甲不動産につき抵当権設定契約および代物弁済予約形式の合意がされるとともに乙不動産につき同一債権の | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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甲不動産につき抵当権設定契約および代物弁済予約形式の合意がされるとともに乙不動産につき同一債権の担保を目的とする所有名義移転の合意がされた場合と債権者の清算義務

 

 

建物所有権移転登記抹消等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和41年(オ)第602号

【判決日付】      昭和43年3月7日

【判示事項】      一、甲不動産につき抵当権設定契約および代物弁済予約形式の合意がされるとともに乙不動産につき同一債権の担保を目的とする所有名義移転の合意がされた場合と債権者の清算義務

             二、右契約関係のもとで債権者が清算義務を負う場合において債務者が債務を弁済して甲乙両不動産を取り戻すことのできる時期

【判決要旨】      一、判示の事情により、甲不動産につき抵当権設定契約および代物弁済予約形式の合意がされるとともに、乙不動産につき同一債権の担保を目的とする所有名義移転の合意がされた場合において、右両不動産の価額と弁済期までの債務元利金額とが合理的均衡を失するときは、債権者は、特別な事情のないかぎり、右両不動産を換価処分してこれによつて得た金員中から元利金の弁済を受けることができるにとどまるものと解すべきである。

             二、右の場合において、債務者は、債権者が甲不動産につき予約完結権を行使して所有権移転登記手続を経由した後であつても、換価処分をするまでは債務を弁済して甲乙両不動産を取り戻すことができるものと解すべきである。

【参照条文】      民法369

             民法482

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集22巻3号509頁

 

 

民法

(抵当権の内容)

第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

 

(代物弁済)

第四百八十二条 弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。