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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

検察官等から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定に関して作成し若しくは受領した文書等又はその写しは,民訴法220条4号ホに定める刑事事件に係る訴訟に関する書類又は刑事事件において押収されている文書に該当する

 

 

              文書提出命令に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷決定/令和元年(許)第12号

【判決日付】      令和2年3月24日

【判示事項】      検察官等から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定に関して作成し若しくは受領した文書等又はその写しは,民訴法220条4号ホに定める刑事事件に係る訴訟に関する書類又は刑事事件において押収されている文書に該当する

【参照条文】      民事訴訟法220

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事263号135頁

             裁判所時報1745号8頁

             判例タイムズ1480号144頁

             判例時報2474号46頁

 

 

民事訴訟法

(文書提出義務)

第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。

一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)

ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

仮登記の効力

 

 

建物所有権移転登記請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和30年(オ)第561号

【判決日付】      昭和32年6月18日

【判示事項】      仮登記の効力

【判決要旨】      仮登記権利者が本登記をなすに必要な要件を具備するときは、仮登記後本登記の目的たる権利と相容れない処分がなされこれに基く第三者の権利取得の登記がなされた場合においても、仮登記権利者は、仮登記義務者に対しては本登記、右の第三者に対しては抹消登記の請求をなし得るものと解すべきである。

【参照条文】      不動産登記法

             民法177

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集11巻6号1081頁

 

 

不動産登記法

(仮登記に基づく本登記の順位)

第百六条 仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。

 

 

民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

原子爆弾被爆者の医療等に関する法律八条一項に基づく認定の要件であるいわゆる放射線起因性の意義及びその立証の程度

 

 

              原爆被爆者医療給付認定申請却下処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成10年(行ツ)第43号

【判決日付】      平成12年7月18日

【判示事項】      原子爆弾被爆者の医療等に関する法律八条一項に基づく認定の要件であるいわゆる放射線起因性の意義及びその立証の程度

【判決要旨】      原子爆弾被爆者の医療等に関する法律八条一項に基づく認定の要件であるいわゆる放射線起因性は、原子爆弾の放射線と被爆者の現に医療を要する負傷又は疾病ないしは治ゆ能力低下との間に通常の因果関係があることを意味し、右認定拒否処分の取消訴訟において、被処分者は、右因果関係について高度の蓋然性を立証することを要する

【参照条文】      原子爆弾被爆者の医療等に関する法律7-1

             原子爆弾被爆者の医療等に関する法律8-1

【掲載誌】        訟務月報48巻6号1467頁

             最高裁判所裁判集民事198号529頁

             裁判所時報1272号350頁

             判例タイムズ1041号141頁

             判例時報1724号29頁

 

 

平成六年法律第百十七号

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律

(医療の給付)

第十条 厚生労働大臣は、原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し、又は疾病にかかり、現に医療を要する状態にある被爆者に対し、必要な医療の給付を行う。ただし、当該負傷又は疾病が原子爆弾の放射能に起因するものでないときは、その者の治癒能力が原子爆弾の放射能の影響を受けているため現に医療を要する状態にある場合に限る。

2 前項に規定する医療の給付の範囲は、次のとおりとする。

一 診察

二 薬剤又は治療材料の支給

三 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術

四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護

五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

六 移送

3 第一項に規定する医療の給付は、厚生労働大臣が第十二条第一項の規定により指定する医療機関(以下「指定医療機関」という。)に委託して行うものとする。

(認定)

第十一条 前条第一項に規定する医療の給付を受けようとする者は、あらかじめ、当該負傷又は疾病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生労働大臣の認定を受けなければならない。

2 厚生労働大臣は、前項の認定を行うに当たっては、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。ただし、当該負傷又は疾病が原子爆弾の傷害作用に起因すること又は起因しないことが明らかであるときは、この限りでない。

 

銀行が法令により義務付けられた資産査定の前提として債務者区分を行うために作成し,保存している資料は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるか

 

 

              文書提出命令に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/平成19年(許)第5号

【判決日付】      平成19年11月30日

【判示事項】      銀行が法令により義務付けられた資産査定の前提として債務者区分を行うために作成し,保存している資料は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるか

【判決要旨】      銀行が,法令により義務付けられた資産査定の前提として,監督官庁の通達において立入検査の手引書とされている「金融検査マニュアル」に沿って債務者区分を行うために作成し,保存している資料は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない。

【参照条文】      民事訴訟法220

             金融機能の再生のための緊急措置に関する法律6

             銀行法25

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集61巻8号3186頁

 

 

民事訴訟法

(文書提出命令の申立て)

