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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

本件は,控訴人が,被控訴人に対し,被控訴人がインターネット上の電子掲示板に投稿した記事(本件各記事)により控訴人の名誉権等が侵害され,本件各記事を投稿した者が被控訴人であることを特定するために要した費用(以下「本件調査費用」という。)及び本件訴訟の弁護士費用(以下「本件弁護士費用」という。)の負担が生じた旨主張して,不法行為に基づく損害賠償として,慰謝料100万円,本件調査費用88万5600円及び本件弁護士費用10万8000円並びに遅延損害金を請求する事案である。

 

 

 

損害賠償請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/令和2年(ネ)第4412号

【判決日付】      令和3年5月26日

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

 

 

       主   文

 

 1 原判決を次のとおり変更する。

 2 被控訴人は,控訴人に対し,121万5600円及びこれに対する平成30年8月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 3 控訴人のその余の請求を棄却する。

 4 訴訟費用は,第1,2審を通じ,これを10分し,その4を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。

 5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。

 

       事実及び理由

 

第1 控訴の趣旨

 1 原判決を次のとおり変更する。

 2 被控訴人は,控訴人に対し,199万3600円及びこれに対する平成30年8月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 3 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。

 4 第2項につき仮執行宣言

第2 事案の概要(略語は,新たに定義しない限り,原判決の例による。以下,本判決において同じ。)

 1 本件は,控訴人が,被控訴人に対し,被控訴人がインターネット上の電子掲示板に投稿した記事(本件各記事)により控訴人の名誉権等が侵害され,本件各記事を投稿した者が被控訴人であることを特定するために要した費用(以下「本件調査費用」という。)及び本件訴訟の弁護士費用(以下「本件弁護士費用」という。)の負担が生じた旨主張して,不法行為に基づく損害賠償として,慰謝料100万円,本件調査費用88万5600円及び本件弁護士費用10万8000円並びにこれらの合計金額に対する平成30年8月21日(本件各記事のうち最初の投稿記事が投稿された日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求する事案である。

 2 原審は,控訴人の請求について,36万円(①慰謝料30万円,②本件調査費用3万円,③本件弁護士費用3万円)及びこれに対する平成30年8月31日からの遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余の請求を棄却したところ,控訴人は,原判決の敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。

損害保険代理店が保険契約者から収受した保険料のみを入金する目的で開設した普通預金口座の預金債権が損害保険会社にではなく損害保険代理店に帰属するとされた事例

 

 

              預金返還、仮執行の原状回復及び損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成11年(受)第1172号

【判決日付】      平成15年2月21日

【判示事項】      損害保険代理店が保険契約者から収受した保険料のみを入金する目的で開設した普通預金口座の預金債権が損害保険会社にではなく損害保険代理店に帰属するとされた事例

【判決要旨】      損害保険会社Aの損害保険代理店であるBが、保険契約者から収受した保険料のみを入金する目的で金融機関に「A代理店B」名義の普通預金口座を開設したが、AがBに金融機関との間での普通預金契約締結の代理権を授与しておらず、同預金口座の通帳及び届出印をBが保管し、Bのみが同預金口座への入金及び同預金口座からの払戻し事務を行っていたという判示の事実関係の下においては、同預金口座の預金債権は、Aにではなく、Bに帰属する。(反対意見がある。)

【参照条文】      民法666

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集57巻2号95頁

 

 

民法

(消費寄託)

第六百六十六条 受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない。

2 第五百九十条及び第五百九十二条の規定は、前項に規定する場合について準用する。

3 第五百九十一条第二項及び第三項の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する。

 

 

動産譲渡担保権の設定者が破産宣告を受けた後における右譲渡担保権に基づく物上代位権行使の可否

 

 

債権差押命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/平成10年(許)第2号

【判決日付】      平成11年5月17日

【判示事項】      一 動産譲渡担保権に基づく物上代位権の行使が認められた事例

             二 動産譲渡担保権の設定者が破産宣告を受けた後における右譲渡担保権に基づく物上代位権行使の可否

【判決要旨】      一 銀行甲が、輸入業者乙のする商品の輸入について信用状を発行し、約束手形の振出しを受ける方法により乙に輸入代金決済資金相当額を貸し付けるとともに、乙から右約束手形金債権の担保として輸入商品に譲渡担保権の設定を受けた上、乙に右商品の貸渡しを行ってその処分権限を与えたところ、乙が、右商品を第三者に転売した後、破産の申立てをしたことにより右約束手形金債務につき期限の利益を失ったという事実関係の下においては、甲は、右商品に対する譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、転売された右商品の売買代金債権を差し押さえることができる。

