母親が当時4か月に満たない乳児を放置して死亡させた事案につき懲役3年の実刑判決が言い渡された事例
千葉地方裁判所判決/平成11年(わ)第882号
平成12年2月4日
保護責任者遺棄致死被告事件
【判示事項】 母親が当時4か月に満たない乳児を放置して死亡させた事案につき懲役3年の実刑判決が言い渡された事例
【参照条文】 刑法219
刑法218
【掲載誌】 判例タイムズ1072号257頁
刑法
(遺棄)
第二百十七条 老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。
(保護責任者遺棄等)
第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
(遺棄等致死傷)
第二百十九条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
主 文
被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中210日を右刑に算入する。
1.新旧対照表
改正される条文:特許法36条の2第6項、41条1項1号、43条の2第1項、48条の3第5項、112条の2第1項、184条の4第4項、184条の11第6項、別表11号
特許法36条の2第6項
(旧)
前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第2項に規定する外国語書面および外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
(新)
前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、第2項に規定する外国語書面および外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。ただし、故意に、第4項に規定する期間内に前項に規定する翻訳文を提出しなかつたと認められる場合は、この限りでない。
特許法別表11号
(新設)
※特許法41条1項1号、43条の2第1項、48条の3第5項、112条の2第1項、184条の4第4項、184条の11第6項につき省略
2.施行期日
公布の日から起算して2年を超えない範囲内(令和5年5月20日まで)において政令で定める日
3.改正法の概要等
特許法では、以下のとおり、手続の期限を徒過してしまった場合に、出願人等の手続を行うべき者が一定の不利益を被る旨の規定があります。
外国語書面出願の翻訳文の提出期間の徒過(36条の2第5項)、出願審査の請求期間の徒過(48条の3第4項)
→ 特許出願が取り下げられたものとみなされる
外国語でされた国際特許出願の翻訳文の提出期間の徒過(184条の4第3項)、在外者の特許管理人の選任期間の徒過(184条の11第5項)
→ 国際特許出願が取り下げられたものとみなされる
特許出願・または実用新案登録出願に基づく優先権主張期間の徒過(41条1項1号)、パリ条約の規定による優先権主張期間の徒過(パリ条約4条C(1))
→ 優先権を主張できない
特許料の追納期間の徒過(112条4項乃至6項)
→ 特許権が消滅したものとみなされ、・または初めから存在しなかったものとみなされる
そして、実体的には保護を受けるための要件を備えた発明等が、軽微な手続のミスにより保護を受けられず、権利として活用されないこととなるなど、このような規定による権利の喪失が出願人等にとって酷な場合も存在することから、一定の場合には、上記の規定により失われた権利を回復する制度が設けられています(特許法36条の2第6項、41条1項1号、43条の2第1項、48条の3第5項、112条の2第1項、184条の4第4項、184条の11第6項)。
特許法では、手続をすることができなかったことについて正当な理由があることが、これらの権利回復の要件の1つとされていました。しかし、このような判断基準および立証負担が欧米諸国に比して厳格すぎるとの指摘があったこと、また実際にも権利回復が難しい状況となっていたことなどを踏まえ、令和3年特許法改正により、上記の要件が手続をしなかったことが故意によるものでないことに緩和されました。また、令和3年特許法改正により、このような権利回復手続は、経済産業省令で定めるところにより行うことができる旨が新しく定められました(手続の詳細については、改正法で調整しきれなかったため、経済産業省令において定める形になっています。)。このような権利回復手続では、回復手数料が徴収されます(特許法195条2項、令和3年改正後特許法別表11号)。
本改正により、出願人等による権利回復が容易になることが期待されますが、上記のとおり権利回復手続の詳細について経済産業省令で定められることとなりましたので、今後定められる経済産業省令の規定も確認する必要があることに留意が必要です。
第7章 ③特許権侵害訴訟における第三者意見募集制度の導入
1.新旧対照表
改正される条文:特許法105条の2の11、弁理士法4条2項4号
特許法105条の2の11
(新設)
1 民事訴訟法第6条第1項各号に定める裁判所は、特許権・または専用実施権の侵害に係る訴訟の第一審において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
2 民事訴訟法第6条第1項各号に定める裁判所が第一審としてした特許権・または専用実施権の侵害に係る訴訟についての終局判決に対する控訴が提起された東京高等裁判所は、当該控訴に係る訴訟において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。
3 当事者は、裁判所書記官に対し、前2項の規定により提出された書面の閲覧もししくは謄写・またはその正本、謄本もししくは抄本の交付を請求することができる。
4 民事訴訟法第91条第5項の規定は、第1項および第2項の規定により提出された書面の閲覧および謄写について準用する。
2.施行期日
令和4年4月1日
3.改正法の概要等
特許権侵害訴訟は、民事訴訟であるため、特許法において特別の定めがない限り、民事訴訟法の規定が適用されます。したがって、判決の効力は当事者にのみおよび、裁判所の判断の基礎となる証拠の収集および提出は当事者の責任であり権限とすることが原則です。
