法律大好きのブログ(弁護士村田英幸) -148ページ目

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

講師名   田中 豊(東京/元裁判官・最高裁判所調査官)

掲載期間              2023年01月06日~2024年06月30日

総時間   01時間53分24秒

商品説明              近時、書籍やデータベースを通じて判例の入手は容易になりましたが、弁護士としては、情報を入手するだけではなく、判例の判断内容はもとよりその位置付けや射程範囲等につき十分整理して理解しておくことが必要です。

この研修では、2021年4月1日から2022年3月31日までの間に言い渡された民事・民事訴訟法の重要最高裁判例につき、田中豊弁護士(元裁判官・最高裁判所調査官)が、その判例のもつ意味や実務に及ぼす影響等について詳しく解説します。

日弁連研修「税務分野(資産課税)に関する連続講座(第1回)譲渡所得課税の基礎と弁護士業務」を受講しました

 

講師名   三木 義一(第二東京)、山本 洋一郎(大分県)

掲載期間              2023年04月25日~2025年06月30日

総時間   01時間55分14秒

商品説明              税務分野について初めて学ぶ弁護士、税務分野に苦手意識を持っている弁護士、日常業務に関連する税務の知識を再確認したい弁護士を対象に企画された、「資産課税」についての連続講座(全2回)の1回目です。

第1回目は「譲渡所得課税の基礎と弁護士業務」をテーマに、弁護士が扱うことの多い譲渡所得税についての基本的な知識について、弁護士業務という視点から、2名の講師の対談形式で、質問や議論を交えながら解説します。

 

講師名   片岡 武(東京)

掲載期間              2023年06月08日~2025年06月30日

総時間   01時間55分25秒

商品説明              近時、書籍やデータベースを通じて判例の入手は容易になりましたが、弁護士としては、情報を入手するだけではなく、判例の判断内容はもとよりその位置付けや射程範囲等につき十分整理して理解しておくことが必要です。

本研修では、片岡武弁護士(元東京家庭裁判所部総括判事(遺産分割専門部))が、最近の家事事件(相続分野)の判例(裁判例)から、実務家が押さえておくべき重要なものを選出し、その判例(裁判例)の意義や実務に及ぼす影響等について詳しく解説します。

 

 

甲の所有地上の建物所有者乙がこれを丙に譲渡した後もなお登記名義を保有する場合における建物収去・土地明渡義務者

 

 

建物収去土地明渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成4年(オ)第602号

【判決日付】      平成6年2月8日

【判示事項】      甲の所有地上の建物所有者乙がこれを丙に譲渡した後もなお登記名義を保有する場合における建物収去・土地明渡義務者

【判決要旨】      甲の所有地上の建物の所有権を取得し、自らの意志に基づいて、その旨の登記を経由した乙は、たとい右建物を丙に譲渡したとしても、引き続き右登記名義を保有する限り、甲に対し、建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない。

【参照条文】      民法177

             民法200

             民法206

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集48巻2号373頁

 

 

民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

(占有回収の訴え)

第二百条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

2 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

 

(所有権の内容)

第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

 

 

 

北方ジャーナル事件

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和56年(オ)第609号

【判決日付】      昭和61年6月11日

【判示事項】      1、出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めと憲法21条2項前段にいう「検閲」

             2、名誉侵害と侵害行為の差止請求権

             3、公務員または公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関する出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止の許否

             4、公共の利害に関する事項についての表現行為の事前差止めを仮処分によって命ずる場合と口頭弁論または債務者の審尋

【判決要旨】      1、雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、憲法21条2項前段にいう「検閲」には当たらない。

             2、名誉侵害の被害者は、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対して、現に行われている侵害行為を排除し、または将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる。

             3、人格権としての名誉権に基づく出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めは、右出版物が公務員または公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には、原則として許されず、その表現内容が真実でないかまたはもっぱら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときに限り、例外的に許される。

