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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

相続税の課税価格に算入される財産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない場合

 

 

相続税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/令和2年(行ヒ)第283号

【判決日付】      令和4年4月19日

【判示事項】      1 相続税の課税価格に算入される財産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない場合

             2 相続税の課税価格に算入される不動産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反しないとされた事例

【判決要旨】      1 相続税の課税価格に算入される財産の価額について,財産評価基本通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には,当該財産の価額を上記通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない。

             2 相続税の課税価格に算入される不動産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは,次の(1),(2)など判示の事情の下においては,租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない。

             (1)当該不動産は,被相続人が購入資金を借り入れた上で購入したものであるところ,上記の購入及び借入れが行われなければ被相続人の相続に係る課税価格の合計額は6億円を超えるものであったにもかかわらず,これが行われたことにより,当該不動産の価額を上記通達の定める方法により評価すると,課税価格の合計額は2826万1000円にとどまり,基礎控除の結果,相続税の総額が0円になる。

             (2)被相続人及び共同相続人であるXらは,上記(1)の購入及び借入れが近い将来発生することが予想される被相続人からの相続においてXらの相続税の負担を減じ又は免れさせるものであることを知り,かつ,これを期待して,あえて当該購入及び借入れを企画して実行した。

【参照条文】      相続税法22

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集76巻4号411頁

 

 

相続税法

(評価の原則)

第二十二条 この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

 

 

将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時における目的債権の発生の可能性の程度と右契約の効力

 

 

供託金還付請求権確認請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成9年(オ)第219号

【判決日付】      平成11年1月29日

【判示事項】      一 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時における目的債権の発生の可能性の程度と右契約の効力

             二 医師が社会保険診療報酬支払基金から将来支払を受けるべき診療報酬債権を目的とする債権譲渡契約の効力を否定した原審の判断に違法があるとされた事例

【判決要旨】      一 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において目的債権の発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然には左右しない。

             二 医師が社会保険診療報酬支払基金から将来8年3箇月の間に支払を受けるべき各月の診療報酬債権の一部を目的として債権譲渡契約を締結した場合において、右医師が債務の弁済のために右契約を締結したとの一事をもって、契約締結後6年8箇月目から1年の間に発生すべき目的債権につき契約締結時においてこれが安定して発生することが確実に期待されたとはいえないとし、他の事情を考慮することなく、右契約のうち右期間に関する部分の効力を否定した原審の判断には、違法がある。

【参照条文】      民法466

             健康保険法43の9-5

             社会保険診療報酬支払基金法13-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集53巻1号151頁

 

 

民法

(債権の譲渡性)

第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。

4 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

 

(将来債権の譲渡性)

第四百六十六条の六 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。

2 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。

3 前項に規定する場合において、譲渡人が次条の規定による通知をし、又は債務者が同条の規定による承諾をした時(以下「対抗要件具備時」という。)までに譲渡制限の意思表示がされたときは、譲受人その他の第三者がそのことを知っていたものとみなして、第四百六十六条第三項(譲渡制限の意思表示がされた債権が預貯金債権の場合にあっては、前条第一項)の規定を適用する。

 

(債権の譲渡の対抗要件)

第四百六十七条 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。

2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

 

 

被告人の交際相手の男性であるAが,被告人の実子Bに暴行を加えたことが,Bの致命傷をもたらしたことを前提に,その時点での被告人の不作為を傷害致死幇助に問疑した原判決に誤りはないとした事例

 

 

              傷害致死幇助被告事件

【事件番号】      名古屋高等裁判所判決/平成17年(う)第248号

【判決日付】      平成17年11月7日

【判示事項】      被告人の交際相手の男性であるAが,被告人の実子Bに暴行を加えたことが,Bの致命傷をもたらしたことを前提に,その時点での被告人の不作為を傷害致死幇助に問疑した原判決に誤りはないとした事例

【掲載誌】        高等裁判所刑事裁判速報集平成17年292頁

             LLI/DB 判例秘書登載

 

 

刑法

(幇ほう助)

第六十二条 正犯を幇ほう助した者は、従犯とする。

2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

 

(傷害致死)

第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

 

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コメント

著者は、会社法に詳しい弁護士。

事項や裁判例の索引があれば、なお良かった。

 