第二百二十一条 文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一 文書の表示

二 文書の趣旨

三 文書の所持者

四 証明すべき事実

五 文書の提出義務の原因

2 前条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない。

 

 

金融機能の再生のための緊急措置に関する法律

(資産の査定の報告)

第六条 金融機関は、決算期その他主務省令で定める期日において資産の査定を行い、主務省令で定めるところにより、資産査定等報告書を作成し、内閣総理大臣(当該金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあっては、内閣総理大臣及び厚生労働大臣とする。第六十八条第一項において同じ。)に提出しなければならない。

2 前項の「資産の査定」とは、主務省令で定める基準に従い、回収不能となる危険性又は価値の毀き損の危険性に応じてその有する債権その他の資産を区分することをいう。

 

 

銀行法

(立入検査)

第二十五条 内閣総理大臣は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該職員に銀行(当該銀行を所属銀行とする銀行代理業者を含む。)の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 内閣総理大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に銀行の子法人等若しくは当該銀行から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、銀行に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

3 前二項の場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

5 前条第三項の規定は、第二項の規定による銀行の子法人等又は当該銀行から業務の委託を受けた者に対する質問及び検査について準用する。

 

 

 

国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをすることの可否

 

 

裁決取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成16年(行ヒ)第275号

【判決日付】      平成18年1月19日

【判示事項】      1 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをすることの可否

             2 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをする場合の不服申立期間の起算日

【判決要旨】      1 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者は,本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをすることができる。

             2 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをする場合における同法77条1項所定の不服申立期間の起算日は,当該第二次納税義務者に対する納付告知がされた日の翌日である。

             (1,2につき,意見がある。)

【参照条文】      国税徴収法39

             国税通則法75

             国税通則法77-1

             国税徴収法32-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集60巻1号65頁

 

 

国税徴収法

(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)

第三十九条 滞納者の国税につき滞納処分の執行(租税条約等(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号)第二条第二号(定義)に規定する租税条約等をいう。)の規定に基づく当該租税条約等の相手国等(同条第三号に規定する相手国等をいう。)に対する共助対象国税(同法第十一条の二第一項(国税の徴収の共助)に規定する共助対象国税をいう。)の徴収の共助(第百五十三条第一項第一号(滞納処分の停止の要件等)並びに第百八十七条第一項及び第二項(罰則)において「租税条約等の相手国等に対する共助対象国税の徴収の共助」という。)の要請をした場合には、当該要請による徴収を含む。)をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に、滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡(担保の目的でする譲渡を除く。)、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得し、又は義務を免れた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時にその滞納者の親族その他滞納者と特殊な関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)で政令で定めるもの(第五十八条第一項(第三者が占有する動産等の差押手続)及び第百四十二条第二項第二号(捜索の権限及び方法)において「親族その他の特殊関係者」という。)であるときは、これらの処分により受けた利益の限度)において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。

 

(第二次納税義務の通則)

第三十二条 税務署長は、納税者の国税を第二次納税義務者から徴収しようとするときは、その者に対し、政令で定めるところにより、徴収しようとする金額、納付の期限その他必要な事項を記載した納付通知書により告知しなければならない。この場合においては、その者の住所又は居所の所在地を所轄する税務署長に対しその旨を通知しなければならない。

2 第二次納税義務者がその国税を前項の納付の期限までに完納しないときは、税務署長は、次項において準用する国税通則法第三十八条第一項及び第二項(繰上請求)の規定による請求をする場合を除き、納付催告書によりその納付を督促しなければならない。この場合においては、その納付催告書は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その納付の期限から五十日以内に発するものとする。

3 国税通則法第三十八条第一項及び第二項、同法第四章第一節(納税の猶予)並びに同法第五十五条(納付委託)の規定は、第一項の場合について準用する。

4 第二次納税義務者の財産の換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときを除き、第一項の納税者の財産を換価に付した後でなければ、行うことができない。

5 この章の規定は、第二次納税義務者から第一項の納税者に対してする求償権の行使を妨げない。

 

 

国税通則法

(国税に関する処分についての不服申立て)

第七十五条 国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、当該各号に定める不服申立てをすることができる。

一 税務署長、国税局長又は税関長がした処分(次項に規定する処分を除く。) 次に掲げる不服申立てのうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立て