             4、公共の利害に関する事項についての表現行為の事前差止めを仮処分によって命ずる場合には、原則として、口頭弁論または債務者の審尋を経ることを要するが、債権者の提出した資料によって、その表現内容が真実でないかまたはもっぱら公益を図る目的のものでないことが明白であり、かつ、債務者が重大にして著しく回復困難な損害を生ずる虞あると認められるときは、口頭弁論または債務者の審尋を経なくても、憲法21条の趣旨に反するものとはいえない。

【参照条文】      民事訴訟法760

             憲法21-2

             民法1の2

             民法198

             民法199

             民法709

             民法710

             刑法230の2

             憲法13

             憲法21

             民事訴訟法757-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集40巻4号872頁

 

 

憲法

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

 

民事保全法

(仮処分命令の必要性等)

第二十三条 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。

3 第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。

4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

 

 

民法

(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

 

刑法

(公共の利害に関する場合の特例)

第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。

3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

 

 

 

退去強制令書発付処分の送還部分及び収容部分の両方について,その執行が停止された事例

 

 

執行停止申立て事件

【事件番号】      大阪地方裁判所決定/平成19年(行ク)第1号

【判決日付】      平成19年3月30日

【判示事項】      退去強制令書発付処分の送還部分及び収容部分の両方について,その執行が停止された事例

【参照条文】      行政事件訴訟法25-2

             出入国管理及び難民認定法49-6

             出入国管理及び難民認定法52-5

【掲載誌】        判例タイムズ1256号58頁

 

 

行政事件訴訟法

(執行停止)

第二十五条 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。

2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。

3 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。

4 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。

5 第二項の決定は、疎明に基づいてする。

6 第二項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。

7 第二項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

8 第二項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。

 

 

出入国管理及び難民認定法

(異議の申出)

第四十九条 前条第八項の通知を受けた容疑者は、同項の判定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、法務省令で定める手続により、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対し異議を申し出ることができる。

2 主任審査官は、前項の異議の申出があつたときは、第四十五条第二項の審査に関する調書、前条第四項の口頭審理に関する調書その他の関係書類を法務大臣に提出しなければならない。

3 法務大臣は、第一項の規定による異議の申出を受理したときは、異議の申出が理由があるかどうかを裁決して、その結果を主任審査官に通知しなければならない。

4 主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないことを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けたときは、直ちに当該容疑者を放免しなければならない。

5 主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が出国命令対象者に該当することを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けた場合において、当該容疑者に対し第五十五条の三第一項の規定により出国命令をしたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

6 主任審査官は、法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに当該容疑者に対し、その旨を知らせるとともに、第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。

 

(退去強制令書の執行)

第五十二条 退去強制令書は、入国警備官が執行するものとする。

2 警察官又は海上保安官は、入国警備官が足りないため主任審査官が必要と認めて依頼したときは、退去強制令書の執行をすることができる。

3 入国警備官(前項の規定により退去強制令書を執行する警察官又は海上保安官を含む。以下この条において同じ。)は、退去強制令書を執行するときは、退去強制を受ける者に退去強制令書又はその写しを示して、速やかにその者を次条に規定する送還先に送還しなければならない。ただし、第五十九条の規定により運送業者が送還する場合には、入国警備官は、当該運送業者に引き渡すものとする。

4 前項の場合において、退去強制令書の発付を受けた者が、自らの負担により、自ら本邦を退去しようとするときは、入国者収容所長又は主任審査官は、その者の申請に基づき、これを許可することができる。この場合においては、退去強制令書の記載及び次条の規定にかかわらず、当該申請に基づき、その者の送還先を定めることができる。

5 入国警備官は、第三項本文の場合において、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、収容場その他出入国在留管理庁長官又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる。

6 入国者収容所長又は主任審査官は、前項の場合において、退去強制を受ける者を送還することができないことが明らかになつたときは、住居及び行動範囲の制限、呼出に対する出頭の義務その他必要と認める条件を附して、その者を放免することができる。

7 入国警備官は、退去強制令書の執行に関し必要がある場合には、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 

 

 

       主   文

 

 1 大阪入国管理局主任審査官が申立人に対して平成18年10月31日付けで発付した退去強制令書に基づく執行は,本案事件(当庁平成19年(行ウ)第5号退去強制令書発付処分取消等請求事件)の第1審判決の言渡しの日から30日を経過する日まで停止する。

