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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

第10章 ⑥印紙予納の廃止・料金支払方法の拡充

1.新旧対照表

改正される条文:工業所有権に関する手続等の特例に関する法律14条2項、15条の3第1項

 

工業所有権に関する手続等の特例に関する法律14条2項

(旧)

前項の規定による予納は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもってしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもって納めることができる。

 

(新)

前項の規定による予納は、経済産業省令で定めるところにより、現金をもってしなければならない。

 

 

工業所有権に関する手続等の特例に関する法律15条の3第1項

(旧)

特許料等・または手数料を現金をもって納めることができる場合において、特許庁長官は、当該特許料等・または手数料を納付しようとする者から、当該特許料等・または手数料を立て替えて納付する事務を適正かつ確実に遂行するに足りる財産的基礎を有することその他の経済産業省令で定める要件に該当する者として特許庁長官が指定するもの(次項および次条において「指定立替納付者」という。)をして当該特許料等・または手数料を立て替えて納付させることを希望する旨の申出(電子情報処理組織を使用して行うものに限る。)があった場合には、その申出を受けることが特許料等・または手数料の収納上有利と認められるときに限り、その申出を受けることができる。

 

(新)

特許料等・または手数料を現金をもって納めることができる場合において、特許庁長官は、当該特許料等・または手数料を納付しようとする者から、当該特許料等・または手数料を立て替えて納付する事務を適正かつ確実に遂行するに足りる財産的基礎を有することその他の経済産業省令で定める要件に該当する者として特許庁長官が指定するもの(次項および次条において「指定立替納付者」という。)をして当該特許料等・または手数料を立て替えて納付させることを希望する旨の申出があった場合には、その申出を受けることが特許料等・または手数料の収納上有利と認められるときに限り、その申出を受けることができる。

 

2.施行期日

口座振替等による予納については、令和3年10月1日。窓口でのクレジットカード支払い等については、令和4年4月1日

 

3.改正法の概要等

改正法施行前は、いわゆる予納制度において、原則として特許印紙により支払うものとされています。法律上は、経済産業省令で定める場合には、現金による予納も可能であるとされていますが、必要な経済産業省令が整備されていないため、現金による予納はできませんでした。

 

しかしながら、印紙による予納は事務負担が大きいこと、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因して手続をデジタル化する必要があることから、現金による予納を可能にする必要がありました。

そこで、印紙による予納を廃止し、現金による予納に一本化されました。

 

また、特許庁へのオンライン手続を利用する場合には口座振替による納付および指定立替納付(クレジットカード会社等の指定事業者による立替納付)について、現金による納付と位置付けた上で電子的に行うものとされている一方、「電子情報処理組織を使用して行うもの」に限定されているため、窓口での納付についてクレジットカード会社等による立替納付を利用することができませんでした。

 

しかしながら、特許関係手続のデジタル化や利用者利便性の向上、行政事務の簡素化等の観点を踏まえ、窓口での書面手続における支払手段を拡充する必要があります。

 

そこで、窓口での書面手続における支払いについても、クレジットカード会社等による立替納付を利用することができるようにされました。

 

対象となる手続については、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律14条1項において、「経済産業省令で定める手続について納付すべきものに限る。」とされています。この点、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律施行規則が改正され「法第14条第1項の経済産業省令で定める手続について、電子情報処理組織を使用せず指定立替納付者による納付の申出をする場合は、手数料を現金をもって納めることができる手続とする。」と包括的に規定されました(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律施行規則38条の2第2項)。したがって、電子情報処理組織を使用しない場合、すなわち、クレジットカード会社等による立替納付を行う場合は、手数料を現金をもって納めることができる手続全てが対象となることになりました。

 

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ヘリコプターのエンジン
第1章 陸上自衛隊の対戦車ヘリコプターの落着事故について,国がエンジンの製造業者に対して製造物責任法3条に基づく損害賠償を請求した事案において,契約当事者間の品質上の瑕疵についての合意が製造物の欠陥についてまで及ぶと解することはできない,製造物責任法3条に基づく請求が信義則に反し許されないと解することはできないとされ,損害賠償請求を認容した原判決に対する控訴が棄却された事例 
【掲載誌】  判例タイムズ1411号208頁 

