第三十三条第三項の規定の適用については、同項中「譲渡所得の金額」とあるのは「一般株式等に係る譲渡所得の金額」と、「譲渡に要した費用の額」とあるのは「譲渡に要した費用の額並びにその年中に支払うべきその資産を取得するために要した負債の利子」と、「し、その残額」とあるのは「した残額」と、「。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする」とあるのは「)とする」とする。
四 所得税法第六十九条の規定の適用については、同条第一項中「譲渡所得の金額」とあるのは「譲渡所得の金額(事業所得の金額及び譲渡所得の金額にあつては、租税特別措置法第三十七条の十第一項(一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)に規定する一般株式等に係る譲渡所得等がないものとして計算した金額とする。)」と、「各種所得の金額」とあるのは「各種所得の金額(一般株式等に係る譲渡所得等の金額を除く。)」とする。
五 所得税法第七十一条及び第七十二条から第八十七条までの規定の適用については、これらの規定中「総所得金額」とあるのは、「総所得金額、一般株式等に係る譲渡所得等の金額」とする。
六 所得税法第九十二条、第九十五条及び第百六十五条の六の規定の適用については、同法第九十二条第一項中「前節(税率)」とあるのは「前節(税率)及び租税特別措置法第三十七条の十第一項(一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)」と、「課税総所得金額」とあるのは「課税総所得金額及び租税特別措置法第三十七条の十第一項に規定する一般株式等に係る課税譲渡所得等の金額の合計額」と、同条第二項中「課税総所得金額に係る所得税額」とあるのは「課税総所得金額に係る所得税額、租税特別措置法第三十七条の十第一項の規定による所得税の額」と、同法第九十五条及び第百六十五条の六中「その年分の所得税の額」とあるのは「その年分の所得税の額及び租税特別措置法第三十七条の十第一項(一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)の規定による所得税の額」とする。
七 前各号に定めるもののほか、所得税法第二編第五章の規定による申請又は申告に関する特例その他第一項の規定の適用がある場合における所得税に関する法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
主 文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 第1事件に係る請求
札幌西税務署長(以下「本件税務署長1」という。)が平成29年6月2日付けで原告母A1に対してした平成25年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)の更正処分(ただし,裁決により一部取り消された後のもの。以下,特記しない限り,裁決により一部取り消された後の当該更正処分を「本件更正処分(原告母A1分)」という。)のうち,未公開分株式等課税譲渡所得等の金額(租税特別措置法37条の10第1項(平成26年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)所定の「株式等に係る課税譲渡所得等の金額」のうち,平成20年法律第23号附則43条2項所定の「上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額」以外の金額のこと。以下同じ。)零円及び納付すべき税額マイナス130万9800円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,裁決により一部取り消された後のもの。以下,特記しない限り,裁決により一部取り消された後の当該賦課決定処分を「本件賦課決定処分(原告母A1分)」という。また,本件更正処分(原告母A1分)及び本件賦課決定処分(原告母A1分)を併せて「本件更正処分等(原告母A1分)」という。)を取り消す(なお,納付すべき税額のマイナスは,還付金の額に相当する税額のことを意味する。また,本判決では,税額につき,納付すべき税額が増加する方向及び還付金の額に相当する税額が減少する方向をプラス,納付すべき税額が減少する方向及び還付金の額に相当する税額が増加する方向をマイナスとみて,ある金額よりもプラス方向の部分を「超える部分」,ある金額よりもマイナス方向の部分を「超えない部分」と表現する。以下同じ。)。
2 第2事件に係る請求
本件税務署長1が平成29年6月2日付けで原告長男A2に対してした平成25年分の所得税等の更正処分(ただし,裁決により一部取り消された後のもの。以下,特記しない限り,裁決により一部取り消された後の当該更正処分を「本件更正処分(原告長男A2分)」という。)のうち,未公開分株式等課税譲渡所得等の金額零円及び納付すべき税額マイナス69万2537円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,裁決により一部取り消された後のもの。以下,特記しない限り,裁決により一部取り消された後の当該賦課決定処分を「本件賦課決定処分(原告長男A2分)」という。また,本件更正処分(原告長男A2分)及び本件賦課決定処分(原告長男A2分)を併せて「本件更正処分等(原告長男A2分)」という。)を取り消す。
3 第3事件に係る請求
(1)本件税務署長1が平成29年5月9日付けで原告長男B1に対してした平成25年分の所得税等の更正処分(以下「本件更正処分(原告長男B1分)」という。)のうち,総所得金額1875万2000円及び納付すべき税額10万1700円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分(原告長男B1分)」という。また,本件更正処分(原告長男B1分)及び本件賦課決定処分(原告長男B1分)を併せて「本件更正処分等(原告長男B1分)」という。)を取り消す。
