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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

列車からの転落事故について日本国有鉄道の損害賠償責任が肯定された事例

 

 

              損害賠償請求控訴事件

【事件番号】      仙台高等裁判所判決/昭和49年(ネ)第48号

【判決日付】      昭和52年12月20日

【判示事項】      列車からの転落事故について日本国有鉄道の損害賠償責任が肯定された事例

【参照条文】      商法590

【掲載誌】        判例タイムズ366号211頁

 

 

商法

(運送人の責任)

第五百九十条 運送人は、旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

 

 

 本判決は、国鉄常磐線浪江駅で、終列車に乗ろうとした乗客がデツキから足を踏みはずして転落し両脚切断の重傷を負つた事故について国鉄の損害賠償責任を認めた事例である。

詳細は判文を参照されたいが、被害者が、乗車した列車の一つ前の列車の乗客に対して発売されたと思われる番号が付された乗車券を所持していたこと、当時の駅員は被害者が改札口を通過して乗車する姿を現認していないことから、乗車の際に係員が安全を確認しないで発車させたためにその衝撃によつてデツキから転落したという被害者と、飛び乗もしくは飛び降りの事故を主張する国鉄との主張が対立し、事実認定に困難が伴なつた事件である。

本判決は、運送人について無過失を立証しなければ損害賠償責任を負わないとして、通常の不法行為による損害賠償に比して立証責任を転換させている商法590条の規定をひいて、国鉄側の損害賠償責任を肯定したが、被害者側にも不注意な乗り方をした過失があるとして3割を過失相殺した。

 

殺人未遂につき中止犯の成立を認めた事例

 

 

殺人未遂被告事件

【事件番号】      福岡高等裁判所判決/昭和60年(う)第643号

【判決日付】      昭和61年3月6日

【判示事項】      殺人未遂につき中止犯の成立を認めた事例

【参照条文】      刑法203

             刑法43

【掲載誌】        高等裁判所刑事判例集39巻1号1頁

             高等裁判所刑事裁判速報集昭和61年257頁

             判例タイムズ600号143頁

             判例時報1193号152頁

【評釈論文】      警察時報41巻10号117頁

 

 

刑法

(未遂減免)

第四十三条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

 

(殺人)

第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

(未遂罪)

第二百三条 第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

 

 

本件は、被告人が一時的な激情にかられて未必的殺意を生じ、ナイフで被害者の頚部を1回突き刺したが、被害者が大量の血を口から吐き出すのを見て、驚愕すると同時に大変なことをしたと思い、被害者の頚部にタオルを当てて血が出ないようにするとともに消防署に電話をかけ救急車の派遣を要請するなどした事案につき、中止犯の成立が認められた事例である。

 

 

錯誤または詐欺による取消しの主張につき擬制自白の成立が認められなかつた事例

 

 

売掛代金(本訴)損害賠償(反訴)請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和42年(オ)第1357号

【判決日付】      昭和43年3月28日

【判示事項】      錯誤または詐欺による取消しの主張につき擬制自白の成立が認められなかつた事例

【判決要旨】      立木の売主甲より買主乙に対する売渡代金の請求訴訟において、甲勝訴の1審判決後の控訴審で、甲が弁論期日に出頭せず、右買受けの意思表示は要素の錯誤により無効であるか、または詐欺により取り消された旨の乙の新たな主張につき、甲が認否しなかつたとしても、甲が右訴訟を維持している等の事実があるときは、甲は乙の右主張を争つているものと認めるのが相当である。

【参照条文】      民事訴訟法140-3

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集22巻3号707頁

 

 

民事訴訟法

(自白の擬制)

第百五十九条 当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。

2 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。

3 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。

 

事業再編計画の一環としての株式取得においては、経営をゆだねられた取締役等により、将来予測等を踏まえた取得株式の価値判断がされるべきこととなるから、取得した際の株式の客観的な評価額と実際の取得額との間に乖離があったとしても、当該乖離した額をもって直ちに会社に損害が発生したものとみることは相当でない。

 

 

取締役に対する損害賠償請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/令和3年(ネ)第2176号

【判決日付】      令和4年7月13日

【判示事項】      会社の事業再編計画の一環として、会社が取締役の利益相反取引によって他社の株式を有償で譲り受けたことについて、当該取締役を含む取締役らの会社に対する損害賠償責任が否定された事例