イ その処分をした税務署長、国税局長又は税関長に対する再調査の請求

ロ 国税不服審判所長に対する審査請求

二 国税庁長官がした処分 国税庁長官に対する審査請求

三 国税庁、国税局、税務署及び税関以外の行政機関の長又はその職員がした処分 国税不服審判所長に対する審査請求

2 国税に関する法律に基づき税務署長がした処分で、その処分に係る事項に関する調査が次の各号に掲げる職員によつてされた旨の記載がある書面により通知されたものに不服がある者は、当該各号に定める国税局長又は国税庁長官がその処分をしたものとそれぞれみなして、国税局長がしたものとみなされた処分については当該国税局長に対する再調査の請求又は国税不服審判所長に対する審査請求のうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立てをし、国税庁長官がしたものとみなされた処分については国税庁長官に対する審査請求をすることができる。

一 国税局の当該職員 その処分をした税務署長の管轄区域を所轄する国税局長

二 国税庁の当該職員 国税庁長官

3 第一項第一号イ又は前項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求(法定の再調査の請求期間経過後にされたものその他その請求が適法にされていないものを除く。次項において同じ。)についての決定があつた場合において、当該再調査の請求をした者が当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。

4 第一項第一号イ又は第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求をしている者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該再調査の請求に係る処分について、決定を経ないで、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。

一 再調査の請求をした日(第八十一条第三項(再調査の請求書の記載事項等)の規定により不備を補正すべきことを求められた場合にあつては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して三月を経過しても当該再調査の請求についての決定がない場合

二 その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合

5 国税に関する法律に基づく処分で国税庁、国税局、税務署又は税関の職員がしたものに不服がある場合には、それぞれその職員の所属する国税庁、国税局、税務署又は税関の長がその処分をしたものとみなして、第一項の規定を適用する。

 

 

(不服申立期間)

第七十七条1項 不服申立て(第七十五条第三項及び第四項(再調査の請求後にする審査請求)の規定による審査請求を除く。第三項において同じ。)は、処分があつたことを知つた日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して三月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

 

 

プリペイド型電子マネーを登録したスマートフォンを紛失した場合には携帯電話会社に電話回線の停止を届け出るだけではなく、当該電子マネーの提供事業者にもその旨を届け出る必要があることを周知する義務に違反したとして当該提供事業者の不法行為責任が肯定された事例


    電子マネー不正使用金返還請求控訴事件
【事件番号】    東京高等裁判所判決/平成28年(ネ)第4369号
【判決日付】    平成29年1月18日
【判示事項】    プリペイド型電子マネーを登録したスマートフォンを紛失した場合には携帯電話会社に電話回線の停止を届け出るだけではなく、当該電子マネーの提供事業者にもその旨を届け出る必要があることを周知する義務に違反したとして当該提供事業者の不法行為責任が肯定された事例
【判決要旨】    プリペイド型電子マネーを登録したスマートフォンを紛失した場合、携帯電話の電話回線の停止を届け出るだけではなく、当該電子マネーの提供事業者にも届け出なければ第三者による不正使用を防止することができないことを認識していない登録会員がいると想定される以上、その旨を十分に周知しなかった当該提供事業者には、周知義務に違反した不法行為責任がある。
【参照条文】    民法703
          民法709
          消費者契約法8-1
【掲載誌】     判例時報2356号121頁
          金融法務事情2069号74頁


民法
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。



消費者契約法
(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条1項 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項
三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項



       主   文

 1 原判決中,被控訴人Y1株式会社に関する部分を次のとおり変更する。
  (1) 控訴人の被控訴人Y1株式会社に対する主位的請求を棄却する。
  (2) 被控訴人Y1株式会社は,控訴人に対し,224万7630円及びこれに対する平成25年2月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  (3) 控訴人の被控訴人Y1株式会社に対するその余の予備的請求を棄却する。
 2 控訴人の被控訴人Y2株式会社に対する控訴を棄却する。
 3 訴訟費用は,控訴人と被控訴人Y1株式会社との間においては,第1,2審を通じてこれを10分し,その3を控訴人の負担とし,その余を同被控訴人の負担とし,控訴人と被控訴人Y2株式会社との間においては,当審における訴訟費用を控訴人の負担とする。
 4 この判決の第1項(2)は,仮に執行することができる。

