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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例

 

 

未成年者略取被告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/平成16年(あ)第2199号

【判決日付】      平成17年12月6日

【判示事項】      母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例

【判決要旨】      母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は,別居中の共同親権者である父が行ったとしても,監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず,行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では,違法性が阻却されるものではない。

【参照条文】      刑法35

             刑法224

             民法818

             民法820

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集59巻10号1901頁

             家庭裁判月報58巻4号59

 

 

刑法

(正当行為)

第三十五条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

 

(未成年者略取及び誘拐)

第二百二十四条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

 

 

民法

(親権者)

第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。

2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。

3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

 

(監護及び教育の権利義務)

第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

 

贈与者の第三者あて内容証明郵便が民法550条にいう書面に当たるとされた事例

 

 

所有権移転登記抹消登記手続請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和57年(オ)第942号

【判決日付】      昭和60年11月29日

【判示事項】      贈与者の第三者あて内容証明郵便が民法550条にいう書面に当たるとされた事例

【判決要旨】     甲甲から不動産を取得した乙がこれを丙に贈与した場合において、乙が、司法書士に依頼して、登記簿上の所有名義人である甲に対し、右不動産を丙に譲渡したので甲から直接丙に所有権移転登記をするよう求める旨の内容証明郵便を差し出したなど判示の事情があるときは、右内容証明郵便は、民法550条にいう書面に当たる。

【参照条文】      民法550

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集39巻7号1719頁

 

 

民法

(書面によらない贈与の解除)

第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

 

 

入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約したゴルフ倶楽部会員において,同伴者が暴力団関係者であることを申告せずに同人に関するゴルフ場の施設利用を申し込み,施設を利用させた行為が,刑法246条2項の詐欺罪に当たるとされた事例

 

 

詐欺被告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/平成25年(あ)第725号

【判決日付】      平成26年3月28日

【判示事項】      入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約したゴルフ倶楽部会員において,同伴者が暴力団関係者であることを申告せずに同人に関するゴルフ場の施設利用を申し込み,施設を利用させた行為が,刑法246条2項の詐欺罪に当たるとされた事例

【判決要旨】      ゴルフ倶楽部会員において,同伴者が暴力団関係者であることを申告せずにそのゴルフ場の施設利用を申し込み,同人に施設を利用させた行為は,入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約していたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,刑法246条2項の詐欺罪に当たる。

             (意見がある。)

【参照条文】      刑法246-2

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集68巻3号646頁

 

 

刑法

(詐欺)

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

推定相続人は被相続人がなした仮装売買について無効確認を求め得るか

 

 

売買無効確認並びに所有権取得登記抹消手続請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和27年(オ)第683号

【判決日付】      昭和30年12月26日

【判示事項】      1、推定相続人は被相続人がなした仮装売買について無効確認を求め得るか

             2、推定相続人は被相続人の権利を代位行使し得るか

【判決要旨】      1、たとえ被相続人が所有財産を他に仮装売買したとしても、単にその推定相続人であるというだけでは、右売買の無効(売買契約より生じた法律関係の不存在)の確認を求めることはできない。

             2、単に推定相続人であるというだけでは、被相続人の権利を代位行使することはできない。

【参照条文】      民法882

             民法423

             民事訴訟法225

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集9巻14号2082頁

 

 

民法

(相続開始の原因)

第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。

 

(債権者代位権の要件)

第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。

2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

3 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。

 

 

民事訴訟法

(口頭弁論を経ない訴えの却下)

第百四十条 訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。

 

催告に期間を定めなかつた場合と解除の能否

 

 

所有権移転登記抹消登記請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和27年(オ)第248号

【判決日付】      昭和29年12月21日

【判示事項】      催告に期間を定めなかつた場合と解除の能否

【判決要旨】      債務者が遅滞に陥つたときは、債権者は、期間を定めずに催告した場合でも、催告の時から相当の期間を経過すれば、契約を解除できるものと解すべきである。

