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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

第6章 ②訂正審判等における通常実施権者の承諾要件見直し

1.新旧対照表

改正される条文:特許法97条1項、127条

 

特許法97条1項

(旧)

特許権者は、専用実施権者、質権者・または第35条第1項、第77条第4項もししくは第78条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。

 

(新)

特許権者は、専用実施権者・または質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。

 

 

特許法127条

(旧)

特許権者は、専用実施権者、質権者・または第35条第1項、第77条第4項もししくは第78条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。

 

(新)

特許権者は、専用実施権者・または質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。

 

2.施行期日

令和4年4月1日

 

3.改正法の概要等

改正前の特許法では、特許権者が、訂正審判の請求、特許無効審判・または特許異議の申立てにおける訂正の請求、および特許権の放棄を行うためには、専用実施権者、質権者・または通常実施権者(職務発明もししくは許諾による通常実施権者に限る。)の承諾が必要でした(改正前の特許法97条1項、127条ならびに同条を準用する120条の5第9項および134条の2第9項)。そのため、例えば、第三者から特許の無効・または取消しを主張された場合であっても、特許権者が通常実施権者等の承諾を得ることができなければ、特許の訂正を行うことができず、結果的に特許を無効とされ、あるいは取り消されてしまうリスクが存在しました。このような不都合を回避するため、実務上は、特許実施許諾契約書において、特許権者がライセンシーから訂正について包括的な承諾を取得すること等により対応をしておりました。

 

しかしながら、①通常実施権者が増加・多様化したことにより、全ての通常実施権者の承諾を得ることが現実的に困難となっていることや、②特許請求の範囲を訂正しても通常実施権者の法的利益を害するものとはいえないにもかかわらず、通常実施権者の承諾を得られないことにより特許権者が訂正という防御手段を実質的に失うことは、特許権者の保護を欠く状況となっていることなどが指摘されておりました。また、特許権の放棄については、本来、特許権者が自由に行えるべき特許権の放棄に関し、そのことに対して法的な不利益のない通常実施権者の承諾を求めることとなれば、特許権者等に不必要な負担を課すことになるとの指摘がされておりました。

 

企業行動の変化に対応した権利保護の見直し

デジタル技術の進展を受けて、特許権のライセンス形態が複雑化したことへの対応策が特許法の改正案として盛り込まれました。

 

特許権が成立した後でも、過去の発明と類似しているなどの理由で無効の申し立てを受け、その対応を迫られることがあります。その場合は特許権者は権利範囲を変更・縮小するなどの形で特許権を訂正・放棄することになりますが、従来は特許権者から特許ライセンスをすでに受けている(通常実施権者である)ライセンシーの承諾を得る必要がありました。

 

しかしながら、当然特許権者(ライセンサー)にとってライセンシーの承諾を得る義務があるのは大きな負担です。そこで、今回の改正ではライセンシーの承諾要件が撤廃されることになりました。

 

そこで、上記1のとおり法改正が行われ、令和3年改正後の特許法では、特許権者が、訂正審判の請求、特許無効審判・または特許異議の申立てにおける訂正の請求、および特許権の放棄を行うために、通常実施権者の承諾を得る必要がなくなりました。ただし、令和3年改正後の特許法でも、従前と同じく、専用実施権者や質権者の承諾を得る必要はありますので、留意が必要です。

 

国税通則法23条1項各号に掲げる税額の過大等の実体的要件が満たされるか否かは租税実体法の定めるところによるから、同条2項所定のいわゆる後発的事由が満たされたとしても、更正の請求が手続上適法となるにとどまり、当然に右請求が認容されるものではないとした事例

 

 

法人税更正請求棄却処分取消請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/昭和60年(行コ)第59号

【判決日付】      昭和61年11月11日

【判示事項】      1、国税通則法23条1項各号(同法施行令6条)に掲げる税額の過大等の実体的要件が満たされるか否かは租税実体法の定めるところによるから、同条2項所定のいわゆる後発的事由が満たされたとしても、更正の請求が手続上適法となるにとどまり、当然に右請求が認容されるものではないとした事例

             2、法人税法上、売買契約の譲渡益等を計上した事業年度より後の事業年度における右売買契約の解除によって売買代金債権及びこれに付随する利息債権が消滅した場合には、それは右解除をした事業年度の損金に計上すべきものであり、さきの事業年度の経理処理及び納税義務には何らの影響を及ぼさないとして、国税通則法23条2項1号所定の事由が満たされたことを理由とする更正の請求が、同条1項所定の税額の過大等の実体的要件を欠くとされた事例

【掲載誌】        行政事件裁判例集37巻10~11号1334頁

             東京高等裁判所判決時報民事37巻11~12号126頁

 

国税通則法

(更正の請求)

第二十三条 納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。

一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。

二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。

三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。

2 納税申告書を提出した者又は第二十五条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。

一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき その確定した日の翌日から起算して二月以内

二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内

三 その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき 当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内