早期退職に伴う退職奨励金について,統一的・画一的に労働者に対し適用される規定が存在する場合には,多数の労働者の協働を図る事業体における労働条件の統一的・画一的決定の要請により就業規則の定めを求める労基法89条の趣旨(法89条3の2参照)を尊重して,当該規定の文言を基礎として当事者の意思を合理的に解釈すべきであり,本件制度に基づく退職奨励金請求権の発生要件についても,本件制度を定めた内規の文言を基礎として,内規の文言と一体となったと認められる労使の解釈慣行を検討することにより,これを決すべきであるとされた例

 

 

 

              早期退職奨励金請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成12年(ワ)第15744号

【判決日付】      平成13年11月9日

【判示事項】      1 早期退職に伴う退職奨励金について,統一的・画一的に労働者に対し適用される規定が存在する場合には,多数の労働者の協働を図る事業体における労働条件の統一的・画一的決定の要請により就業規則の定めを求める労基法89条の趣旨(法89条3の2参照)を尊重して,当該規定の文言を基礎として当事者の意思を合理的に解釈すべきであり,本件制度に基づく退職奨励金請求権の発生要件についても,本件制度を定めた内規の文言を基礎として,内規の文言と一体となったと認められる労使の解釈慣行を検討することにより,これを決すべきであるとされた例

             2 50歳台層に対する3か月前までの申請を条件とする退職奨励金制度につき,その対象者には合意解約による退職者のみならず解約告知による退職者も含まれると解され,また退職予定日の3か月前の申請の要求は,本件制度による退職の場合は労働者からの解約告知について予告期間を14日で足りるとした就業規則の規定および民法627条1項等の規定にかかわらず3か月とする旨定めたものと解されうるから,これらの文言をもって直ちに被告人事部長の承諾が権利の発生に必要な制度と解することはできないとされた例

             3 本件制度の内規では,退職奨励金請求権が発生するには「満50歳の誕生日から満60歳の誕生日の前日に退職する」こと,すなわち退職の合意ないし解約告知の効果が発生する申請書に記載された退職予定日の経過によって退職することおよぴその退職日に労働者が満50歳以上60歳未満であることが必要と考えられ,本件制度は申請のみで権利が発生する制度とは認められず,原告は,申請書の退職予定日以前に希望退職制度に応募して50歳の誕生日の前に被告を退職したのであるから,その要件は満たしておらず,退職奨励金請求権は発生しないとされた例

【掲載誌】        労働判例819号39頁

             労働経済判例速報1787号22頁

 

 

労働基準法

(作成及び届出の義務)

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

 

民法

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。

 

本件ファイルを入手した第三者において,当該情報を本件工作機械の製造や販売等の事業活動に実際に役立てることができるかどうかは,不正競争防止法2条6項における有用性の判断要素ではない。

 

 

 

不正競争防止法違反被告事件

【事件番号】      名古屋高等裁判所判決/平成26年(う)第327号

【判決日付】      平成27年7月29日

【判示事項】      大手工作機械メーカーの中国籍の元社員Aが,同社の製品データを不正に複製したとして,不正競争防止法違反に問われた事案につき,Aは同社が営業秘密として管理していた機械部品の設計図などのデータを,売却目的で私物の記憶媒体に複製したとした上で,従業員としての秘密保持の任務に背いたとして懲役2年,執行猶予4年,罰金50万円の処した原判決を支持し,Aの控訴を棄却した事例

【判決要旨】      本件ファイルを入手した第三者において,当該情報を本件工作機械の製造や販売等の事業活動に実際に役立てることができるかどうかは,不正競争防止法2条6項における有用性の判断要素ではない。

【参照条文】      不正競争防止法21-1

             不正競争防止法2-6

【掲載誌】        高等裁判所刑事裁判速報集平成27年225頁

 

 

不正競争防止法

(定義)

第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

二 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為

三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

四 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第六号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)

五 その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

六 その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為

七 営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為

八 その営業秘密について営業秘密不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

九 その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為

十 第四号から前号までに掲げる行為(技術上の秘密(営業秘密のうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)を使用する行為に限る。以下この号において「不正使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(当該物を譲り受けた者(その譲り受けた時に当該物が不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)が当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を除く。)

十一 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為(以下「限定提供データ不正取得行為」という。)又は限定提供データ不正取得行為により取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為