(2)旭川東税務署長(以下「本件税務署長2」という。)が平成29年5月9日付けで原告会社に対してした平成25年8月分の源泉徴収に係る所得税等(以下「源泉所得税等」という。)の納税告知処分(以下「本件納税告知処分(原告会社分)」という。)及び不納付加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分(原告会社分)」という。また,本件納税告知処分(原告会社分)及び本件賦課決定処分(原告会社分)を併せて「本件納税告知処分等(原告会社分)」という。)を取り消す。
第2 事案の概要
原告会社は,平成25年8月22日に,原告母A1,原告長男A2,A3(以下「訴外長女A3」という。)及びA4(以下「訴外二女A4」という。)から,原告会社の株式7498株を取得した上で(以下,これに係る取引を「本件取引1等」という。また,このうち,原告母A1及び原告長男A2に係るものを「本件取引1」といい,原告母A1に係るものを「本件取引1(原告母A1分)」といい,原告長男A2に係るものを「本件取引1(原告長男A2分)」という。),原告長男B1に対し,当該株式7498株を処分した(以下,これに係る取引を「本件取引2」という。)。
第1事件は,原告母A1が,平成25年分の所得税等の確定申告書(以下「本件確定申告書(原告母A1分)」という。)を提出したところ,本件税務署長1が,本件取引1(原告母A1分)は所得税法59条1項2号所定の「著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡」に該当するなどとして,本件更正処分等(原告母A1分)(ただし,裁決により一部取り消される前のもの)をしたことから,原告母A1が,前記第1の1のとおりの取消しを求めた事案である。
第2事件は,原告長男A2が,平成25年分の所得税等の確定申告書(以下「本件確定申告書(原告長男A2分)」という。)を提出したところ,本件税務署長1が,本件取引1(原告長男A2分)は所得税法59条1項2号所定の「著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡」に該当するなどとして,本件更正処分等(原告長男A2分)(ただし,裁決により一部取り消される前のもの)をしたことから,原告長男A2が,前記第1の2のとおりの取消しを求めた事案である。
第3事件のうち原告長男B1の請求に係るものは,原告長男B1が,平成25年分の所得税等の確定申告書(以下「本件確定申告書(原告長男B1分)」という。)を提出したところ,本件税務署長1が,本件取引2は廉価でされたものであり,それによって享受した経済的な利益は所得税法28条1項所定の「給与等」に該当するなどとして,本件更正処分等(原告長男B1分)をしたことから,原告長男B1が,前記第1の3(1)のとおりの取消しを求めた事案である。
第3事件のうち原告会社の請求に係るものは,本件税務署長2が,上記の経済的な利益は所得税法28条1項所定の「給与等」に該当するため,原告会社はそれに係る源泉徴収義務(同法183条1項の規定による源泉徴収義務のこと。以下同じ。)を負うことになるなどとして,本件納税告知処分等(原告会社分)をしたことから,原告会社が,前記第1の3(2)のとおりの取消しを求めた事案である。
『裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)』 2007/3/28
長嶺 超輝 (著)
内容(「BOOK」データベースより)
「死刑はやむを得ないが、私としては、君には出来るだけ長く生きてもらいたい」(死刑判決言い渡しの後で)。裁判官は無味乾燥な判決文を読み上げるだけ、と思っていたら大間違い。ダジャレあり、ツッコミあり、説教あり。スピーディーに一件でも多く判決を出すことが評価される世界で、六法全書を脇におき、出世も顧みず語り始める裁判官がいる。本書は法廷での個性あふれる肉声を集めた本邦初の語録集。これを読めば裁判員になるのも待ち遠しい。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
長嶺/超輝
1975年長崎県生まれ。九州大学法学部を卒業後、弁護士を目指し、塾講師や家庭教師の指導と並行して司法試験を受験。七回の不合格を重ねて懲りる。現在はライター業の合間をぬって裁判傍聴に通う日々。2005年の最高裁判所裁判官国民審査では、対象となった裁判官六名の経歴や過去の発言、判決骨子をまとめたサイト「忘れられた一票」が各方面で大きな反響を呼ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社 : 幻冬舎 (2007/3/28)
発売日 : 2007/3/28
言語 : 日本語
新書 : 224ページ
新書
¥792
コメント
この本を読むと、涙する。
「死刑はやむを得ないが、私としては、君には出来るだけ長く生きてもらいたい」(死刑判決言い渡しの後で)。
裁判官は無味乾燥な判決文を読み上げるだけ、と思っていたら大間違い。
ダジャレあり、ツッコミあり、説教あり。
スピーディーに一件でも多く判決を出すことが評価される世界で、六法全書を脇におき、出世も顧みず語り始める裁判官がいる。
本書は法廷での個性あふれる肉声を集めた本邦初の語録集。
これを読めば裁判員になるのも待ち遠しい。
第1章 死刑か無期か?-裁判長も迷ってる
第2章 あんた、いいかげんにしなさいよーあまりに呆れた被告人たち
第3章 芸能人だって権力者だってー裁判官の前ではしおらしく
第4章 被告人は無罪ー「有罪率99.9%」なんかに負けない
第5章 反省文を出しなさい!-下手な言い訳はすぐバレる
第6章 泣かせますね、裁判長ー法廷は人生道場