【参照条文】      民法541

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集8巻12号2211頁

             判例タイムズ45号34頁

【評釈論文】      別冊ジュリスト10号144頁

             別冊ジュリスト112号152頁

 

 

民法

(催告による解除)

第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

 

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪(補助金等不正受交付罪)の成立範囲及びその判断方法


補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律違反,関税法違反被告事件
【事件番号】    最高裁判所第2小法廷決定/平成19年(あ)第1352号
【判決日付】    平成21年09月15日
【判示事項】    1 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪(補助金等不正受交付罪)の成立範囲及びその判断方法
          2 保管又は処分した国産牛肉の量に応じて交付される補助金につき,対象外の牛肉等を上乗せして補助金の交付を受けた場合,補助金等不正受交付罪は,交付を受けた補助金全額ではなく,上乗せした牛肉に係る受交付額について成立するとされた事例
【判決要旨】    1 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪(補助金等不正受交付罪)は,不正の手段と因果関係のある受交付額について成立し,因果関係については,不正の手段の態様,補助金交付の目的,条件,交付額の算定方法等を考慮して判断すべきである。
          2 牛海綿状脳症(BSE)検査の実施以前にと畜・解体処理された国産牛肉を保管又は処分した場合に,その量に応じて交付される補助金について,その補助金の対象となる国産牛肉に加え,それ以外の又は実在しない牛肉を上乗せした合計量に対する補助金の交付を申請し,その交付を受けたという本件事実関係の下では,補助金等不正受交付罪は,不正の手段と因果関係のある上乗せした牛肉に係る受交付額について成立し,交付を受けた補助金全額について成立するものではない。
【参照条文】    補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29-1
【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集63巻7号783頁


補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律
第二十九条 偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。



 

相続税法32条3号の「遺留分による減殺の請求があったこと」とは、相続税の申告者に対して、申告に係る課税価格及び相続税額が過大となる結果をもたらす遺留分による減殺の請求がなされたことを指すものと解され,申告に係る課税価格及び相続税額が過大となる結果をもたらす余地のない申告者が自ら遺留分による減殺の請求をしたことは含まれないものと解するのが相当である。

 

 

相続税更正請求棄却処分取消請求事件

【事件番号】      前橋地方裁判所判決/平成15年(行ウ)第10号

【判決日付】      平成15年9月19日

【判示事項】      (1) 相続税法32条1号(更正の請求の特則)の要件

             (2) 相続人間の別件訴訟の和解を前提に相続税法32条1号所定の更正事由があるとの納税者の主張が、遺言により被相続人の遺産について被相続人の死亡の時に直ちに分割効果が発生し、遺留分減殺の問題があるにしても、もはや被相続人の遺産について再度の分割がなされる余地はなくなったものといえるから、和解によって被相続人の遺産の分割がなされたということができないことは明らかであるとして、排斥された事例。

             (3) 相続税法32条3号に規定する「遺留分による減殺の請求があったこと」の意義

             (4) 納税者自らが他の相続人に対して遺留分による減殺の請求をしたこと理由に相続税法32条3号所定の更正事由があるとの納税者の主張が排斥された事例

【判決要旨】      (1) 相続税法32条1号所定の更正事由があることを理由に申告に係る課税価格及び相続税額の更正が認められるためには、相続の対象となった未分割財産について、相続税の申告書の提出後に分割が行われたことを要するものと解される。

             (2) 省略

             (3) 相続税法32条3号の「遺留分による減殺の請求があったこと」とは、相続税の申告者に対して、申告に係る課税価格及び相続税額が過大となる結果をもたらす遺留分による減殺の請求がなされたことを指すものと解され,申告に係る課税価格及び相続税額が過大となる結果をもたらす余地のない申告者が自ら遺留分による減殺の請求をしたことは含まれないものと解するのが相当である。

             (4) 省略

【掲載誌】        税務訴訟資料253号順号9441

 

 

相続税法

(更正の請求の特則)