3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細、当該請求に係る更正前の納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。

4 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。

5 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。

6 輸入品に係る申告消費税等についての更正の請求は、第一項の規定にかかわらず、税関長に対し、するものとする。この場合においては、前三項の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。

7 前二条の規定は、更正の請求について準用する。

 

国税通則法施行令

(更正の請求)

第六条 法第二十三条第二項第三号(更正の請求)に規定する政令で定めるやむを得ない理由は、次に掲げる理由とする。

一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等(法第十九条第一項(修正申告)に規定する課税標準等をいう。以下同じ。)又は税額等(同項に規定する税額等をいう。以下同じ。)の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた行為の効力に係る官公署の許可その他の処分が取り消されたこと。

二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に係る契約が、解除権の行使によつて解除され、若しくは当該契約の成立後生じたやむを得ない事情によつて解除され、又は取り消されたこと。

三 帳簿書類の押収その他やむを得ない事情により、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき帳簿書類その他の記録に基づいて国税の課税標準等又は税額等を計算することができなかつた場合において、その後、当該事情が消滅したこと。

四 わが国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約に規定する権限のある当局間の協議により、その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等に関し、その内容と異なる内容の合意が行われたこと。

五 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に係る国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が、更正又は決定に係る審査請求若しくは訴えについての裁決若しくは判決に伴つて変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表されたことにより、当該課税標準等又は税額等が異なることとなる取扱いを受けることとなつたことを知つたこと。

2 更正の請求をしようとする者は、その更正の請求をする理由が課税標準たる所得が過大であることその他その理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するものであるときは、その取引の記録等に基づいてその理由の基礎となる事実を証明する書類を法第二十三条第三項の更正請求書に添付しなければならない。その更正の請求をする理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するもの以外のものである場合において、その事実を証明する書類があるときも、また同様とする。

 

       主   文

 

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

 

       理   由

 

一 当裁判所は、控訴人の本訴請求を失当として棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり訂正、付加するほかは、原判決の理由と同一であるから、その記載を引用する。

1 原判決二七枚目表一行目(編注、三六巻七・八号一〇九七頁四行目)「三条一項但し書」を「四条一項但し書」と改める。

2 原判決三三丁表六行目(同上、一一〇一頁七行目)の次に、行をかえて次のとおり加える。

 「なお、控訴人は当審において本件各更正の請求が認められるべき理由につき縷々主張するが、被控訴人のこれに対する反論と併せ子細に検討しても格別新しい主張と目すべきものはなく、原判決において上来説示したところによりすでに判断が加えられているものと

いうことができる。また、控訴人が昭和五二年一二月二六日付けの通則法二三条二項三号による更正請求の取下げについて云為する点も、本件売買契約の解除による代金債権及びこれに附随する利息債権の消滅については、いずれも解除の日の属する事業年度の損失として計上すべきものであつて、更正により是正されるものではないと解されるので、本件において右取下げの効力につき判断を加える必要はなく、さらに本件の場合、更正が許されないとすれば国の不当利得を許すこととなる旨の控訴人の主張も、それ自体更正を認めるべき事由には当らないものというべきである。」

二 そうすると、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村修三 篠田省二 関野杜滋子)

 

 

              法人税更正請求棄却処分取消請求上告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和62年(行ツ)第18号

【判決日付】      昭和62年7月10日

【掲載誌】        税務訴訟資料159号65頁

 

 右当事者間の東京高等裁判所昭和六〇年(行コ)第五九号法人税更正請求棄却処分取消請求事件について、同裁判所が昭和六一年一一月一一日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告人代理人信部高雄、同田頭忠、同熊井一元の上告理由について

 所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、ひつきよう、原判決を正解せず又は独自の見解を前提として原判決を論難するものであって、採用することができない。

 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第二小法廷

賃貸人が,賃借人に対し,未払賃料および賃借人からの解約申入れによる賃貸借契約の終了に基づく建物明渡しおよび明渡未了の間の賃料相当損害金356万1000円の支払を求め(本訴),被告が,建物が耐震基準を満たしていないとして改修を原告に求めたのにこれを行わなかったため,修繕義務の不履行ないしは目的物の瑕疵を理由に賃貸借契約を解除せざるを得ないこととなり,移転費用を損害として被ったとして移転費用の一部についての損害賠償請求等をした(反訴)事案で,本訴を認容した事例 

東京地方裁判所判決/平成21年(ワ)第12607
号、平成21年(ワ)第16273号 
平成22年7月30日 
建物明渡請求事件、損害賠償等反訴請求事件 
【判示事項】 賃貸人が,賃借人に対し,未払賃料および賃借人からの解約申入れによる賃貸借契約の終了に基づく建物明渡しおよび明渡未了の間の賃料相当損害金356万1000円の支払を求め(本訴),被告が,建物が耐震基準を満たしていないとして改修を原告に求めたのにこれを行わなかったため,修繕義務の不履行ないしは目的物の瑕疵を理由に賃貸借契約を解除せざるを得ないこととなり,移転費用を損害として被ったとして移転費用の一部についての損害賠償請求等をした(反訴)事案で,本訴を認容した事例 
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載 