第7章 ときには愛だって語りますー法廷の愛憎劇
第8章 責めて褒めて、褒めて落としてー裁判官に学ぶ諭しのテク
第9章 物言えぬ被害者を代弁ー認められ始めた「第3の当事者」
第10章 頼むから立ち直ってくれー裁判官の切なる祈り
『ミシュランガイド東京 2024』
ベストセラー1位 - カテゴリ 旅行ガイド
単行本
¥3,498
出版社 : 日本ミシュランタイヤ (2023/12/8)
発売日 : 2023/12/8
単行本 : 337ページ
コメント
料理の説明は、まるでポエム。
値段の表記は、分かりにくい。
ミシュランに掲載されたレストランには、何件か行ってみたが、的確な評価は欧米系の料理が多い。
第6章 新たな土地・建物管理制度の創設
土地所有者の所在等についてまったく手がかりが得られない場合や、所在が判明している土地共有者が主体となって手続を進めることが難しい場合も現実には存在する。そこで、改正法は、利害関係人注8の請求により、裁判所が所有者不明土地の管理人を選任し、土地の管理を命ずる処分を行える制度(所有者不明土地管理制度)(改正民法264条の2以下。ほぼ同様の制度が所有者不明建物についても設けられた。改正民法264条の8)を創設した。
これにより、選任された管理人の権限において、所有者不明土地の保存行為や、土地等の性質を変えない範囲内での利用・改良目的行為が行えるほか、裁判所の許可を得れば当該土地の売却等を行うことも可能となる(改正民法264条の3)。
これまでも民法上、不在者財産管理制度や相続財産管理制度といった制度は存在したが、いずれも「人」単位での財産管理を目的としたものであり、不在者や被相続人等の財産の一つに過ぎない特定の土地だけを対象に管理人を選任することは原則としてできなかった。
しかし、今回の法改正により、土地、建物といった個々の財産単位で裁判所が管理人の選任することが可能となったことで、不相当な労力やコストをかけることなく的確な管理がなされ、利用の円滑化につながることが期待される。
また、改正法は土地、建物の所有者が不明であるかどうかにかかわらず、「所有者による土地・建物の管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、または侵害されるおそれがある場合」に、利害関係人の請求により、裁判所が当該土地・建物の管理人を選任し、管理を命ずる処分を行える制度(管理不全土地・建物管理制度)(土地につき改正民法264条の9以下、建物につき改正民法264条の14)も創設した。
所有者不明土地管理制度とは異なり、管理人に土地の管理・処分権が専属せず(改正民法264条の3第1項に相当する規定が改正民法264条の10には存在しない)、所有者の同意がなければ土地の処分行為もできない(改正民法264条の10第3項)ことから、管理に抵抗する所有者が現にいる場合は使いづらい面もあるが、冒頭の事例2のように、管理不全土地であって、かつ、所有者不明となっていることが疑われるような土地の場合は、この管理制度を活用することでより迅速な対応ができるようになる可能性もある。
控訴人は、被控訴人から、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)による障害福祉サービス(居宅介護)の介護給付費を受給していたところ、65歳に達するに際し、被控訴人に対し、障害者総合支援法20条1項による介護給付費の支給申請(本件申請)をした。被控訴人は、控訴人は65歳に達したことにより介護保険法による居宅介護費の支給を受けることができるところ、同法による要介護認定の申請をしないために居宅介護サービスの支給量を算定することができないことから、居宅介護サービスでは不足するために上乗せすべき介護給付の支給量も算定することができないとして、本件申請を却下する決定(本件処分)をした。
行政処分取消等請求控訴事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/令和3年(行コ)第170号
【判決日付】 令和5年3月24日
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
障害者総合支援法
(他の法令による給付等との調整)
第七条 自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による介護給付、健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定による療養の給付その他の法令に基づく給付又は事業であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受け、又は利用することができるときは政令で定める限度において、当該政令で定める給付又は事業以外の給付であって国又は地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において、行わない。
(申請)
第二十条 支給決定を受けようとする障害者又は障害児の保護者は、主務省令で定めるところにより、市町村に申請をしなければならない。
2 市町村は、前項の申請があったときは、次条第一項及び第二十二条第一項の規定により障害支援区分の認定及び同項に規定する支給要否決定を行うため、主務省令で定めるところにより、当該職員をして、当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者に面接をさせ、その心身の状況、その置かれている環境その他主務省令で定める事項について調査をさせるものとする。この場合において、市町村は、当該調査を第五十一条の十四第一項に規定する指定一般相談支援事業者その他の主務省令で定める者(以下この条において「指定一般相談支援事業者等」という。)に委託することができる。