 2 申立人のその余の申立てを却下する。

 3 申立費用は相手方の負担とする。

 

東洋酸素事件・整理解雇

 

 

地位保全仮処分控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/昭和51年(ネ)第1028号

【判決日付】      昭和54年10月29日

【判示事項】      1、企業の特定事業部門の閉鎖を理由とする解雇における解雇事由存否の判断基準

             2、企業の特定事業部門の閉鎖を理由とする解雇が権利濫用にならないとされた事例

【参照条文】      労働基準法20

             民法1

【掲載誌】        労働関係民事裁判例集30巻5号1002頁

             東京高等裁判所判決時報民事30巻10号259頁

             判例タイムズ401号41頁

             判例時報948号111頁

             労働判例330号71頁

 

整理解雇の4要件

本件で、会社は、「やむを得ない事業の都合によるとき」は従業員を解雇できる旨の就業規則の規定により解雇した。

本判決は、就業規則の条項をわが国における一般的な労働者の雇用形態から生ずる労働者保護の必要性に由来する解雇自由の制限を明文化したものと把握したうえ、本件の場合右条項による解雇事由の有無の判定に当っては、(1)事業部門閉鎖の必要性、(2)人員整理の必要性ないし合理性、(3)被解雇者選定の合理性の三要件の充足が吟味されれば足り、(4)解雇手続が合理的になされなかったことは、解雇権の発生障害事由にとどまるものとし、詳細に事実を認定して右の三要件の存在を肯定した。

 

証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対し不服の申立てをすることの許否

 

 

              文書提出命令申立て却下決定に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成11年(許)第20号

【判決日付】      平成12年3月10日

【判示事項】      一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対し不服の申立てをすることの許否

             二 民訴法一九七条一項三号所定の「技術又は職業の秘密」の意義

【判決要旨】      一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。

             二 民訴法一九七条一項三号所定の「技術又は職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの又は当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいう。

【参照条文】      民事訴訟法221

             民事訴訟法223-4

             民事訴訟法197-1

             民事訴訟法220

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集54巻3号1073頁

 

 

民事訴訟法

第百九十七条 次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。

一 第百九十一条第一項の場合

二 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷とう若しくは祭祀しの職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合

三 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合

2 前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には、適用しない。

 

(文書提出義務)

第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。

一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)

ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

 

(文書提出命令の申立て)

第二百二十一条 文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一 文書の表示

二 文書の趣旨

三 文書の所持者

四 証明すべき事実

五 文書の提出義務の原因

2 前条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない。

 

(文書提出命令等)

第二百二十三条 裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。

2 裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。

3 裁判所は、公務員の職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立てがあった場合には、その申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣。以下この条において同じ。)の意見を聴かなければならない。この場合において、当該監督官庁は、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べるときは、その理由を示さなければならない。

4 前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。

一 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ

二 犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ

5 第三項前段の場合において、当該監督官庁は、当該文書の所持者以外の第三者の技術又は職業の秘密に関する事項に係る記載がされている文書について意見を述べようとするときは、第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べようとするときを除き、あらかじめ、当該第三者の意見を聴くものとする。

6 裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が第二百二十条第四号イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない。

7 文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

 

 

       主   文

 

 原決定中、電話機器類の回路図及び信号流れ図に係る部分を破棄する。

 右部分につき、本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

 その余の本件抗告を却下する。

 前項に関する抗告費用は抗告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 抗告代理人井上俊治、同松葉知幸、同小野範夫、同水間頼孝の抗告理由第一について

 <要旨一>証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできないと解するのが相当である。論旨は採用することができない。

 同第二について

 一 記録によれば、主文第一項の文書に係る本件の経緯は次のとおりである。

 1 本件の本案の請求は、大阪地方裁判所平成四年(ワ)第八一七八号事件判決別紙電話機目録記載の電話機器類(以下「本件機器」という。)を購入し利用している抗告人らが、本件機器にしばしば通話不能になる瑕疵があるなどと主張して、相手方に対し、不法行為等に基づく損害賠償を請求するものである。

 2 本件は、抗告人らが、本件機器の瑕疵を立証するためであるとして、本件機器の回路図及び信号流れ図(以下「本件文書」という。)につき文書提出命令の申立てをした事件であり、相手方は、本件文書は民訴法二二〇条四号ロ所定の「第百九十七条第一項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」及び同号ハ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとして、本件文書につき文書提出の義務を負わないと主張した。

 二 原審は、本件文書は、本件機器を製造したメーカーが持つノウハウなどの技術上の情報が記載されたものであって、これが明らかにされると右メーカーが著しく不利益を受けることが予想されるから、民訴法二二〇条四号ロ所定の文書に当たり、また、本件文書は、本件機器のメーカーがこれを製造するために作成し、外部の者に見せることは全く予定せず専ら当該メーカー、相手方及びその関連会社の利用に供するための文書であるから、同号ハ所定の文書にも当たり、相手方は本件文書を提出すべき義務を負わないとして、本件文書提出命令の申立てを却下した。

 三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。

 1 【要旨二】民訴法一九七条一項三号所定の「技術又は職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの又は当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいうと解するのが相当である。

 本件において、相手方は、本件文書が公表されると本件機器のメーカーが著しい不利益を受けると主張するが、本件文書に本件機器のメーカーが有する技術上の情報が記載されているとしても、相手方は、情報の種類、性質及び開示することによる不利益の具体的内容を主張しておらず、原決定も、これらを具体的に認定していない。したがって、本件文書に右技術上の情報が記載されていることから直ちにこれが「技術又は職業の秘密」を記載した文書に当たるということはできない。

 2 ある文書が、その作成目的、記載内容、これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯、その他の事情から判断して、専ら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は民訴法二二〇条四号ハ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるということは、当審の判例とするところである(平成一一年(許)第二号同年一一月一二日第二小法廷決定・民集五三巻八号登載予定)。

 これを本件についてみると、原決定は、本件文書が外部の者に見せることを全く予定せずに作成されたものであることから直ちにこれが民訴法二二〇条四号ハ所定の文書に当たると判断しており、その具体的内容に照らし、開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生じるおそれがあるかどうかについて具体的に判断していない。

 四 以上によれば、本件文書に関する原審の前記判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は裁判の結論に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は理由があり、原決定中、本件文書に係る部分は破棄を免れない。そして、右に説示したところに従い更に審理を尽くさせるため、右部分について本件を原審に差し戻すのが相当である。

 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

不動産の共有者の一人が不実の持分移転登記を了している者に対し同登記の抹消登記手続請求をすることの可否

 

 

持分全部移転登記抹消登記手続等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成13年(受)第320号

【判決日付】      平成15年7月11日

【判示事項】      不動産の共有者の一人が不実の持分移転登記を了している者に対し同登記の抹消登記手続請求をすることの可否

【判決要旨】      不動産の共有者の一人は、共有不動産について実体上の権利を有しないのに持分移転登記を了している者に対し、その持分移転登記の抹消登記手続を請求することができる。

【参照条文】      民法249

             民法252

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集57巻7号787頁

             裁判所時報1343号202頁

 

民法

(共有物の使用)

第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。

 

(共有物の管理)

第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。

2 裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。

一 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

二 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。

3 前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

4 共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。

一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 十年

二 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 五年

三 建物の賃借権等 三年

四 動産の賃借権等 六箇月

5 各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

 

東芝機械ココム違反事件

 

 

              外国為替及び外国貿易管理法違反被告事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/昭和62年(特わ)第1547号

【判決日付】      昭和63年3月22日

【判示事項】      ココム規制に違反してソ連へプロペラ加工用大型工作機械の部品のを輸出しコンピューター・プログラム用の修正ソフトを提供したことが、外国為替及び外国貿易管理法(昭和62年法律第89号による改正前のもの)73条1項、70条29号、20号、48条1項、25条2号等に違反するとされた事例

             (東芝機械ココム違反事件)