十二 その限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為

十三 その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為

十四 限定提供データを保有する事業者(以下「限定提供データ保有者」という。)からその限定提供データを示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその限定提供データ保有者に損害を加える目的で、その限定提供データを使用する行為(その限定提供データの管理に係る任務に違反して行うものに限る。)又は開示する行為

十五 その限定提供データについて限定提供データ不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその限定提供データを開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為

十六 その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為があったこと又はその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為

十七 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第八項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為

十八 他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為

十九 不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為

二十 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為

二十一 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為

二十二 パリ条約(商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為

2 この法律において「商標」とは、商標法第二条第一項に規定する商標をいう。

3 この法律において「標章」とは、商標法第二条第一項に規定する標章をいう。

4 この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。

5 この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。

6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

7 この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(秘密として管理されているものを除く。)をいう。

8 この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録のために用いられる機器をいう。以下この項において同じ。)が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音、プログラムその他の情報を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

9 この法律において「プログラム」とは、電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。

10 この法律において「ドメイン名」とは、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。

11 この法律にいう「物」には、プログラムを含むものとする。

 

 

(罰則)

第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、詐欺等行為(人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為をいう。次号において同じ。)又は管理侵害行為(財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の営業秘密保有者の管理を害する行為をいう。次号において同じ。)により、営業秘密を取得した者

二 詐欺等行為又は管理侵害行為により取得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、使用し、又は開示した者

三 営業秘密を営業秘密保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者

イ 営業秘密記録媒体等(営業秘密が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体をいう。以下この号において同じ。)又は営業秘密が化体された物件を横領すること。

ロ 営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。

ハ 営業秘密記録媒体等の記載又は記録であって、消去すべきものを消去せず、かつ、当該記載又は記録を消去したように仮装すること。

四 営業秘密を営業秘密保有者から示された者であって、その営業秘密の管理に係る任務に背いて前号イからハまでに掲げる方法により領得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、使用し、又は開示した者

五 営業秘密を営業秘密保有者から示されたその役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。次号において同じ。)又は従業者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、その営業秘密を使用し、又は開示した者(前号に掲げる者を除く。)

六 営業秘密を営業秘密保有者から示されたその役員又は従業者であった者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その在職中に、その営業秘密の管理に係る任務に背いてその営業秘密の開示の申込みをし、又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受けて、その営業秘密をその職を退いた後に使用し、又は開示した者(第四号に掲げる者を除く。)

七 不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、第二号若しくは前三号の罪又は第三項第二号の罪(第二号及び前三号の罪に当たる開示に係る部分に限る。)に当たる開示によって営業秘密を取得して、その営業秘密を使用し、又は開示した者

八 不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、第二号若しくは第四号から前号までの罪又は第三項第二号の罪(第二号及び第四号から前号までの罪に当たる開示に係る部分に限る。)に当たる開示が介在したことを知って営業秘密を取得して、その営業秘密を使用し、又は開示した者

九 不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、自己又は他人の第二号若しくは第四号から前号まで又は第三項第三号の罪に当たる行為(技術上の秘密を使用する行為に限る。以下この号及び次条第一項第二号において「違法使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供した者(当該物が違法使用行為により生じた物であることの情を知らないで譲り受け、当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供した者を除く。)

2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 不正の目的をもって第二条第一項第一号又は第二十号に掲げる不正競争を行った者

二 他人の著名な商品等表示に係る信用若しくは名声を利用して不正の利益を得る目的で、又は当該信用若しくは名声を害する目的で第二条第一項第二号に掲げる不正競争を行った者

三 不正の利益を得る目的で第二条第一項第三号に掲げる不正競争を行った者

四 不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で、第二条第一項第十七号又は第十八号に掲げる不正競争を行った者

五 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者(第一号に掲げる者を除く。)

六 秘密保持命令に違反した者

七 第十六条、第十七条又は第十八条第一項の規定に違反した者

3 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 日本国外において使用する目的で、第一項第一号又は第三号の罪を犯した者