3 前項後段の規定により委託を受けた指定一般相談支援事業者等は、障害者等の保健又は福祉に関する専門的知識及び技術を有するものとして主務省令で定める者に当該委託に係る調査を行わせるものとする。
4 第二項後段の規定により委託を受けた指定一般相談支援事業者等の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。第百九条第一項を除き、以下同じ。)若しくは前項の主務省令で定める者又はこれらの職にあった者は、正当な理由なしに、当該委託業務に関して知り得た個人の秘密を漏らしてはならない。
5 第二項後段の規定により委託を受けた指定一般相談支援事業者等の役員又は第三項の主務省令で定める者で、当該委託業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
6 第二項の場合において、市町村は、当該障害者等又は障害児の保護者が遠隔の地に居住地又は現在地を有するときは、当該調査を他の市町村に嘱託することができる。
(支給要否決定等)
第二十二条 市町村は、第二十条第一項の申請に係る障害者等の障害支援区分、当該障害者等の介護を行う者の状況、当該障害者等の置かれている環境、当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サービスの利用に関する意向その他の主務省令で定める事項を勘案して介護給付費等の支給の要否の決定(以下この条及び第二十七条において「支給要否決定」という。)を行うものとする。
2 市町村は、支給要否決定を行うに当たって必要があると認めるときは、主務省令で定めるところにより、市町村審査会又は身体障害者福祉法第九条第七項に規定する身体障害者更生相談所(第七十四条及び第七十六条第三項において「身体障害者更生相談所」という。)、知的障害者福祉法第九条第六項に規定する知的障害者更生相談所、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第六条第一項に規定する精神保健福祉センター若しくは児童相談所(以下「身体障害者更生相談所等」と総称する。)その他主務省令で定める機関の意見を聴くことができる。
3 市町村審査会、身体障害者更生相談所等又は前項の主務省令で定める機関は、同項の意見を述べるに当たって必要があると認めるときは、当該支給要否決定に係る障害者等、その家族、医師その他の関係者の意見を聴くことができる。
4 市町村は、支給要否決定を行うに当たって必要と認められる場合として主務省令で定める場合には、主務省令で定めるところにより、第二十条第一項の申請に係る障害者又は障害児の保護者に対し、第五十一条の十七第一項第一号に規定する指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案の提出を求めるものとする。
5 前項の規定によりサービス等利用計画案の提出を求められた障害者又は障害児の保護者は、主務省令で定める場合には、同項のサービス等利用計画案に代えて主務省令で定めるサービス等利用計画案を提出することができる。
6 市町村は、前二項のサービス等利用計画案の提出があった場合には、第一項の主務省令で定める事項及び当該サービス等利用計画案を勘案して支給要否決定を行うものとする。
7 市町村は、支給決定を行う場合には、障害福祉サービスの種類ごとに月を単位として主務省令で定める期間において介護給付費等を支給する障害福祉サービスの量(以下「支給量」という。)を定めなければならない。
8 市町村は、支給決定を行ったときは、当該支給決定障害者等に対し、主務省令で定めるところにより、支給量その他の主務省令で定める事項を記載した障害福祉サービス受給者証(以下「受給者証」という。)を交付しなければならない。
主 文
1 原判決を次のとおり変更する。
(1)被控訴人が平成26年8月1日付けで控訴人に対してした障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律20条1項の規定による介護給付費の支給申請を却下する決定を取り消す。
(2)被控訴人は、控訴人に対し、平成26年7月8日付け障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律20条1項の規定による介護給付費の支給申請について、サービスの種類を居宅介護、サービスの内容及び支給量を身体介護月45時間、家事援助月25時間とする介護給付費の支給決定をせよ。
(3)被控訴人は、控訴人に対し、27万4240円及びこれに対する平成26年8月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4)控訴人のその余の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、第一、二審を通じ、これを5分し、その2を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。
事実及び理由
(略称は、新たに付するもののほかは、引用部分に係る原判決の例による。)
第1 控訴の趣旨
1 本判決主文第1項(1)及び(2)と同じ。
2 被控訴人は、控訴人に対し、134万9240円及びこれに対する平成26年8月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
控訴人(昭和24年○月○○日生)は、千葉市(被控訴人)に居住し、身体障害者手帳(身体障害者福祉法15条)の交付を受けている障害者である。