 

建築主事が日本国有鉄道大阪工事局長に対してしたターミナルビル駐車場の建築計画に係る建築基準法18条3項の審査結果の通知につき、通知処分取消請求控訴事件

大阪高等裁判所判決/昭和59年(行コ)第59号
昭和60年5月7日
通知処分取消請求控訴事件
【判示事項】    建築主事が日本国有鉄道大阪工事局長に対してしたターミナルビル駐車場の建築計画に係る建築基準法18条3項の審査結果の通知につき、右駐車場の敷地の譲渡を受ける期待権および営業上の利益は同法によって保護される利益には当たらないとして、右駐車場予定地の周辺において物品販売等の営業を行っている組合員らによって構成される協同組合は、右通知の取消しを求める訴えの原告適格を有しないとした事例
【掲載誌】     行政事件裁判例集36巻5号633頁

建築基準法
(国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物に対する確認、検査又は是正措置に関する手続の特例)
第十八条 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物及び建築物の敷地については、第六条から第七条の六まで、第九条から第九条の三まで、第十条及び第九十条の二の規定は、適用しない。この場合においては、次項から第二十五項までの規定に定めるところによる。
2 第六条第一項の規定によつて建築し、又は大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする建築物の建築主が国、都道府県又は建築主事を置く市町村である場合においては、当該国の機関の長等は、当該工事に着手する前に、その計画を建築主事等(当該計画が大規模建築物に係るものである場合にあつては、建築主事)に通知しなければならない。ただし、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合(当該増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内である場合に限る。)においては、この限りでない。
3 建築主事等は、前項の通知を受けた場合においては、第六条第四項に定める期間内に、当該通知に係る建築物の計画が建築基準関係規定(第六条の四第一項第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は同項第三号に掲げる建築物の建築について通知を受けた場合にあつては、同項の規定により読み替えて適用される第六条第一項に規定する建築基準関係規定。以下この項及び第十四項において同じ。)に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて、建築基準関係規定に適合することを認めたときは、当該通知をした国の機関の長等に対して確認済証を交付しなければならない。
4 国の機関の長等は、第二項の場合において、同項の通知に係る建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかの前項に規定する審査を要するものであるときは、当該建築物の計画を都道府県知事に通知し、構造計算適合性判定を求めなければならない。ただし、当該建築物の計画が特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分のうち前項に規定する審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)又は特定増改築構造計算基準(同項に規定する審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)に適合するかどうかを第六条の三第一項ただし書の国土交通省令で定める要件を備える者である建築主事等が前項に規定する審査をする場合は、この限りでない。
5 都道府県知事は、前項の通知を受けた場合において、当該通知に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて当該都道府県に置かれた建築主事等が第三項に規定する審査をするときは、当該建築主事等を当該通知に係る構造計算適合性判定に関する事務に従事させてはならない。
6 都道府県知事は、特別な構造方法の建築物の計画について第四項の構造計算適合性判定を行うに当たつて必要があると認めるときは、当該構造方法に係る構造計算に関して専門的な識見を有する者の意見を聴くものとする。
7 都道府県知事は、第四項の通知を受けた場合においては、その通知を受けた日から十四日以内に、当該通知に係る構造計算適合性判定の結果を記載した通知書を当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。
8 都道府県知事は、前項の場合(第四項の通知に係る建築物の計画が特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかの判定を求められた場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、前項の期間内に当該通知をした国の機関の長等に同項の通知書を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、同項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。
9 都道府県知事は、第七項の場合において、第四項の通知の記載によつては当該建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を第七項の期間(前項の規定により第七項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。
10 国の機関の長等は、第七項の規定により同項の通知書の交付を受けた場合において、当該通知書が適合判定通知書であるときは、第三項の規定による審査をする建築主事等に、当該適合判定通知書又はその写しを提出しなければならない。ただし、当該建築物の計画に係る第十四項の通知書の交付を受けた場合は、この限りでない。
11 国の機関の長等は、前項の場合において、第三項の期間(第十三項の規定により第三項の期間が延長された場合にあつては、当該延長後の期間)の末日の三日前までに、前項の適合判定通知書又はその写しを当該建築主事等に提出しなければならない。
12 建築主事等は、第三項の場合において、第二項の通知に係る建築物の計画が第四項の構造計算適合性判定を要するものであるときは、当該通知をした国の機関の長等から第十項の適合判定通知書又はその写しの提出を受けた場合に限り、第三項の確認済証を交付することができる。
13 建築主事等は、第三項の場合(第二項の通知に係る建築物の計画が特定構造計算基準(第二十条第一項第二号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。)に適合するかどうかを審査する場合その他国土交通省令で定める場合に限る。)において、第三項の期間内に当該通知をした国の機関の長等に同項の確認済証を交付することができない合理的な理由があるときは、三十五日の範囲内において、同項の期間を延長することができる。この場合においては、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。
14 建築主事等は、第三項の場合において、第二項の通知に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を第三項の期間(前項の規定により第三項の期間を延長した場合にあつては、当該延長後の期間)内に当該通知をした国の機関の長等に交付しなければならない。
15 第二項の通知に係る建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、第三項の確認済証の交付を受けた後でなければすることができない。
16 国の機関の長等は、当該工事を完了した場合においては、その旨を、工事が完了した日から四日以内に到達するように、建築主事等(当該工事が大規模建築物に係るものである場合にあつては、建築主事。第十九項において同じ。)に通知しなければならない。
17 建築主事等が前項の規定による通知を受けた場合においては、検査実施者は、その通知を受けた日から七日以内に、その通知に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定(第七条の五に規定する建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事について通知を受けた場合にあつては、第六条の四第一項の規定により読み替えて適用される第六条第一項に規定する建築基準関係規定。以下この条において同じ。)に適合しているかどうかを検査しなければならない。
18 検査実施者は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国の機関の長等に対して検査済証を交付しなければならない。
19 国の機関の長等は、当該工事が特定工程を含む場合において、当該特定工程に係る工事を終えたときは、その都度、その旨を、その日から四日以内に到達するように、建築主事等に通知しなければならない。
20 建築主事等が前項の規定による通知を受けた場合においては、検査実施者は、その通知を受けた日から四日以内に、当該通知に係る工事中の建築物等について、検査前に施工された工事に係る建築物の部分及びその敷地が建築基準関係規定に適合するかどうかを検査しなければならない。
21 検査実施者は、前項の規定による検査をした場合において、工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合することを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、国の機関の長等に対して当該特定工程に係る中間検査合格証を交付しなければならない。
22 特定工程後の工程に係る工事は、前項の規定による当該特定工程に係る中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、これを施工してはならない。
23 検査実施者は、第二十項の規定による検査において建築基準関係規定に適合することを認められた工事中の建築物等について、第十七項又は第二十項の規定による検査をするときは、同項の規定による検査において建築基準関係規定に適合することを認められた建築物の部分及びその敷地については、これらの規定による検査をすることを要しない。
24 第六条第一項第一号から第三号までの建築物を新築する場合又はこれらの建築物(共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く。)の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替の工事で避難施設等に関する工事を含むものをする場合においては、第十八項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。
一 特定行政庁が、安全上、防火上又は避難上支障がないと認めたとき。
二 建築主事等(当該建築物又は建築物の部分が大規模建築物又はその部分に該当する場合にあつては、建築主事)が、安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたとき。
三 第十六項の規定による通知をした日から七日を経過したとき。
25 特定行政庁は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物又は建築物の敷地が第九条第一項、第十条第一項若しくは第三項又は第九十条の二第一項の規定に該当すると認める場合においては、直ちに、その旨を当該建築物又は建築物の敷地を管理する国の機関の長等に通知し、これらの規定に掲げる必要な措置をとるべきことを要請しなければならない。

