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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

原告が,被告に売渡した非鉄金属付スクラップの未払売買代金の支払を求めた事案について,契約の主体は,原告代表者又は営業所長であり,被告側は代表取締役であったと認め,被告の双方代理,公序良俗違反等の主張は理由がないとして,原告の請求を認容した事例

 

東京地方裁判所判決/平成17年(ワ)第16875号

平成19年6月13日

売買代金請求事件

【判示事項】    原告が,被告に売渡した非鉄金属付スクラップの未払売買代金の支払を求めた事案について,契約の主体は,原告代表者又は営業所長であり,被告側は代表取締役であったと認め,被告の双方代理,公序良俗違反等の主張は理由がないとして,原告の請求を認容した事例

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

       主   文

  1 被告は,原告に対し,1099万3685円及びこれに対する平成16年9月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

  2 訴訟費用は被告の負担とする。

  3 この判決は,1項に限り仮に執行することができる。

       事実及び理由

第1 請求

   主文同旨

第2 事案の概要

 1 本件は,原告が,被告に対し,別紙1「品名」欄記載の非鉄金属付スクラップ(以下「本件商品」という。)を代金2178万5201円(消費税5パーセントを含む。)で売却したとして,未払代金1099万3685円とこれに対する平成16年9月5日(支払期限の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

 2 争いのない事実等(証拠等により容易に認定できる事実については,末尾に証拠等を記載した。)

 (1)ア 原告は,ステンレススクラップの販売及び買人,金属屑の輸出入及び販売,産業廃棄物の収集運搬並びに廃棄物の再生処理等を業とする株式会社である。

   イ 被告は,衣料用繊維製品,洋品雑貨,絵画,美術工芸品の販売及び輸出入等を業とする有限会社である。

   ウ A(以下「A」という。)は,平成4年12月に被告が設立されてから,平成18年10月に解散するまでの間,被告の代表者である取締役を務めていた。

 (2)平成14年12月,原告と被告との間で,原告が被告に金属類,非金属類等のスクラップを売却する内容の取引が始まった。

 (3)有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(以下「バーゼル条約」という。)を履行するための国内法として制定された,特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(以下「特定廃棄物輸出入規制法」という。)は,原則として規制の対象となる物として,別表第2において,以下の物を掲げている(乙3,乙4)。

(後略)

 

1、互に航路を横切る両船が海上衝突予防法第19条にいう「衝突の虞」がないものとされる事例

2、互に航路を横切る両船が、そのまま進めば無難に替り行くことを相互に看取し得る状況にあったにかかわらず、1船がその後速力を減じたため、新たに衝突の危険を惹起こするに至った場合において、両船のいずれに避譲義務があるか

 

最高裁判所第1小法廷判決/昭和26年(オ)第918号

昭和32年2月21日

裁決取消請求事件

【判示事項】    1、互に航路を横切る両船が海上衝突予防法第19条にいう「衝突の虞」がないものとされる事例

2、互に航路を横切る両船が、そのまま進めば無難に替り行くことを相互に看取し得る状況にあったにかかわらず、1船がその後速力を減じたため、新たに衝突の危険を惹起こするに至った場合において、両船のいずれに避譲義務があるか

【判決要旨】    1、両船が互に航路を横切る場合において、両船の大小、性能、相互の方位の変化の模様その他原判決の認定する諸般の状況にかんがみれば、両船の距離が1海里乃至4分の3海里に接近した時期において、相互の方位の変化の度合いが1分間に0.8度程度であったということだけで、ただちに、両船が海上衝突予防法第19条にいう「衝突の虞」があるものということはできない。

2、互に航路を横切る両船が、そのまま進めば無難に替り行くことを相互に看取し得る状況にあったにかかわらず、1船がその後速力を減じたため、新たに衝突の危険を惹起こするに至った場合には、同船がたとえ他船を左舷に見る関係にあった場合でも、同船において避譲の措置を講ずる義務があるものと解すべきである。

【参照条文】    海上衝突予防法(明治25年法律第5号)航方前文

          海上衝突予防法19

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集11巻2号307頁

 

海上衝突予防法

(狭い水道等)

第九条 狭い水道又は航路筋(以下「狭い水道等」という。)をこれに沿つて航行する船舶は、安全であり、かつ、実行に適する限り、狭い水道等の右側端に寄つて航行しなければならない。ただし、次条第二項の規定の適用がある場合は、この限りでない。