控訴人は、被控訴人から、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)による障害福祉サービス(居宅介護)の介護給付費を受給していたところ、65歳に達するに際し、被控訴人に対し、障害者総合支援法20条1項による介護給付費の支給申請(本件申請)をした。被控訴人は、控訴人は65歳に達したことにより介護保険法による居宅介護費の支給を受けることができるところ、同法による要介護認定の申請をしないために居宅介護サービスの支給量を算定することができないことから、居宅介護サービスでは不足するために上乗せすべき介護給付の支給量も算定することができないとして、本件申請を却下する決定(本件処分)をした。
控訴人は、本件処分は違法であるとして、被控訴人に対し、①本件処分の取消し、②本件申請についての介護給付費の支給決定の義務付け並びに③国家賠償法1条に基づく損害賠償として134万9240円(自費で受けたホームヘルプサービスの料金14万9240円、慰謝料100万円及び弁護士費用20万円の合計)及びこれに対する平成26年8月1日(本件処分の日)から民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
原判決は、②の介護給付費の支給決定の義務付けの請求に係る訴えを却下し、控訴人のその余の請求をいずれも棄却したところ、控訴人が請求全部の認容を求めて控訴した。
2 関係法令の定め、通知等
次のとおり補正するほかは、原判決別紙「関係法令の定め」に記載のとおりであるから、これを引用する。
(1)32頁3行目の冒頭に「(1)」を、18行目の末尾に改行して以下をそれぞれ加える。
「(2)27条(障害者総合支援法施行令17条4号に規定する厚生労働省令で定める者)
令第17条第4号に規定する厚生労働省令で定める者は、同条第1号から第3号までに掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額を負担上限月額としたならば保護(生活保護法第2条に規定する保護をいう。以下同じ。)を必要とする状態となる者であって、同条第4号に定める額を負担上限月額としたならば保護を必要としない状態となるものとする。」
(2)37頁10行目の末尾に頁を改めて以下を加える。
「5 通知等
(1)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長・障害福祉課長通知(平成19年3月28日障企発第0328002号・障障発第0328002号。以下「平成19年課長通知」という。)
本判決別紙1のとおり
(2)平成27年2月18日厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課・障害福祉課事務連絡。以下「平成27年事務連絡」という。)
本判決別紙2のとおり」
3 前提事実
次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の2に記載のとおりであるから、これを引用する。
(1)3頁18行目の「受けている」の次に「(身体障害者福祉法15条、身体障害者福祉法施行規則5条3項、別表第5号(身体障害者障害程度等級表))」を加える。
(2)3頁22行目の「第51号」の次に「(平成26年4月1日施行)」を、4頁1行目の「基本合意」の次に「(以下「平成22年1月の基本合意」又は単に「基本合意」という。)をそれぞれ加える。
(3)4頁9行目の「障害程度」の次に「(障害者の心身の状態を示すもの)」を、10行目の「受けていた(」の次に「障害者の心身の状態を示す」を、11行目の「区分は」の次に「平成26年4月1日から、必要とされる支援の度合を示す」をそれぞれ加える。
(4)8頁21行目の末尾に改行して以下を加える。
「 介護保険におけるサービス(以下「介護保険サービス」という。)については、利用者は、原則として費用の1割相当額を利用料として負担するとされているところ、これが過重なものとならないよう、低所得者について負担軽減措置がとられている。このうち、障害者総合支援法による居宅介護給付(ホームヘルプサービス。障害者総合支援法5条(原判決別紙「関係法令の定め」1(3)))を受けていた者であって、境界層措置(受給者が、その所得に応じた料金を支払うと生活保護を必要とするが、それより低い所得段階の負担料であれば生活保護を必要としなくなる場合に、より低い基準を適用して負担の軽減・免除をする措置)により定率負担額が零円であったものについては、65歳に達して介護保険の適用を受けるようになった(以下、このような状態を「介護保険への移行」等ということがある。)後も、介護保険制度下における支援措置により、介護保険サービスの利用料について全額が免除される(障害者総合支援法施行令17条(原判決別紙「関係法令の定め」2(3))、障害者総合支援法施行規則27条(原判決別紙「関係法令の定め」3(2)(補正後のもの))。(乙32、41、42)
ところが、控訴人は、もともと上記の所得層に属する者よりも収入が低い非課税世帯であったことから、障害者総合支援法による境界層措置を受けるまでもなく、居宅介護給付の利用料の自己負担額が零円であった(障害者総合支援法29条3項2号(原判決別紙「関係法令の定め」1(11))、障害者総合支援法施行令17条4号(原判決別紙「関係法令の定め」2(3))及び障害者総合支援法施行規則27条(原判決別紙「関係法令の定め」3(2)(補正後のもの))ところ、介護保険に移行すると、(従前境界層措置の対象者でなかったために)前記支援措置を受けることができず、月額1万5000円の利用料の負担が生ずることとなっていた。」
4 争点
(1)障害者総合支援法7条関係
ア 争点1 障害者総合支援法7条の規律内容、同法22条1項による支給要否決定との関係等
イ 争点2 障害者総合支援法7条の「自立支援給付に相当するものを受けることができるとき」の意義
(2)本件処分の違法性関係
争点3 本件処分についての被控訴人の裁量権の逸脱又は濫用の有無
(3)本件訴えのうち介護給付費の支給決定の義務付けを求める部分(以下、この部分を「本件義務付けの訴え」という。)関係
