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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

学校法人専修大学(無期転換)事件・科技イノベ活性化法15条の2は,研究開発に5年を超える期間の定めのあるプロジェクトが少なくないことを前提に,そのようなプロジェクトの終了前に雇止めがされることを回避するために,10年超えの特例を定めたものであり,同様の事態がすべての有期労働契約の労働者に当てはまるものとはいえないとされた例

 

 

              無期労働契約の地位確認及び損害賠償請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/令和4年(ネ)第63号

【判決日付】      令和4年7月6日

【判示事項】      1 科技イノベ活性化法15条の2は,研究開発に5年を超える期間の定めのあるプロジェクトが少なくないことを前提に,そのようなプロジェクトの終了前に雇止めがされることを回避するために,10年超えの特例を定めたものであり,同様の事態がすべての有期労働契約の労働者に当てはまるものとはいえないとされた例

             2 科技イノベ活性化法15条の2第1項1号の「研究者」というには,研究開発法人または有期労働契約を締結した者が設置する大学等において,研究開発およびこれに関連する業務に従事している者であることを要するというべきであり,有期労働契約を締結した者が設置する大学において研究開発およびこれに関連する業務に従事していない非常勤講師については,同号の「研究者」とすることは立法趣旨に合致しないというべきであるとの一審判断が維持された例

             3 科技イノベ活性化法15条の2第1項1号の「研究者」につき,研究実績がある者,または,大学等を設置する者が行った採用の選考過程において研究実績を考慮された者であれば「研究者」に該当すると解した場合,大学教員は,研究実績がある者であったり,研究実績を選考過程で考慮された者であったりすることがほとんどであるから,任期法の定めと比べて10年超えの特例が広く適用されることとなり,このような解釈は不合理であるとされた例

             4 科技イノベ活性化法15条の2第1項1号の「研究者」は,研究開発法人または有期労働契約を締結している大学等において業務として研究開発を行っている者であることを要すると解すべきであり,控訴人(一審被告)Y法人の設置する専修大学において,学部生に対する初級から中級までのA語の授業,試験およびこれらの関連業務にのみ従事している被控訴人(一審原告)Xは,「研究者」に該当しないとの一審判断が維持された例

【掲載誌】        労働判例1273号19頁

             LLI/DB 判例秘書登載

 

 

労働契約法

(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)

第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

2 当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

 

 

科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法葎

(労働契約法の特例)

第十五条の二 次の各号に掲げる者の当該各号の労働契約に係る労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項の規定の適用については、同項中「五年」とあるのは、「十年」とする。

一 研究者等であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で期間の定めのある労働契約(以下この条において「有期労働契約」という。)を締結したもの

二 研究開発等に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の研究開発等に係る運営及び管理に係る業務(専門的な知識及び能力を必要とするものに限る。)に従事する者であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結したもの

三 試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者が試験研究機関等、研究開発法人又は大学等との協定その他の契約によりこれらと共同して行う研究開発等(次号において「共同研究開発等」という。)の業務に専ら従事する研究者等であって当該試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの

四 共同研究開発等に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の共同研究開発等に係る運営及び管理に係る業務(専門的な知識及び能力を必要とするものに限る。)に専ら従事する者であって当該共同研究開発等を行う試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの

2 前項第一号及び第二号に掲げる者(大学の学生である者を除く。)のうち大学に在学している間に研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約(当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)を締結していた者の同項第一号及び第二号の労働契約に係る労働契約法第十八条第一項の規定の適用については、当該大学に在学している期間は、同項に規定する通算契約期間に算入しない。

 

 

 

       主   文

 

 1 本件控訴を棄却する。

 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。

 

       事実及び理由

 

(略称は原判決の例による。)

第1 控訴の趣旨

 1 原判決中、控訴人の敗訴部分を取り消す。

 2 上記取消しに係る部分の被控訴人の請求を棄却する。

第2 事案の概要

 1 事案の要旨

 平成元年、被控訴人は、控訴人(学校法人)との間で、契約期間を約1年とする有期労働契約を締結し、控訴人が設置する大学でドイツ語の非常勤講師となった。そして、その後、同契約を毎年更新してきたが、令和元年6月20日、労契法(労働契約法)18条1項に基づき、いわゆる無期転換の申込みをした。これに対し、控訴人は、被控訴人が科技イノベ活性化法(科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律)15条の2第1項1号に該当し、同法の施行日(平成25年4月1日)以後の日を契約期間の初日とする有期労働契約の契約期間を通算した期間が10年を超えるまで無期転換申込権は発生しないとして、これを認めない取扱いをした。

 被控訴人は、上記申込みにより、当時の有期労働契約の期間満了日の翌日(令和2年3月14日)を始期とする期間の定めのない労働契約が成立したと主張して、控訴人に対し、期間の定めのない労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めた。また、控訴人が無期転換申込権を認めない取扱いをしたことは違法であると主張して、不法行為に基づき、損害賠償金100万円と遅延損害金の支払を求めた。

 原審は、被控訴人の請求のうち、期間の定めのない労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める部分を認容したところ、控訴人が請求全部の棄却を求めて控訴した。

 (上記被控訴人の損害賠償請求を棄却した部分については、不服の申立てがないから、当審の審判の対象ではない。)

 

パチンコ業者らが風俗営業の許可に係る規制を利用して競業者において購入した出店予定地での営業許可を受けることができないようにする意図の下に近接する土地等を児童遊園として社会福祉法人に寄付した行為が不法行為を構成するとされた事例

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成17年(受)第277号

【判決日付】      平成19年3月20日

【判示事項】      パチンコ業者らが風俗営業の許可に係る規制を利用して競業者において購入した出店予定地での営業許可を受けることができないようにする意図の下に近接する土地等を児童遊園として社会福祉法人に寄付した行為が不法行為を構成するとされた事例

【判決要旨】       A市内のパチンコ業者らが,A市内でのパチンコ店の出店を計画した競業者Xが出店予定地を購入したことを知り,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律4条2項2号及びこれを受けた条例によって児童福祉施設の敷地の周囲100mの区域内にある営業所について同法3条1項の営業の許可を受けることができないものとされている規制を利用して,Xにおいて上記出店予定地での営業の許可を受けることができないようにする意図の下に,上記出店予定地の周囲100mの区域内にある土地等を児童福祉施設に該当する児童遊園として社会福祉法人に寄附し,その結果,Xは上記許可を受けることができなかったなど判示の事情の下においては,上記寄附は,許される自由競争の範囲を逸脱し,Xの営業の自由を侵害するものとして,違法性を有し,不法行為を構成する。