【判決要旨】      会社経営において、事業再編計画の一環として他社の株式を取得しようとする場合において、いかなる業種のいかなる会社の株式をどの程度取得するかは、株式取得の目的に加え、当該会社の財務状況を含む諸般の事情を総合的に考慮した上での、将来予測にわたる経営上の専門的判断に属する問題であるということができ、このような事業再編計画の一環としての株式取得においては、経営をゆだねられた取締役等により、将来予測等を踏まえた取得株式の価値判断がされるべきこととなるから、取得した際の株式の客観的な評価額と実際の取得額との間に乖離があったとしても、当該乖離した額をもって直ちに会社に損害が発生したものとみることは相当でない。

【参照条文】      会社法(平成26年法律第90号による改正前のもの)423

             会社法(平成26年法律第90号による改正前のもの)847

【掲載誌】        金融法務事情2197号54頁

 

 

会社法

(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)

第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。

3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。

一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役

二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役

三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)

4 前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。

 

(株主による責任追及等の訴え)

第八百四十七条 六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、第百二条の二第一項、第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十三条の二第一項若しくは第二百八十六条の二第一項の規定による支払若しくは給付を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。

2 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。

3 株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。

4 株式会社は、第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人等から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。

5 第一項及び第三項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第一項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。

 

権利能力なき社団の成立要件

 

 

建物収去土地明渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和35年(オ)第1029号

【判決日付】      昭和39年10月15日

【判示事項】      1、法人に非ざる社団の成立要件

             2、法人に非ざる社団の資産の帰属

【判決要旨】      1、法人に非ざる社団が成立するためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原理が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において、代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する。

             2、法人に非ざる社団がその名においてその代表者により取得した資産は、構成員に総有的に帰属するものと解すべきである。

【参照条文】      民法33

             民法37

             民事訴訟法46

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集18巻8号1671頁

 

 

民法

(法人の成立等)

第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

2 学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

 

(登記)

第三十六条 法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより、登記をするものとする。

 

 

民事訴訟法

(法人でない社団等の当事者能力)

第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

 

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東京リーガルマインド LEC総合研究所 司法試験部 (著, 編集)

 

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出版社 ‏ : ‎ 東京リーガルマインド; 第14版 (2022/9/9)

発売日 ‏ : ‎ 2022/9/9

単行本 ‏ : ‎ 602ページ

 

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コメント

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修徳高校パーマ退学訴訟・普通自動車運転免許の取得を制限しパーマをかけることを禁止とする校則に違反するなどした私立高等学校の生徒に対する自主退学の勧告に違法があるとはいえないとされた事例

 

 

              高等学校卒業認定等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成5年(オ)第340号

【判決日付】      平成8年7月18日

【判示事項】      普通自動車運転免許の取得を制限しパーマをかけることを禁止とする校則に違反するなどした私立高等学校の生徒に対する自主退学の勧告に違法があるとはいえないとされた事例

【判決要旨】      普通自動車運転免許取得を制限し、パーマをかけることを禁止し、学校に無断で運転免許を取得したものに対しては退学勧告をする旨の校則を定めていた私立高等学校において、校則を承知して入学した生徒が、学校に無断で普通自動車の運転免許を取得し、そのことが学校に発覚した際にも顕著な反省を示さず、三年生であることを特に考慮して学校が厳重に注意に付するにとどめたにもかかわらず、その後間もなく校則に違反してパーマをかけ、そのことが発覚した際にも反省がないとみられても仕方のない態度をとったなど判示の事実関係の下においては、右生徒に対してされた自主退学の勧告に違法があるとはいえない。

【参照条文】      民法709

             学校教育法11

             学校教育法施行規則13

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事179号629頁

             裁判所時報1176号233頁

             判例タイムズ936号201頁

             判例時報1599号53頁

【評釈論文】      民商法雑誌117巻4~5号219頁

 

 

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。民法

 

 

学校教育法

第十一条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

 

国税徴収法の定める第二次納税義務の納付告知と国税通則法七〇条の類推適用

 

 

第二次納税義務告知処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成6年(行ツ)第7号

【判決日付】      平成6年12月6日

【判示事項】      国税徴収法の定める第二次納税義務の納付告知と国税通則法七〇条の類推適用

【判決要旨】      国税徴収法の定める第二次納税義務の納付告知には、国税の更正、決定等の期間制限に関する国税通則法七〇条は類推適用されない。

【参照条文】      国税徴収法32-1

             国税通則法70

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集48巻8号1451頁

 