【参照条文】      外国為替及び外国貿易管理法附則8

             外国為替及び外国貿易管理法(昭和62年法律第89号による改正前)73-1

             外国為替及び外国貿易管理法70

             外国為替及び外国貿易管理法48-1

             外国為替及び外国貿易管理法25

             輸出貿易管理令附則5

             輸出貿易管理令(昭和62年政令第373号による改正前)1-1

             輸出貿易管理令別表(昭和62年政令第373号による改正前)1の115

             外国為替管理令17の2

             外国為替管理令別表15

             外国為替管理令20

【掲載誌】        判例タイムズ670号257頁

             判例時報1276号30頁

 

 

ココム

対共産圏輸出統制委員会(たいきょうさんけんゆしゅつとうせいいいんかい、英語: Coordinating Committee for Multilateral Export Controls; COCOM(ココム))は、冷戦期に資本主義主要諸国間で設立されていた共産主義諸国への軍事技術・戦略物資の輸出規制(或いは禁輸)のための委員会。本部はフランスのパリ。

 

 

外国為替及び外国貿易法

第七十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

一 第五十五条の三第六項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

二 第六十七条第一項の規定により付した条件に違反した者

 

第七十条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。ただし、当該違反行為の目的物の価格の三倍が百万円を超えるときは、罰金は、当該価格の三倍以下とする。

一 第八条の規定に違反して支払等をしたとき。

二 第九条第一項の規定に基づく命令の規定に違反して取引、行為又は支払等をしたとき。

三 第十六条第一項から第三項までの規定に基づく命令の規定による許可を受けないで、又は同条第五項の規定に違反して支払等をしたとき。

四 第十六条の二の規定による支払等の禁止に違反して、又は同条の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで支払等をしたとき。

五 第十七条の二第二項(第十七条の三、第十七条の四第一項及び第五十五条の九の四第三項において準用する場合を含む。)の規定による停止又は制限に違反して、外国為替取引又は電子決済手段等の移転等に係る業務を行つたとき。

六 第十九条第一項又は第二項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで、同条第一項に規定する支払手段又は証券若しくは貴金属を輸出し、又は輸入したとき。

七 第二十一条第一項又は第二項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで資本取引をしたとき。

八 第二十二条第一項の規定による資本取引の禁止に違反して、又は同項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで資本取引をしたとき。

九 第二十二条第二項の規定に違反して経理したとき。

十 第二十三条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして、対外直接投資を行つたとき。

十一 第二十三条第三項又は第五項の規定に違反してこれらの規定に規定する期間中に対外直接投資を行つたとき。

十二 第二十三条第七項の規定に違反して対外直接投資を行つたとき。

十三 第二十三条第九項の規定による変更又は中止の命令に違反して対外直接投資を行つたとき。

十四 第二十四条第一項又は第二項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで特定資本取引をしたとき。

十五 第二十四条の二の規定による特定資本取引の禁止に違反して、又は同条の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで特定資本取引をしたとき。

十六 第二十五条第三項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで同項第二号に定める行為をしたとき。

十七 第二十五条第五項の規定による許可を受けないで同項の規定に基づく命令の規定で定める役務取引をしたとき。

十八 第二十五条第六項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで役務取引等を行つたとき。

十九 第二十五条の二第一項又は第二項の規定による技術の提供を目的とする取引若しくは技術記録媒体等輸出若しくは国外技術送信又は貨物の輸出の禁止に違反して取引若しくは技術記録媒体等輸出若しくは国外技術送信又は輸出をしたとき。

二十 第二十五条の二第三項の規定による貨物の売買、貸借若しくは贈与に関する取引又は貨物の輸出の禁止に違反して取引又は輸出をしたとき。

二十一 第二十五条の二第四項の規定による役務取引等の禁止に違反して、又は同項の規定に基づく命令の規定による許可を受けないで役務取引等をしたとき。

二十二 第二十七条第一項(同条第十三項又は第十四項の規定によりみなして適用する場合を含む。)又は第二十八条第一項(同条第八項又は第九項の規定によりみなして適用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして、対内直接投資等若しくは特定取得又はこれらに相当するものをしたとき。

二十三 第二十七条第二項(同条第十三項又は第十四項の規定によりみなして適用する場合を含む。)又は第二十八条第二項(同条第八項又は第九項の規定によりみなして適用する場合を含む。)の規定に違反して、第二十九条第六項に規定する禁止期間中に対内直接投資等若しくは特定取得又はこれらに相当するものをしたとき。