             二 動産譲渡担保権に基づく物上代位権の行使は、右譲渡担保権の設定者が破産宣告を受けた後においても妨げられない。

【参照条文】      民法304

             民法369(譲渡担保)

             破産法92

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集53巻5号863頁

 

 

民法

(物上代位)

第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。

2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

 

(抵当権の内容)

第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

 

 

破産法

(別除権)

第六十五条 別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。

2 担保権(特別の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この項において同じ。)の目的である財産が破産管財人による任意売却その他の事由により破産財団に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。

 

イトマン事件・理事兼企画監理本部長・商社の理事兼企画監理本部長が同社から給与等の支給を受けていなくても商法(平成2年改正前)486条1項にいう「営業ニ関スル或種類若ハ特定ノ事項ノ委任ヲ受ケタル使用人」に当たるとされた事例

 

 

              商法違反,背任,有価証券偽造,同行使,有印私文書偽造,同行使被告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷決定/平成14年(あ)第1431号

【判決日付】      平成17年10月7日

【判示事項】      商社の理事兼企画監理本部長が同社から給与等の支給を受けていなくても商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)486条1項にいう「営業ニ関スル或種類若ハ特定ノ事項ノ委任ヲ受ケタル使用人」に当たるとされた事例

【判決要旨】      甲商社から巨額の融資を受けていた不動産会社のオーナー経営者乙が,甲社の不動産開発等の業務を担当する理事兼企画監理本部長に就任し,甲社社長の指揮命令に服しながら,対外的法律行為に関する包括的代理権の行使を含め,甲社の企業活動の一端を継続的かつ従属的に担っていたなど判示の事実関係の下においては,乙は,甲社から給与等の支給を受けていなかったとしても,商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)486条1項にいう「営業ニ関スル或種類若ハ特定ノ事項ノ委任ヲ受ケタル使用人」に当たる。

【参照条文】      商法(平成2年法律第64号による改正前のもの)486-1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集59巻8号1086頁

 

 

会社法

(取締役等の特別背任罪)

第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 発起人

二 設立時取締役又は設立時監査役

三 取締役、会計参与、監査役又は執行役

四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者

五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者

六 支配人

七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人

八 検査役

2 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。

一 清算株式会社の清算人

二 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算株式会社の清算人の職務を代行する者

三 第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者

四 清算人代理

五 監督委員

六 調査委員

 

『ケース・スタディ生命倫理と法 第2版』有斐閣

 

医療のために,法ができることをかんがえよう

ジュリスト増刊 > ジュリスト増刊

 

樋口 範雄 (東京大学教授・東京大学学術創成プロジェクト「生命工学・生命倫理と法政策」代表)/編著

 

 

2012年09月発売

B5判並製 , 400ページ

定価 3,520円(本体 3,200円)

ISBN 978-4-641-11398-5

 

 

債権各論 > 不法行為 > 医療・薬害事故

補助教材

 

 

生命倫理の諸問題に対する法によるアプローチのあり方を,主要トピックごとに検討。医療分野と法分野双方からの考察を通じて理解を深めることができる。法改正に伴い臓器移植の項は内容を改め,脳神経科学をはじめ生命倫理と法に関わる最新動向もカバーした。

目次      

case1 遺伝病の告知

case2 医療事故情報の警察への報告

case3  終末期医療のあり方─延命治療に関する判断枠組み

case4  医業独占─救急救命士と医療行為

case5 生殖補助医療の規制問題

case6 患者の権利・胎児へのリスク

case7 知的障害者の不妊手術

case8 看護師の良心と弁護士の役割

case9 人体試料・遺体・検体の取扱い

case10 臨床研究・臨床試験のあり方

case11 臓器移植と脳死をめぐる問題

case12  血液製剤と限られた資源の配分問題

case13 脳神経科学と法

case14 再生医療と法

case15 自己決定権

 

 

コメント

同じ設例について、医学者、法学者による複数の論文がある。

法哲学の問題のようで、悩ましい。

 

甲不動産につき抵当権設定契約および代物弁済予約形式の合意がされるとともに乙不動産につき同一債権の担保を目的とする所有名義移転の合意がされた場合と債権者の清算義務

 

 

建物所有権移転登記抹消等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和41年(オ)第602号

【判決日付】      昭和43年3月7日

【判示事項】      一、甲不動産につき抵当権設定契約および代物弁済予約形式の合意がされるとともに乙不動産につき同一債権の担保を目的とする所有名義移転の合意がされた場合と債権者の清算義務

             二、右契約関係のもとで債権者が清算義務を負う場合において債務者が債務を弁済して甲乙両不動産を取り戻すことのできる時期

【判決要旨】      一、判示の事情により、甲不動産につき抵当権設定契約および代物弁済予約形式の合意がされるとともに、乙不動産につき同一債権の担保を目的とする所有名義移転の合意がされた場合において、右両不動産の価額と弁済期までの債務元利金額とが合理的均衡を失するときは、債権者は、特別な事情のないかぎり、右両不動産を換価処分してこれによつて得た金員中から元利金の弁済を受けることができるにとどまるものと解すべきである。

             二、右の場合において、債務者は、債権者が甲不動産につき予約完結権を行使して所有権移転登記手続を経由した後であつても、換価処分をするまでは債務を弁済して甲乙両不動産を取り戻すことができるものと解すべきである。

【参照条文】      民法369

             民法482

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集22巻3号509頁

 

 

民法

(抵当権の内容)

第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

 

(代物弁済)

第四百八十二条 弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。

 

 

ネギシ事件・本件解雇は,妊娠中のXに対してされたものではあるが,Xが妊娠したことを理由としてされたものではないことをY社が証明したものといえるから,雇用機会均等法9条4項ただし書きにより,本件解雇が無効となるものではないとされた例

 

 

地位確認等請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成28年(ネ)第2098号、平成28年(ネ)第3139号

【判決日付】      平成28年11月24日

【判示事項】      1 被控訴人兼附帯控訴人(一審原告)Xの言動や態度等は,職場環境を著しく悪化させ,控訴人兼附帯被控訴人(一審被告)Y社の業務にも支障を及ぼすものであるから,就業規則40条3号・同条5号の定める解雇事由に該当するものと認められるとされた例

             2 Xについては,就業規則に定める解雇事由に該当し,しかも,本件解雇はやむを得ないものと認められるから,本件解雇につき客観的に合理的な理由がないとか,社会通念上も相当として是認できないとかいうことはできず,したがって,本件解雇は解雇権の濫用に当たるものではなく,有効であるとして,解雇を無効とした一審判決が取り消された例

             3 本件解雇は,就業規則に定める解雇事由に該当するためされたものであり,Xが妊娠したことを理由としてされたものではないことは明らかであるから,雇用機会均等法9条3項に違反するものではないとされた例

             4 本件解雇は,妊娠中のXに対してされたものではあるが,Xが妊娠したことを理由としてされたものではないことをY社が証明したものといえるから,雇用機会均等法9条4項ただし書きにより,本件解雇が無効となるものではないとされた例

【掲載誌】        労働判例1158号140頁

 

 

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)

第九条 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。

2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。

3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

 



労働契約法
(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。


 

相続税の課税価格に算入される財産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない場合

 

 

相続税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/令和2年(行ヒ)第283号

【判決日付】      令和4年4月19日

【判示事項】      1 相続税の課税価格に算入される財産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない場合

             2 相続税の課税価格に算入される不動産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反しないとされた事例

【判決要旨】      1 相続税の課税価格に算入される財産の価額について,財産評価基本通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には,当該財産の価額を上記通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない。

             2 相続税の課税価格に算入される不動産の価額を財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは,次の(1),(2)など判示の事情の下においては,租税法上の一般原則としての平等原則に違反しない。

             (1)当該不動産は,被相続人が購入資金を借り入れた上で購入したものであるところ,上記の購入及び借入れが行われなければ被相続人の相続に係る課税価格の合計額は6億円を超えるものであったにもかかわらず,これが行われたことにより,当該不動産の価額を上記通達の定める方法により評価すると,課税価格の合計額は2826万1000円にとどまり,基礎控除の結果,相続税の総額が0円になる。

             (2)被相続人及び共同相続人であるXらは,上記(1)の購入及び借入れが近い将来発生することが予想される被相続人からの相続においてXらの相続税の負担を減じ又は免れさせるものであることを知り,かつ,これを期待して,あえて当該購入及び借入れを企画して実行した。

【参照条文】      相続税法22

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集76巻4号411頁

 

 

相続税法

(評価の原則)

第二十二条 この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

 

動産の割賦払約款付売買契約において代金完済に至るまで所有権を留保した売主又は右売主から目的物を買い受けた者と第三者異議の訴

 

 