       事実及び理由

第1 控訴の趣旨
 1 原判決を取り消す。
 2 主位的請求
  (1) 被控訴人Y1株式会社(以下「被控訴人Y1」という。)は,控訴人に対し,291万円及びこれに対する平成26年12月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  (2) 被控訴人Y2株式会社(以下「被控訴人Y2」という。)は,控訴人に対し,291万円及びこれに対する平成26年12月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 3 予備的請求
   被控訴人らは,控訴人に対し,連帯して,321万円及びこれに対する平成25年2月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 1 控訴人は,被控訴人Y1が提供する,携帯電話に電子マネーを記録して使用することのできるサービスを利用し,その電子マネーを,被控訴人Y2(平成27年12月14日,Y2’株式会社から商号変更。以下,時期のいかんを問わず「被控訴人Y2」という。)発行のクレジットカードを利用して購入していたところ,平成24年11月13日深夜,携帯電話がなくなっていることに気付き,翌14日,携帯電話会社に連絡して上記携帯電話の通信サービスの利用を停止するなどした。ところが,同月15日から平成25年1月9日までの間,何者かが上記携帯電話を利用して151回にわたり上記電子マネーを291万9000円分購入しており,これに気付いた控訴人は,同月10日,被控訴人Y1に依頼して上記電子マネーのサービスの利用停止措置をとったが,被控訴人Y2からは,上記電子マネーの購入に係るクレジットカード利用代金の請求を受けたため,同年2月18日までに,上記291万9000円を被控訴人Y2に支払った。
   本件は,控訴人が,主位的に,被控訴人らが上記291万9000円についてそれぞれ不当利得している旨主張し,不当利得返還請求権に基づき,被控訴人ら各自に対し,291万円及びこれに対する各被控訴人への訴状送達の日の翌日である平成26年12月17日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,予備的に,被控訴人らには上記電子マネーの不正購入につきそれぞれ注意義務違反がある旨主張し,共同不法行為に基づき,被控訴人らに対し,連帯して,上記291万9000円に弁護士費用相当額29万1000円を加えた321万円及びこれに対する控訴人の上記291万9000円の損害が現実化した平成25年2月18日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 2 原審は,控訴人の請求をいずれも棄却した。
   これに対し,控訴人が控訴をし,前記第1のとおりの判決を求めた。
 

『Q&A 若手弁護士からの相談199問 特別編―企業法務・キャリアデザイン』

2023/4/10

京野哲也 (著), ronnor (著), dtk (著)

 

¥3,300

 

 

出版社 ‏ : ‎ 日本加除出版 (2023/4/10)

発売日 ‏ : ‎ 2023/4/10

単行本 ‏ : ‎ 272ページ

 

 

大好評シリーズ第3弾!

企業法務のコミュニケーション・キャリアなどの悩みに現場目線でこたえる〈特別編〉

 

● 若手弁護士・若手企業法務パーソンの「法律知識だけでは解決しにくい」悩みにこたえる。

● 仕事への心構えや関係部署とのコミュニケーションのノウハウ、実務においての対応策、キャリアデザインのヒントなど「誰かに聞きたいけど聞きにくい」問題を多岐にわたって解説。

●「企業法務」「顧問会社」について、現場目線で解説したQ&Aを多数収録。

 

 

コメント

キャリアを考える上では、自分の特徴となる、信条・経歴・感情、知識・経験を発信していくことが重要でしょう。

 

 

 

 

目次+設問抜粋

 

【顧問弁護士編】――依頼者の思惑を理解し、良好な関係を築くための34問!

1-1 依頼者からの厳しい要求に応えるために

  Q.依頼者から是非弁護士の「適法意見」が欲しいと言われたが,調べれば調べるほど怪しい場合にどうすればよいでしょうか?

1-2 依頼者のビジネスプロセスを理解する

  Q.どうして金曜に翌週月曜までの依頼が来るのですか?

1-3 依頼者との関係を構築し,深める

 

【法務パーソン編】――法律の専門家かつ企業の一員として、信頼を得るための95問!

2-1 ビジネスパーソンとして役割を果たすために

2-2 気をつけるべきコミュニケーション

  Q.「法務はNo ばかり言う」と批判されます。うまいコミュニケーションの方法はありますか?

2-3 重要なキーパーソン対応

2-4 目的を実現するための案件の回し方

2-5 上司や後輩との関係

  Q.後輩を指導する際の注意点は何ですか?

2-6 迅速対応により信頼を得るためには

  Q.スピード「感」とスピードはどう違うのですか?

2-7 難局を打開する上での「証拠」の重要性

 

【キャリア編】――弁護士・法務パーソンとしての将来をより良いものにする70問!

3-1 顧問弁護士としてのキャリア

  Q.企業法務弁護士として今後のキャリアの幅を広げる方法は何がありますか?

3-2 インハウスとしてのキャリア

  Q.争いが嫌いなのですが,インハウスになれば争いから逃げられますか?