 

国税徴収法

(第二次納税義務の通則)

第三十二条 税務署長は、納税者の国税を第二次納税義務者から徴収しようとするときは、その者に対し、政令で定めるところにより、徴収しようとする金額、納付の期限その他必要な事項を記載した納付通知書により告知しなければならない。この場合においては、その者の住所又は居所の所在地を所轄する税務署長に対しその旨を通知しなければならない。

2 第二次納税義務者がその国税を前項の納付の期限までに完納しないときは、税務署長は、次項において準用する国税通則法第三十八条第一項及び第二項(繰上請求)の規定による請求をする場合を除き、納付催告書によりその納付を督促しなければならない。この場合においては、その納付催告書は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その納付の期限から五十日以内に発するものとする。

3 国税通則法第三十八条第一項及び第二項、同法第四章第一節(納税の猶予)並びに同法第五十五条(納付委託)の規定は、第一項の場合について準用する。

4 第二次納税義務者の財産の換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときを除き、第一項の納税者の財産を換価に付した後でなければ、行うことができない。

5 この章の規定は、第二次納税義務者から第一項の納税者に対してする求償権の行使を妨げない。

 

 

国税通則法

(国税の更正、決定等の期間制限)

第七十条 次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。

一 更正又は決定 その更正又は決定に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書に係る更正については当該申告書を提出した日とし、還付請求申告書の提出がない場合にする決定又はその決定後にする更正については政令で定める日とする。)

二 課税標準申告書の提出を要する国税に係る賦課決定 当該申告書の提出期限

三 課税標準申告書の提出を要しない賦課課税方式による国税に係る賦課決定 その納税義務の成立の日

2 法人税に係る純損失等の金額で当該課税期間において生じたものを増加させ、若しくは減少させる更正又は当該金額があるものとする更正は、前項の規定にかかわらず、同項第一号に定める期限から十年を経過する日まで、することができる。

3 前二項の規定により更正をすることができないこととなる日前六月以内にされた更正の請求に係る更正又は当該更正に伴つて行われることとなる加算税についてする賦課決定は、前二項の規定にかかわらず、当該更正の請求があつた日から六月を経過する日まで、することができる。

4 第一項の規定により賦課決定をすることができないこととなる日前三月以内にされた納税申告書の提出(源泉徴収等による国税の納付を含む。以下この項において同じ。)に伴つて行われることとなる無申告加算税(第六十六条第六項(無申告加算税)の規定の適用があるものに限る。)又は不納付加算税(第六十七条第二項(不納付加算税)の規定の適用があるものに限る。)についてする賦課決定は、第一項の規定にかかわらず、当該納税申告書の提出があつた日から三月を経過する日まで、することができる。

5 次の各号に掲げる更正決定等は、第一項又は前二項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。

一 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等

二 偽りその他不正の行為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)についての更正(第二項又は第三項の規定の適用を受ける法人税に係る純損失等の金額に係るものを除く。)

三 所得税法第六十条の二第一項から第三項まで(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)又は第六十条の三第一項から第三項まで(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例)の規定の適用がある場合(第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出及び税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第三十条(税務代理の権限の明示)(同法第四十八条の十六(税理士の権利及び義務等に関する規定の準用)において準用する場合を含む。)の規定による書面の提出がある場合その他の政令で定める場合を除く。)の所得税(当該所得税に係る加算税を含む。第七十三条第三項(時効の完成猶予及び更新)において「国外転出等特例の適用がある場合の所得税」という。)についての更正決定等

債権譲渡担保権の実行中止命令は,民事再生法31条1,2項所定の各要件に欠ける無効なものであったから,民法467条所定の対抗要件具備のための通知として,有効なものであったと解するのが相当であるとした事例

 

 

東京高等裁判所判決/平成16年(ネ)第1828号

【判決日付】      平成18年8月30日

【判示事項】      中止命令は,民事再生法31条1,2項所定の各要件に欠ける無効なものであったから,民法467条所定の対抗要件具備のための通知として,有効なものであったと解するのが相当であるとした事例

【掲載誌】        金融・商事判例1277号21頁

【評釈論文】      金融・商事判例1286号166頁

 

 

民法

(債権の譲渡の対抗要件)

第四百六十七条 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。

2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

 

 

民事再生法

(担保権の実行手続の中止命令)

