東朋学園事件・出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者とする旨の就業規則条項の適用に関しその基礎とする出勤した日数に産前産後休業の日数等を含めない旨の定めが公序に反し無効とされた事例
損害賠償請求控訴、仮執行の原状回復等を命ずる裁判の申立て、損害賠償請求附帯控訴事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/平成13年(受)第1066号
【判決日付】 平成15年12月4日
【判示事項】 1 出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者とする旨の就業規則条項の適用に関しその基礎とする出勤した日数に産前産後休業の日数等を含めない旨の定めが公序に反し無効とされた事例
2 賞与の額を欠勤日数に応じて減額することを内容とする計算式の適用に当たり産前産後休業の日数等を欠勤日数に含めた所定の減額を行わずに賞与全額の支払請求を認容した原審の判断に違法があるとされた事例
【判決要旨】 1 出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者としこれに満たない者には賞与を支給しないこととする旨の就業規則条項の適用に関し,出勤率算定の基礎とする出勤すべき日数に産前産後休業の日数を算入し,出勤した日数に上記日数及び育児を容易にするための措置により短縮された勤務時間分を含めない旨を定めた就業規則の付属文書の定めは,従業員の年間総収入額に占める賞与の比重が高いため,上記条項により賞与が支給されない者の受ける経済的不利益が大きく,従業員が産前産後休業を取得し又は勤務時間短縮措置を受けた場合には,それだけで上記条項に該当して賞与の支給を受けられなくなる可能性が高いという事情の下においては,公序に反し無効である。
2 賞与の額を欠勤日数に応じて減額することを内容とする計算式及びその適用に当たりその基礎となる欠勤日数に産前産後休業の日数及び育児を容易にするための措置により短縮された勤務時間分を含める旨を定めた就業規則の付属文書の定めが無効となる理由を具体的に説示することなく,上記計算式を適用せず,産前産後休業の日数等を欠勤日数に含めた所定の減額を行わずに賞与全額の支払請求を認容した原審の判断には,違法がある。
(2につき意見及び反対意見がある。)
【参照条文】 民法90
労働基準法65
育児休業等に関する法律10
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事212号87頁
裁判所時報1353号3頁
判例タイムズ1143号233頁
判例時報1847号141頁
労働判例862号14頁
労働経済判例速報1858号3頁
【評釈論文】 ジュリスト1279号161頁
民法
(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
労働基準法
(産前産後)
第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
② 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③ 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
(不利益取扱いの禁止)
第十条 事業主は、労働者が育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。以下同じ。)をし、若しくは育児休業をしたこと又は第九条の五第二項の規定による申出若しくは同条第四項の同意をしなかったことその他の同条第二項から第五項までの規定に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
手形の振出人が手形の記載上法人と個人のいずれであるか明らかでない場合における手形責任
約束手形金請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和46年(オ)第209号
【判決日付】 昭和47年2月10日
【判示事項】 手形の振出人が手形の記載上法人と個人のいずれであるか明らかでない場合における手形責任
【判決要旨】 法人の代表者が手形に振出人として署名した場合において、手形の記載のみでは、その記載が法人のためにする旨の表示とも、代表者個人のためにする表示とも解されるときは、手形所持人は、法人または代表者個人のいずれに対しても、手形金の請求をすることができ、右請求を受けた者は、その振出が真実いずれの趣旨でなされたかを知つていた直接の相手に対しては、その旨の人的抗弁を主張することができる。
【参照条文】 手形法1
手形法8
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集26巻1号17頁
手形法
第一条 為替手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル為替手形ナルコトヲ示ス文字
二 一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル委託
三 支払ヲ為スベキ者(支払人)ノ名称
四 満期ノ表示
五 支払ヲ為スベキ地ノ表示
六 支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称
七 手形ヲ振出ス日及地ノ表示
八 手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名