2 航行中の動力船(漁ろうに従事している船舶を除く。次条第六項及び第十八条第一項において同じ。)は、狭い水道等において帆船の進路を避けなければならない。ただし、この規定は、帆船が狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない動力船の通航を妨げることができることとするものではない。

3 航行中の船舶(漁ろうに従事している船舶を除く。次条第七項において同じ。)は、狭い水道等において漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。ただし、この規定は、漁ろうに従事している船舶が狭い水道等の内側を航行している他の船舶の通航を妨げることができることとするものではない。

4 第十三条第二項又は第三項の規定による追越し船は、狭い水道等において、追い越される船舶が自船を安全に通過させるための動作をとらなければこれを追い越すことができない場合は、汽笛信号を行うことにより追越しの意図を示さなければならない。この場合において、当該追い越される船舶は、その意図に同意したときは、汽笛信号を行うことによりそれを示し、かつ、当該追越し船を安全に通過させるための動作をとらなければならない。

5 船舶は、狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない他の船舶の通航を妨げることとなる場合は、当該狭い水道等を横切つてはならない。

6 長さ二十メートル未満の動力船は、狭い水道等の内側でなければ安全に航行することができない他の動力船の通航を妨げてはならない。

7 第二項から前項までの規定は、第四条の規定にかかわらず、互いに他の船舶の視野の内にある船舶について適用する。

8 船舶は、障害物があるため他の船舶を見ることができない狭い水道等のわん曲部その他の水域に接近する場合は、十分に注意して航行しなければならない。

9 船舶は、狭い水道においては、やむを得ない場合を除き、びよう泊をしてはならない。

 

第6章 差押え・処分禁止の仮処分の登記

東京地判平成16年6月28日LLI/DB 判例秘書登載
原告は、被告との間で被告の紹介した本件建物に関する仲介契約を締結し、原告は被告に対し金員を支払ったが、本件建物は競売により訴外有限会社に売却され、被告は原告に対し、本件建物の引渡しができなくなったため、原告は被告に対し、本件仲介契約の債務不履行に基づいて損害賠償を求めた事案で、原告は被告の仲介契約の債務不履行により損害を受けたとして、原告の請求を認容した事例