第三十一条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債権者の一般の利益に適合し、かつ、競売申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、相当の期間を定めて、第五十三条第一項に規定する再生債務者の財産につき存する担保権の実行手続の中止を命ずることができる。ただし、その担保権によって担保される債権が共益債権又は一般優先債権であるときは、この限りでない。

2 裁判所は、前項の規定による中止の命令を発する場合には、競売申立人の意見を聴かなければならない。

3 裁判所は、第一項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。

4 第一項の規定による中止の命令及び前項の規定による変更の決定に対しては、競売申立人に限り、即時抗告をすることができる。

5 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

6 第四項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

 

 

 

       主   文

 

 1 原判決中被控訴人に関する部分を取り消す。

 2 被控訴人は、控訴人に対し、5億7760万0413円及びこれに対する平成14年5月24日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

 3 訴訟費用(控訴人と被控訴人との間に生じた部分)は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。

 4 この判決は、2項に限り、仮に執行することができる。

  ただし、被控訴人において6億4500万円の担保を供するときは、その仮執行を免れることができる。

 

 

       事実及び理由

 

第1 当事者の求める裁判

1 控訴の趣旨

(1)主文1~3項と同旨

(2)仮執行宣言

2 控訴の趣旨に対する答弁

(1)本件控訴を棄却する。

(2)控訴費用は控訴人の負担とする。

(3)担保を条件とする仮執行免脱宣言

第2 事案の概要

1 本件は、控訴人(旧商号・みずほアセット信託銀行株式会社、旧々商号・安田信託銀行)が、信販業務及びクレジット業務を営む被控訴人に対し、株式会社カリーノ(旧商号・株式会社壽屋。以下「壽屋」という。)と被控訴人との間の加盟店契約に係る立替金等請求権を壽屋から譲り受けたと主張して、その支払を請求したのに対し、被控訴人が、債務者対抗要件の欠缺及び相殺等を主張して支払を拒絶している事件である。本件訴訟提起後、控訴人の会社分割により、株式会社みずほアセットが本件請求債権を含む営業を承継したとして本件訴訟を引き受けたが、その後、控訴人が、合併により株式会社みずほアセットの権利義務を承継し、訴訟を承継した。

 

入国管理局の職員が難民不認定処分に対する異議申立棄却決定を受けた被退去強制者を同決定告知の翌日に集団送還の方法により本国に強制送還する措置を講じたことが難民不認定処分について取消訴訟等の提起により司法審査を受ける機会を実質的に奪ったものであって憲法32条で保障する裁判を受ける権利を侵害し,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例

 

 

国家賠償請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/令和2年(ネ)第1423号

【判決日付】      令和3年9月22日

【判示事項】      入国管理局の職員が難民不認定処分に対する異議申立棄却決定を受けた被退去強制者を同決定告知の翌日に集団送還の方法により本国に強制送還する措置を講じたことが難民不認定処分について取消訴訟等の提起により司法審査を受ける機会を実質的に奪ったものであって憲法32条で保障する裁判を受ける権利を侵害し,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例

【参照条文】      国家賠償法1-1

             憲法31

             憲法32

             出入国管理及び難民認定法61の2の6-3

             出入国管理及び難民認定法61の2の9(平26法69号改正前)

             行政事件訴訟法8-1

             行政事件訴訟法46-1

【掲載誌】        判例タイムズ1502号55頁

 

 

憲法

第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

 

 

国家賠償法

第一条1項 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

 

出入国管理及び難民認定法

(退去強制手続との関係)

第六十一条の二の六 第六十一条の二の二第一項又は第二項の許可を受けた外国人については、当該外国人が当該許可を受けた時に第二十四条各号のいずれかに該当していたことを理由としては、第五章に規定する退去強制の手続(第六十三条第一項の規定に基づく退去強制の手続を含む。以下この条において同じ。)を行わない。

2 第六十一条の二第一項の申請をした在留資格未取得外国人で第六十一条の二の四第一項の許可を受けたものについては、第二十四条各号のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由がある場合であつても、当該許可に係る仮滞在期間が経過するまでの間は、第五章に規定する退去強制の手続を停止するものとする。

3 第六十一条の二第一項の申請をした在留資格未取得外国人で、第六十一条の二の四第一項の許可を受けていないもの又は当該許可に係る仮滞在期間が経過することとなつたもの(同条第五項第一号から第三号まで及び第五号に該当するものを除く。)について、第五章に規定する退去強制の手続を行う場合には、同条第五項第一号から第三号までに掲げるいずれかの事由に該当することとなるまでの間は、第五十二条第三項の規定による送還(同項ただし書の規定による引渡し及び第五十九条の規定による送還を含む。)を停止するものとする。