 東京高等裁判所判決/平成24年(ネ)第1898号 
平成25年2月13日 
損害賠償請求控訴事件 
【判示事項】 陸上自衛隊の対戦車ヘリコプターの落着事故について,国がエンジンの製造業者に対して製造物責任法3条に基づく損害賠償を請求した事案において,契約当事者間の品質上の瑕疵についての合意が製造物の欠陥についてまで及ぶと解することはできない,製造物責任法3条に基づく請求が信義則に反し許されないと解することはできないとされ,損害賠償請求を認容した原判決に対する控訴が棄却された事例 
【参照条文】 製造物責任法3 
【掲載誌】  判例タイムズ1411号208頁 
       判例時報2208号46頁 

その上告審である
最高裁判所第2小法廷決定/平成25年(オ)第1024号、平成25年(受)第1245号 
平成26年10月29日 
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載 
 上記当事者間の東京高等裁判所平成24年(ネ)第1898号損害賠償請求事件について,同裁判所が平成25年2月13日に言い渡した判決に対し,上告人兼申立人から上告および上告受理の申立てがあった。よって,当裁判所は,次のとおり決定する。
       主   文
 本件上告を棄却する。
  本件を上告審として受理しない。 

製造物責任法
(製造物責任)
第三条 製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

 

 告示より一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路(2項道路)の指定の行政処分性(行政事件訴訟法3条)

 

最1小判平成14年1月17日民集56巻1号1頁 訟務月報49巻1号303頁 判例タイムズ1085号173頁 判例時報1777号40頁 

【判決要旨】 告示により一定の条件に合致する道を一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。

【参照条文】 建築基準法42-2

       行政事件訴訟法

 

行政事件訴訟法

(抗告訴訟)

第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。

2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。

5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。

6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。

一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。

二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。

7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

 

建築基準法

(建築主事又は建築副主事)

第四条 政令で指定する人口二十五万以上の市は、その長の指揮監督の下に、第六条第一項の規定による確認に関する事務その他のこの法律の規定により建築主事の権限に属するものとされている事務(以下この条において「確認等事務」という。)をつかさどらせるために、建築主事を置かなければならない。

2 市町村(前項の市を除く。)は、その長の指揮監督の下に、確認等事務をつかさどらせるために、建築主事を置くことができる。

3 市町村は、前項の規定により建築主事を置こうとする場合においては、あらかじめ、その設置について、都道府県知事に協議しなければならない。

4 市町村が前項の規定により協議して建築主事を置くときは、当該市町村の長は、建築主事が置かれる日の三十日前までにその旨を公示し、かつ、これを都道府県知事に通知しなければならない。

5 都道府県は、都道府県知事の指揮監督の下に、第一項又は第二項の規定によつて建築主事を置いた市町村(第九十七条の二を除き、以下「建築主事を置く市町村」という。)の区域外における確認等事務をつかさどらせるために、建築主事を置かなければならない。

6 第一項、第二項及び前項の建築主事は、市町村又は都道府県の職員で第七十七条の五十八第一項の登録(同条第二項の一級建築基準適合判定資格者登録簿への登録に限る。)を受けている者のうちから、それぞれ市町村の長又は都道府県知事が命ずる。

7 第一項、第二項又は第五項の規定によつて建築主事を置いた市町村又は都道府県は、当該市町村又は都道府県における確認等事務の実施体制の確保又は充実を図るため必要があると認めるときは、建築主事のほか、当該市町村の長又は都道府県知事の指揮監督の下に、確認等事務のうち建築士法第三条第一項各号に掲げる建築物(以下「大規模建築物」という。)に係るもの以外のものをつかさどらせるために、建築副主事を置くことができる。

8 前項の建築副主事は、市町村又は都道府県の職員で第七十七条の五十八第一項の登録(同条第二項の二級建築基準適合判定資格者登録簿への登録に限る。)を受けている者のうちから、それぞれ市町村の長又は都道府県知事が命ずる。