二 相手方に日本国外において第一項第二号又は第四号から第八号までの罪に当たる使用をする目的があることの情を知って、これらの罪に当たる開示をした者

三 日本国内において事業を行う営業秘密保有者の営業秘密について、日本国外において第一項第二号又は第四号から第八号までの罪に当たる使用をした者

4 第一項(第三号を除く。)並びに前項第一号(第一項第三号に係る部分を除く。)、第二号及び第三号の罪の未遂は、罰する。

5 第二項第六号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

6 第一項各号(第九号を除く。)、第三項第一号若しくは第二号又は第四項(第一項第九号に係る部分を除く。)の罪は、日本国内において事業を行う営業秘密保有者の営業秘密について、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。

7 第二項第六号の罪は、日本国外において同号の罪を犯した者にも適用する。

8 第二項第七号(第十八条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

9 第一項から第四項までの規定は、刑法その他の罰則の適用を妨げない。

10 次に掲げる財産は、これを没収することができる。

一 第一項、第三項及び第四項の罪の犯罪行為により生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産

二 前号に掲げる財産の果実として得た財産、同号に掲げる財産の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他同号に掲げる財産の保有又は処分に基づき得た財産

11 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第十四条及び第十五条の規定は、前項の規定による没収について準用する。この場合において、組織的犯罪処罰法第十四条中「前条第一項各号又は第四項各号」とあるのは、「不正競争防止法第二十一条第十項各号」と読み替えるものとする。

12 第十項各号に掲げる財産を没収することができないとき、又は当該財産の性質、その使用の状況、当該財産に関する犯人以外の者の権利の有無その他の事情からこれを没収することが相当でないと認められるときは、その価額を犯人から追徴することができる。

土地賃借権の存在を知つて土地を買受けた者に対しては、土地上に登記した建物を有しない土地賃借人も、これに土地賃借権を主張しうるか

 

 

建物収去土地明渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和39年(オ)第842号

【判決日付】      昭和40年4月2日

【判示事項】      土地賃借権の存在を知つて土地を買受けた者に対しては、土地上に登記した建物を有しない土地賃借人も、これに土地賃借権を主張しうるか

【判決要旨】      土地の賃借人は、その土地の上に登記した建物を有しないかぎり、右賃借権の存在を知つて土地所有権を取得した第三者に対しても、土地賃借権を主張することができない。

【参照条文】      建物保護ニ関スル法律1-1

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事78号515頁

             判例タイムズ178号102頁

             判例時報411号65頁

 

 

借地借家法

(借地権の対抗力)

第十条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

 

 

民法

(不動産賃貸借の対抗力)

第六百五条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

(不動産の賃貸人たる地位の移転)

第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。

2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。

3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。

4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

 

商法第42条による表見支配人の権限の範囲

 

 

              売掛代金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和30年(オ)第159号

【判決日付】      昭和32年3月5日

【判示事項】      1、商法第42条による表見支配人の権限の範囲

             2、商法第42条、第38条にいう「営業ニ関スル行為」と民法第715条の「事業ノ執行ニ付キ」なされた行為との異同

             3、所有権侵害の故意と特定人に対する所有権侵害の認識の要否

【判決要旨】      1、商法第42条により表見支配人の権限に属する「営業ニ関スル行為」には、営業の目的たる行為の外、営業のため必要な行為をも含むと解すべきであつて、営業のため必要な行為にあたるか否かは、当該行為につき、その行為の性質の外、取引の数量をも勘案し、その営業のため必要か否かを客観的に勘案してこれを決すべきである。

             2、支店宅のなした特定の行為が、商法第42条、第38条にいう「営業ニ関スル行為」にあたらないことを理由として、直ちに民法第715条にいわゆる「事業ノ執行ニ付キ」なされた行為にもあたらないと断定することは違法である。

             3、不法行為者に所有権侵害の故意があるというためには、特定人の所有権を侵害する事実につき認識を要するものでなく、単に他人の所有権を侵害する事実の認識があれば足りる。

【参照条文】      商法42

             商法38

             民法715

             民法709

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集11巻3号395頁

 

 

商法

(支配人)

第二十条 商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。

 

(支配人の代理権)

第二十一条 支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。

3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

 

(表見支配人)

第二十四条 商人の営業所の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(使用者等の責任)

第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

 

 

       主   文

 

 原判決中上告人の不法行為に基づく損害賠償の請求を排斥した部分を破棄する。

 右部分に関する事件を東京高等裁判所に差し戻す。

 原判決中その余の部分に関する上告を棄却する。

 前項の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人中島登喜治の上告理由第一点について。

 所論は原審で主張しない事項をいうものであるのみならず、原審が、上告人において所論の担保のために本件売買を承諾した事実を認定していない以上、所論のような理由によつて右売買を所論営業に関する行為と解することもできないのであつて、論旨は採るを得ない。