争点4 本件義務付けの訴えの適法性(適法である場合には、義務の内容)
(4)国家賠償請求関係
争点5 本件処分の国家賠償法上の違法性及び損害
共用設備が設置されている車庫が建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたらないとはいえないとされた事例
所有権保存登記抹消等請求事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和55年(オ)第554号
【判決日付】 昭和56年7月17日
【判示事項】 共用設備が設置されている車庫が建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたらないとはいえないとされた事例
【判決要旨】 構造上他の建物部分と区分され、それ自体として独立の建物としての用途に供することができる外形を有する車庫内に、天井には排水管が取り付けられ、床下にはし尿浄化槽と受水槽があり、床面には地下に通ずるマンホール及び排水ポンプの故障に備えるための手動ポンプが設置されていて、右浄化槽等の点検、清掃、故障修理のため専門業者がその車庫に立ち入つて作業することが予定されている場合でも、右共用設備の利用管理によつて右車庫の排他的使用に格別の制限ないし障害を生じない限り、右車庫は、建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたらないとはいえない。
【参照条文】 建物の区分所有等に関する法律1
建物の区分所有等に関する法律2-3
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集35巻5号977頁
建物の区分所有等に関する法律
第一節 総則
(建物の区分所有)
第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
(定義)
第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。
郵政省の職員である郵便集配人である辞職願の法的性格
2、国家公務員法76条の規定による失職者には退職手当を支給しないと規定している国家公務員等退職手当法8条1項2号は、憲法13条、14条、ならびに労働基準法3条に違反するか(消極)
札幌地方裁判所判決/昭和44年(ワ)第1443号
昭和46年1月25日
【判示事項】 1、郵政省の職員である郵便集配人である辞職願の法的性格
2、国家公務員法76条の規定による失職者には退職手当を支給しないと規定している国家公務員等退職手当法8条1項2号は、憲法13条、14条、ならびに労働基準法3条に違反するか(消極)
【判決要旨】 1、郵便集配人の勤務関係が公法関係であると解される以上、辞職の申出に対する任命権者の承認を俟ってはじめ退職の効果を生ずるのであり、辞職願は退職の処方に対する同意の効力を有するほかそれ自体独立に法的意義を有するものではない。
2、憲法14条、労働基準法3条はいかなる差別をも禁止する趣旨ではなく、個人の尊重を宣明した憲法の理念に照らし社会通念上不合理と考えられる差別を禁止するものであるところ、公務員が禁錮以上の刑に処せられて当然失職した場合には、退職手当の支給を受けるに値しないと考えられ、退職手当の支給を受けられないという不利益を受けることもやむをえないと解すべきであるから、国家公務員等退職手当法8条1項2号は憲法13条、14条、労働基準法3条に違反しない。
【参照条文】 国家公務員法61
憲法13
憲法14
憲法25
【掲載誌】 労働関係民事裁判例集22巻1号49頁
訟務月報17巻5号788頁
判例時報628号87頁
憲法
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
国家公務員法
(休職、復職、退職及び免職)
第六十一条 職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
国家公務員退職手当法
(独立行政法人等役員として在職した後引き続いて職員となつた者の在職期間の計算)
第八条 職員のうち、任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて独立行政法人通則法第二条第一項に規定する独立行政法人その他特別の法律により設立された法人でその業務が国の事務又は事業と密接な関連を有するもののうち政令で定めるもの(退職手当(これに相当する給付を含む。)に関する規程において、職員が任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて当該法人の役員となつた場合に、職員としての勤続期間を当該法人の役員としての勤続期間に通算することと定めている法人に限る。以下「独立行政法人等」という。)の役員(常時勤務に服することを要しない者を除く。以下「独立行政法人等役員」という。)となるため退職をし、かつ、引き続き独立行政法人等役員として在職した後引き続いて再び職員となつた者の第七条第一項の規定による在職期間の計算については、先の職員としての在職期間の始期から後の職員としての在職期間の終期までの期間は、職員としての引き続いた在職期間とみなす。
2 独立行政法人等役員が、独立行政法人等の要請に応じ、引き続いて職員となるため退職し、かつ、引き続いて職員となつた場合におけるその者の第七条第一項に規定する職員としての引き続いた在職期間には、その者の独立行政法人等役員としての引き続いた在職期間を含むものとする。
3 前二項の場合における独立行政法人等役員としての在職期間の計算については、第七条(第五項を除く。)の規定を準用するほか、政令で定める。
労働基準法
(均等待遇)
第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