9 特定行政庁は、その所轄区域を分けて、その区域を所管する建築主事(第七項の規定によつて建築副主事を置いた場合にあつては、建築主事及び建築副主事)を指定することができる。

 

1 関税法第118条第1項(旧関税法第83条第1項)により第三者の所有物を没収することは、憲法第31条、第29条に違反するか

2 第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

最高裁判所大法廷判決/昭和30年(あ)第2961号

昭和37年11月28日

関税法違反未遂被告事件

【判示事項】    1 関税法第118条第1項(旧関税法第83条第1項)により第三者の所有物を没収することは、憲法第31条、第29条に違反するか

2 第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

【判決要旨】    1 関税法第118条第1項(旧関税法第83条第1項)の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第31条、第29条に違反する。

2 前項の場合、没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲として上告をすることができる。

(補足意見、反対または少数意見がある。)

【参照条文】    関税法118

          憲法29

          憲法31

【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集16巻11号1593頁

 

憲法

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。

② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 

第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

 

関税法

第百十八条 第百八条の四から第百十一条まで(輸出してはならない貨物を輸出する罪・輸入してはならない貨物を輸入する罪・輸入してはならない貨物を保税地域に置く等の罪・関税を免れる等の罪・許可を受けないで輸出入する等の罪)の犯罪に係る貨物(第百十条又は第百十一条の犯罪に係る貨物にあつては、輸入制限貨物等に限る。)、その犯罪行為の用に供した船舶若しくは航空機又は第百十二条(密輸貨物の運搬等をする罪)の犯罪に係る貨物(第百八条の四又は第百九条の犯罪に係る貨物及び輸入制限貨物等に限る。)(以下この条において「犯罪貨物等」と総称する。)は、没収する。ただし、犯罪貨物等が犯人以外の者の所有に係り、かつ、その者が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

一 第百八条の四から第百十二条までの犯罪が行われることをあらかじめ知らないでその犯罪が行われた時から引き続き犯罪貨物等を所有していると認められるとき。

二 前号に掲げる犯罪が行われた後、その情を知らないで犯罪貨物等を取得したと認められるとき。

2 前項の規定により没収すべき犯罪貨物等(同項の船舶又は航空機を除く。以下この項において同じ。)を没収することができない場合又は同項第二号の規定により犯罪貨物等を没収しない場合(これらの場合のうち第百十二条(密輸貨物の運搬等をする罪)の犯罪に係る場合にあつては、同条第一項又は第三項の貨物の取得に係る犯罪の場合に限る。)においては、その没収することができないもの又は没収しないものの犯罪が行われた時の価格に相当する金額を犯人から追徴する。

3 第一項において「輸入制限貨物等」とは、輸入に係る貨物で、当該貨物に係る同項の犯罪が行われた時において、次の各号の一に該当するものとする。

一 次に掲げる貨物

イ 酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二条第一項(定義)に規定する酒類

ロ たばこ事業法(昭和五十九年法律第六十八号)第二条第三号(定義)に規定する製造たばこ(同法第三十八条第二項(製造たばこ代用品)に規定する製造たばこ代用品を含む。)

ハ 国の専売品

二 前号に該当する貨物を除き、非自由化品目(外国為替及び外国貿易法及び同法に基づく命令の規定により、輸入割当てを受けることを要するものとされている品目をいう。)に該当する貨物(同法第五十二条(輸入の承認)の輸入の承認を受けた貨物、当該承認を受けることなく輸入することが認められている貨物、本邦に入国する者がその入国に際して携帯して輸入し、又は政令で定めるところにより別送して輸入する貨物及び郵便物を除く。)

4 第一項及び第二項の規定により犯罪貨物等の没収又はこれに代わる追徴が行なわれた場合には、当該犯罪貨物等については、関税を課さない。

5 第一項第一号の規定により犯罪貨物等を没収しない場合において、これについて関税を徴収すべきときは、その関税は、直ちにその所有者から徴収する。但し、犯罪貨物等が税関長の指定する期間内に外国貨物として保税地域に入れられた場合においては、輸入がなかつたものとみなす。