4 第五十条第一項の規定は、第二項に規定する者で第六十一条の二の四第五項第一号から第三号までのいずれかに該当することとなつたもの又は前項に規定する者に対する第五章に規定する退去強制の手続については、適用しない。

 

(審査請求)

第六十一条の二の九 次に掲げる処分又は不作為についての審査請求は、法務大臣に対し、法務省令で定める事項を記載した審査請求書を提出してしなければならない。

一 難民の認定をしない処分

二 第六十一条の二第一項の申請に係る不作為

三 第六十一条の二の七第一項の規定による難民の認定の取消し

2 前項第一号及び第三号に掲げる処分についての審査請求に関する行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十八条第一項本文の期間は、第六十一条の二第二項又は第六十一条の二の七第二項の通知を受けた日から七日とする。

3 法務大臣は、第一項の審査請求に対する裁決に当たつては、法務省令で定めるところにより、難民審査参与員の意見を聴かなければならない。

4 法務大臣は、第一項の審査請求について行政不服審査法第四十五条第一項若しくは第二項又は第四十九条第一項若しくは第二項の規定による裁決をする場合には、当該裁決に付する理由において、前項の難民審査参与員の意見の要旨を明らかにしなければならない。

5 難民審査参与員については、行政不服審査法第十一条第二項に規定する審理員とみなして、同法の規定を適用する。

6 第一項の審査請求については、行政不服審査法第九条第一項、第十四条、第十七条、第十九条、第二十九条、第四十一条第二項(第一号イに係る部分に限る。)、第二章第四節及び第五十条第二項の規定は適用しないものとし、同法の他の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

 

 

行政事件訴訟法

(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)

第八条 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。

2 前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。

一 審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。

二 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。

三 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。

3 第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。

 

(取消訴訟等の提起に関する事項の教示)

第四十六条 行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分又は裁決をする場合には、当該処分又は裁決の相手方に対し、次に掲げる事項を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。

一 当該処分又は裁決に係る取消訴訟の被告とすべき者

二 当該処分又は裁決に係る取消訴訟の出訴期間

三 法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、その旨

2 行政庁は、法律に処分についての審査請求に対する裁決に対してのみ取消訴訟を提起することができる旨の定めがある場合において、当該処分をするときは、当該処分の相手方に対し、法律にその定めがある旨を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。

3 行政庁は、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものを提起することができる処分又は裁決をする場合には、当該処分又は裁決の相手方に対し、次に掲げる事項を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。

一 当該訴訟の被告とすべき者

二 当該訴訟の出訴期間

 

 

 

       主   文

 

 1 原判決を次のとおり変更する。

  (1) 被控訴人は,控訴人Aに対し,30万円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  (2) 被控訴人は,控訴人Bに対し,30万円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  (3) 控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。

 2 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを50分し,その3を被控訴人の負担とし,その余を控訴人らの負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 控訴の趣旨

 1 原判決を取り消す。

 2 被控訴人は,控訴人Aに対して,500万円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 3 被控訴人は,控訴人Bに対して,500万円及びこれに対する平成26年12月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 4 訴訟費用は,第1,2審を通じて被控訴人の負担とする。

 5 この判決は,第2項及び第3項につき仮に執行することができる。

第2 事案の概要等

 1 事案の概要(以下,略称は,別途定めるほかは,原判決の例による。)

   スリランカの国籍を有する控訴人らは,在留期間を超えて日本に残留し,いずれも難民不認定処分を受けた後に入管法24条4号ロ(不法残留)に該当することを理由とする退令発付処分を受け,その後,難民不認定処分に対する異議申立てを行ったところ,同異議申立棄却決定の告知を受けた翌日に退令の執行を受け,集団送還の方法によりスリランカに強制送還された。

   本件は,控訴人らが,控訴人らに対する退令の執行は,控訴人らに難民不認定処分に対する取消訴訟等の提起について検討する時間的猶予を与えずに行ったもので,控訴人らの裁判を受ける権利を侵害したなどと主張して,被控訴人に対し,国賠法1条1項に基づき,控訴人1人当たり500万円の慰謝料及びこれに対する控訴人らが強制送還された日である平成26年12月18日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

   原判決が控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,控訴人らがこれを不服として本件控訴をした。