 上告代理人田辺恒之、千葉宗八、松浦登志雄、青柳洋の上告理由第一点について。

 原判決の摘示するところによれば内野支店長Aが商法四二条により本件取引をなす権限を有する旨の上告人の主張は被上告人においてこれを認めず、係争事項となつていたことが認められるから、原審が上告人の主張の当否を判断した上これを排斥したのはもとより当然であつて所論(一)の違法はなく、ヌ右の判断は所論の資料をまたずしてこれをなし得る場合に属するのであるからこの点について原審のなした判断について所論(二)の違法ありとは言えない。論旨は理由がない。

 同第二点および第三点について。

 商法第四二条によつて支店の営業の主任者たることを示すべき名称を附した使用人が支店の支配人と同一の権限を有するものと看做される、いわゆる「営業ニ関スル行為」とは、営業の目的たる行為の外営業のため必要な行為をも含むものと解すべきではあるが、当該行為がこれにあたるか否かは、行為の性質の外、取引の数量等をも勘案し客観的に観察してこれを決すべきものと解するのが相当である。それ故原判決が、本件のように靴下五千ダースの売買契約の如きは明らかにその営業に関せざる権限外の行為というべきであるとして商法四二条の適用を否定したのは正当であり、所論のように支店長Aが不良貸付回収を目的とし、職員の厚生にも資そうとしたものであつたとしても、これによつて右判断を不当とすることはできない。原判決にはすべて所論の違法はなく論旨は理由がない。

大阪市ヘイトスピーチ条例事件・上告審判決・大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条~10条と憲法21条1項

 

 

              公金支出無効確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/令和3年(行ツ)第54号

【判決日付】      令和4年2月15日

【判示事項】      大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条~10条と憲法21条1項

【判決要旨】      大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条~10条は,憲法21条1項に違反しない。

【参照条文】      憲法21-1

             大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平28大阪市条例1号)2

             大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平28大阪市条例1号)5

             大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平28大阪市条例1号)6

             大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平28大阪市条例1号)7

             大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平28大阪市条例1号)8

             大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平28大阪市条例1号)9

             大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平28大阪市条例1号)10

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集76巻2号190頁

 

 

憲法

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

 

      主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人徳永信一,同岩原義則の上告理由について

 第1 事案の概要

 1 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号。以下「本件条例」という。)2条,5条~10条(以下「本件各規定」という。)は,一定の表現活動をヘイトスピーチと定義した上で,これに該当する表現活動のうち大阪市(以下「市」という。)の区域内で行われたもの等について,市長が当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置等をとるものとするほか,市長の諮問に応じて表現活動が上記の定義に該当するか否か等について調査審議等をする機関として大阪市ヘイトスピーチ審査会(以下「審査会」という。)を置くこと等を規定している。

 本件は,市の住民である上告人らが,本件各規定が憲法21条1項等に違反し,無効であるため,審査会の委員の報酬等に係る支出命令は法令上の根拠を欠き違法であるなどとして,市の執行機関である被上告人を相手に,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,当時市長の職にあった者に対して損害賠償請求をすることを求める住民訴訟である。

 2 本件各規定の概要は,次のとおりである。

 (1) 本件条例2条1項柱書きは,本件条例においてヘイトスピーチとは,次のア~ウのいずれにも該当する表現活動をいう旨を規定する(以下,この表現活動を「条例ヘイトスピーチ」という。)。

 ア 次のいずれかを目的として行われるものであること((ウ)については,当該目的が明らかに認められるものであること。以下同じ。)(同項1号柱書き)

 (ア) 人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は当該個人により構成される集団(以下「特定人等」という。)を社会から排除すること(同号ア)

 (イ) 特定人等の権利又は自由を制限すること(同号イ)

 (ウ) 特定人等に対する憎悪若しくは差別の意識又は暴力をあおること(同号ウ)

 イ 表現の内容又は表現活動の態様が次のいずれかに該当すること(同項2号柱書き)

 (ア) 特定人等を相当程度侮蔑し又はひぼう中傷するものであること(同号ア)