6 関税を納付すべき貨物につき、第百十二条(密輸貨物の運搬等をする罪)の犯罪が行なわれた場合(第九十七条第三項(遺失物等に係る関税の徴収)又は第百三十四条第四項から第六項まで(領置物件等に係る関税の徴収)の規定の適用がない場合に限る。)において、当該犯罪に係る貨物につき第二項の場合に該当せず、かつ、当該貨物を輸入した者が判明しないときは、その関税は、直ちに当該犯罪に係る犯人から徴収する。

7 第九十七条第四項(関税の賦課手続の調整)の規定は、第五項の場合について準用する。この場合において、同条第四項中「同項の処分をする者によつて占有された時」とあるのは、「領置又は差押えがされた時」と読み替えるものとする。

 

第9章 ⑤特許料等の料金体系見直し

1.新旧対照表

改正される条文:特許法107条1項

 

特許法107条1項

 

(旧)

特許権の設定の登録を受ける者・または特許権者は、特許料として、特許権の設定の登録の日から第67条第1項に規定する存続期間(同条第4項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの)の満了までの各年について、一件ごとに、次の表の上欄に掲げる区分に従い同表の下欄に掲げる金額を納付しなければならない。

 

 

 

(新)

特許権の設定の登録を受ける者・または特許権者は、特許料として、特許権の設定の登録の日から第六十七条第1項に規定する存続期間(同条第四項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの)の満了までの各年について、一件ごとに、六万千六百円を超えない範囲内で政令で定める額に一請求項につき四千八百円を超えない範囲内で政令で定める額を加えた額を納付しなければならない。

 

2.施行期日

令和4年4月1日

 

3.改正法の概要等

近年、審査負担の増大等により歳出が増加し、特許特別会計の財政状況が逼迫しており、特に、今後5年程度の歳出・歳入の見通しを踏まえると、今後のデジタル化に柔軟に対応するためにも、歳入全体に占める割合が大きい特許料・商標登録料の引上げが不可欠な状況になっておりました。他方、出願料・出願審査請求料については、具体的な金額を政令に委任しているのに対して、特許料等については具体的な金額を法定していることに起因して、柔軟性が低い状態であるところ、将来的に特許特別会計の収支に余力が生じた場合には、柔軟に料金を引き下げる等の対応を可能とすることが適切であると考えられます。

 

以上を踏まえ、特許料等を引き上げるとともに、金額の上限を法定した上で、具体的な金額は政令において定めることとされました。

 

法人税法129条2項(現1項)にいう「修正の経理」とは、財務諸表(損益計算書)の特別損益の項目において、前期損益修正損等と計上して仮装経理の結果を修正して、その修正の事実を明示することであるとして、「修正の経理」を経ていたとの主張を排斥した事例

 

 

 

              不当利得金返還請求事件

【事件番号】      大阪地方裁判所判決/昭和62年(ワ)第5710号

決日付】              平成元年6月29日

【判示事項】      法人税法一二九条二項にいう「修正の経理」とは、財務諸表(損益計算書)の特別損益の項目において、前期損益修正損等と計上して仮装経理の結果を修正して、その修正の事実を明示することであるとして、「修正の経理」を経ていたとの主張を排斥した事例

【参照条文】      法人税法129-2

【掲載誌】        行政事件裁判例集40巻6号778頁

             訟務月報36巻2号226頁

             判例タイムズ715号142頁

             判例時報1339号85頁

 

法人税法

(更正に関する特例)

第百二十九条 内国法人の提出した確定申告書に記載された各事業年度の所得の金額が当該事業年度の課税標準とされるべき所得の金額を超えている場合において、その超える金額のうちに事実を仮装して経理したところに基づくものがあるときは、税務署長は、当該事業年度の所得に対する法人税につき、その内国法人が当該事業年度後の各事業年度において当該事実に係る修正の経理をし、かつ、当該修正の経理をした事業年度の確定申告書を提出するまでの間は、更正をしないことができる。