第八条 代理権ヲ有セザル者ガ代理人トシテ為替手形ニ署名シタルトキハ自ラ其ノ手形ニ因リ義務ヲ負フ其ノ者ガ支払ヲ為シタルトキハ本人ト同一ノ権利ヲ有ス権限ヲ超エタル代理人ニ付亦同ジ
取締役の解任事由は原則として当該取締役が取締役に就任した以後に存在するものでなければならないとして、取締役に選任される以前、かつて同社の代表取締役であった当時の不正行為を解任事由とする解任請求が棄却された事例
取締役解任請求事件
【事件番号】 京都地方裁判所宮津支部判決/平成20年(ワ)第81号
【判決日付】 平成21年9月25日
【判示事項】 取締役の解任事由は原則として当該取締役が取締役に就任した以後に存在するものでなければならないとして、取締役に選任される以前、かつて同社の代表取締役であった当時の不正行為を解任事由とする解任請求が棄却された事例
【参照条文】 会社法854
【掲載誌】 判例時報2069号150頁
会社法
(株式会社の役員の解任の訴え)
第八百五十四条 役員(第三百二十九条第一項に規定する役員をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第三百二十三条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。
一 総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
二 発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該株式会社である株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
2 公開会社でない株式会社における前項各号の規定の適用については、これらの規定中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3 第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。
4 第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。
国税通則法五七条による充当は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか(積極)
所得税の還付金の充当処分の取消請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成5年(行ツ)第22号
【判決日付】 平成6年4月19日
【判示事項】 国税通則法五七条による充当は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか(積極)
【判決要旨】 国税通則法五七条による充当は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
【参照条文】 国税通則法57
行政事件訴訟法3-1
行政事件訴訟法3-2
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事172号363頁
判例タイムズ864号204頁
金融・商事判例958号13頁
判例時報1513号94頁
国税通則法
(充当)
第五十七条 国税局長、税務署長又は税関長は、還付金等がある場合において、その還付を受けるべき者につき納付すべきこととなつている国税(その納める義務が信託財産責任負担債務である国税に係る還付金等である場合にはその納める義務が当該信託財産責任負担債務である国税に限るものとし、その納める義務が信託財産責任負担債務である国税に係る還付金等でない場合にはその納める義務が信託財産限定責任負担債務である国税以外の国税に限る。)があるときは、前条第一項の規定による還付に代えて、還付金等をその国税に充当しなければならない。この場合において、その国税のうちに延滞税又は利子税があるときは、その還付金等は、まず延滞税又は利子税の計算の基礎となる国税に充当しなければならない。
2 前項の規定による充当があつた場合には、政令で定める充当をするのに適することとなつた時に、その充当をした還付金等に相当する額の国税の納付があつたものとみなす。
3 国税局長、税務署長又は税関長は、第一項の規定による充当をしたときは、その旨をその充当に係る国税を納付すべき者に通知しなければならない。
行政事件訴訟法
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
重度の身体障害者が車椅子で電車を利用して移動中、駅ホームで駅員の介助を受けていたところ、同駅員が車椅子のブレーキを掛けないで一時放置したこと等につき、旅客運送鉄道業者の旅客運送契約上の安全配慮義務違反が認められた事例
損害賠償請求控訴事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/平成15年(ネ)第1152号
【判決日付】 平成15年6月11日
【判示事項】 重度の身体障害者が車椅子で電車を利用して移動中、駅ホームで駅員の介助を受けていたところ、同駅員が車椅子のブレーキを掛けないで一時放置したこと等につき、旅客運送鉄道業者の旅客運送契約上の安全配慮義務違反が認められた事例
【参照条文】 商法590
【掲載誌】 判例時報1836号76頁
労働判例863号62頁
【評釈論文】 神奈川法学52巻1号94頁
法律時報別冊私法判例リマークス29号54頁
商法
(運送人の責任)
第五百九十条 運送人は、旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
