郵政省の職員である郵便集配人である辞職願の法的性格 2、国家公務員法76条の規定による失職者には | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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郵政省の職員である郵便集配人である辞職願の法的性格

2、国家公務員法76条の規定による失職者には退職手当を支給しないと規定している国家公務員等退職手当法8条1項2号は、憲法13条、14条、ならびに労働基準法3条に違反するか(消極)

札幌地方裁判所判決/昭和44年(ワ)第1443号

昭和46年1月25日

退職金請求事件

【判示事項】    1、郵政省の職員である郵便集配人である辞職願の法的性格

2、国家公務員法76条の規定による失職者には退職手当を支給しないと規定している国家公務員等退職手当法8条1項2号は、憲法13条、14条、ならびに労働基準法3条に違反するか(消極)

【判決要旨】    1、郵便集配人の勤務関係が公法関係であると解される以上、辞職の申出に対する任命権者の承認を俟ってはじめ退職の効果を生ずるのであり、辞職願は退職の処方に対する同意の効力を有するほかそれ自体独立に法的意義を有するものではない。

2、憲法14条、労働基準法3条はいかなる差別をも禁止する趣旨ではなく、個人の尊重を宣明した憲法の理念に照らし社会通念上不合理と考えられる差別を禁止するものであるところ、公務員が禁錮以上の刑に処せられて当然失職した場合には、退職手当の支給を受けるに値しないと考えられ、退職手当の支給を受けられないという不利益を受けることもやむをえないと解すべきであるから、国家公務員等退職手当法8条1項2号は憲法13条、14条、労働基準法3条に違反しない。

【参照条文】    国家公務員法61

          人事院規則

          憲法13

          憲法14

          憲法25

          国家公務員退職手当法

          労働基準法

【掲載誌】     労働関係民事裁判例集22巻1号49頁

          訟務月報17巻5号788頁

          判例時報628号87頁

 

憲法

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

国家公務員法

(休職、復職、退職及び免職)

第六十一条 職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。

 

国家公務員退職手当法

(独立行政法人等役員として在職した後引き続いて職員となつた者の在職期間の計算)

第八条 職員のうち、任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて独立行政法人通則法第二条第一項に規定する独立行政法人その他特別の法律により設立された法人でその業務が国の事務又は事業と密接な関連を有するもののうち政令で定めるもの(退職手当(これに相当する給付を含む。)に関する規程において、職員が任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて当該法人の役員となつた場合に、職員としての勤続期間を当該法人の役員としての勤続期間に通算することと定めている法人に限る。以下「独立行政法人等」という。)の役員(常時勤務に服することを要しない者を除く。以下「独立行政法人等役員」という。)となるため退職をし、かつ、引き続き独立行政法人等役員として在職した後引き続いて再び職員となつた者の第七条第一項の規定による在職期間の計算については、先の職員としての在職期間の始期から後の職員としての在職期間の終期までの期間は、職員としての引き続いた在職期間とみなす。

2 独立行政法人等役員が、独立行政法人等の要請に応じ、引き続いて職員となるため退職し、かつ、引き続いて職員となつた場合におけるその者の第七条第一項に規定する職員としての引き続いた在職期間には、その者の独立行政法人等役員としての引き続いた在職期間を含むものとする。

3 前二項の場合における独立行政法人等役員としての在職期間の計算については、第七条(第五項を除く。)の規定を準用するほか、政令で定める。

 

労働基準法

(均等待遇)

第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。