【参照条文】      民法709

             風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律3-1

             風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律4-2

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事223号445頁

             裁判所時報1432号77頁

             判例タイムズ1239号108頁

             判例時報1968号124頁

 

 

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(営業の許可)

第三条 風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

2 公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、前項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。

(許可の基準)

第四条 公安委員会は、前条第一項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしてはならない。

一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

二 一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

イ 第四十九条又は第五十条第一項の罪

ロ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十四条、第百七十五条、第百八十二条、第百八十五条、第百八十六条、第二百二十四条、第二百二十五条(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条、第二百二十六条の二(第三項については、営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条の三、第二百二十七条第一項(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二又は第二百二十六条の三の罪を犯した者を幇ほう助する目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)若しくは第三項(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)又は第二百二十八条(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二、第二百二十六条の三又は第二百二十七条第一項若しくは第三項に係る部分に限る。)の罪

ハ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第三条第一項(第五号又は第六号に係る部分に限る。)又は第六条(第一項第二号に係る部分に限る。)の罪

ニ 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二章の罪

ホ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第四条から第八条までの罪

ヘ 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百十七条、第百十八条第一項(同法第六条又は第五十六条に係る部分に限る。)又は第百十九条第一号(同法第六十一条又は第六十二条に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)又は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の規定により適用する場合を含む。)の罪

ト 船員法(昭和二十二年法律第百号)第百二十九条(同法第八十五条第一項又は第二項に係る部分に限る。)又は第百三十条(同法第八十六条第一項に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法の規定により適用する場合を含む。)の罪

チ 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第六十三条の罪

リ 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項又は第二項(同法第三十四条第一項第四号の三、第五号、第七号又は第九号に係る部分に限る。)の罪

ヌ 船員職業安定法第百十一条の罪

ル 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七十三条の二第一項の罪

ヲ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第五十八条の罪

ワ 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)第百八条の罪

三 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者

四 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者

五 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの

六 第二十六条第一項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)

七 第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で当該返納の日から起算して五年を経過しないもの

八 前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該消滅又は返納の日から起算して五年を経過しないもの

九 第七号に規定する期間内に分割により同号の聴聞に係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)又はこれらの法人の同号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該分割の日から起算して五年を経過しないもの

十 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が風俗営業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び次号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。

十一 法人でその役員のうちに第一号から第九号までのいずれかに該当する者があるもの

2 公安委員会は、前条第一項の許可の申請に係る営業所につき次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、許可をしてはならない。

一 営業所の構造又は設備(第四項に規定する遊技機を除く。第九条、第十条の二第二項第三号、第十二条及び第三十九条第二項第七号において同じ。)が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないとき。

二 営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。

三 営業所に第二十四条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由があるとき。

認定賞与事件・源泉徴収による所得税につき自動的に確定していた税額に包含される金額でされた納税の告知が適法とされた事例

 

 

              法人税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成10年(行ツ)第77号

【判決日付】      平成16年9月7日

【判示事項】      源泉徴収による所得税につき自動的に確定していた税額に包含される金額でされた納税の告知が適法とされた事例

【判決要旨】      会社がその代表者に代わって同人の借入金の利息を支払ったことにより,その経済的利益に相当する同人に対する給与等(賞与)の支払があったことになって会社に源泉徴収による所得税の納税義務が客観的に成立したが,実際にされた納税の告知は,会社が同人に上記利息相当額を無利息で貸し付け,この貸付けに係る得べかりし利息相当額の経済的利益に相当する同人に対する給与等(役員報酬)の支払があったものとしてされたという場合につき,客観的に成立した納税義務及び自動的に確定していた税額の内容は会社に自明であったこと,強制調査に際して会社から要請があったため,上記賞与に当たる経済的利益のうち上記得べかりし利息相当額の限度で納税義務の履行を請求するものとして上記納税の告知がされたものであること,上記納税の告知により請求された金額は,納税義務が客観的に成立し自動的に確定していた税額に包含されるものであり,納税告知書に記載された所得の種類に食い違いがみられないことなど判示の事実関係の下においては,上記納税の告知は,適法である。

【参照条文】      所得税法28-1

             所得税法183-1

             国税通則法(平9法89号改正前)36-1

             国税通則法36-2

             国税通則法施行令(平12政令307号改正前)43

             国税通則法施行規則(平14財務省令20号改正前)5-1

             国税通則法施行規則(平14財務省令20号改正前)別紙2

【掲載誌】        訟務月報51巻9号2449頁

             最高裁判所裁判集民事215号13頁

             裁判所時報1371号357頁

             判例タイムズ1166号122頁

             判例時報1874号52頁

             税務訴訟資料254号順号9738

 

 

 

 

所得税法

(給与所得)

第二十八条 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。

2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。

3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一 前項に規定する収入金額が百八十万円以下である場合 当該収入金額の百分の四十に相当する金額から十万円を控除した残額(当該残額が五十五万円に満たない場合には、五十五万円)

二 前項に規定する収入金額が百八十万円を超え三百六十万円以下である場合 六十二万円と当該収入金額から百八十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額

三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合 百十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額

四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え八百五十万円以下である場合 百七十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額

五 前項に規定する収入金額が八百五十万円を超える場合 百九十五万円

4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。

 

 

(源泉徴収義務)

第百八十三条 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。

2 法人の法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から一年を経過した日までにその支払がされない場合には、その一年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。

 

 

国税通則法

(納税の告知)

第三十六条 税務署長は、国税に関する法律の規定により次に掲げる国税(その滞納処分費を除く。次条において同じ。)を徴収しようとするときは、納税の告知をしなければならない。

一 賦課課税方式による国税(過少申告加算税、無申告加算税及び前条第三項に規定する重加算税を除く。)

二 源泉徴収等による国税でその法定納期限までに納付されなかつたもの

三 自動車重量税でその法定納期限までに納付されなかつたもの

四 登録免許税でその法定納期限までに納付されなかつたもの

2 前項の規定による納税の告知は、税務署長が、政令で定めるところにより、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して行う。ただし、担保として提供された金銭をもつて消費税等を納付させる場合その他政令で定める場合には、納税告知書の送達に代え、当該職員に口頭で当該告知をさせることができる。

 

 

国税通則法施行令

(財務省令への委任)

第四十三条 この政令に定めるもののほか、法及びこの政令の実施のための手続その他これらの執行に関し必要な細則は、財務省令で定める。

 

 

国税通則法施行規則

(納付受託者の指定に係る公示事項)

第五条 法第三十四条の四第二項(納付受託者)に規定する財務省令で定める事項は、国税庁長官又は財務大臣が同条第一項の規定による指定をした日とする。

 

 

 