第三十二条 相続税又は贈与税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する事由により当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額(当該申告書を提出した後又は当該決定を受けた後修正申告書の提出又は更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額)が過大となつたときは、当該各号に規定する事由が生じたことを知つた日の翌日から四月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、その課税価格及び相続税額又は贈与税額につき更正の請求(国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求をいう。第三十三条の二において同じ。)をすることができる。

一 第五十五条の規定により分割されていない財産について民法(第九百四条の二(寄与分)を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて課税価格が計算されていた場合において、その後当該財産の分割が行われ、共同相続人又は包括受遺者が当該分割により取得した財産に係る課税価格が当該相続分又は包括遺贈の割合に従つて計算された課税価格と異なることとなつたこと。

二 民法第七百八十七条(認知の訴え)又は第八百九十二条から第八百九十四条まで(推定相続人の廃除等)の規定による認知、相続人の廃除又はその取消しに関する裁判の確定、同法第八百八十四条(相続回復請求権)に規定する相続の回復、同法第九百十九条第二項(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)の規定による相続の放棄の取消しその他の事由により相続人に異動を生じたこと。

三 遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定したこと。

四 遺贈に係る遺言書が発見され、又は遺贈の放棄があつたこと。

五 第四十二条第三十項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定により条件を付して物納の許可がされた場合(第四十八条第二項の規定により当該許可が取り消され、又は取り消されることとなる場合に限る。)において、当該条件に係る物納に充てた財産の性質その他の事情に関し政令で定めるものが生じたこと。

六 前各号に規定する事由に準ずるものとして政令で定める事由が生じたこと。

七 第四条第一項又は第二項に規定する事由が生じたこと。

八 第十九条の二第二項ただし書の規定に該当したことにより、同項の分割が行われた時以後において同条第一項の規定を適用して計算した相続税額がその時前において同項の規定を適用して計算した相続税額と異なることとなつたこと(第一号に該当する場合を除く。)。

九 次に掲げる事由が生じたこと。

イ 所得税法第百三十七条の二第十三項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定により同条第一項の規定の適用を受ける同項に規定する国外転出をした者に係る同項に規定する納税猶予分の所得税額に係る納付の義務を承継したその者の相続人が当該納税猶予分の所得税額に相当する所得税を納付することとなつたこと。

ロ 所得税法第百三十七条の三第十五項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定により同条第七項に規定する適用贈与者等に係る同条第四項に規定する納税猶予分の所得税額に係る納付の義務を承継した当該適用贈与者等の相続人が当該納税猶予分の所得税額に相当する所得税を納付することとなつたこと。

ハ イ及びロに類する事由として政令で定める事由

十 贈与税の課税価格計算の基礎に算入した財産のうちに第二十一条の二第四項の規定に該当するものがあつたこと。

2 贈与税について申告書を提出した者に対する国税通則法第二十三条の規定の適用については、同条第一項中「五年」とあるのは、「六年」とする。

 

 

日本プロフェッショナル野球組織団交事件

 

 

日本プロフェッショナル野球組織団交

【事件番号】      東京高等裁判所決定/平成16年(ラ)第1479号

【判決日付】      平成16年9月8日

【判示事項】      ㈱大阪バファローズとオリックス野球クラブ㈱間の営業譲渡及び参加資格の統合(選手の解雇,転籍を不可避的に伴う営業譲渡及び参加資格の統合を回避,抗告人組合員の労働条件等を含む)について,抗告人が,団体交渉を求め得る地位にあることの仮処分命令申立事件の抗告審(原決定は申立却下)。

裁判所は,抗告人が相手方に対し,労働組合法第7条2号の団体交渉権を有することについての疎明は十分で,抗告人組合員の労働条件に関する件は義務的団体交渉事項に該当するが,相手方は抗告人との団体交渉に応じており,保全の必要性(民事保全法23条2項)の疎明が不十分であるから,原決定は結論において相当であるとして,本件抗告を棄却した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      法律時報77巻11号94頁

 

 

労働組合法

(不当労働行為)