しかしながら、近年の特許を巡る情勢の変化に起因して、特許権等侵害訴訟における裁判所の判断が、確定判決の効力の及ぶ当事者等以外の第三者に対しても事実上の大きな影響を及ぼす問題領域が出てきており、そのような場面では、裁判所が影響を受ける第三者の事業実態等も踏まえて判断することが望ましい場合があり、当事者が上記民事訴訟の原則に従って証拠を収集する際、第三者の事業実態等も証拠として収集し、裁判所に提出することが期待されると考えられました。
特許権侵害訴訟の結果は、訴訟の当事者のみならず、他の業界に対しても、その事業活動に対して多大な影響を与える可能性があります。また、当事者にとって、他の業界の事業実態などに関する証拠収集が困難なときがあります。そのため、当事者の申し立てがあれば、裁判所が必要と認めるときにかぎり、広く一般の第三者に対して意見募集を行うことができるようになります。
両当事者の合意を得て第三者からの意見募集が実施された事例はあるものの、意見募集の実施に際して全ての当事者の合意を得ることは困難な場合があるため、必ずしも全ての当事者が合意をしている場合でなくとも広く一般の第三者からの意見募集を行うことができる制度を創設することが望ましいとの指摘がありました。
そこで、裁判所が、広く一般の第三者に対し、事件に関する特許法の適用その他の必要な事項について意見書の提出を求める制度が創設されました。
提出された意見書は、当然には訴訟記録を構成しないため、各当事者は、提出された意見書を閲覧、謄写等した上で、各自が裁判所の判断の基礎とすることを望むものについては、裁判所に書証として提出する必要があります。
経過措置は定められておらず、施行期日において既に係属中の事件についても、第三者意見募集を求めることは可能です。
満9歳の小学生が掘りに転落して溺死した事故につき堀の設置、管理に瑕疵がないとされた事例
最高裁判所第3小法廷判決/昭和57年(オ)第330号
昭和58年10月18日
損害賠償請求事件
【判示事項】 満9歳の小学生が掘りに転落して溺死した事故につき堀の設置、管理に瑕疵がないとされた事例
【判決要旨】 満9歳の小学生が大阪城の外堀に転落して溺死した事故につき、外堀に沿って設置された高さ約1・2メートルの生垣が事故現場の西方約25メートル、東方約28メートルまでしかなく、また、外堀に沿って設置された高さ1メートルの棒杭に有刺鉄線を張つた柵が右生垣の東端から東方にはところどころに残存しているにすぎないため、事故現場付近では自由に外堀の縁まで近付きうる状況にあっても、外堀付近が特別史跡に指定されており、事故は右小学生が水面から約2メートルの高さの垂直の石垣を降りて下方でザリガニを取ったのち石垣を登ろうとして足を滑らせたために起きたなど原判示の事実関係のもとにおいては、本件外堀の設置、管理に瑕疵があるとはいえない。
【参照条文】 国家賠償法2-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事140号137頁
国家賠償法
第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
銀行が捜査機関から犯罪利用預金口座である疑いがあるとして取引停止措置を取った場合における預金払戻請求について、銀行の措置が法令および普通預金規定に基づくものとして正当であるとされた事例
東京地方裁判所判決/平成22年(ワ)第10519号
平成22年7月23日
預金返還請求事件
【判示事項】 銀行が捜査機関から犯罪利用預金口座である疑いがあるとして取引停止措置を取った場合における預金払戻請求について、銀行の措置が法令および普通預金規定に基づくものとして正当であるとされた事例
【判決要旨】 銀行が捜査機関から犯罪利用預金口座である疑いがあるとして取引停止措置を取った場合における名義人からの預金払戻請求について、名義人が犯罪利用預金口座でないことを立証しないなど判示の事情のもとにおいては、取引停止措置は、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3条1項に基づく正当なものであり、普通預金規定に基づくものとしても正当であるから、銀行は名義人の預金払戻請求を拒むことができる。
【参照条文】 民法666
犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3-1
【掲載誌】 金融法務事情1907号121頁
【解説】
民法
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
第二章 預金口座等に係る取引の停止等の措置
第三条 金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該預金口座等に係る取引の停止等の措置を適切に講ずるものとする。
2 金融機関は、前項の場合において、同項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された疑いがある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対して必要な情報を提供するものとする。
第7章 施行日など
雇用形態に関わらない公正な待遇の確保に関する改正については、大企業は2020年(令和2年)4月1日から施行されており、中小企業は2021年(令和3年)4月1日から施行されています。
なお、同一労働・同一賃金については、2020年(令和2年)10月に最高裁の5判決が出ており、注目されました。
この判決自体は、働き方改革関連法が施行される前の、旧労働契約法20条についての判断となりますが、実質的にはパートタイム・有期雇用労働法8条の今後の解釈にも影響してくると考えられます。
同一労働・同一賃金に関する最高裁判決については、詳しくは、拙著『同一労働同一賃金に関する最高裁判例』アマゾンをご参照ください。
旧所得税法の下において、事業所得として課税の対象とされた金銭債権が後日貸倒れ等により回収不能となつたときは、その回収不能による損失額を、当該回収不能の事実が発生した年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとされ、これによつて納税者は実質的に先の課税について救済を受けることができたから、それとは別に徴収済みの税額につき不法利得として返還請求をすることは許されないとされた事例