教科用図書検定調査審議会の作成した文書が民訴法二二〇条三号後段の文書に当たらないとされた事例

 

 

              文書提出命令に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成11年(許)第26号

【判決日付】      平成12年3月10日

【判示事項】      教科用図書検定調査審議会の作成した文書が民訴法二二〇条三号後段の文書に当たらないとされた事例

【判決要旨】      文部大臣の諮問機関である教科用図書検定調査審議会が作成した教科用図書についての判定内容を記載した書面及びその内容を記載した文部大臣に対する報告書は、民訴法二二〇条三号後段の文書に当たらない。

【参照条文】      民事訴訟法22

             学校教育法21-1

             学校教育法51

             教科用図書検定規則(平成元年文部省令20号)7

【掲載誌】        訟務月報47巻4号897頁

             最高裁判所裁判集民事197号341頁

             裁判所時報1263号164頁

             判例タイムズ1031号165頁

             金融・商事判例1098号12頁

             判例時報1711号55頁

 

 

民事訴訟法

(文書提出義務)

第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。

一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)

ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

 

 

学校教育法

第二十一条 義務教育として行われる普通教育は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)第五条第二項に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

二 学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。

三 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

四 家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。

五 読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。

六 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。

七 生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。

八 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。

九 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。

十 職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

 

第五十一条 高等学校における教育は、前条に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

一 義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。

二 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。

三 個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。

 

 

教科用図書検定規則

(申請図書の審査)

第七条 文部科学大臣は、申請図書について、検定の決定又は検定審査不合格の決定を行い、その旨を申請者に通知するものとする。ただし、必要な修正を行った後に再度審査を行うことが適当である場合には、決定を留保して検定意見を申請者に通知するものとする。

2 文部科学大臣は、申請図書が図書の検定、採択又は発行に関して文部科学大臣が別に定める不公正な行為をした申請者によるものであって当該行為がなされた図書の属する種目と同一の種目に属する場合には、前項の規定にかかわらず、当該種目の申請を行うことができる年度(以下この項及び次項第二号において「申請年度」という。)のうち当該行為が認められたときから直近の一の年度(第四条第二項の規定に基づき当該種目が連続する二以上の年度にわたって申請を行うことができる種目として告示されている場合には当該二以上の年度とし、当該行為が認められた後に当該申請者による申請図書の検定審査が行われる当該行為が認められた年度を含む。)に行われる検定審査(検定審査不合格の決定が行われた後に当該図書について不公正な行為が認められた場合であって、当該種目の申請年度以外の年度に第十二条第一項の規定による再申請を行うことが可能であるときは、当該再申請に基づいて行われる検定審査)に限り当該申請図書について検定審査不合格の決定を行い、その旨を申請者に通知するものとする。

3 前項に定めるもののほか、文部科学大臣は、申請図書が特定行為(申請図書等の不適切な情報管理その他の検定審査に重大な影響を及ぼすものとして文部科学大臣が別に定める行為をいう。以下この項において同じ。)を行った申請者によるものであるときは、第一項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める検定審査に限り、当該申請図書について検定審査不合格の決定を行い、その旨を申請者に通知するものとする。

一 当該申請図書に係る特定行為が、検定の申請から検定の決定又は検定審査不合格の決定が行われるまでの期間に認められた場合 当該期間に行われる検定審査

二 検定の決定又は検定審査不合格の決定が行われた図書に係る当該申請者の特定行為が認められた場合(次号に掲げる場合を除く。) 当該特定行為がなされた図書の属する種目と同一の種目の図書について、当該種目の申請年度のうち当該行為が行われたときから直近の一の年度(第四条第二項の規定に基づき当該種目が連続する二以上の年度にわたって申請を行うことができる種目として告示されている場合には、当該二以上の年度(当該特定行為に基づいて、この項の検定審査不合格の決定が行われた後の年度を除く。))に行われる検定審査

三 検定審査不合格の決定が行われた後に当該図書に係る特定行為が認められた場合であって、当該図書について第十二条第一項の規定による再申請が可能であるとき 当該特定行為が認められたときから直近の再申請に基づいて行われる検定審査

 

 

 

       主   文

 

 原決定主文第一項を破棄する。

 前項の部分につき、相手方の申立てを却下する。

 

       理   由

 

 抗告代理人佐村浩之、同江口とし子、同新田智昭、同竹中章、同新池谷令、同西謙二、同大須賀滋、同川口泰司、同牧野広司、同月岡英人、同小桐間徳、同森山都留男、同山本有香、同白鳥綱重の抗告理由第三について

 一 記録によれば、本件申立ての経緯等の概要は、次のとおりである。

 1 本件の本案事件(東京高等裁判所平成一〇年(ネ)第二四六九号損害賠償請求事件)は、高等学校公民科現代社会教科書(以下「本件申請図書」という。)の出版社の教科用図書検定申請に対し、文部省の教科書調査官が検定意見の通知をしたことにつき、当該意見が付された記述部分の執筆者である相手方が、検定制度そのものが違憲であるほか、その制度の運用方法や検定手続が違憲又は違法であり、また、右検定意見の通知とその内容も違法であるとして、抗告人に対し、右検定意見の通知によって右部分の執筆完成を断念させられたことを理由に、国家賠償法一条に基づき慰謝料の支払を求めている事件である。

 2 高等学校においては、文部大臣の検定を経た教科用図書等を使用しなければならないものとされ、その検定手続は、教科用図書検定規則(平成元年文部省令二〇号)、教科用図書検定調査審議会令(昭和二五年政令一四〇号)、教科用図書検定調査審議会規則(昭和三一年一一月三〇日教科用図書検定調査審議会決定)によっている。高等学校の現代社会の教科用図書についての手続の概要は、次のとおりである。

 文部大臣は、検定申請のあった図書が教科用図書として適切かどうかを、文部省に設置され、文部大臣から任命された委員から成る教科用図書検定調査審議会(以下「検定審議会」という。)に諮問する。検定審議会は、諮問に応じて、文部大臣が任命する複数の調査員に申請図書を調査させるが、文部省初等中等教育局に置かれた複数の教科書調査官による調査も併行して行われる。調査員と教科書調査官の調査結果は、検定審議会教科用図書検定調査分科会第二部会現代社会小委員会に報告され、まず小委員会で審議され、その結果は第二部会に報告され、第二部会において審議して議決する。教科用図書検定調査分科会は、第二部会の右議決をもって分科会の議決とすることができ、検定審議会は、分科会の議決を検定審議会の議決とすることができる。検定審議会は、右議決に基づき、文部大臣に対して答申し、文部大臣は、右答申に基づいて、検定の決定又は検定審査不合格の決定をして申請者に通知する。ただし、検定審議会が、必要な修正をさせた上で再度審査を行うことが適当であると認めたときは、文部大臣にその旨報告し、文部大臣は合否の決定を留保してこれを検定意見として申請者に通知する。その通知は、教科書調査官が行う扱いになっている。