二十四 第二十七条第八項(同条第十三項又は第十四項の規定によりみなして適用する場合及び第二十八条第七項(同条第八項又は第九項の規定によりみなして適用する場合を含む。次号において同じ。)において準用する場合を含む。)の規定に違反して対内直接投資等若しくは特定取得又はこれらに相当するものをしたとき。

二十五 第二十七条第十項(同条第十三項又は第十四項の規定によりみなして適用する場合及び第二十八条第七項において準用する場合を含む。)の規定による変更又は中止の命令に違反して対内直接投資等若しくは特定取得又はこれらに相当するものをしたとき。

二十六 第二十九条第一項から第四項まで(第二十七条第十三項若しくは第十四項又は第二十八条第八項若しくは第九項の規定によりみなして適用する場合を含む。)の規定による命令に違反したとき又は第二十九条第五項(第二十七条の二第六項若しくは第七項又は第二十八条の二第六項若しくは第七項の規定によりみなして適用する場合を含む。)の規定による命令に違反したとき。

二十七 第三十条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をして、技術導入契約の締結等をしたとき。

二十八 第三十条第二項の規定に違反して、同項に規定する期間(同条第三項若しくは第六項の規定により延長され、又は同条第四項の規定により短縮された場合には、当該延長され、又は短縮された期間)中に技術導入契約の締結等をしたとき。

二十九 第三十条第七項において準用する第二十七条第八項の規定に違反して技術導入契約の締結等をしたとき。

三十 第三十条第七項において準用する第二十七条第十項の規定による変更又は中止の命令に違反して技術導入契約の締結等をしたとき。

三十一 第五十一条の規定に基づく命令の規定に違反して貨物の船積をしたとき。

三十二 第五十三条第一項の規定による貨物の輸出又は特定技術の提供を目的とする取引若しくは特定記録媒体等の輸出若しくは特定技術を内容とする情報の送信の禁止に違反して輸出又は取引若しくは特定記録媒体等の輸出若しくは情報の送信をしたとき。

三十三 第五十三条第二項の規定による貨物の輸出又は輸入の禁止に違反して輸出又は輸入をしたとき。

三十四 第五十三条第三項又は第四項の規定による命令に違反したとき。

三十五 第六十七条第一項の規定により付した第二十五条第一項若しくは第四項又は第四十八条第一項の許可の条件に違反したとき。

三十六 偽りその他不正の手段により第二十五条第一項、同条第二項若しくは第三項の規定に基づく命令若しくは同条第四項、第四十八条第一項若しくは同条第二項若しくは第三項の規定に基づく命令又は第五十二条の規定に基づく命令の規定による許可又は承認を受けたとき。

2 前項第十六号(第二十五条第三項第二号イに係る部分に限る。)の未遂罪は、罰する。

 

(輸出の許可等)

第四十八条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2 経済産業大臣は、前項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるときは、同項の特定の種類の貨物を同項の特定の地域以外の地域を仕向地として輸出しようとする者に対し、政令で定めるところにより、許可を受ける義務を課することができる。

3 経済産業大臣は、前二項に定める場合のほか、特定の種類の若しくは特定の地域を仕向地とする貨物を輸出しようとする者又は特定の取引により貨物を輸出しようとする者に対し、国際収支の均衡の維持のため、外国貿易及び国民経済の健全な発展のため、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、又は第十条第一項の閣議決定を実施するために必要な範囲内で、政令で定めるところにより、承認を受ける義務を課することができる。

 

(役務取引等)

第二十五条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の外国(以下「特定国」という。)において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者は、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2 経済産業大臣は、前項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるときは、特定技術を特定国以外の外国において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国以外の外国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者に対し、政令で定めるところにより、当該取引について、許可を受ける義務を課することができる。

3 経済産業大臣は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める行為をしようとする者に対し、政令で定めるところにより、当該行為について、許可を受ける義務を課することができる。

一 第一項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるとき 同項の取引に関する次に掲げる行為

イ 特定国を仕向地とする特定技術を内容とする情報が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体(以下「特定記録媒体等」という。)の輸出