取引相場のない株式の譲渡に係る所得税法59条1項所定の「その時における価額」につき、当該株式の譲受人が財産評価基本通達においてその株主が取得した株式は配当還元価額によって評価するものとされている株主に該当することを理由として、配当還元価額によって評価した額であるとした原審の判断には、同項の解釈適用を誤った違法がある。
所得税更正処分取消等請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成30年(行ヒ)第422号
【判決日付】 令和2年3月24日
【判示事項】 取引相場のない株式の譲渡に係る所得税法59条1項所定の「その時における価額」につき,配当還元価額によって評価した原審の判断に違法があるとされた事例
【判決要旨】 取引相場のない株式の譲渡に係る所得税法59条1項所定の「その時における価額」につき、当該株式の譲受人が財産評価基本通達においてその株主が取得した株式は配当還元価額によって評価するものとされている株主に該当することを理由として、配当還元価額によって評価した額であるとした原審の判断には、同項の解釈適用を誤った違法がある。
【参照条文】 所得税法59-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事263号63頁
裁判所時報1745号3頁
判例タイムズ1478号21頁
金融・商事判例1606号38頁
金融・商事判例1602号10頁
判例時報2467号3頁
金融法務事情2155号66頁
1 事案の概要
本件は,法人に対する株式の譲渡につき,譲渡人の相続人である被上告人らが,当該譲渡に係る譲渡所得の収入金額を譲渡代金額(1株当たり75円)と同額として所得税の申告をしたところ,当該代金額が所得税法59条1項2号に定める著しく低い価額の対価に当たるとして,更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから,これらの各処分(東京国税局長の決定により一部取り消された後のもの。以下「本件各更正処分」という。)の取消し(更正処分については修正申告又は先行する更正処分の金額を超える部分)を求める事案である。
争点は,当該株式の当該譲渡の時における価額であり,上告人(国)はいわゆる類似業種比準方式によって算定した1株当たり2505円を,被上告人らはいわゆる配当還元方式によって算定した1株当たり75円(譲渡における代金額と同額)を主張した。
(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)
第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
所得税法施行令
(時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲)
第百六十九条 法第五十九条第一項第二号(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)に規定する政令で定める額は、同項に規定する山林又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡の時における価額の二分の一に満たない金額とする。
『図録 法学入門』
主要19分野を一望できる、〈資料集〉仕立ての法学入門テキスト
著者 堀口 悟郎 編著
斎藤 一久 編著
出版年月日 2024/01/24
ISBN 978-4-335-35961-3
Cコード 1032
判型・ページ数 B5 並製 ・ 146ページ
定価 2,750円(本体2,500円+税)
弘文堂
内容紹介
「法学入門」をうたう優れたテキストは枚挙にいとまがないところ、本書は500点をゆうに超えるビジュアルで勝負。憲民刑や行政法、商法、民訴法そして刑訴法などの基本分野から、先端的な情報法やスポーツ法まで主要19分野を網羅。憲民刑は各16頁、その他の分野はそれぞれ2~8頁というコンパクト設計のなかに、「中学・高校の社会科の授業で使っていた資料集」をイメージした膨大な数の写真や図解、新聞記事や統計データ等の視覚コンテンツをふんだんに配置。加えて、基本事項を押さえつつ簡潔で読みやすい解説と、各ページに配された◯×問題で効果的な学習を助けます。まったく新しいタイプの法学入門テキストの誕生です!
コメント
良書。
ただし、不動産法、医事法などが抜けている。
目次
1 法学のとびら
Appendix1 法学の勉強法
2 民法I:民法の基本概念
3 民法II:不法行為
4 民法III:契約・所有権
5 民法IV:家族法
Appendix2 消費者法
6 労働法I:労働法の成り立ちと役割
7 労働法II:労働契約と労働者
Appendix3 社会保障法
8 商法I:商法とは、会社のガバナンス
9 商法II:会社法(M&A、ファイナンス、株主)
10 知的財産法
Appendix4 スポーツ法
11 民事訴訟法I:総論
12 民事訴訟法II: 各論
Appendix5 民事執行法
13 刑法I:刑法の基礎
14 刑法II:刑法総論
15 刑法III:刑法各論
16 刑法IV: 日常生活のなかの犯罪
17 刑事訴訟法I:警察の捜査
18 刑事訴訟法II:刑事裁判の手続
Appendix6 少年法
19 憲法I:総論
20 憲法II:人権・
21 憲法III:人権・
22 憲法IV:統治機構
23 行政法I:行政作用法
24 行政法II:行政救済法
25 地方自治法:地方自治法
26 教育法
27 環境法
28 情報法
29 国際法I:国際社会のルール
30 国際法II: 私たちの暮らしと国際法
Appendix7 社会で法学を活かす
第4章 所有者不明の場合等の土地利用円滑化策の概要(民法改正)
一連の法改正は、令和2年改正土地基本法6条で明記された「土地所有者に土地の利用および管理等に関する「責務」を課す」という考え方のもと、裁判所や登記官が関与する新たな仕組みとともに、土地所有者自身が自主的にアクションを起こせるようなルールも整えることで不動産の適正な管理と利活用を図ろうとするものといえる。