 検定意見の通知を受けた申請者が、所定の期間内に検定意見に従って修正した内容を書面により提出すると、文部大臣は、検定審議会の再度の審議を経た答申に基づき検定の決定又は検定審査不合格の決定をする。

 3 一橋出版株式会社は、文部大臣に対し、本件申請図書の検定を申請したところ、検定審議会において、相手方が執筆した「テーマ[6]現在のマス-コミと私たち」及び「テーマ[8]アジアの中の日本」の部分(以下、これらを「本件部分」という。)等について、検定意見を通知して必要な修正が行われた後に再度審査を行うことが適当であるとの議決がされた。文部大臣は、審議会会長から、右議決内容の報告を受け、申請者である一橋出版に対しその旨通知することとし、教科書調査官は、一橋出版の担当者に対し、平成四年一〇月一日、本件部分に対する検定意見を口頭により通知した(以下、通知された検定意見を「本件検定意見」という。)。本件の本案訴訟において、相手方と抗告人との間で、本件検定意見の内容、趣旨等について争われている。

 4 相手方は、教科書調査官が通知した本件検定意見の内容、趣旨等が相手方主張のとおりであることを証明するためには、原決定別紙文書目録一ないし六記載の各文書(以下「本件各文書」といい、それぞれの文書をその番号に従い「本件文書一」などという。)が必要であり、これらは民訴法二二〇条三号後段の文書に該当すると主張して、その提出命令を申し立てた(以下、この申立てを「本件申立て」という。)。

 5 本件申立てに対し、抗告人は、本件各文書は自己使用のための内部文書であり、民訴法二二〇条三号後段の文書には当たらないなどと主張している。

 二 本件申立てにつき、原審は、次のとおり判断して、本件文書五、六のうち本件部分に関する部分の提出を命じ、本件各文書のうちその余は提出を求める必要性がないとして申立てを却下した。

 本件文書五、六は、文部大臣が教科用図書の検定の結論を出すに先だって検定審議会が審議した結果を記載した文書及びその審議結果を文部大臣に答申(報告)した内容を記載した文書であって、特に秘密にしなければならないものではなく、公開によって不都合が生ずるとも考えられず、その内容を検証する必要があるときは一般に公開すべきものである。外部に公表することを目的として作成されたものではないが、本件検定意見を作成する過程において、検定審議会によって職務上作成された公文書であり、後日、内容を検証することなどのために参照されてしかるべきものである。したがって、本件文書五、六は、専ら文部省が内部で使用するための文書であるということはできず、民訴法二二〇条三号後段の文書に該当する。

 三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。

 1 民訴法二二〇条三号後段の文書には、文書の所持者が専ら自己使用のために作成した内部文書(以下「内部文書」という。)は含まれないと解するのが相当である。

 2 これを本件についてみるに、前掲事実に照らせば、本件文書五、六は、検定意見を通知し必要な修正が行われた後に再度審査を行うのが適当であるとの検定審議会の判定内容を記載した書面及び検定審議会がその旨を記載して文部大臣に提出した報告書を指すものと解されるところ、これらはいずれも、検定審議会が、文部大臣の判断を補佐するため、本件申請図書を調査審議し、議決内容を建議するという所掌事務の遂行過程において、本件申請図書の判定内容の記録として(本件文書五)、また、議決した内容を文部大臣に報告する手段として(本件文書六)、文部省内部において使用されるために作成された文書であることが明らかである。これらの文書は、その作成について法令上何ら定めるところはなく、これらを作成するか否か、何をどの程度記載するかは、検定審議会に一任されており、また、申請者等の外部の者に交付するなど記載内容を公表することを予定しているとみるべき特段の根拠も存しない。

 以上のような文書の記載内容、性質、作成目的等に照らせば、本件文書五、六は、文部大臣が行う本件申請図書の検定申請の合否判定の意思を形成する過程において、諮問機関である検定審議会が、所掌事務の一環として、専ら文部省内部において使用されることを目的として作成した内部文書というべきである。

 3 以上によれば、本件文書五、六は、民訴法二二〇条三号後段の文書に当たらず、抗告人は、右規定に基づく文書提出義務を負うものではなく、右各文書の提出を求める相手方の申立ては理由がない。

 四 したがって、これと異なる原審の前記判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は裁判の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 論旨は理由があり、その余の抗告理由について判断するまでもなく原決定主文第一項は破棄を免れない。そして、前記説示によれば、同項に関する相手方の申立ては理由がないから、これを却下することとする。

 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

下請運送業者の従業員による交通事故につき,当該従業員の不法行為責任及び下請運送業者の使用者責任を肯定し,元請運送業者及び注文者の使用者責任を否定した事例

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成23年(ワ)第23808号

【判決日付】      平成28年7月14日

【判示事項】      1 下請運送業者の従業員による交通事故につき,当該従業員の不法行為責任及び下請運送業者の使用者責任を肯定し,元請運送業者及び注文者の使用者責任を否定した事例

             2 交通事故により損害を受け不法行為に基づく損害賠償請求権を取得した者が,同一の事故について道路法の規定により取得した原因者負担金及びこれに対する延滞金の弁済を受けた場合における損益相殺的な調整の方法

【参照条文】      民法709

             民法715

             道路法73

             道路整備特別措置法40

             道路整備特別措置法42

             道路整備特別措置法45

【掲載誌】        判例タイムズ1437号158頁

 

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(使用者等の責任)

第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

 

道路法

(負担金等の強制徴収)

第七十三条 この法律、この法律に基づく命令若しくは条例又はこれらによつてした処分により納付すべき負担金、占用料、駐車料金、割増金、料金、連結料又は停留料金(以下これらを「負担金等」という。)を納付しない者がある場合においては、道路管理者は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。

2 前項の場合においては、道路管理者は、条例(指定区間内の国道にあつては、政令)で定めるところにより、手数料及び延滞金を徴収することができる。ただし、手数料の額は督促状の送付に要する費用を勘案して定め、延滞金は年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額を超えない範囲内で定めなければならない。

3 第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しない場合においては、道路管理者は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金等並びに手数料及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金等並びに手数料及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

4 手数料及び延滞金は、負担金等に先だつものとする。

5 負担金等並びに手数料及び延滞金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から五年間行使しない場合においては、時効により消滅する。

 

 

道路整備特別措置法

(道路に関する費用についての道路法の規定の適用)

第四十条 会社管理高速道路に関する道路法第五十七条から第六十三条までの規定の適用については、同法第五十七条中「道路管理者以外の者」とあるのは「道路管理者及び当該会社以外の者」と、「同条の規定により道路管理者の承認を受けた者」とあるのは「道路整備特別措置法第八条第一項第十三号の規定により第二十四条本文の規定による道路管理者の権限を代わつて行う独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)の承認を受けた者」と、同法第五十八条第一項及び第五十九条第三項中「道路管理者」とあるのは「会社」と、同法第五十八条第一項及び第六十条ただし書中「を負担させる」とあるのは「について負担を求める」と、同法第五十九条第三項中「全部又は一部を」とあるのは「全部又は一部について」と、「負担させる」とあるのは「負担を求める」と、同法第六十条本文中「第二十一条の規定によつて道路管理者」とあるのは「道路整備特別措置法第八条第一項第十一号の規定により第二十一条の規定による道路管理者の権限を代わつて行う機構」と、「この法律」とあるのは「この法律及び道路整備特別措置法」と、同条ただし書中「当該他の工作物の管理者に」とあるのは「会社は、当該他の工作物の管理者に」と、同法第六十一条第一項中「道路管理者」とあるのは「機構」と、同条第二項中「道路管理者である地方公共団体の条例(指定区間内の国道にあつては、政令)」とあるのは「政令」と、同法第六十二条後段中「第三十八条第一項の規定により道路管理者」とあるのは「道路整備特別措置法第九条第一項第九号の規定により第三十八条第一項の規定による道路管理者の権限を代わつて行う会社」とする。

2 公社管理道路に関する道路法第五十七条から第六十三条までの規定の適用については、同法第五十七条中「道路管理者以外の者」とあるのは「道路管理者及び地方道路公社以外の者」と、「同条の規定により道路管理者の承認を受けた者」とあるのは「道路整備特別措置法第十七条第一項第七号の規定により第二十四条本文の規定による道路管理者の権限を代わつて行う地方道路公社の承認を受けた者」と、同法第五十八条第一項及び第五十九条第三項中「道路管理者」とあるのは「地方道路公社」と、同法第六十条本文中「第二十一条の規定によつて道路管理者」とあるのは「道路整備特別措置法第十七条第一項第三号の規定により第二十一条の規定による道路管理者の権限を代わつて行う地方道路公社」と、「この法律」とあるのは「この法律及び道路整備特別措置法」と、同法第六十一条第一項中「道路管理者」とあるのは「地方道路公社」と、同条第二項中「道路管理者である地方公共団体の条例(指定区間内の国道にあつては、政令)」とあるのは「政令」と、同法第六十二条後段中「第三十八条第一項の規定により道路管理者」とあるのは「道路整備特別措置法第十七条第一項第十一号の規定により第三十八条第一項の規定による道路管理者の権限を代わつて行う地方道路公社」とする。

 

(収入の帰属)

第四十二条 第三条第一項、第十条第一項、第十一条第一項、第十二条第一項及び第十五条第一項の規定に基づく料金並びに第二十六条の規定に基づく割増金は、それぞれ当該料金又は割増金を徴収した会社等の収入とする。

2 第十八条第一項又は第十九条第一項の規定に基づく料金は、有料道路管理者の収入とする。

3 第一項に規定するもののほか、第三十三条の規定により読み替えて適用する道路法第三十九条の規定に基づく占用料、第三十四条の規定により読み替えて適用する同法第四十八条の七第一項若しくは高速自動車国道法第十一条の四第一項の規定に基づく連結料、第三十六条の規定により読み替えて適用する道路法第四十七条の二第三項の規定に基づく手数料、第八条第一項第二十四号若しくは第十七条第一項第二十号の規定により同法第四十四条の三第一項から第四項までの規定による道路管理者の権限を機構等が代わつて行つた場合における同条第七項の規定に基づく負担金、第四十条の規定により読み替えて適用する同法第六十一条第一項の規定に基づく負担金又は第四十条第二項の規定により読み替えて適用する同法第五十八条第一項、第五十九条第三項、第六十条ただし書若しくは第六十二条後段の規定に基づく負担金は、それぞれ当該占用料若しくは連結料を徴収し、当該手数料の納付を受け、又は当該負担金を負担させた機構等の収入とする。

4 第一項に規定するもののほか、第九条第一項第十号の規定により道路法第四十四条の三第一項から第四項までの規定による道路管理者の権限を会社が代わつて行つた場合における同条第七項の規定に基づく負担金並びに第四十条第一項の規定により読み替えて適用する同法第五十八条第一項、第五十九条第三項、第六十条ただし書及び第六十二条後段の規定に基づく負担金は、それぞれ当該負担金の負担を求めた会社の収入とする。

 

(負担金等の強制徴収)

第四十五条 道路法第七十三条の規定は、第十条第一項、第十一条第一項、第十二条第一項及び第十五条第一項の規定に基づく料金並びに当該料金に係る第二十六条の規定に基づく割増金について準用する。この場合において、同法第七十三条第一項から第三項までの規定中「道路管理者」とあるのは「地方道路公社」と、同条第二項中「条例(指定区間内の国道にあつては、政令)」とあるのは「政令」と読み替えるものとする。

2 第四十二条第三項の規定により機構等の収入となる占用料、連結料及び負担金に関する道路法第七十三条の規定の適用については、同条第一項から第三項までの規定中「道路管理者」とあるのは「機構等」と、同条第二項中「条例(指定区間内の国道にあつては、政令)」とあるのは「政令」とする。

3 会社は、第四十二条第四項の規定により会社の収入となる負担金(以下この条において単に「負担金」という。)を納付しない者がある場合においては、督促状を発して督促し、その者が督促状において指定した期限までに納付しないときは、機構に対し、その徴収を申請することができる。

4 道路法第七十三条の規定は、前項の規定による申請に基づき機構が負担金を徴収する場合について準用する。この場合において、同条第一項から第三項までの規定中「道路管理者」とあるのは「機構」と、同条第二項中「条例(指定区間内の国道にあつては、政令)」とあるのは「政令」と読み替えるものとする。

5 前項において準用する道路法第七十三条第二項に規定する手数料は、機構の収入とする。

6 第三項の規定による申請に基づき機構が負担金を徴収した場合には、会社は、機構の徴収した金額(前項の手数料に相当する金額を除く。)の百分の四に相当する金額を機構に納付しなければならない。

 

国家公務員法102条1項、人事院規則14-7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止と憲法21条

 

 

国家公務員法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和44年(あ)第1501号

【判決日付】      昭和49年11月6日

【判示事項】      1、国家公務員法102条1項、人事院規則14-7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止と憲法21条

             2、国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法31条

             3、国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法21条

             4、国家公務員法102条における人事院規則への委任の合憲性

             5、国家公務員法102条1項、人事院規則14-7・5項3号、6項13号の禁止に違反する文書の掲示又は配布に同法110条第1項19号の罰則を適用することが憲法21条、31条に違反しないとされた事例

【判決要旨】      1、国家公務員法102条1項、人事院規則14-7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は憲法21条に違反しない。

             2、国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法31条に違反しない。

             3、国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法21条に違反しない。

             4、国家公務員法102条における人事院規則への委任は、同法82条による懲戒処分及び同法110条1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に人事院規則に委任しているからといって、憲法の許容する委任の限度を超えるものではない。

             5、国家公務員法102条1項、人事院規則14-7・5項3号、6項13号の禁止に違反する本件文書の掲示又は配布(判文参照)に同法110条第1項19号の罰則を適用することは、たとえその掲示又は配布が、非管理職である現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図もなく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であっても、憲法21条、31条に違反しない。

             (4につき反対意見がある。)

【参照条文】      国家公務員法102-1

             人事院規則14-7

             人事院規則14-6

             人事院規則14-5

             憲法21

             国家公務員法110-1

             憲法31

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集28巻9号393頁

 

 

 

国家公務員法

(政治的行為の制限)

第百二条 職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。

② 職員は、公選による公職の候補者となることができない。

③ 職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。

 

第百十一条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。

一 何人たるを問わず第九十八条第二項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、唆し、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者

二 第百二条第一項に規定する政治的行為の制限に違反した者

 

 

人事院規則

人事院規則一四―七(政治的行為)

人事院は、国家公務員法に基き、政治的行為に関し次の人事院規則を制定する。

(適用の範囲)

1 法及び規則中政治的行為の禁止又は制限に関する規定は、臨時的任用として勤務する者、条件付任用期間の者、休暇、休職又は停職中の者及びその他理由のいかんを問わず一時的に勤務しない者をも含むすべての一般職に属する職員に適用する。ただし、顧問、参与、委員その他人事院の指定するこれらと同様な諮問的な非常勤の職員(法第八十一条の五第一項に規定する短時間勤務の官職を占める職員を除く。)が他の法令に規定する禁止又は制限に触れることなしにする行為には適用しない。

2 法又は規則によつて禁止又は制限される職員の政治的行為は、すべて、職員が、公然又は内密に、職員以外の者と共同して行う場合においても、禁止又は制限される。

3 法又は規則によつて職員が自ら行うことを禁止又は制限される政治的行為は、すべて、職員が自ら選んだ又は自己の管理に属する代理人、使用人その他の者を通じて間接に行う場合においても、禁止又は制限される。

4 法又は規則によつて禁止又は制限される職員の政治的行為は、第六項第十六号に定めるものを除いては、職員が勤務時間外において行う場合においても、適用される。

(政治的目的の定義)

5 法及び規則中政治的目的とは、次に掲げるものをいう。政治的目的をもつてなされる行為であつても、第六項に定める政治的行為に含まれない限り、法第百二条第一項の規定に違反するものではない。

一 規則一四―五に定める公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持し又はこれに反対すること。

二 最高裁判所の裁判官の任命に関する国民審査に際し、特定の裁判官を支持し又はこれに反対すること。

三 特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること。

四 特定の内閣を支持し又はこれに反対すること。

五 政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。

六 国の機関又は公の機関において決定した政策(法令、規則又は条例に包含されたものを含む。)の実施を妨害すること。

七 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)に基く地方公共団体の条例の制定若しくは改廃又は事務監査の請求に関する署名を成立させ又は成立させないこと。

八 地方自治法に基く地方公共団体の議会の解散又は法律に基く公務員の解職の請求に関する署名を成立させ若しくは成立させず又はこれらの請求に基く解散若しくは解職に賛成し若しくは反対すること。

(政治的行為の定義)

6 法第百二条第一項の規定する政治的行為とは、次に掲げるものをいう。

一 政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること。

二 政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し又は提供せずその他政治的目的をもつなんらかの行為をなし又はなさないことに対する代償又は報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益を得若しくは得ようと企て又は得させようとすることあるいは不利益を与え、与えようと企て又は与えようとおびやかすこと。

三 政治的目的をもつて、賦課金、寄附金、会費又はその他の金品を求め若しくは受領し又はなんらの方法をもつてするを問わずこれらの行為に関与すること。

四 政治的目的をもつて、前号に定める金品を国家公務員に与え又は支払うこと。

五 政党その他の政治的団体の結成を企画し、結成に参与し若しくはこれらの行為を援助し又はそれらの団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となること。

六 特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること。

七 政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること。

八 政治的目的をもつて、第五項第一号に定める選挙、同項第二号に定める国民審査の投票又は同項第八号に定める解散若しくは解職の投票において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること。

九 政治的目的のために署名運動を企画し、主宰し又は指導しその他これに積極的に参与すること。

十 政治的目的をもつて、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し若しくは指導し又はこれらの行為を援助すること。

十一 集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること。

十二 政治的目的を有する文書又は図画を国又は行政執行法人の庁舎(行政執行法人にあつては、事務所。以下同じ。)、施設等に掲示し又は掲示させその他政治的目的のために国又は行政執行法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し又は利用させること。

十三 政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し若しくは配布し又は多数の人に対して朗読し若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し又は編集すること。

十四 政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること。

十五 政治的目的をもつて、政治上の主義主張又は政党その他の政治的団体の表示に用いられる旗、腕章、記章、えり章、服飾その他これらに類するものを製作し又は配布すること。

十六 政治的目的をもつて、勤務時間中において、前号に掲げるものを着用し又は表示すること。

十七 なんらの名義又は形式をもつてするを問わず、前各号の禁止又は制限を免れる行為をすること。

7 この規則のいかなる規定も、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為を禁止又は制限するものではない。

8 各省各庁の長及び行政執行法人の長は、法又は規則に定める政治的行為の禁止又は制限に違反する行為又は事実があつたことを知つたときは、直ちに人事院に通知するとともに、違反行為の防止又は矯正のために適切な措置をとらなければならない。

 

 

憲法

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

 

第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

 

エックス線検査事件・宅配便業者の運送過程下にある荷物について,荷送人や荷受人の承諾を得ずに,捜査機関が検証許可状によることなくエックス線検査を行うことは適法か

 

 

国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反,覚せい剤取締法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷決定/平成19年(あ)第798号

【判決日付】      平成21年9月28日

【判示事項】      宅配便業者の運送過程下にある荷物について,荷送人や荷受人の承諾を得ずに,捜査機関が検証許可状によることなくエックス線検査を行うことは適法か

【判決要旨】      荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について,捜査機関が,捜査目的を達成するため,荷送人や荷受人の承諾を得ずに,これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察する行為は,検証としての性質を有する強制処分に当たり,検証許可状によることなくこれを行うことは違法である。

【参照条文】      刑事訴訟法197-1

             刑事訴訟法218-1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集63巻7号868頁

 

 

刑事訴訟法

第百九十七条1項 捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。

 

第二百十八条1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。

第三百十七条 事実の認定は、証拠による。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 

       理   由

 

 弁護人高木甫の上告趣意は,違憲をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 なお,所論にかんがみ,職権により判断する。

 1 原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件捜査に係る事実関係は,次のとおりである。

 すなわち,大阪府警察本部生活安全部所属の警察官らは,かねてから覚せい剤密売の嫌疑で大阪市内の有限会社A(以下「本件会社」という。)に対して内偵捜査を進めていたが,本件会社関係者が東京の暴力団関係者から宅配便により覚せい剤を仕入れている疑いが生じたことから,宅配便業者の営業所に対して,本件会社の事務所に係る宅配便荷物の配達状況について照会等をした。その結果,同事務所には短期間のうちに多数の荷物が届けられており,それらの配送伝票の一部には不審な記載のあること等が判明した。そこで,警察官らは,同事務所に配達される予定の宅配便荷物のうち不審なものを借り出してその内容を把握する必要があると考え,上記営業所の長に対し,協力を求めたところ,承諾が得られたので,平成16年5月6日から同年7月2日にかけて,5回にわたり,同事務所に配達される予定の宅配便荷物各1個を同営業所から借り受けた上,関西空港内大阪税関においてエックス線検査を行った。その結果,1回目の検査においては覚せい剤とおぼしき物は発見されなかったが,2回目以降の検査においては,いずれも,細かい固形物が均等に詰められている長方形の袋の射影が観察された(以下,これら5回の検査を「本件エックス線検査」という。)。なお,本件エックス線検査を経た上記各宅配便荷物は,検査後,上記営業所に返還されて通常の運送過程下に戻り,上記事務所に配達された。また,警察官らは,本件エックス線検査について,荷送人や荷受人の承諾を得ていなかった。

 2 所論は,本件エックス線検査は,任意捜査の範囲を超えた違法なものであり,本件において事実認定の用に供された覚せい剤及び覚せい剤原料(以下「本件覚せい剤等」という。)は,同検査により得られた射影の写真に基づき取得した捜索差押許可状により得られたものであるから,違法収集証拠として排除されなければならないと主張する。

 3 そこで,前記の事実関係を前提に検討すると,本件エックス線検査は,荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について,捜査機関が,捜査目的を達成するため,荷送人や荷受人の承諾を得ることなく,これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察したものであるが,その射影によって荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができる上,内容物によってはその品目等を相当程度具体的に特定することも可能であって,荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから,検証としての性質を有する強制処分に当たるものと解される。そして,本件エックス線検査については検証許可状の発付を得ることが可能だったのであって,検証許可状によることなくこれを行った本件エックス線検査は,違法であるといわざるを得ない。

 4 次に,本件覚せい剤等は,同年6月25日に発付された各捜索差押許可状に基づいて同年7月2日に実施された捜索において,5回目の本件エックス線検査を経て本件会社関係者が受け取った宅配便荷物の中及び同関係者の居室内から発見されたものであるが,これらの許可状は,4回目までの本件エックス線検査の射影の写真等を一資料として発付されたものとうかがわれ,本件覚せい剤等は,違法な本件エックス線検査と関連性を有する証拠であるということができる。

 しかしながら,本件エックス線検査が行われた当時,本件会社関係者に対する宅配便を利用した覚せい剤譲受け事犯の嫌疑が高まっており,更に事案を解明するためには本件エックス線検査を行う実質的必要性があったこと,警察官らは,荷物そのものを現実に占有し管理している宅配便業者の承諾を得た上で本件エックス線検査を実施し,その際,検査の対象を限定する配慮もしていたのであって,令状主義に関する諸規定を潜脱する意図があったとはいえないこと,本件覚せい剤等は,司法審査を経て発付された各捜索差押許可状に基づく捜索において発見されたものであり,その発付に当たっては,本件エックス線検査の結果以外の証拠も資料として提供されたものとうかがわれることなどの諸事情にかんがみれば,本件覚せい剤等は,本件エックス線検査と上記の関連性を有するとしても,その証拠収集過程に重大な違法があるとまではいえず,その他,これらの証拠の重要性等諸般の事情を総合すると,その証拠能力を肯定することができると解するのが相当である。

 したがって,本件覚せい剤等を証拠排除せずに事実認定の用に供した第1審の訴訟手続を是認した原判断は,結論において正当である。

 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 那須弘平 裁判官 藤田宙靖 裁判官 堀籠幸男 裁判官 田原睦夫 裁判官 近藤崇晴)

 

 

法学教室 2023年4月号(No.511)有斐閣

 

2023年03月28日 発売

定価  1,650円(本体 1,500円)

 

 

入学,進級おめでとうございます。「法学教室」は,法学を学ぶ方々に,大学などとは異なる学びの場を提供いたします。本誌を読み,法学の理解を深め,さらに関心を広げていただければと思います。

 

さて,本年4月号は,各分野の学習を進めていくうえで,たびたび登場する基本概念に着目した特集を組みました。基本概念をしっかりと理解することが,個別論点や制度の正確な理解につながるということを感じてもらいたいと思います。

 

また,本特集では,概念についての淵源や歴史的な側面について解説が厚くされています。みなさんには,歴史的な積み重ねの上に現在の法・法学があり,歴史的な視点も踏まえて基本概念をはじめ様々な事柄を理解することが,法学学習を進めるには不可欠であるということを感じていただければと思います。

 

時事トピックスとして,音楽教室事件の最高裁判決を判例クローズアップ欄で解説します。世間が注目した事件をしっかりと抑えましょう。

 

講座では,行政法・会社法・刑法・刑事訴訟法の連載が新しく始まります。みなさんの苦手な分野を補う内容かもしれません。どんな連載なのか,是非チェックしてみてください。

 

また,演習の先生方も新しいご担当となります。こちらも是非注目してください。みなさま,法学教室4月号お手に取ってお読みください。

 

 

コメント

新しい連載が多く、興味深い。。

 

 

 

◆特集 基本概念の基礎をおさえる法学入門

Ⅰ 憲法:「憲法」…南野 森……12

 