3-3 社内価値と市場価値を上げる

3-4 テクノロジーとの付き合い方

 

マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた事例

 

 

              駐車場専用使用権分譲代金返還等請求、同当事者参加事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成8年(オ)第1881号

【判決日付】      平成10年10月30日

【判示事項】      マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた事例

【判決要旨】      マンション分譲業者が、マンションの分譲に伴い、区分所有者の共有となるべき建物1階部分及び敷地の各一部に駐車場を設け、マンション購入者のうち駐車場の使用を希望する者に対して右駐車場の専有使用権を分譲し、その対価を受領した場合において、分譲業者が営利の目的に基づき自己の利益のために専用使用権を分譲したものであり、専用使用権の分譲を受けた区分所有者もこれと同様の認識を有していたなど判示の事情の下においては、分譲業者が区分所有者全員の委任に基づきその受任者として専用使用権の分譲を行った等と解することはできず、右対価は、専用使用権分譲契約における合意の内容に従って分譲業者に帰属するべきものである。

【参照条文】      建物の区分所有等に関する法律第1章2節

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事190号89頁

             判例タイムズ991号125頁

             判例時報1663号90頁

【評釈論文】      北九州大学法政論集27巻2~3号103頁

 

 

建物の区分所有等に関する法律

第二節 共用部分等

(共用部分の共有関係)

第十一条 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。

2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。

3 民法第百七十七条の規定は、共用部分には適用しない。

第十二条 共用部分が区分所有者の全員又はその一部の共有に属する場合には、その共用部分の共有については、次条から第十九条までに定めるところによる。

(共用部分の使用)

第十三条 各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる。

(共用部分の持分の割合)

第十四条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。

2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。

3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。

4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

(共用部分の持分の処分)

第十五条 共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。

2 共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。

(一部共用部分の管理)

第十六条 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。

(共用部分の変更)

第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。

2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

(共用部分の管理)

第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。

4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。

(共用部分の負担及び利益収取)

第十九条 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。

(管理所有者の権限)

第二十条 第十一条第二項の規定により規約で共用部分の所有者と定められた区分所有者は、区分所有者全員(一部共用部分については、これを共用すべき区分所有者)のためにその共用部分を管理する義務を負う。この場合には、それらの区分所有者に対し、相当な管理費用を請求することができる。

2 前項の共用部分の所有者は、第十七条第一項に規定する共用部分の変更をすることができない。

(共用部分に関する規定の準用)

第二十一条 建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区分所有者の共有に属する場合には、第十七条から第十九条までの規定は、その敷地又は附属施設に準用する。

 

 

刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして提出を命ずることの可否

 

 

文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷決定/平成15年(許)第40号

【判決日付】      平成16年5月25日

【判示事項】      1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとして提出を命ずることの可否

             2 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書につき民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた文書提出命令の申立てが理由がないとされた事例

【判決要旨】      1 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書について文書提出命令の申立てがされた場合であっても,当該文書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当し,かつ,当該文書の保管者によるその提出の拒否が,民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が開示されることによる被告人,被疑者等の名誉,プライバシーの侵害等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし,当該保管者の有する裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであるときは,裁判所は,その提出を命ずることができる。

             2 既に自己の有罪判決が確定した刑事事件の公判に提出されなかった共犯者の捜査段階における供述調書につき,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた文書提出命令の申立ては,刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」である当該供述調書を本案訴訟において証拠として取り調べることが申立人の主張事実の立証に必要不可欠なものとはいえないこと,当該供述調書が開示されることによって当該共犯者や第三者の名誉,プライバシーが侵害されるおそれがないとはいえないことなど判示の事情の下では,保管者である検察官の提出拒否の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとはいえず,理由がない。

【参照条文】      民事訴訟法220-3

             民事訴訟法220-4

             刑事訴訟法47

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集58巻5号1135頁

 

 

民事訴訟法

(文書提出義務)

第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。

一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)

ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

 

 

刑事訴訟法

第四十七条 訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。

 

 

株主総会決議の不存在とその無効確認の訴の適否

 

 

株主総会決議不存在確認請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和41年(オ)第82号

【判決日付】      昭和45年7月9日

【判示事項】      株主総会決議の不存在とその無効確認の訴の適否

【判決要旨】      株主総会の決議がその成立要件を欠いた場合でも、その決議の内容が商業登記簿に登記されているときは、その効力のないことの確定を求める訴は適法である。

             (反対意見がある)。

【参照条文】      商法252

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集24巻7号755頁

             最高裁判所裁判集民事100号17頁

             裁判所時報549号4頁

 

 

会社法

(株主総会等の決議の不存在又は無効の確認の訴え)

第八百三十条 株主総会若しくは種類株主総会又は創立総会若しくは種類創立総会(以下この節及び第九百三十七条第一項第一号トにおいて「株主総会等」という。)の決議については、決議が存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができる。

2 株主総会等の決議については、決議の内容が法令に違反することを理由として、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができる。