原子爆弾被爆者の医療等に関する法律八条一項に基づく認定の要件であるいわゆる放射線起因性の意義及びその立証の程度
原爆被爆者医療給付認定申請却下処分取消請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成10年(行ツ)第43号
【判決日付】 平成12年7月18日
【判示事項】 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律八条一項に基づく認定の要件であるいわゆる放射線起因性の意義及びその立証の程度
【判決要旨】 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律八条一項に基づく認定の要件であるいわゆる放射線起因性は、原子爆弾の放射線と被爆者の現に医療を要する負傷又は疾病ないしは治ゆ能力低下との間に通常の因果関係があることを意味し、右認定拒否処分の取消訴訟において、被処分者は、右因果関係について高度の蓋然性を立証することを要する
【参照条文】 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律7-1
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律8-1
【掲載誌】 訟務月報48巻6号1467頁
最高裁判所裁判集民事198号529頁
裁判所時報1272号350頁
判例タイムズ1041号141頁
判例時報1724号29頁
平成六年法律第百十七号
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律
(医療の給付)
第十条 厚生労働大臣は、原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し、又は疾病にかかり、現に医療を要する状態にある被爆者に対し、必要な医療の給付を行う。ただし、当該負傷又は疾病が原子爆弾の放射能に起因するものでないときは、その者の治癒能力が原子爆弾の放射能の影響を受けているため現に医療を要する状態にある場合に限る。
2 前項に規定する医療の給付の範囲は、次のとおりとする。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
六 移送
3 第一項に規定する医療の給付は、厚生労働大臣が第十二条第一項の規定により指定する医療機関(以下「指定医療機関」という。)に委託して行うものとする。
(認定)
第十一条 前条第一項に規定する医療の給付を受けようとする者は、あらかじめ、当該負傷又は疾病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生労働大臣の認定を受けなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の認定を行うに当たっては、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。ただし、当該負傷又は疾病が原子爆弾の傷害作用に起因すること又は起因しないことが明らかであるときは、この限りでない。