Ⅱ 行政法:「適正手続」…北島周作……17

 

Ⅲ 民法:「人」…小粥太郎……23

 

Ⅳ 商法:「株主平等の原則」…山下徹哉……28

 

Ⅴ 民事訴訟法:「手続保障」…長谷部由起子……33

 

Ⅵ 刑法:「法益保護」…髙橋直哉……38

 

Ⅶ 刑事訴訟法:「当事者主義」…田淵浩二……43

 

【巻頭言】

法学研究の悩みどころ…橋爪 隆……1

 

【法学のアントレ】〔第73回〕

コンニャクイモは生野菜か?…小石川裕介……2

 

【学校をホウガクする】〔第1回〕

本連載の時間割……4

 

学校で起きる紛争の特殊性と法律家に期待される役割…佐藤香代……5

 

【判例クローズアップ】

音楽教室事件・最高裁判決(最高裁令和4年10月24日判決)…上野達弘……48

 

◆講座

事例で学ぶ行政法ゼミナール〔第1回・新連載〕

新連載にあたって…岡田正則……58

 

行政法とは何か――障害児入園不許可事件…岡田正則……59

 

会社法の時計〔第1回・新連載〕

新連載にあたって…松井秀征……65

 

機関設計の多様化…松井秀征……66

 

近時の判例で学ぶ刑法〔第1回・新連載〕

新連載にあたって…橋爪 隆……72

 

正当防衛における侵害の急迫性――最決平成29・4・26刑集71巻4号275頁…坂下陽輔……74

 

刑事訴訟法のフレームワークを考える〔第1回・新連載〕

新連載にあたって…宇藤 崇……81

 

刑事手続と刑事訴訟法のフレームワーク――捜査と公判の関係…宇藤 崇……82

 

憲法事例分析の技法〔第13回〕

自書できない者の選挙権と投票の秘密…柴田憲司……88

 

流れをつかむ民事訴訟法〔第13回〕

書証の取調べと人証の集中証拠調べ(その2)…笠井正俊……97

 

検察実務から学ぶ刑事手続の基礎〔第7回〕

公判手続その3――公判準備③及び公判期日①…唐木智規/煙山 明……106

 

【演習】

ご執筆者から…尾形 健/田中良弘/林 誠司/柳 明昌/秦 公正/古川伸彦/緑 大輔……116

 

憲法…尾形 健……118

 

行政法…田中良弘……120

 

民法…林 誠司……122

 

商法…柳 明昌……124

 

民事訴訟法…秦 公正……126

 

刑法…古川伸彦……128

 

刑事訴訟法…緑 大輔……130

 

【判例セレクトMonthly】

〔憲法〕令和4年参議院通常選挙無効訴訟東京高裁判決(東京高判令和4・10・18)…武田芳樹……133

 

〔行政法〕健康保険法189条1項の「被保険者の資格」に関する処分(最判令和4・12・13)…徳本広孝……134

 

〔民法〕消費者契約法12条3項に基づく差止請求と同法10条に規定する消費者契約の条項への該当性(最判令和4・12・12)…田中 洋……135

 

〔商法〕地面師詐欺被害への取締役の対会社責任(大阪高判令和4・12・8)…得津 晶……136

 

〔刑法〕他人のクレジットカード情報の不正利用と私電磁的記録不正作出罪(東京地判令和4・9・6)…和田俊憲……137

 

〔刑訴法〕押収拒絶権が行使されたにもかかわらず捜索が実施されたことの違法性が争われた事例(東京地判令和4・7・29)…佐藤由梨……138

 

【Report】

〔早慶合同ゼミナール〕人身侵害に関する諸問題――ギグワーカー・同性パートナーを素材として…中原太郎/田髙寛貴/白石 大……140

 

Book Information

植木俊哉=中谷和弘 編集代表『国際条約集 2023年版』……56

 

仲野武志『防衛法』……57

 

片岡総合法律事務所 編『金融法務の理論と実践――伝統的理解と先駆的視点』……148

 

 

詐害行為の目的物が不可分な場合と取消の範囲

 

 

              詐害行為取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和28年(オ)第1034号

【判決日付】      昭和30年10月11日

【判示事項】      詐害行為の目的物が不可分な場合と取消の範囲

【判決要旨】      詐害行為となる債務者の行為の目的物が、不可分な1棟の建物であるときは、たとえその価額が債権額を超える場合であつても、債権者は、右行為の全部を取り消すことができる。

【参照条文】      民法424

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集9巻11号1626頁

 

 

民法

(詐害行為取消請求)

第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

2 前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。

3 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。

4 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。

 

(詐害行為の取消しの範囲)

第四百二十四条の八 債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができる。

2 債権者が第四百二十四条の六第一項後段又は第二項後段の規定により価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。

 

(財産の返還又は価額の償還の請求)

第四百二十四条の六 債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。

2 債権者は、転得者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、転得者が転得した財産の返還を請求することができる。転得者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人中田・郎の上告理由について。

 民法四二四条に依る債権者の取消権は、債権者の債権を保全するためその債権を害すべき債務者の法律行為を取消す権利であるから、債権者は故なく自己の債権の数額を超過して取消権を行使することを得ないことは論を待たないが、債務者のなした行為の目的物が不可分のものであるときは、たとえその価額が債権額を超過する場合であつても行為の全部について取消し得べきことは、すでに大審院判決の示したとおりである(明治三六年一二月七日大審院判決、民録九巻一三四五頁、大正七年五月一八日同判決、民録二四巻九九五頁、大正五年一二月六日同判決、民録二二巻二三七三頁、大正九年一二月二四日同判決、民録二六巻二〇二四頁各参照)。そして、原審の確定した事実によれば、Aが上告人に贈与したものは一棟の建物であるから贈与の目的物はもとより不可分なので、右建物の時価は五四万円でありその処分当時の被上告人Aに対する債権額は四五万円であつたとしても、被上告人がその債権額を超えた前記贈与の全部を取消し得るものとした原審の判断は、前記判例の趣旨に副うところであるから、原判決は結局において正当である。それ故、論旨は理由がない。

 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第三小法廷

寄託動産の保管者と民法第178条

 

 

              動産引渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和27年(オ)第1197号

【判決日付】      昭和29年8月31日

【判示事項】      寄託動産の保管者と民法第178条

【判決要旨】      動産の寄託をうけ一時これを保管しているにすぎない者は、民法第178条の第三者に該当しない。

【参照条文】      民法178

             民法662

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集8巻8号1567頁

 

 

 

民法

(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)

第百七十八条 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

 

(寄託者による返還請求等)

第六百六十二条 当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。

2 前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。