不当利得返還請求上告事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和52年(オ)第987号
【判決日付】 昭和53年3月16日
【判示事項】 旧所得税法(昭和22年法律第27号)の下において、事業所得として課税の対象とされた金銭債権が後日貸倒れ等により回収不能となつたときは、その回収不能による損失額を、当該回収不能の事実が発生した年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとされ、これによつて納税者は実質的に先の課税について救済を受けることができたから、それとは別に徴収済みの税額につき不法利得として返還請求をすることは許されないとされた事例
【判決要旨】 旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)のもとにおいて、事業所得として課税の対象とされた金銭債権が後日、貸倒れ等により回収不能となったときは、その回収不能による損失額を当該回収不能の事実が発生した年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべきものであって、それとは別に、国に対し、右回収不能による損失額に対応する徴収済みの税額について不当利得として返還を請求することは、許されない。
【参照条文】 旧所得税法(昭和22年法律第27号)9の3
旧所得税法9の4
旧所得税法10
旧所得税法36
民法703
所得税法51
(資産損失の必要経費算入)
第五十一条 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
2 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
3 災害又は盗難若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
4 居住者の不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林及び第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く。)の損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第一項若しくは第二項又は第七十二条第一項(雑損控除)に規定するものを除く。)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
5 第一項及び前二項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法施行令141
(必要経費に算入される損失の生ずる事由)
第百四十一条 法第五十一条第二項(資産損失の必要経費算入)に規定する政令で定める事由は、次に掲げる事由で不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の遂行上生じたものとする。
一 販売した商品の返戻又は値引き(これらに類する行為を含む。)により収入金額が減少することとなつたこと。
二 保証債務の履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたこと。
三 不動産所得の金額、事業所得の金額若しくは山林所得の金額の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われ、又はその事実のうちに含まれていた取り消すことのできる行為が取り消されたこと。
国税通則法23
(更正の請求)
第二十三条 納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。
二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。
2 納税申告書を提出した者又は第二十五条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。
一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき その確定した日の翌日から起算して二月以内
二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内
三 その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき 当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内
3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細、当該請求に係る更正前の納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。
5 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。
6 輸入品に係る申告消費税等についての更正の請求は、第一項の規定にかかわらず、税関長に対し、するものとする。この場合においては、前三項の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。
7 前二条の規定は、更正の請求について準用する。
同法施行6
(更正の請求)
第六条 法第二十三条第二項第三号(更正の請求)に規定する政令で定めるやむを得ない理由は、次に掲げる理由とする。
一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等(法第十九条第一項(修正申告)に規定する課税標準等をいう。以下同じ。)又は税額等(同項に規定する税額等をいう。以下同じ。)の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた行為の効力に係る官公署の許可その他の処分が取り消されたこと。
二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に係る契約が、解除権の行使によつて解除され、若しくは当該契約の成立後生じたやむを得ない事情によつて解除され、又は取り消されたこと。