名古屋高判昭和36年3月31日高民集14巻3号213頁
揚妻が代表取締役をしている観光会社(親立観光株式会社)ば、別紙目録記載の宅地建物を所有し、これを使用して旅館金岡荘を経営していたが、その親会社なる株式会社親立総本社(その代表取締役は前記揚妻)が多額の債務を負担して破産宣告を受け、その破産管財人は、観光会社を相手方として、右宅地建物につき、売買、譲渡、質権抵当権賃借権の設定その他の一切の処分を禁止する仮処分をし、昭和33年8月16日その旨の登記がなされた。
宅地建物取引業者は、本件のように宅地または建物買受の媒介の委託を受けて特定の不動産につきその媒介をするにあたっては、委任者より特段の指示がない場合においても、みずからまたは司法書士等に依頼して登記簿を閲覧しまたはその謄本等の交付を受けて登記簿上の所有者を了知しかつ競売、仮処分、質権、抵当権、賃借権等の登記の存否を確認し、その他諸般の方法により、右不動産の主要な法律関係を調整し、その結果を委任者に告知し、もって委任者が右の法律関係を知らないで買受契約をし取引に過誤を生じて不測の損害を蒙るに至るべきことを未然に防止するよう注意をなすべき義務があるといわなければならない。常に必ず登記簿の取調を要すると断定することはできないけれども、登記簿は不動産の法律関係を公示することを目的として備え付けてある国家の公簿であり、しかもその取調はたやすくなし得る事柄であるから、法律関係調査の方法としては、通常の場合は、まず登記簿の取調をなし、次で適宜その他の種々の取調方法をも考慮すべきであろう。本件についてこれをみるに、前記認定によって明かであるように、被控訴人は、10月20日ころより同月27日ころまでの間において媒介の目的不動産たる本件宅地建物の登記簿を容易に取り調べることができたにもかかわらず、全然これが取調をなさず、同月27日夕刻山口等の発議により、ようやく平松司法書士に電話をかけて登記簿の閲覧方を依頼したにすぎない。しかも、翌28日には被控訴人は、右司法書士に連絡して登記簿閲覧の結果を聴取するような措置に出でず、同日午後漫然と契約締結の席に立ち会って山口歓をして本件買受契約を締結し手附金70万円を支払うに至らしめたものである。登記簿の取調をすれば、前記仮処分のあることをたやすく発見することができたことはいうまでもない。なお、被控訴人が仮処分を発見し得るような他の適切な取調方法を採用した事実を推認するに足る証拠は存在しない。揚妻は仮処分のあることを告知しないで売渡契約を締結し詐欺行為により手附金70万円を領得したのであるが、登記簿取調の結果等によりあらかじめ仮処分のあることを了知するにおいては、山口は買受契約を締結せず手附金70万円を支払うに至らなかったに相違ない。このことは叙上の認定事実と取引の通念に照して明白である。そして観光会社が支払不能の状態にあって右金70万円を返還することができないことは前記説示のとおりである。これを要するに、被控訴人は、単に登記簿の取調をするだけで控訴会社が損害を蒙ることを容易に防止することができたにもかかわらず、受任事務の処理上当然に尽すべき注意を欠き、過失によって右の程度の取調すらせず、その結果控訴会社に損害を蒙らせるに至ったものである。しかしながら、控訴会社の代表者たる山口もまた、容易になし得る登記簿の取調すらせず、被控訴人等にその取調方の指示もせず、10月28日午前中に契約を締結すべく予定して、その前日なる27日夕刻に至ってようやく被控訴人をして平松司法書士に電話をかけさせたにすぎない。しかも18日には山口は、みずからまたは被控訴人等に指示して右司法書士より登記簿閲覧の結果を聴取するような措置をとらず、被控訴人を軽信して漫然と契約を締結し手附金70万円を支払い、その結果控訴会社が損害を蒙るに至ったのである。控訴会社が不動産の売買を営業とする株式会社であり、山口が以前から不動産売買の経験を有し苅谷等と共に控訴会社を設立してその代表取締役に就任した者であることは前記のとおりである。されば山口は、通常人に比すれば、不動産の法律関係調査の方法等に精通しており、しかも控訴会社の役職員に命じまたは取引先等に依頼して容易にその調査にをなし得る立場にあったものとみることができる。しかるに登記簿の取調すらせず、その後仲介人にこれが取調を指示しながら取調の結果の報告を督促せずこれを聴取しないで契約を締結し被控訴人を軽信して「仲介人まかせ」にしておいたのであるから、軽卒であったと非難されてもやむを得ないところであろう。控訴会社の代表取締役たる山口も、また、取引上通常用うべき注意を怠り、過失によって控訴会社に損害を生ぜしめたものである。上記のとおりであって、被控訴人の過失と山口の過失とが競合し、これに基因して控訴会社に金70万円の損害が発生したのであるから、山口の過失をしんしやくし、5割過失相殺。

 

経営指導料事件・原告が,被告がなした原告に対する数事業年度にわたる法人税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求めた事案について,経営指導料の一部は,寄付金に当たるとした部分は,違法と認め,その余の原告主張は,認めるに足りる証拠がないとして納付すべき税金額及び加算税額を算定し,その限度で原告の請求を認容し,その余を棄却した事例

 

 

法人税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所/平成7年(行ウ)第262号

【判決日付】      平成12年2月3日

【判示事項】      原告が,被告がなした原告に対する数事業年度にわたる法人税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求めた事案について,経営指導料の一部は,寄付金に当たるとした部分は,違法と認め,その余の原告主張は,認めるに足りる証拠がないとして納付すべき税金額及び加算税額を算定し,その限度で原告の請求を認容し,その余を棄却した事例

【判決要旨】      (1) 省略

             (2) 役務提供契約に基づき提供された役務に対する、役務の価値を超えない支払金額の算定に当たり、提供される役務が市場性を有さず、客観的な価格が形成されていない場合、また、提供される役務が様々な内容を含むため個々具体的な役務の提供に係る対価を個別に観念し難い場合、役務提供者において当該役務を提供するのに必要な費用の額(以下「提供経費」という。)をもって、当該役務の価値を判断する基礎とすることは合理的な方法ということができるが、提供者における利益ないし報酬の部分も役務の対価として含まれてしかるべきことからすると、提供される役務の価値が、提供経費に尽きるものではないことは明らかである。特に、当該役務の提供が提供者の主たる活動になっている場合、提供した役務の価値が提供経費を大幅に上回る場合などにおいては、利益ないし報酬部分を加算しないことは不合理というべきである。そして、独立企業間で役務の提供に対する利益ないし報酬部分をどのように定めるかは、私的自治の原則により基本的には当該企業が契約により自由に定めるところにゆだねられているものというべきである。

             (3) 法人税法三七条に定める寄附金に該当するか否かの判断において提供される役務に対して支払われる対価の額が、役務提供者における提供経費を超えているからといって、当該超える部分が直ちに寄附金に該当すると判断することはできず、右超える部分が寄附金に該当するかどうかは、契約当事者である企業間の関係、当該役務提供契約において定められている役務の内容、対価の決定方法の合理性、実際の役務提供内容、提供される役務の被提供者における便益の大きさ、役務と右便益との関係の直接性、提供者において当該役務の提供がその業務に占めている地位等に照らして、役務の提供の対価が、独立企業間において行われる同種の契約で設定される対価の水準と著しく乖離していて、企業間の特殊な関係に基づく租税回避のための価格操作と認めるべきものかどうかによって、これを判断すべきものと解される。

             (4)~(6) 省略

【掲載誌】        税務訴訟資料246号393頁

             LLI/DB 判例秘書登載

 

法人税法

(寄附金の損金不算入)

第三十七条 内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

2 内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益)の規定の適用がないものとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される同条第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

3 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。

一 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額

二 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額

イ 広く一般に募集されること。

ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。

4 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等(別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合を除く。以下この項及び次項において同じ。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(出資に関する業務に充てられることが明らかなもの及び前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える場合には、当該計算した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。

5 公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額(公益社団法人又は公益財団法人にあつては、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で公益に関する事業として政令で定める事業に該当するもののために支出した金額)は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。ただし、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額については、この限りでない。

6 内国法人が特定公益信託(公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条(公益信託)に規定する公益信託で信託の終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)の信託財産とするために支出した金銭の額は、寄附金の額とみなして第一項、第四項、第九項及び第十項の規定を適用する。この場合において、第四項中「)の額」とあるのは、「)の額(第六項に規定する特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭の額を含む。)」とするほか、この項の規定の適用を受けるための手続に関し必要な事項は、政令で定める。

7 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。

8 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。

9 第三項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第三項各号に掲げる寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付がある場合に限り、第四項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第四項に規定する寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該書類に記載された寄附金が同項に規定する寄附金に該当することを証する書類として財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、第三項又は第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。

10 税務署長は、第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されないこととなる金額の全部又は一部につき前項に規定する財務省令で定める書類の保存がない場合においても、その書類の保存がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その書類の保存がなかつた金額につき第四項の規定を適用することができる。

11 財務大臣は、第三項第二号の指定をしたときは、これを告示する。

12 第五項から前項までに定めるもののほか、第一項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 

 

判例法理によれば、民間企業の使用者は、その事業を廃止するか否かについて、これを自由に決定できる権利を有するとされ、清算の終了した時点で労働契約は、原則として自動的に終了することになる。真実解散が認められれば、不当な動機・目的が併存していたとしても、解散の効力は影響を受けない(東京高決昭37・12・4労民集13巻6号1172頁[三協紙器事件・]など)。
もっとも、真実解散の場合であっても解雇に際し労働者に解雇条件の決定手続きへの参加の機会を与えず、また解雇を組合との団体交渉の継続中に突然提案するなど、使用者が組合や従業員と誠実な交渉を尽くす信義則上の義務を果たしていない場合には、解雇は解雇権濫用として無効とされることがある(大阪地決平成10・7・7労判747号50頁[グリン製菓事件]など)。
また、全事業の廃止に伴い全従業員を解雇した場合の判断基準としては、いわゆる整理解雇の四要件によるのでなく事業廃止の必要性と解雇手続きの妥当性との双方を総合的に考慮して決すべきとしたうえで、労働者の解雇は解雇権濫用とは認められないとしたものがある(仙台地決平成17・12・15労判915号152頁[三陸ハーネス事件])。
  別会社によって事業が継続される場合には、別会社との間で新たな労働契約の締結が認められるか否かが問題となるが、結果的に労働者の救済を否定したものに、静岡フジカラーほか2社事件(東京高判平成17・4・27労判896号19頁、静岡地判平成16・5・20労判877号24頁)、東京日新学園事件(東京高判平成17・7・13労判899号19頁)がある。
これに対して、タジマヤ(解雇)事件(大阪地判平成11・12・8労判777号25頁)や勝英自動車学校(大船自動車興業)事件(東京高判平成17・5・31労判898号16頁)では、事業譲渡に関する法理に基づき、第一交通産業(損害賠償)事件(大阪地堺支判平成18・5・31判タ1252号223頁)や第一交通産業ほか(佐野第一交通)事件(大阪高判平成19・10・26労判975号50頁)、サカキ運輸ほか(法人格濫用)事件(福岡高判平成28.2.9、長崎地判平成27.6.16労判1121号20頁)では、法人格否認法理の援用によって、また、新関西通信システムズ事件(大阪地決平成6.8.5労判668号48頁)や日進工機事件(奈良地決平成11.1.11労判753号15頁)では、実質的同一性の法理によって、それぞれ別会社への労働契約の承継が認められている。