 (イ) 特定人等(当該特定人等が集団であるときは,当該集団に属する個人の相当数。同号イにつき以下同じ。)に脅威を感じさせるものであること(同号イ)

 ウ 不特定多数の者が表現の内容を知り得る状態に置くような場所又は方法で行われるものであること(同項3号)

 (2) 本件条例5条1項柱書き本文は,市長は,次のア又はイの表現活動が条例ヘイトスピーチに該当すると認めるときは,事案の内容に即して当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置(以下「拡散防止措置」という。)をとるとともに,当該表現活動が条例ヘイトスピーチに該当する旨,表現の内容の概要及びその拡散を防止するためにとった措置並びに当該表現活動を行ったものの氏名又は名称を公表する(以下,これを「認識等公表」といい,拡散防止措置と併せて「拡散防止措置等」という。)ものとする旨を規定する。

 ア 市の区域内で行われた表現活動(同項1号)

 イ 市の区域外で行われた表現活動等で次のいずれかに該当するもの(同項2号柱書き)

 (ア) 表現の内容が市民等に関するものであると明らかに認められる表現活動(同号ア)

 (イ) 上記(ア)に掲げる表現活動以外の表現活動で市の区域内で行われた条例ヘイトスピーチの内容を市の区域内に拡散するもの(同号イ)

 (3) 本件条例6条1項柱書き本文は,市長は,上記(2)ア又はイの表現活動が条例ヘイトスピーチに該当するおそれがあると認めるとき等は,当該表現活動が上記(2)ア又はイのいずれかに該当するものであること及び当該表現活動が条例ヘイトスピーチに該当するものであることについて,あらかじめ審査会の意見を聴かなければならない旨を規定する。

 (4) 本件条例7条1項は,上記(3)の事項等について,諮問に応じて調査審議をし,又は報告に対して意見を述べさせるため,市長の附属機関として審査会を置く旨を規定し,本件条例8条は,審査会は,委員5人以内で組織し(1項),審査会の委員は,市長が,学識経験者その他適当と認める者のうちから市議会(以下「市会」という。)の同意を得て委嘱する(2項)旨を規定する。また,本件条例9条は,審査会の調査審議の手続について規定し,本件条例10条は,本件条例7条~9条に定めるもののほか,審査会の組織及び運営並びに調査審議の手続に関し必要な事項は規則で定める旨を規定する。

 3 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。

 (1) 公益財団法人人権教育啓発推進センターが平成28年3月に公表した「平成27年度法務省委託調査研究事業 ヘイトスピーチに関する実態調査報告書」は,いわゆるヘイトスピーチを伴うデモ又は街宣活動を行っていると報道等で指摘される団体の活動を調査した結果,特定の民族等に属する集団を一律に排斥する内容や,同集団に属する者の生命,身体等に危害を加える旨の内容を伴うデモ又は街宣活動は,同24年4月から同27年9月までの3年6か月間に,全国において1152件が行われ,その14.2%に相当する164件が大阪府内において行われたとしている。また,上記の報告書は,市内では,平成24年6月,同26年5月,同年9月,同27年3月及び同年4月に行われたデモ又は街宣活動において,上記のような内容の発言に加えて,特定の民族等に属する集団を蔑称で呼ぶなどして殊更にひぼう中傷する内容の発言が確認されたほか,同25年4月に大阪市北区梅田で行われた街宣活動において,特定の民族に属する者を殺害することをあおるシュプレヒコールをすることは当然である旨の発言や当該民族が同じ生き物ではない旨の発言があったことが報道されたとしている。

 (2) 大阪市人権尊重の社会づくり条例(平成12年大阪市条例第25号)に基づき置かれた大阪市人権施策推進審議会は,市長から諮問を受け,平成27年2月,市内において現実にヘイトスピーチが行われている状況にあり,市は,市民の人権を擁護するために,ヘイトスピーチに対して独自で可能な方策をとることで,ヘイトスピーチは許さないという姿勢を明確に示していくことが必要である旨の答申(以下「本件答申」という。)をした。本件答申は,ヘイトスピーチと認定した事案について,差別の拡散につながらないよう十分に留意しながら,ヘイトスピーチであるという認識,その事案の概要及び講じた措置を公表することが適当であるなどとする一方で,憲法上の表現の自由との関係を考慮し,単なる批判や非難を上記措置等の対象外とし,社会からの排除等を目的とする表現活動にその対象を限定することが適当であるなどとしていた。