また、一連の法改正は、これまで「対抗要件」という位置付けのもと、当事者の意思に委ねることが原則とされていた不動産登記のあり方を大きく変える可能性を秘めたものでもある注9。
今回の改正の二つの柱である「土地の利用の円滑化を図る方策」(民法改正)と「所有者不明土地の発生を予防する方策」(不動産登記法改正等)のうち、主に前者の「土地の利用の円滑化を図る方策」(民法改正)を取り上げる。
第5章 何が変わり、何ができるようになるのか
―土地利用円滑化に向けた改正
事例1
巨大台風の襲来により、鉄道事業者であるA社が保有していた線路設備が浸水し、甚大な被害が生じた。このため、A社では数百メートル離れた高台に線路を移設すべく、用地取得に着手したが、新ルートを構成するために不可欠な地点に所在する土地の中に、長年相続登記が行われていなかった土地があり、所有者の探索に手間取っているために、工事に着手できない状況が続いている。
事例2
B社は長年、田園地帯の一角で自社工場を操業しているが、地域住民の世代交代に伴い、20年ほど前までは頻繁に交流のあった工場近傍地の所有者とも疎遠な状況が続いている。隣接する土地の中には、ここ数年、人が手入れをしている気配がなく、土地上の樹木の枝が工場敷地内にまで入り込むようになってきたり、朽廃した土地上の作業小屋や投棄資材等が強風で吹き飛んで工場の設備を直撃したりする恐れもあることから、工場の総務担当者は頭を悩ませている。
ここに挙げた二つの事例は、いずれも典型的な「所有者不明土地」注2に起因する問題である。事例1は、所有者を特定できないために、効果的な土地の利用ができない、というケースであり、東日本大震災からの復興を進める中でも、さまざまな地域で指摘されていたことは記憶に新しい注3。
また、事例2は、土地の所有者の所在が不明となったために、土地の管理不全状態が生じて近傍地にもリスクが生じている、というケースであり、これも近年、台風や大雨に伴う二次的な被害の多発等によって顕在化した問題である(都市部で「空き家問題」として報じられる現象も、この一類型といえる)。
Aの「利用の円滑化を図る方策」をどう活用するか、ということが重要になってくる。
現に生じている問題の解決を、これまで企業実務者には極めてハードルが高かった裁判所での訴訟手続や既存の財産管理制度だけに委ねるのではなく、同じ裁判所の手続でも新たに設ける非訟手続により迅速かつ柔軟な解決を図りやすくする、さらには、土地共有者や相隣関係にある土地所有者間のルールを明確化することで当事者間での自主的な問題解決を容易にする、というのがAの方策のキモとなるが、具体的にどう変わるのか、という点について以下で簡潔に紹介させていただくこととしたい。
共有物管理、共有関係解消のための手続等の合理化
所有者不明土地問題の中でも共有状態の土地、特に、数次にわたる相続が生じているにもかかわらず、長年登記未了のまま放置された結果、極めて多数の共有者が存在する状態となった土地が引き起こす問題は全国各地で発生しており、法制審部会においても「メガ共有」注4問題として取り上げられた。
この場合に生じる最大の問題は、実際にその土地を管理している共有者や所在が判明して連絡可能な共有者の間では土地の利用について一定のコンセンサスが形成されているにもかかわらず、不明共有者が存在するためにそれを実現できない、ということにある。
特に、現在の民法は、共有物の「変更」に共有者全員の同意が必要とされている上に(251条)、この「変更」と各共有者の持分の価格の過半数で決することができる共有物の「管理に関する事項」(管理行為、252条)との境界も曖昧だったことから、実務上は、共有者全員の同意が得られないと土地の一時的な利用すら容易には進められない、という状況が存在していた。
この点について改正法は、次のような方法により解決を試みている。
共有物管理・共有物変更の手続合理化
① 共有者全員の同意を必要としない利用類型(共有物の「変更」に該当しない類型)の範囲を明確にした(改正民法251条、252条4項)
② 共有物の管理に関する事項については、裁判所が一定期間の公告や通知を行った上で、不明共有者や催告をしても賛否を明らかにしない共有者を除いた共有者の持分の過半数で決することができる旨の裁判を行うことができるようにした(改正民法252条2項、改正非訟事件手続法85条2項、3項)
③ 裁判所が一定期間の公告を行った上で、不明共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判を行うこともできるようにした(改正民法251条2項等、改正非訟事件手続法85条2項)
①はこれまで裁判所の解釈に委ねられていた規定の内容を明確化するもので、土地利用時の手続の予測可能性を高め、当事者間での合理的な対応を促進させるものといえる。また、②、③は、裁判所の関与を必要とする手続ではあるものの、不明共有者等が存在する場合の手続のプロセスが簡便かつ明確になったことで、これまでに比べると、手続を円滑に進めることが容易になると考えられる注5。
さらに、一時的な利用ではなく、恒久的な施設の建設等を行うために「メガ共有」地を取得しようとする場合も不明共有者との関係で手続きが滞ることが多かったが、改正法は金銭の供託を条件に、裁判所での非訟手続により、不明共有者の持分を他の共有者が取得することや(改正民法262条の2)、不明共有者の持分も含めた土地全体を第三者に譲渡させること(改正民法262条の3)を認めた注6。
供託する「不動産(持分)の時価相当額」をどう算定するか等、今後の課題となりうる点は残っているものの、一定の手続を経れば不明共有者がいる土地でも金銭解決を前提に手続を進められる道が開けた注7、という点で、非常に大きな意義のある改正だといえる。