 

1 刑事裁判における国民の司法参加と憲法

2 裁判員制度と憲法31条,32条,37条1項,76条1項,80条1項

3 裁判員制度と憲法76条3項

4 裁判員制度と憲法76条2項

5 裁判員の職務等と憲法18条後段が禁ずる「苦役」

 

最高裁判所大法廷判決/平成22年(あ)第1196号

平成23年11月16日

『平成24年重要判例解説』憲法事件

覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件

【判示事項】    1 刑事裁判における国民の司法参加と憲法

2 裁判員制度と憲法31条,32条,37条1項,76条1項,80条1項

3 裁判員制度と憲法76条3項

4 裁判員制度と憲法76条2項

5 裁判員の職務等と憲法18条後段が禁ずる「苦役」

【判決要旨】  1 憲法は,刑事裁判における国民の司法参加を許容しており,憲法の定める適正な刑事裁判を実現するための諸原則が確保されている限り,その内容を立法政策に委ねている。

2 裁判員制度は,憲法31条,32条,37条1項,76条1項,80条1項に違反しない。

3 裁判員制度は,憲法76条3項に違反しない。

4 裁判員制度は,憲法76条2項に違反しない。

5 裁判員の職務等は,憲法18条後段が禁ずる「苦役」に当たらない。

【参照条文】    憲法76

          憲法31

          憲法32

          憲法37

          憲法80

          憲法前文第1段

          憲法33

          憲法34

          憲法35

          憲法36

          憲法38

          憲法39

          憲法78

          憲法79

          大日本帝国憲法24

          裁判所法3-3

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2-1

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2-2

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2-3

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律6

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律9

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律16

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律51

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律66

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律67

          裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条第8号に規定するやむを得ない事由を定める政令

          憲法18後段

【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集65巻8号1285頁

 