2 税務署長が第百三十五条第一項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)の更正をする場合における国税通則法第二十八条第二項(更正又は決定の手続)の規定の適用については、同項第三号中「次に掲げる金額」とあるのは、「次に掲げる金額及びニ又はホに掲げる金額のうち法人税法第百三十五条第一項又は第二項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)の規定の適用がある金額」とする。

(青色申告書等に係る更正)

第百三十条 税務署長は、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には、その内国法人の帳簿書類を調査し、その調査により当該青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、これをすることができる。ただし、当該青色申告書及びこれに添付された書類に記載された事項によつて、当該課税標準又は欠損金額の計算がこの法律の規定に従つていないことその他その計算に誤りがあることが明らかである場合は、その帳簿書類を調査しないでその更正をすることを妨げない。

2 税務署長は、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は内国法人の各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の課税標準の更正をする場合には、その更正に係る国税通則法第二十八条第二項(更正又は決定の手続)に規定する更正通知書にその更正の理由を付記しなければならない。

 

 

建物の一部分の改築により区分所有権が成立したとされた事例

 

最2小判昭和44年5月30日 下級裁判所民事裁判例集31巻5~8号853頁 裁判集民事95号443頁 判例タイムズ238号107頁 判例時報561号43頁

建物所有権移転登記抹消登記等請求事件

【判示事項】 建物の一部分の改築により区分所有権が成立したとされた事例

【判決要旨】 従来母屋に接続した簡単なパラック建附属建物にすぎなかった部分を倍以上に拡げて店舗に改造し、母屋との間に板壁による間じきりをし、母屋とは全く別個に使用できるようにした場合においては、柱および板壁を共通にし、建物が屋根続きで外観上は一体の建物の観を呈していても、右改造部分につき区分所有権が成立する。

【参照条文】 建物の区分所有等に関する法律1(建物の区分所有)

       民法177

 

建物の区分所有等に関する法律

(建物の区分所有)

第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

出資法2条2項にいう「不特定」の意義

最3小判昭和37年12月18日 裁判集刑事145号571頁
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反 
【判示事項】 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律2条2項にいわゆる「不特定」の意義。 
【判決要旨】 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律2条2項にいわゆる「不特定」とは、一般大衆を指称し、たとえ一定の団体または集団に所属する物に限定されていても、その所属員が相当多数であって、金銭の受入者との間に親族、知己等の如き個人的なつながりがない場合は、これにあたる。 
【参照条文】 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律2(預り金の禁止)、11

出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律
(預り金の禁止)
第二条 業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。
2 前項の「預り金」とは、不特定かつ多数の者からの金銭の受入れであつて、次に掲げるものをいう。
一 預金、貯金又は定期積金の受入れ
二 社債、借入金その他いかなる名義をもつてするかを問わず、前号に掲げるものと同様の経済的性質を有するもの

 

舗装された歩道に埋設された水取りボックスのくぼみ(路面との段落差約2・4センチメートル)につまずき、そのため右歩道の側溝に足を踏み入れて骨折等の傷害を受けた事故につき、道路の設置管理の瑕疵を否定した事例

 

最1小判昭和52年2月3日訟務月報23巻2号224頁 

【判示事項】 舗装された歩道に埋設された水取りボックスのくぼみ(路面との段落差約2・4センチメートル)につまずき、そのため右歩道の側溝に足を踏み入れて骨折等の傷害を受けた事故につき、道路の設置管理の瑕疵を否定した事例

【参照条文】 国家賠償法2-1

原審である広島高判昭和47年12月11日判例タイムズ289号213頁 判例時報702号74頁 

【判示事項】 歩道上に窪みがあることと側溝に上蓋のないことが道路の設置管理の瑕疵にあたらないとされた事例

【判決要旨】 歩道中央附近に埋設した都市ガス用のコンクリート製の水取りボックスにより歩道面に深さ約2・4ないし2・2センチメートル、内幅約41センチ四方の窪みがあり、かつ歩道に沿った側溝に上蓋がしてなかったことは、一般歩行者の歩行に危険なものであるとはいえず、道路の設置管理に瑕疵がある場合にあたらないというべきである。

 

国家賠償法

第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。