三 帳簿書類の押収その他やむを得ない事情により、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき帳簿書類その他の記録に基づいて国税の課税標準等又は税額等を計算することができなかつた場合において、その後、当該事情が消滅したこと。
四 わが国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約に規定する権限のある当局間の協議により、その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等に関し、その内容と異なる内容の合意が行われたこと。
五 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に係る国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が、更正又は決定に係る審査請求若しくは訴えについての裁決若しくは判決に伴つて変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表されたことにより、当該課税標準等又は税額等が異なることとなる取扱いを受けることとなつたことを知つたこと。
2 更正の請求をしようとする者は、その更正の請求をする理由が課税標準たる所得が過大であることその他その理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するものであるときは、その取引の記録等に基づいてその理由の基礎となる事実を証明する書類を法第二十三条第三項の更正請求書に添付しなければならない。その更正の請求をする理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するもの以外のものである場合において、その事実を証明する書類があるときも、また同様とする。
【掲載誌】 訟務月報24巻4号840頁
最高裁判所裁判集民事123号245頁
金融・商事判例555号37頁
判例時報884号43頁
税務訴訟資料97号597頁
【評釈論文】 ジュリスト684号165頁
税経通信33巻14号228頁
税務弘報27巻5号144頁
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人竹下伝吉の上告理由について
旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)のもとにおいて、事業所得として課税の対象とされた金銭債権が後日貸倒れ等により回収不能となったときは、その回収不瀧による損失額を、当該回収不能の事実が発生した年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとされ、これによって納税者は実質的に先の課税について救済を受けることができたのであるから、それとは別に、納税者が徴税者たる国に対し、右回収不能による損失額に対応する徴収ずみの税額につき不当利得として返還を請求することは、法の認めないところであったと解すべきである。本件において、納税者たる桜井正一が、右回収不能の発生により先の課税処分そのものが違法になったとしてその取消を求める別件訴訟を提起していたことは、原判決挙示の証拠関係に徴して明らかであるが、そのことから直ちに、右桜井正一において前述の必要経費算人の方法による救済を受けることができなかったとすることはできない。原審は、これと同旨の理由により本件の不当利得返還請求を失当としたものであって、その判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解を前提とするものであるか、又は判決の結論に影響を及ぼさない傍論を非難するものであるにすぎず、すべて採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
土地家屋調査士法8条1項3号所定の「調査士の信用又は品位を害するおそれがあるときその他調査士の職責に照らし調査士としての適格性を欠くとき」という登録拒否事由があるとしてされた土地家屋調査士の登録拒否処分が適法とされた事例
京地方裁判所判決/平成5年(行ウ)第356号
平成7年1月25日
土地家屋調査士登録拒否取消請求事件
【判示事項】 土地家屋調査士法8条1項3号所定の「調査士の信用又は品位を害するおそれがあるときその他調査士の職責に照らし調査士としての適格性を欠くとき」という登録拒否事由があるとしてされた土地家屋調査士の登録拒否処分が適法とされた事例
【参照条文】 土地家屋調査士法8
【掲載誌】 判例時報1529号67頁
土地家屋調査士法
(調査士に対する懲戒)
第四十二条 調査士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該調査士に対し、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 二年以内の業務の停止
三 業務の禁止
(調査士法人に対する懲戒)
第四十三条 調査士法人がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該調査士法人に対し、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 二年以内の業務の全部又は一部の停止
三 解散
2 前項の規定による処分の手続に付された調査士法人は、清算が結了した後においても、この章の規定の適用については、当該手続が結了するまで、なお存続するものとみなす。
(懲戒の手続)
第四十四条 何人も、調査士又は調査士法人にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する事実があると思料するときは、法務大臣に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができる。
2 前項の規定による通知があつたときは、法務大臣は、通知された事実について必要な調査をしなければならない。
3 法務大臣は、第四十二条第一号若しくは第二号又は前条第一項第一号若しくは第二号に掲げる処分をしようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