 (3) 本件条例に係る条例案は,本件答申を受けて,平成27年5月,市会に提出され,その審議を経て,同28年1月15日,可決成立した。

 (4) 市会は,平成27年6月,衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣及び法務大臣に宛てて,地方自治法99条に基づき,市内においてデモ又は街宣活動の際にヘイトスピーチが頻繁に行われていること等から,ヘイトスピーチの根絶に向けて実効性のある法律の整備を視野に入れた対策を早急に進めるよう強く要望する旨の意見書を提出する旨の決議をした。

 第2 上告理由のうち本件各規定の憲法21条1項違反をいう部分について

 1(1) 前記事実関係等によれば,本件条例の制定当時,市内においては,特定の民族等に属する集団を一律に排斥する内容,同集団に属する者の生命,身体等に危害を加える旨の内容,同集団をその蔑称で呼ぶなどして殊更にひぼう中傷する内容等の差別的言動を伴う街宣活動等が頻繁に行われていたことがうかがわれる。そして,本件答申は,市内において現実にヘイトスピーチが行われている状況にあるとした上で,市が,ヘイトスピーチと認定した事案について,ヘイトスピーチであるという認識,その事案の概要及び講じた措置を公表することが適当であるなどとする一方,憲法上の表現の自由との関係を考慮し,単なる批判や非難を上記措置等の対象外とし,社会からの排除等を目的とする表現活動にその対象を限定することが適当であるなどとしており,これを受けて,本件条例に係る条例案が提出され,可決成立したものである。以上のような本件条例の制定経緯に加え,本件条例が,条例ヘイトスピーチが差別の意識を生じさせるおそれがあること等に鑑み,市民等の人権を擁護するとともに条例ヘイトスピーチの抑止を図ることを目的とする旨を規定した(1条)上で,その適用に当たっては,表現の自由その他の憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない旨を規定している(11条)ことに照らせば,本件条例は,表現の自由の保障に配慮しつつ,上記のような人種又は民族に係る特定の属性を理由とする過激で悪質性の高い差別的言動の抑止を図ることをその趣旨とするものと解するのが相当である。

 (2) 本件条例2条1項柱書きは,拡散防止措置等の対象となる条例ヘイトスピーチの定義として,同項各号のいずれにも該当する表現活動をいう旨を規定しているところ,その文理及び上記の本件条例の趣旨に照らせば,同項1号は,一定の不当な目的を有することを要件としたものであり,具体的には,当該表現活動が,人種又は民族に係る特定の属性を理由とし,同号ア~ウのいずれかを目的として行われるものであることを要する旨を規定したものと解するのが相当である。

 また,同項2号も,表現の内容及び表現活動の態様が特に悪質性の高いものであることを要件としたものであり,具体的には,当該表現活動が,特定人等をその蔑称で呼ぶなど,特定人等を相当程度侮蔑し,若しくはひぼう中傷するものであること(同号ア),又は特定人等の生命,身体若しくは財産について危害を加える旨を告知し,若しくは同危害を加えかねない気勢を示すなど,社会通念に照らして,特定人等に脅威を感じさせるものであること(同号イ)を要する旨を規定したものと解するのが相当である。そして,同項3号も,上記の本件条例の趣旨等を踏まえて,当該表現活動が,仲間内等の限られた者の間で行われるものではなく,不特定多数の者が表現の内容を知り得る状態に置くような場所又は方法で行われるものであることを要する旨を規定したものということができる。

 2 そこで,進んで本件各規定が憲法21条1項に違反するかを検討する。

 憲法21条1項により保障される表現の自由は,立憲民主政の政治過程にとって不可欠の基本的人権であって,民主主義社会を基礎付ける重要な権利であるものの,無制限に保障されるものではなく,公共の福祉による合理的で必要やむを得ない限度の制限を受けることがあるというべきである。そして,本件において,本件各規定による表現の自由に対する制限が上記限度のものとして是認されるかどうかは,本件各規定の目的のために制限が必要とされる程度と,制限される自由の内容及び性質,これに加えられる具体的な制限の態様及び程度等を較量して決めるのが相当である(最高裁昭和52年(オ)第927号同58年6月22日大法廷判決・民集37巻5号793頁等参照)。

