銀行が捜査機関から犯罪利用預金口座である疑いがあるとして取引停止措置を取った場合における預金払戻 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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銀行が捜査機関から犯罪利用預金口座である疑いがあるとして取引停止措置を取った場合における預金払戻請求について、銀行の措置が法令および普通預金規定に基づくものとして正当であるとされた事例

東京地方裁判所判決/平成22年(ワ)第10519号
平成22年7月23日
預金返還請求事件
【判示事項】    銀行が捜査機関から犯罪利用預金口座である疑いがあるとして取引停止措置を取った場合における預金払戻請求について、銀行の措置が法令および普通預金規定に基づくものとして正当であるとされた事例
【判決要旨】    銀行が捜査機関から犯罪利用預金口座である疑いがあるとして取引停止措置を取った場合における名義人からの預金払戻請求について、名義人が犯罪利用預金口座でないことを立証しないなど判示の事情のもとにおいては、取引停止措置は、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3条1項に基づく正当なものであり、普通預金規定に基づくものとしても正当であるから、銀行は名義人の預金払戻請求を拒むことができる。
【参照条文】    民法666
          犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3-1
【掲載誌】     金融法務事情1907号121頁
【解説】

民法
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
第二章 預金口座等に係る取引の停止等の措置
第三条 金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該預金口座等に係る取引の停止等の措置を適切に講ずるものとする。
2 金融機関は、前項の場合において、同項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された疑いがある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対して必要な情報を提供するものとする。