憲法

第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

 

第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

 

第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

② 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。

③ すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

 

第八十条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

② 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

 

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

(趣旨)

第一条 この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。

 

(対象事件及び合議体の構成)

第二条 地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第三条の二の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第二十六条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。

一 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件

二 裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)

2 前項の合議体の裁判官の員数は三人、裁判員の員数は六人とし、裁判官のうち一人を裁判長とする。ただし、次項の決定があったときは、裁判官の員数は一人、裁判員の員数は四人とし、裁判官を裁判長とする。

3 第一項の規定により同項の合議体で取り扱うべき事件(以下「対象事件」という。)のうち、公判前整理手続による争点及び証拠の整理において公訴事実について争いがないと認められ、事件の内容その他の事情を考慮して適当と認められるものについては、裁判所は、裁判官一人及び裁判員四人から成る合議体を構成して審理及び裁判をする旨の決定をすることができる。

4 裁判所は、前項の決定をするには、公判前整理手続において、検察官、被告人及び弁護人に異議のないことを確認しなければならない。

5 第三項の決定は、第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日までにしなければならない。

6 地方裁判所は、第三項の決定があったときは、裁判所法第二十六条第二項の規定にかかわらず、当該決定の時から第三項に規定する合議体が構成されるまでの間、一人の裁判官で事件を取り扱う。

7 裁判所は、被告人の主張、審理の状況その他の事情を考慮して、事件を第三項に規定する合議体で取り扱うことが適当でないと認めたときは、決定で、同項の決定を取り消すことができる。

 

(裁判官及び裁判員の権限)

第六条 第二条第一項の合議体で事件を取り扱う場合において、刑事訴訟法第三百三十三条の規定による刑の言渡しの判決、同法第三百三十四条の規定による刑の免除の判決若しくは同法第三百三十六条の規定による無罪の判決又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十五条の規定による家庭裁判所への移送の決定に係る裁判所の判断(次項第一号及び第二号に掲げるものを除く。)のうち次に掲げるもの(以下「裁判員の関与する判断」という。)は、第二条第一項の合議体の構成員である裁判官(以下「構成裁判官」という。)及び裁判員の合議による。

一 事実の認定

二 法令の適用

三 刑の量定

2 前項に規定する場合において、次に掲げる裁判所の判断は、構成裁判官の合議による。

一 法令の解釈に係る判断

二 訴訟手続に関する判断(少年法第五十五条の決定を除く。)

三 その他裁判員の関与する判断以外の判断

3 裁判員の関与する判断をするための審理は構成裁判官及び裁判員で行い、それ以外の審理は構成裁判官のみで行う。

 

(裁判員の義務)

第九条 裁判員は、法令に従い公平誠実にその職務を行わなければならない。

2 裁判員は、第七十条第一項に規定する評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。

3 裁判員は、裁判の公正さに対する信頼を損なうおそれのある行為をしてはならない。

4 裁判員は、その品位を害するような行為をしてはならない。

 

(辞退事由)

第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、裁判員となることについて辞退の申立てをすることができる。

一 年齢七十年以上の者

二 地方公共団体の議会の議員(会期中の者に限る。)

三 学校教育法第一条、第百二十四条又は第百三十四条の学校の学生又は生徒(常時通学を要する課程に在学する者に限る。)

四 過去五年以内に裁判員又は補充裁判員の職にあった者

五 過去三年以内に選任予定裁判員であった者

六 過去一年以内に裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭したことがある者(第三十四条第七項(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。第二十六条第三項において同じ。)の規定による不選任の決定があった者を除く。)

七 過去五年以内に検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の規定による検察審査員又は補充員の職にあった者

八 次に掲げる事由その他政令で定めるやむを得ない事由があり、裁判員の職務を行うこと又は裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することが困難な者

イ 重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であること。

ロ 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又は養育を行う必要があること。

ハ その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること。

ニ 父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること。

ホ 重大な災害により生活基盤に著しい被害を受け、その生活の再建のための用務を行う必要があること。

 

(裁判員の負担に対する配慮)

第五十一条 裁判官、検察官及び弁護人は、裁判員の負担が過重なものとならないようにしつつ、裁判員がその職責を十分に果たすことができるよう、審理を迅速で分かりやすいものとすることに努めなければならない。

 

(評議)

第六十六条 第二条第一項の合議体における裁判員の関与する判断のための評議は、構成裁判官及び裁判員が行う。

2 裁判員は、前項の評議に出席し、意見を述べなければならない。

3 裁判長は、必要と認めるときは、第一項の評議において、裁判員に対し、構成裁判官の合議による法令の解釈に係る判断及び訴訟手続に関する判断を示さなければならない。

4 裁判員は、前項の判断が示された場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。

5 裁判長は、第一項の評議において、裁判員に対して必要な法令に関する説明を丁寧に行うとともに、評議を裁判員に分かりやすいものとなるように整理し、裁判員が発言する機会を十分に設けるなど、裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならない。