 

医薬品販売業の登録制を規定した旧薬事法(昭和23年法律第197号)第29条1項の合憲性

 

最大判昭和40年7月14日刑集19巻5号554頁 判タ180号113頁 判時414号48頁

薬事法違反被告事件

【判決要旨】 医薬品販売事業の登録制を規定した旧薬事法(昭和23年法律第197号)第29条1項は、憲法22条1項25条に違反しない。

【参照条文】 旧薬事法(昭和23年法律第197条)29-1

       旧薬事法52 、56

       憲法22-1 、25

 

憲法

第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

② 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

 

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。

② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

(店舗管理者の義務)

第二十九条 店舗管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その店舗に勤務する薬剤師、登録販売者その他の従業者を監督し、その店舗の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その店舗の業務につき、必要な注意をしなければならない。

2 店舗管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その店舗の業務につき、店舗販売業者に対し、必要な意見を書面により述べなければならない。

3 店舗管理者が行う店舗の管理に関する業務及び店舗管理者が遵守すべき事項については、厚生労働省令で定める。

 

(販売、製造等の禁止)

第五十六条 次の各号のいずれかに該当する医薬品は、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で製造し、輸入し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

一 日本薬局方に収められている医薬品であつて、その性状又は品質が日本薬局方で定める基準に適合しないもの

二 第四十一条第三項の規定によりその基準が定められた体外診断用医薬品であつて、その性状、品質又は性能がその基準に適合しないもの

三 第十四条、第十九条の二、第二十三条の二の五若しくは第二十三条の二の十七の承認を受けた医薬品又は第二十三条の二の二十三の認証を受けた体外診断用医薬品であつて、その成分若しくは分量(成分が不明のものにあつては、その本質又は製造方法)又は性状、品質若しくは性能がその承認又は認証の内容と異なるもの(第十四条第十六項(第十九条の二第五項において準用する場合を含む。)、第二十三条の二の五第十六項(第二十三条の二の十七第五項において準用する場合を含む。)又は第二十三条の二の二十三第八項の規定に違反していないものを除く。)

四 第十四条第一項又は第二十三条の二の五第一項の規定により厚生労働大臣が基準を定めて指定した医薬品であつて、その成分若しくは分量(成分が不明のものにあつては、その本質又は製造方法)又は性状、品質若しくは性能がその基準に適合しないもの

五 第四十二条第一項の規定によりその基準が定められた医薬品であつて、その基準に適合しないもの

六 その全部又は一部が不潔な物質又は変質若しくは変敗した物質から成つている医薬品

七 異物が混入し、又は付着している医薬品

八 病原微生物その他疾病の原因となるものにより汚染され、又は汚染されているおそれがある医薬品

九 着色のみを目的として、厚生労働省令で定めるタール色素以外のタール色素が使用されている医薬品

 

(準用)