「石に泳ぐ魚」事件・名誉・プライバシー等の侵害に基づく小説の出版の差止めを認めた原審の判断に違法がないとされた事例
損害賠償等請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成13年(オ)第851号、平成13年(受)第837号
【判決日付】 平成14年9月24日
【判示事項】 名誉、プライバシー等の侵害に基づく小説の出版の差止めを認めた原審の判断に違法がないとされた事例
【判決要旨】 甲をモデルとし、経歴、身体的特徴、家族関係等によって甲と同定可能な乙が全編にわたって登場する小説において、乙が顔面にしゅようを有すること、これについて通常人が嫌う生物や原形を残さない水死体の顔などに例えて表現されていること、乙の父親が逮捕された経歴を有していることなどの記述がされていることなど判示の事実関係の下では、公共の利益にかかわらない甲のプライバシーにわたる事項を表現内容に含む同小説の出版により公的立場にない甲の名誉、プライバシー及び名誉感情が侵害され、甲に重大で回復困難な損害を被らせるおそれがあるとして、同小説の出版の差止めを認めた原審の判断には、違法がない。
【参照条文】 民法1の2
民法198
民法199
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事207号243頁
裁判所時報1324号319頁
判例タイムズ1106号72頁
判例時報1802号60頁
民法
(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
殺人未遂の事案において中止未遂の成立を否定した事例
殺人未遂被告事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/令和元年(う)第1068号
【判決日付】 令和2年1月10日
【判示事項】 殺人未遂の事案において,被告人が,警察署に自首し,救急車を呼ぶよう要請したとする中止未遂の主張に対し,被告人が,現場を離れる前に救命活動を行なわずに,被害者を放置したことを根拠に,原判決が中止未遂の成立を否定したことは相当とはいえないが,被告人は,殺害行為の継続を止めた後,被害者の携帯電話機を持ち出し,被告人以外の者による被害者の救命活動を困難にし,結果発生防止行為を積極的に妨害した上で警察署に出頭しており,全体として規範的にみると,被告人が自ら結果発生を防止したとは評価できないとして,中止未遂の成立を否定した事例
【参照条文】 刑法43ただし書
【掲載誌】 東京高等裁判所判決時報刑事71巻1頁
判例タイムズ1478号110頁
刑法
(未遂減免)
第四十三条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
国税通則法68条の重加算税のほかに刑罰を科することと憲法39条
所得税法違反被告事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和43年(あ)第712号
【判決日付】 昭和45年9月11日
【判示事項】 国税通則法68条の重加算税のほかに刑罰を科することと憲法39条
【判決要旨】 同一の租税逋脱行為について国税通則法68条の重加算税のほかに刑罰を科しても、憲法39条に違反しない。
【参照条文】 国税通則法68
旧所得税法69(昭和40年法律33号による改正前)
所得税法238
憲法39
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集24巻10号1333頁
憲法
第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
国税通則法
(重加算税)
第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
2 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第七項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
3 前条第一項の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第二項若しくは第三項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者が事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつたときは、税務署長又は税関長は、当該納税者から、不納付加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る不納付加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を徴収する。
4 前三項の規定に該当する場合において、これらの規定に規定する税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものに基づき期限後申告書若しくは修正申告書の提出、更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は納税の告知(第三十六条第一項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)若しくは納税の告知を受けることなくされた納付があつた日の前日から起算して五年前の日までの間に、その申告、更正若しくは決定又は告知若しくは納付に係る国税の属する税目について、無申告加算税等を課され、又は徴収されたことがあるときは、前三項の重加算税の額は、これらの規定にかかわらず、これらの規定により計算した金額に、これらの規定に規定する基礎となるべき税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。