(評決)

第六十七条 前条第一項の評議における裁判員の関与する判断は、裁判所法第七十七条の規定にかかわらず、構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による。

2 刑の量定について意見が分かれ、その説が各々、構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見にならないときは、その合議体の判断は、構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見になるまで、被告人に最も不利な意見の数を順次利益な意見の数に加え、その中で最も利益な意見による。

 

 

第5章 産業医・産業保健機能の強化

事業主から産業医への情報提供や、産業医などによる労働者の健康相談などが強化されます。

これにより長時間労働者の状況や労働者の業務状況を、事業主は産業医へ情報提供しなければならないと定められました。

 

また事業主は産業医から受けた勧告に関して、事業場の労使や産業医で構成される衛生委員会に報告しなければいけない義務を負うことになります。

ほかにも、事業者は労働者が産業医などに健康相談できる体制整備を行うこと、労働者が安心して事業場における健康相談や健康診断を受けられるようにすることが定められています。

 

これも実施期間は2019年4月1日からです。

 

第5章 ①審判口頭審理のオンライン化

1.新旧対照表

改正される条文:特許法145条6項、7項

 

特許法145条6項

(新設)

審判長は、当事者もししくは参加人の申立てにより・または職権で、経済産業省令で定めるところにより、審判官および審判書記官ならびに当事者および参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、第三項の期日における手続を行うことができる。

 

 

特許法145条7項

(新設)

第三項の期日に出頭しないで前項の手続に関与した当事者および参加人は、その期日に出頭したものとみなす。

 

2.施行期日

令和3年10月1日

 

3.改正法の概要等

特許法では、特許無効審判および延長登録無効審判は、口頭審理によるものとされており(特許法145条1項)、また、拒絶査定不服審判および訂正審判は書面審理によるとされていますが、審判長は、当事者の申立てにより・または職権で、口頭審理によるものとすることができるとされています(同条2項)。

 

しかしながら、当事者等が新型コロナウイルス感染症に対する不安を持つことなく口頭審理に参加できるようにするという観点およびデジタル化等の社会構造の変化に対応しユーザーの利便性を向上させる観点からは、当事者等が審判廷に出頭することなく、口頭審理の期日における手続に関与できるようにすることが望まれていました。

 

そこで、ウェブ会議システムにより口頭審理に参加できるようにする改正が行われました(特許法145条6項、7項)。審判長は、ウェブ会議システムによる手続を行うときは、当該手続に必要な装置、通話先の場所その他当該手続の円滑な進行のために必要な事項を確認するものとされ、審判長は、装置・または場所が相当でないと認めるときは、当事者・または参加人に対し、その変更を命ずることができるとされています(特許法施行規則51条の2)。

 

感染症拡大や災害等によって特許料納付期間を経過した際の救済措置(割増特許料の納付免除規定の新設)

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ビジネスや消費者向けサービス、接客、飲食など、対面でのコミュニケーションを減らす取り組みが社会のあらゆる領域で行われるようになりました。今回の特許法改正は、そのような変化を受けた手続きの整備といえます。

 

例えば、審判手続における口頭審理は、これまで審判廷に当事者が出頭する形で行われていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、非接触型で「密」を避ける形の生活様式が浸透する中、対面方式のみの審判は難しいといえます。

 

また、企業活動がパンデミックの影響を受ける中で、所定の期間内に特許料を納付できない企業が増えたことが推測されます。今回の特許法改正では、これらの課題の解決が大きな目的の一つとなっています。

 

また、特許法71条3項および特許法151条において、特許法145条6項および7項が準用されているため、判定の口頭審理における手続、証拠調べおよび証拠保全における手続についても、当事者はウェブ会議システムにより参加することができます。

 

Y3組合は,茨城県内における実習実施機関の監理団体の1つである。そして,Aは,形式的にはY3組合の相談員であるが,実質的にはY3組合の経営者であり,Y3組合において理事長と呼ばれ,自らもそう呼んでいた。

 X1は,平成26年11月26日,Y3組合の職員で,X2の後任のY1方の巡回指導担当である丁原四郎(現在のY3組合代表者)に対し被告Y2のセクハラ行為で被害を受けている旨伝え,損害賠償を求めた。Aは,平成26年11月28日,X2とともに,X1とセクハラの問題について話し合った。この時,X1は,セクハラによる損害賠償と大葉巻き作業についての残業代の支払いを求めた。

