本件は,控訴人が,被控訴人に対し,被控訴人がインターネット上の電子掲示板に投稿した記事(本件各記事)により控訴人の名誉権等が侵害され,本件各記事を投稿した者が被控訴人であることを特定するために要した費用(以下「本件調査費用」という。)及び本件訴訟の弁護士費用(以下「本件弁護士費用」という。)の負担が生じた旨主張して,不法行為に基づく損害賠償として,慰謝料100万円,本件調査費用88万5600円及び本件弁護士費用10万8000円並びに遅延損害金を請求する事案である。
損害賠償請求控訴事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/令和2年(ネ)第4412号
【判決日付】 令和3年5月26日
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
民法
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
主 文
1 原判決を次のとおり変更する。
2 被控訴人は,控訴人に対し,121万5600円及びこれに対する平成30年8月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 控訴人のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は,第1,2審を通じ,これを10分し,その4を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。
5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を次のとおり変更する。
2 被控訴人は,控訴人に対し,199万3600円及びこれに対する平成30年8月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。
4 第2項につき仮執行宣言
第2 事案の概要(略語は,新たに定義しない限り,原判決の例による。以下,本判決において同じ。)
1 本件は,控訴人が,被控訴人に対し,被控訴人がインターネット上の電子掲示板に投稿した記事(本件各記事)により控訴人の名誉権等が侵害され,本件各記事を投稿した者が被控訴人であることを特定するために要した費用(以下「本件調査費用」という。)及び本件訴訟の弁護士費用(以下「本件弁護士費用」という。)の負担が生じた旨主張して,不法行為に基づく損害賠償として,慰謝料100万円,本件調査費用88万5600円及び本件弁護士費用10万8000円並びにこれらの合計金額に対する平成30年8月21日(本件各記事のうち最初の投稿記事が投稿された日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求する事案である。
2 原審は,控訴人の請求について,36万円(①慰謝料30万円,②本件調査費用3万円,③本件弁護士費用3万円)及びこれに対する平成30年8月31日からの遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余の請求を棄却したところ,控訴人は,原判決の敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。