ロ 特定国において受信されることを目的として行う電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下同じ。)による特定技術を内容とする情報の送信(本邦内にある電気通信設備(同条第二号に規定する電気通信設備をいう。)からの送信に限る。以下同じ。)

二 前項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるとき 同項の取引に関する次に掲げる行為

イ 特定国以外の外国を仕向地とする特定記録媒体等の輸出

ロ 特定国以外の外国において受信されることを目的として行う電気通信による特定技術を内容とする情報の送信

4 居住者は、非居住者との間で、国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引を行おうとするときは、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

5 居住者は、非居住者との間で、役務取引(労務又は便益の提供を目的とする取引をいう。以下同じ。)であつて、鉱産物の加工その他これに類するものとして政令で定めるもの(第三十条第一項に規定する技術導入契約の締結等に該当するものを除く。)を行おうとするときは、政令で定めるところにより、当該役務取引について、主務大臣の許可を受けなければならない。ただし、次項の規定により主務大臣の許可を受ける義務が課された役務取引に該当するものについては、この限りでない。

6 主務大臣は、居住者が非居住者との間で行う役務取引(特定技術に係るもの及び第三十条第一項に規定する技術導入契約の締結等に該当するものを除く。)又は外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借若しくは贈与に関する取引(第四項に規定するものを除く。)(以下「役務取引等」という。)が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、若しくは国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるとき、又は第十条第一項の閣議決定が行われたときは、政令で定めるところにより、当該役務取引等を行おうとする居住者に対し、当該役務取引等を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。

 

 

輸出貿易管理令

(輸出の許可)

第一条 外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号。以下「法」という。)第四十八条第一項に規定する政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出は、別表第一中欄に掲げる貨物の同表下欄に掲げる地域を仕向地とする輸出とする。

2 法第四十八条第一項の規定による許可を受けようとする者は、経済産業省令で定める手続に従い、当該許可の申請をしなければならない。

 

 

外国為替管理令

(役務取引の許可等)

第十七条 法第二十五条第一項に規定する政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下この項、次項及び第十八条の二第一項において「特定技術」という。)を特定の外国(以下この項において「特定国」という。)において提供することを目的とする取引又は特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引は、別表中欄に掲げる技術を同表下欄に掲げる外国において提供することを目的とする取引又は同表中欄に掲げる技術を同表下欄に掲げる外国の非居住者に提供することを目的とする取引とする。

2 法第二十五条第三項第一号に定める行為をしようとする者(当該行為に係る特定技術を提供することを目的とする取引について同条第一項の許可を受けている者を除く。)は、経済産業省令で定める手続に従い、経済産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、経済産業大臣が当該行為の主体、内容その他からみて法の目的を達成するため特に支障がないと認めて指定した行為については、この限りでない。

3 法第二十五条第四項に規定する政令で定める外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引は、次のいずれかに該当する取引とする。

一 輸出貿易管理令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物の外国相互間の移動を伴う当該貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引

二 輸出貿易管理令別表第一の二から一六までの項の中欄に掲げる貨物の外国相互間の移動を伴う当該貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引(当該取引に係る貨物の船積地域又は仕向地が同令別表第三に掲げる地域であるものを除く。)であつて、次のいずれかに該当するもの

イ 当該取引に係る当該貨物が核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置又はこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機であつてその射程若しくは航続距離が三百キロメートル以上のもの(ロ及び第二十七条第二項において「核兵器等」という。)の開発、製造、使用又は貯蔵(ロにおいて「開発等」という。)のために用いられるおそれがある場合として経済産業省令で定める場合に該当する場合における当該取引

ロ 当該取引に係る当該貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けた場合における当該取引

4 法第二十五条第一項又は第四項の規定による経済産業大臣の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定める手続により、当該許可の申請をしなければならない。

5 第一項又は第三項に規定する取引のうち経済産業大臣が当該取引の当事者、内容その他からみて法の目的を達成するため特に支障がないと認めて指定したものについては、法第二十五条第一項又は第四項の規定による経済産業大臣の許可を受けないで当該取引をすることができる。