  Aは,平成26年11月30日午後7時か8時頃,Y3組合の職員であるTとともに,Y1方で,技能実習生らに対しY1方での技能実習は終了となることを説明した。その技能実習生の一人であるFはいったんY3組合の研修センターに移動することに応じたが,翻意し,Tが呼びにいって移動するよう促したが,これに応じなかった。X2は,同日午後10時41分頃,行方警察署に電話をして,女性の技能実習生が男に拉致されそうという旨の説明をした。その後警察が出動したが,警察によっても拉致の事実がないことが判明した。

 

東京高等裁判所判決/平成30年(ネ)第5416号

令和元年5月8日

賃金等請求控訴事件

【判示事項】 1 一審原告X1の大葉巻き作業は,形式的には,1束2円の請負契約として合意されたものであるが,作業内容がX1雇用契約において作業内容とされていた大葉の摘み取りと密接に関連しており,X1が大葉巻き作業をするに当たり諾否の自由が事実上制限された状態にあったものであって,作業時間についての裁量性も乏しいものであるなどの事情を考慮すれば,一審被告Y1の指揮監督下で行われた作業であるというべきであって,X1雇用契約とは別の請負契約によるものではなく,X1雇用契約に基づいてされたものと認めるのが相当であるとされた例

2 X1の大葉巻きの作業に要した時間については,合理的であると判断されたX1以外のY1方の技能実習生の和解における基準に基づいて,1時間に巻く大葉の束の数を200個として算定することが相当であるとされた例

3 一般に,使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ労働契約または就業規則において懲戒の種別および事由を定めておくことを要するところ,控訴人(一審原告)X2雇用契約に懲戒事由の定めはなく,被控訴人(一審被告)Y3組合が就業規則を定めていないことから,Y3組合は,X2に対して懲戒解雇をすることはできないが,このような場合に,仮に使用者が懲戒解雇と称する意思表示をしたとしても,使用者が懲戒権の行使としての解雇であることに固執せず,かつ,労働者の地位を不当に不安定にすることのない限り,使用者のした解雇の意思表示は,普通解雇の意思表示と解することができるというべきであるとされた例

4 X2の離職票においてY3組合が重責解雇と記載したからといって直ちにこれが懲戒解雇を意味するものとはいえず,他に本件解雇について懲戒解雇であると明示されたことはなく,本件訴訟においても,Y3組合は,本件解雇は普通解雇であると主張しているのであるから,本件解雇を普通解雇と解するとしても,これによって労働者であるX2の地位を不当に不安定にするとは認めがたいとされた例

5 X2の警察への通報は,Y3組合の信用を毀損し,またはその業務を妨害するものであり,X2が監査結果報告書を持ち出したことは,Y3組合の業務を妨害するものであり,さらに,X2は明示の職務命令に反して外出したうえ,Y3組合に敵対的な感情を明らかにし,Y3組合の職場の秩序を乱したものであって,その内容に照らせば,いずれもその程度は強いものというべきであるから,解雇するについての客観的に合理的な理由があると認められるとされた例

6 Y3組合の業務を妨害し,その信用を毀損する警察への通報を繰り返したこと,監査結果報告書を持ち出してY3組合の業務を妨害したこと,明示の職務命令に反して外出し,Y3組合に敵対的な感情を明らかにし,Y3組合の職場の秩序を乱したことによれば,これらの言動によってY3組合とX2との信頼関係は完全に失われていたといわざるを得ず,個別的な指導等によってもX2がY3組合の職務に戻ることは現実的に期待できなかったというべきであるから,解雇したことについては社会通念上相当なものと認められるとされた例

7 一審被告Y2のX1に対するセクハラの存在が否定された例

【掲載誌】  労働判例1216号52頁

 

 

 

大阪府寝屋川市長がした緑地協定の廃止の認可について,緑地協定の目的となる土地の区域内に土地所有権を有する原告らが,上記認可は,廃止についての土地所有者らの「過半数の合意」を欠く違法なものであるとしてその取消を求めた事案について,都市緑地法52条1項にいう土地所有者等の合意に係る解釈の誤り及び寝屋川市長の裁量違反をいう原告らの主張を退け,請求を棄却した事例

 

大阪地方裁判所判決/平成20年(行ウ)第171号

平成21年8月20日

緑地協定廃止認可取消請求事件

【判示事項】    N市長がした緑地協定の廃止の認可について,緑地協定の目的となる土地の区域内に土地所有権を有する原告らが,上記認可は,廃止についての土地所有者らの「過半数の合意」を欠く違法なものであるとしてその取消を求めた事案について,都市緑地法52条1項にいう土地所有者等の合意に係る解釈の誤り及びN市長の裁量違反をいう原告らの主張を退け,請求を棄却した事例

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

 

都市緑地法

(緑地協定の締結等)