第七条 使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

二 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

四 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと若しくは中央労働委員会に対し第二十七条の十二第一項の規定による命令に対する再審査の申立てをしたこと又は労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。

 

 

民事保全法

(仮処分命令の必要性等)

第二十三条 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。

3 第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。

4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

 

人事本部長として雇用された労働者に対する適格性を欠くとしてなされた解雇が有効とされた例

 

 

              雇用関係存在確認等請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/昭和57年(ネ)第615号

【判決日付】      昭和59年3月30日

【判示事項】      人事本部長として雇用された労働者に対する適格性を欠くとしてなされた解雇が有効とされた例

【掲載誌】        労働関係民事裁判例集35巻2号140頁

             判例時報1119号148頁

             労働判例437号41頁

【評釈論文】      季刊実務民事法8号216頁

 

 

労働契約法

(解雇)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

 

つまみ申告事件・真実の所得金額を認識しつつ、所得金額を殊更過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出した行為が、国税通則法六八条一項に定める重加算税の賦課要件に該当するとされた事例

 

 

所得税重加算税賦課決定処分取消請求上告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成5年(行ツ)第134号

【判決日付】      平成6年11月22日

【判示事項】      真実の所得金額を認識しつつ、所得金額を殊更過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出した行為が、国税通則法六八条一項に定める重加算税の賦課要件に該当するとされた事例

【判決要旨】     納税者は、正確な所得金額を把握し得る会計帳簿類を作成していながら、三年間にわたり極めてわずかな所得金額のみを作為的に記載した申告書を提出し続け、しかも、その後の税務調査に際しても過少の店舗数を記載した内容虚偽の資料を提出するなどの対応をして、真実の所得金額を隠ぺいする態度、行動をできる限り貫こうとしているのであって、申告当初から、真実の所得金額を隠ぺいする意図を有していたことはもちろん、税務調査があれば、更に隠ぺいのための具体的工作を行うことをも予定していたことも明らかといわざるを得ない。以上のような事情からすると、納税者は、単に真実の所得金額よりも少ない所得金額を記載した確定申告書であることを認識しながらこれを提出したというにとどまらず、本件各確定申告の時点において、白色申告のため当時帳簿の備付け等につきこれを義務付ける税法上の規定がなく、真実の所得の調査解明に困難が伴う状況を利用し、真実の所得金額を隠ぺいしようという確定的な意図の下に、必要に応じ事後的にも隠ぺいのための具体的工作を行うことも予定しつつ、前記会計帳簿類から明らかに算出し得る所得金額の大部分を脱漏し、所得金額を殊更過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出したことが明らかである。したがって、本件各確定申告は、単なる過少申告行為にとどまるものではなく、国税通則法六八条一項にいう税額等の計算の基礎となるべき所得の存在を一部隠ぺいし、その隠ぺいしたところに基づき納税申告書を提出した場合に当たるというべきである(最高裁昭和四六年(あ)第一九〇一号同四八年三月二〇日第三小法廷判決・刑集二七巻二号一三八頁参照)。

【参照条文】      国税通則法68-1

【掲載誌】        訟務月報41巻11号2887頁

             税務訴訟資料206号369頁

 

 

国税通則法

(重加算税)

第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

2 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第七項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

3 前条第一項の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第二項若しくは第三項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者が事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつたときは、税務署長又は税関長は、当該納税者から、不納付加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る不納付加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を徴収する。

4 前三項の規定に該当する場合において、これらの規定に規定する税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものに基づき期限後申告書若しくは修正申告書の提出、更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は納税の告知(第三十六条第一項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)若しくは納税の告知を受けることなくされた納付があつた日の前日から起算して五年前の日までの間に、その申告、更正若しくは決定又は告知若しくは納付に係る国税の属する税目について、無申告加算税等を課され、又は徴収されたことがあるときは、前三項の重加算税の額は、これらの規定にかかわらず、これらの規定により計算した金額に、これらの規定に規定する基礎となるべき税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。