 本件各規定は,拡散防止措置等を通じて,表現の自由を一定の範囲で制約するものといえるところ,その目的は,その文理等に照らし,条例ヘイトスピーチの抑止を図ることにあると解される。そして,条例ヘイトスピーチに該当する表現活動のうち,特定の個人を対象とする表現活動のように民事上又は刑事上の責任が発生し得るものについて,これを抑止する必要性が高いことはもとより,民族全体等の不特定かつ多数の人々を対象とする表現活動のように,直ちに上記責任が発生するとはいえないものについても,前記1(2)で説示したところに照らせば,人種又は民族に係る特定の属性を理由として特定人等を社会から排除すること等の不当な目的をもって公然と行われるものであって,その内容又は態様において,殊更に当該人種若しくは民族に属する者に対する差別の意識,憎悪等を誘発し若しくは助長するようなものであるか,又はその者の生命,身体等に危害を加えるといった犯罪行為を扇動するようなものであるといえるから,これを抑止する必要性が高いことに変わりはないというべきである。加えて,市内においては,実際に上記のような過激で悪質性の高い差別的言動を伴う街宣活動等が頻繁に行われていたことがうかがわれること等をも勘案すると,本件各規定の目的は合理的であり正当なものということができる。

 また,本件各規定により制限される表現活動の内容及び性質は,上記のような過激で悪質性の高い差別的言動を伴うものに限られる上,その制限の態様及び程度においても,事後的に市長による拡散防止措置等の対象となるにとどまる。そして,拡散防止措置については,市長は,看板,掲示物等の撤去要請や,インターネット上の表現についての削除要請等を行うことができると解されるものの,当該要請等に応じないものに対する制裁はなく,認識等公表についても,表現活動をしたものの氏名又は名称を特定するための法的強制力を伴う手段は存在しない。

 そうすると,本件各規定による表現の自由の制限は,合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものというべきである。そして,以上説示したところによれば,本件各規定のうち,条例ヘイトスピーチの定義を規定した本件条例2条1項及び市長が拡散防止措置等をとるための要件を規定した本件条例5条1項は,通常の判断能力を有する一般人の理解において,具体的場合に当該表現活動がその適用を受けるものかどうかの判断を可能とするような基準が読み取れるものであって,不明確なものということはできないし,過度に広汎な規制であるということもできない。

 3 したがって,本件各規定は憲法21条1項に違反するものということはできない。以上は,当裁判所大法廷判決(前掲最高裁昭和58年6月22日大法廷判決,最高裁昭和57年(行ツ)第156号同59年12月12日大法廷判決・民集38巻12号1308頁,最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁)の趣旨に徴して明らかというべきである。論旨は採用することができない。

 第3 その余の上告理由について

 論旨は,違憲をいうが,その実質は単なる法令違反をいうもの又はその前提を欠くものであって,民訴法312条1項及び2項に規定する事由のいずれにも該当しない。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

 

 

 

朝日放送事件 労働組合法7条にいう「使用者」の意義

 

 

不当労働行為救済命令取消請求上告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成5年(行ツ)第17号

【判決日付】      平成7年2月28日

【判示事項】      一 労組法7条にいう「使用者」の意義については、同条が団結権の侵害に当たる一定の行為を不当労働行為として排除、是正して正常な労使関係を回復することを目的としていることにかんがみると、雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、右事業主は同条の「使用者」に当たると解するのが相当であるとされた例

             二 右判旨により、被上告人会社が派遣労働者の雇用主である訴外請負3社と「部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に(基本的労働条件等を)支配、決定することができる地位」にあったと認定された例

             三 被上告人会社が同条の「使用者」に当たらず、従って上告補助参加人組合との間では同条2号の不当労働行為が成立する余地はないとの解釈に基づき、会社に対し、就労に係る諸条件につき団交を命じた中労委命令及びこれを支持した一審判決を取り消した原審判決には労組法7条の解釈適用を誤った違法があるとして破棄された例

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集49巻2号559頁

 

労働組合法

(不当労働行為)

第七条 使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

二 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

四 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと若しくは中央労働委員会に対し第二十七条の十二第一項の規定による命令に対する再審査の申立てをしたこと又は労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。