第四十五条 都市計画区域又は準都市計画区域内における相当規模の一団の土地又は道路、河川等に隣接する相当の区間にわたる土地(これらの土地のうち、公共施設の用に供する土地その他の政令で定める土地を除く。)の所有者及び建築物その他の工作物の所有を目的とする地上権又は賃借権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。以下「借地権等」という。)を有する者(土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)第九十八条第一項(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号)第八十三条において準用する場合を含む。以下この項、第四十九条第一項及び第二項並びに第五十一条第一項、第二項及び第五項において同じ。)の規定により仮換地として指定された土地にあつては、当該土地に対応する従前の土地の所有者及び借地権等を有する者。以下「土地所有者等」と総称する。)は、地域の良好な環境を確保するため、その全員の合意により、当該土地の区域における緑地の保全又は緑化に関する協定(以下「緑地協定」という。)を締結することができる。ただし、当該土地(土地区画整理法第九十八条第一項の規定により仮換地として指定された土地にあつては、当該土地に対応する従前の土地)の区域内に借地権等の目的となつている土地がある場合においては、当該借地権等の目的となつている土地の所有者以外の土地所有者等の全員の合意があれば足りる。

2 緑地協定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 緑地協定の目的となる土地の区域(以下「緑地協定区域」という。)

二 次に掲げる緑地の保全又は緑化に関する事項のうち必要なもの

イ 保全又は植栽する樹木等の種類

ロ 樹木等を保全又は植栽する場所

ハ 保全又は設置する垣又はさくの構造

ニ 保全又は植栽する樹木等の管理に関する事項

ホ その他緑地の保全又は緑化に関する事項

三 緑地協定の有効期間

四 緑地協定に違反した場合の措置

3 緑地協定においては、前項各号に掲げるもののほか、都市計画区域又は準都市計画区域内の土地のうち、緑地協定区域に隣接した土地であつて、緑地協定区域の一部とすることにより地域の良好な環境の確保に資するものとして緑地協定区域の土地となることを当該緑地協定区域内の土地所有者等が希望するもの(以下「緑地協定区域隣接地」という。)を定めることができる。

4 第一項の規定による緑地協定は、市町村長の認可を受けなければならない。

 

(緑地協定の廃止)

第五十二条 緑地協定区域内の土地所有者等(当該緑地協定の効力が及ばない者を除く。)は、第四十五条第四項又は第四十八条第一項の認可を受けた緑地協定を廃止しようとする場合においては、その過半数の合意をもつてその旨を定め、市町村長の認可を受けなければならない。

2 市町村長は、前項の認可をしたときは、その旨を公告しなければならない。

 

 

1、「過失により、航空の危険を生じさせ、航空中の航空機を破壊した」場合に当たるとされた事例

2、過失航空危険罪と過失航空機破壊罪との関係

釧路地方裁判所判決/昭和53年(わ)第174号

昭和54年3月30日

航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律違反被告事件

【判示事項】    1、「過失により、航空の危険を生じさせ、航空中の航空機を破壊した」場合に当たるとされた事例

2、過失航空危険罪と過失航空機破壊罪との関係

【参照条文】    航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律(昭52法82号による改正前のもの)5

          航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律6

【掲載誌】     判例時報960号134頁

          刑事裁判資料256号223頁

 

航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律

(航空の危険を生じさせる罪)

第一条 飛行場の設備若しくは航空保安施設を損壊し、又はその他の方法で航空の危険を生じさせた者は、三年以上の有期懲役に処する。

(航行中の航空機を墜落させる等の罪)

第二条 航行中の航空機(そのすべての乗降口が乗機の後に閉ざされた時からこれらの乗降口のうちいずれかが降機のため開かれる時までの間の航空機をいう。以下同じ。)を墜落させ、転覆させ、若しくは覆没させ、又は破壊した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

2 前条の罪を犯し、よつて航行中の航空機を墜落させ、転覆させ、若しくは覆没させ、又は破壊した者についても、前項と同様とする。

3 前二項の罪を犯し、よつて人を死亡させた者は、死刑又は無期若しくは七年以上の懲役に処する。

(業務中の航空機の破壊等の罪)

第三条 業務中の航空機(民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約第二条(b)に規定する業務中の航空機をいう。以下同じ。)の航行の機能を失わせ、又は業務中の航空機(航行中の航空機を除く。)を破壊した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

2 前項の罪を犯し、よつて人を死亡させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

(業務中の航空機内に爆発物等を持ち込む罪)

第四条 不法に業務中の航空機内に、爆発物を持ち込んだ者は三年以上の有期懲役に処し、銃砲、刀剣類又は火炎びんその他航空の危険を生じさせるおそれのある物件を持ち込んだ者は二年以上の有期懲役に処する。

(未遂罪)

第五条 第一条、第二条第一項、第三条第一項及び前条の未遂罪は、これを罰する。

(過失犯)

第六条 過失により、航空の危険を生じさせ、又は航行中の航空機を墜落させ、転覆させ、若しくは覆没させ、若しくは破壊した者は、十万円以下の罰金に処する。