東洋酸素事件・整理解雇
地位保全仮処分控訴事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/昭和51年(ネ)第1028号
【判決日付】 昭和54年10月29日
【判示事項】 1、企業の特定事業部門の閉鎖を理由とする解雇における解雇事由存否の判断基準
2、企業の特定事業部門の閉鎖を理由とする解雇が権利濫用にならないとされた事例
【参照条文】 労働基準法20
民法1
【掲載誌】 労働関係民事裁判例集30巻5号1002頁
東京高等裁判所判決時報民事30巻10号259頁
判例タイムズ401号41頁
判例時報948号111頁
労働判例330号71頁
整理解雇の4要件
本件で、会社は、「やむを得ない事業の都合によるとき」は従業員を解雇できる旨の就業規則の規定により解雇した。
本判決は、就業規則の条項をわが国における一般的な労働者の雇用形態から生ずる労働者保護の必要性に由来する解雇自由の制限を明文化したものと把握したうえ、本件の場合右条項による解雇事由の有無の判定に当っては、(1)事業部門閉鎖の必要性、(2)人員整理の必要性ないし合理性、(3)被解雇者選定の合理性の三要件の充足が吟味されれば足り、(4)解雇手続が合理的になされなかったことは、解雇権の発生障害事由にとどまるものとし、詳細に事実を認定して右の三要件の存在を肯定した。