4 前項に規定する処分又は第四十二条第三号若しくは前条第一項第三号の処分に係る行政手続法第十五条第一項の通知は、聴聞の期日の一週間前までにしなければならない。
5 前項の聴聞の期日における審理は、当該調査士又は当該調査士法人から請求があつたときは、公開により行わなければならない。
(登録取消しの制限等)
第四十五条 法務大臣は、調査士に対し第四十二条各号に掲げる処分をしようとする場合においては、行政手続法第十五条第一項の通知を発送し、又は同条第三項前段の掲示をした後直ちに調査士会連合会にその旨を通告しなければならない。
2 調査士会連合会は、調査士について前項の通告を受けた場合においては、法務大臣から第四十二条各号に掲げる処分の手続が結了した旨の通知を受けるまでは、当該調査士について、第十五条第一項第一号又は第十六条第一項各号の規定による登録の取消しをすることができない。
(除斥期間)
第四十五条の二 懲戒の事由があつたときから七年を経過したときは、第四十二条又は第四十三条第一項の規定による処分の手続を開始することができない。
(懲戒処分の公告)
第四十六条 法務大臣は、第四十二条又は第四十三条第一項の規定により処分をしたときは、遅滞なく、その旨を官報をもつて公告しなければならない。
1 コンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)の素材となった写真の被写体である児童と全く同一の姿態,ポーズをとらなくても,当該児童を描写したといえる程度に,被写体とそれを基に描いたCG画像等が同一であると認められる場合には,平成26年改正前の児童ポルノ等処罰法2条3項の「児童の姿態」に該当する
2 児童ポルノ製造罪の成立には,被写体の児童が,児童ポルノ製造の時点及び児童ポルノ等処罰法施行の時点において18歳未満であることを要しない
東京高等裁判所判決/平成28年(う)第872号
平成29年1月24日
『平成29年重要判例解説』刑法事件
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
【判示事項】 1 コンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)の素材となった写真の被写体である児童と全く同一の姿態,ポーズをとらなくても,当該児童を描写したといえる程度に,被写体とそれを基に描いたCG画像等が同一であると認められる場合には,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ等処罰法」という。)2条3項の「児童の姿態」に該当する
2 児童ポルノ製造罪の成立には,被写体の児童が,児童ポルノ製造の時点及び児童ポルノ等処罰法施行の時点において18歳未満であることを要しない
【判決要旨】 1 児童の写真を素材にしたコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)画像等における描写が,写真の被写体である児童を描写したといえる程度に,被写体と同一であると認められるときは,全く同一の姿態,ポーズがとられなくても,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号の「児童の姿態」に該当する。
2 児童の写真を素材にしたCG画像等の被写体である児童が,CG画像等の製造の時点及び児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行の時点において,18歳以上になっていたとしても,児童ポルノ製造罪は成立する。
【参照条文】 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平26法79号改正前)2-3
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平26法79号改正前)7-5
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平26法79号改正前)7-4
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7-6
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7-7
刑法45
【掲載誌】 高等裁判所刑事判例集70巻1号1頁
高等裁判所刑事裁判速報集平成29年73頁
東京高等裁判所判決時報刑事68巻1~12号28頁
判例タイムズ1446号185頁
判例時報2363号110頁
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
(定義)
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
(児童ポルノ所持、提供等)
第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
2 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
6 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
8 第六項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。
キャリアアップ助成金は有期契約労働者や短時間労働者、派遣動労者などの非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進する制度です。
これにより正社員化や処遇改善の取り組みを促進し、実施した事業者に対して助成を行います。
このような制度を取り入れることで労働者の意欲や能力を向上させ、事業の生産性を高めること、優秀な人材を確保することを目的とし7つのコースに分かれています。
正社員化コース
賃金規定等改定コース
健康診断制度コース
賃金規定等共通化コース
諸手当制度共通化コース
選択的適用拡大導入時処遇改善コース
短時間労働者労働時間延長コース
日本国内の企業の99%以上は中小企業
政府は中小企業で働き方改革を推進するために助成金制度を実施。時間外労働等改善助成金、業務改善助成金、キャリアアップ助成金の3つがある