              第三者異議事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和49年(オ)第157号

【判決日付】      昭和49年7月18日

【判示事項】      動産の割賦払約款付売買契約において代金完済に至るまで所有権を留保した売主又は右売主から目的物を買い受けた者と第三者異議の訴

【判決要旨】      代金完済に至るまで目的物の所有権を売主に留保し買主に対する所有権の移転は代金完済を停止条件とする旨の合意がされている動産の割賦払約款付売買契約において、代金完済に至るまでの間に買主の債権者が目的物に対し強制執行したときは、売主又は売主から目的物を買い受けた第三者は、目的物の所有権を主張し、第三者異議の訴によって、右執行を排除することができる。

【参照条文】      民法555

             民事訴訟法549-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集28巻5号743頁

 

 

民法

(売買)

第五百五十五条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

 

 

民事執行法

(第三者異議の訴え)

第三十八条 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。

2 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。

3 第一項の訴えは、執行裁判所が管轄する。

4 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。

 

 

職員の行為が国家公務員法(昭和40年改正前)98条5項に違反する場合と同法98条1項、101条1項、人事院規則14-1第3項違反

 

 

              行政処分無効確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和47年(行ツ)第52号

【判決日付】      昭和52年12月20日

【判示事項】      1、職員の行為が国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98条5項に違反する場合と同法98条1項、101条1項、人事院規則14-1第3項違反

             2、懲戒権者の裁量権の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否に関する裁判所の審査方法

             3、争議行為等の禁止規定違反などを理由としてされた税関職員に対する懲戒免職処分が裁量権の範囲を超えこれを濫用したものとはいえないとされた事例

             (3につき反対意見がある)

【判決要旨】      1、職員の行為が国公法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98条5項に違反する場合であつても、それが同法98条1項、101条1項、人事院規則14-1第3項の違反となることを妨げられるものではない。

             2、裁判所が懲戒権者の裁量権の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否を審査するにあたつては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、右処分が社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきである。

             3、勤務時間内の職場集会、繁忙時の怠業、超過勤務の一せい拒否等の争議行為に参加しあるいはこれをあおりそそのかしたりしたことが国家公務員法の争議行為禁止規定に違反するなどを理由として税関職に対しされた懲戒免職処分は、右職場集会が公共性の極めて強い税関におけるもので職場離脱が全体の職場で行われ当局の再三の警告、執務命令を無視して行われたこと、右怠業が業務処理の妨害を伴いその遅延により業者に迷惑を及ぼしたこと、右超過勤務の一せい拒否が輸出関係全体に及び業者から抗議が出ていたこと、職員に処分の前歴があることなど判示のような事情のもとでは、社会観念上著しく妥当を欠くものとまではいえず、懲戒権者にまかされた裁量権の範囲を超えこれを濫用したものと判断することはできない。

             (3につき、反対意見がある。)

【参照条文】      国家公務員法98-1

             国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98-5

             国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)101-1

             人事院規則14-1-3

             行政事件訴訟法30

             国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)82

             国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)84

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集31巻7号1101頁

 

 

国家公務員法

(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)

第九十八条 職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

② 職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

③ 職員で同盟罷業その他前項の規定に違反する行為をした者は、その行為の開始とともに、国に対し、法令に基いて保有する任命又は雇用上の権利をもつて、対抗することができない。

 

(職務に専念する義務)

第百一条 職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。

② 前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官庁が職員を本職以外の業務に従事させることを妨げない。

 

(懲戒の場合)

第八十二条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。

一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合

二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

② 職員が、任命権者の要請に応じ特別職に属する国家公務員、地方公務員又は沖縄振興開発金融公庫その他その業務が国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち人事院規則で定めるものに使用される者(以下この項において「特別職国家公務員等」という。)となるため退職し、引き続き特別職国家公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職国家公務員等として在職した後、引き続き一以上の特別職国家公務員等として在職し、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)において、当該退職までの引き続く職員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。)、特別職国家公務員等としての在職及び職員としての採用がある場合には、当該先の退職までの引き続く職員としての在職期間を含む。以下この項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは、当該職員に対し、同項に規定する懲戒処分を行うことができる。定年前再任用短時間勤務職員が、年齢六十年以上退職者となつた日までの引き続く職員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又は第六十条の二第一項の規定によりかつて採用されて定年前再任用短時間勤務職員として在職していた期間中に前項各号のいずれかに該当したときも、同様とする。

 

(懲戒権者)

第八十四条 懲戒処分は、任命権者が、これを行う。

② 人事院は、この法律に規定された調査を経て職員を懲戒手続に付することができる。

 

 

行政事件訴訟法

(裁量処分の取消し)

第三十条 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。