(加算税の税目)
第六十九条 過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税(以下「加算税」という。)は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
一 被告人本人の上告趣意第一点のその一について。
所論は、本件には昭和四〇年法律第三三号による改正前の所得税法六九条が適用されるところ、同条二項の規定では罰金の最高限度額が定まつておらず、刑量の特定を欠くといい、これを前提として、同条項が憲法三一条に違反する旨主張する。
しかし、所論改正前の所得税法六九条二項は、同条一項の「免れた又は還付を受けた所得税額が五百万円をこえるときは、同項の罰金は、五百万円をこえその免れた又は還付を受けた所得税額に相当する金額以下となすことができる。」と規定としているところ、「五百万円をこえその免れた又は還付を受けた所得税額」は、当該被告事件の裁判において認定されることによつて特定されるものであるから、罰金の最高限度額が定まつておらず、刑量が特定されていないということはできない。それゆえ、違憲の論旨は、前提を欠き、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
二 同第一点のその二について。
所論は、重加算税のほかに刑罰を科することは、憲法三九条に違反する旨主張する。
しかし、国税通則法六八条に規定する重加算税は、同法六五条ないし六七条に規定する各種の加算税を課すべき納税義務違反が課税要件事実を隠ぺいし、または仮装する方法によつて行なわれた場合に、行政機関の行政手続により違反者に課せられるもので、これによつてかかる方法による納税義務違反の発生を防止し、もつて徴税の実を挙げようとする趣旨に出た行政上の措置であり、違反者の不正行為の反社会性ないし反道徳性に着目してこれに対する制裁として科せられる刑罰とは趣旨、性質を異にするものと解すべきであつて、それゆえ、同一の租税逋脱行為について重加算税のほかに刑罰を科しても憲法三九条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決の趣旨とするところである(昭和三三年四月三〇日大法廷判決・民集一二巻六号九三八頁参照。なお、昭和三六年七月六日第一小法廷判決・刑集一五巻七号一〇五四頁参照。)。そして、現在これを変更すべきものとは認められないから、所論は、採ることができない。
三 同第一点のその三について。
所論は、昭和四〇年法律三三号による改正前の所得税法六九条に規定されている罰金刑は、甚だ高額であるが、別に重加算税が課せられるとなれば、両者の額を合算すれば、被告人は著しく過大な金額を国家に納付することになるから、右六九条は、刑罰は公正な刑罰であることを要求する憲法三一条に違反する旨主張する。
しかし、憲法三一条が所論のごとき事項を保障する規定であるかどうかは別にして、前述のごとく、罰金と重加算税とは、その趣旨、性質を異にするものであり、そして、所論改正前の所得税法六九条の罰金刑は、同条にその寡額の定めがなく、情状により比較的軽く量定されることもありうるのであるから、同条の罰金刑の規定自体が著しく重いということはできない。それゆえ、違憲の論旨は、前提を欠き、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
四 同第二点について。
所論は、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
なお、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
昭和四五年九月一一日
最高裁判所第二小法廷
原告が被告に対し,証券会社サイトを頻繁に閲覧したことを理由とする降格処分が懲戒権を濫用したもので無効として,労働契約に基づき,降格処分前の等級かつ月額役割給の支払を受ける地位の確認及び降格処分前と処分後の賃金の差額分の支払,並びに不法行為に基づき慰謝料の支払を求めた事案
地位確認等請求事件
【事件番号】 神戸地方裁判所判決/平成30年(ワ)第1636号
【判決日付】 令和元年11月27日
【判示事項】 原告が被告に対し,証券会社サイトを頻繁に閲覧したことを理由とする降格処分が懲戒権を濫用したもので無効として,労働契約に基づき,降格処分前の等級かつ月額役割給の支払を受ける地位の確認及び降格処分前と処分後の賃金の差額分の支払,並びに不法行為に基づき慰謝料の支払を求めた事案。裁判所は,原告の私的閲覧は,その目的及び態様,期間等から職務専念逸脱の程度は小さくないが,業務への支障及び被告に与える影響も大きいとまではいえず,降格処分は重きに失し社会通念上の相当性を欠き無効であるとした上,被告は,降格処分前後の役割給の差額分の支払義務を負うとして,各請求を認容し,慰謝料請求は理由がないとして棄却した事例
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 労政時報3993号12頁
労働契約法
(懲戒)
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
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コメント
特に税務の部分は、勉強になりました。