第六十二条 化粧品については、第五十一条、第五十二条第二項及び第五十三条から第五十七条までの規定を準用する。この場合において、第五十一条中「第四十四条第一項若しくは第二項又は前条各号」とあるのは「第六十一条各号」と、第五十二条第二項第四号中「第四十二条第一項」とあるのは「第四十二条第二項」と、第五十三条中「第四十四条第一項若しくは第二項又は第五十条から前条まで」とあるのは「第六十一条又は第六十二条において準用する第五十一条若しくは前条第二項」と、第五十四条第二号中「、第十九条の二、第二十三条の二の五又は第二十三条の二の十七」とあるのは「又は第十九条の二」と、「、効果又は性能」とあるのは「又は効果」と、「第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項又は第二十三条の二の二十三第一項」とあるのは「第十四条第一項」と、第五十五条第一項中「第五十条から前条まで、第六十八条の二第一項、第六十八条の二の三、第六十八条の二の四第二項又は第六十八条の二の五」とあるのは「第六十一条又は第六十二条において準用する第五十一条、第五十二条第二項、第五十三条及び前条」と、同条第二項中「認定若しくは第十三条の三の二第一項若しくは第二十三条の二の四第一項の登録」とあるのは「認定若しくは第十三条の三の二第一項の登録」と、「第八項若しくは第二十三条の二の三第一項」とあるのは「第八項」と、「、第十九条の二第四項、第二十三条の二の五第一項若しくは第十五項(第二十三条の二の十七第五項において準用する場合を含む。)、第二十三条の二の十七第四項若しくは第二十三条の二の二十三第一項若しくは第七項」とあるのは「若しくは第十九条の二第四項」と、第五十六条第三号中「、第十九条の二、第二十三条の二の五若しくは第二十三条の二の十七の承認を受けた医薬品又は第二十三条の二の二十三の認証を受けた体外診断用医薬品」とあるのは「又は第十九条の二の承認を受けた化粧品」と、「、品質若しくは性能がその承認又は認証」とあるのは「若しくは品質がその承認」と、「含む。)、第二十三条の二の五第十六項(第二十三条の二の十七第五項において準用する場合を含む。)又は第二十三条の二の二十三第八項」とあるのは「含む。)」と、同条第四号中「第十四条第一項又は第二十三条の二の五第一項」とあるのは「第十四条第一項」と、「、品質若しくは性能」とあるのは「若しくは品質」と、同条第五号中「第四十二条第一項」とあるのは「第四十二条第二項」と、第五十六条の二第一項中「第十四条、第十九条の二、第二十三条の二の五若しくは第二十三条の二の十七の承認若しくは第二十三条の二の二十三の認証」とあるのは「第十四条若しくは第十九条の二の承認」と、「第十四条の九若しくは第二十三条の二の十二」とあるのは「第十四条の九」と、同条第三項第二号中「第十四条の三第一項第二号に規定する医薬品その他の厚生労働大臣」とあるのは「厚生労働大臣」と読み替えるものとする。

 

1 被告による同時再送信における著作物使用に関する契約に基づき,日脚連,シナリオ作家協会,音楽著作権協会,芸団協の原告らが,契約に定められた使用料の支払を請求した事案であり,被告は,契約自体の錯誤無効または著作権法違反であるなどとして争った。

2 有線放送による同時再送信について,実演家の著作隣接権に基づき対価を徴収することが可能であると誤信して締結したもので無効であり,芸団協を除く使用料等の請求権の一部は消滅時効に係っているとしたが,芸団協を除く原告らの請求を一部認容した。

 

東京地方裁判所判決/平成13年(ワ)第8593号、平成14年(ワ)第4006号、平成15年(ワ)第28983号

平成16年5月21日

著作権使用料請求事件

【判示事項】    1 被告による同時再送信における著作物使用に関する契約に基づき,日脚連,シナリオ作家協会,音楽著作権協会,芸団協の原告らが,契約に定められた使用料の支払を請求した事案であり,被告は,契約自体の錯誤無効または著作権法違反であるなどとして争った。

2 有線放送による同時再送信について,実演家の著作隣接権に基づき対価を徴収することが可能であると誤信して締結したもので無効であり,芸団協を除く使用料等の請求権の一部は消滅時効に係っているとしたが,芸団協を除く原告らの請求を一部認容した。

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

       主   文

  1 被告は,甲事件原告協同組合X1に対し,3万4129円およびこれに対する平成13年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  2 被告は,甲事件原告協同組合X1,乙事件原告協同組合X2,乙事件原告社団法人X3および乙事件参加人に対し,82万7613円およびこれに対する平成13年5月8日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  3 被告は,甲事件原告協同組合X1,乙事件原告協同組合X2および乙事件参加人に対し,7万7589円およびこれに対する平成13年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  4 甲事件原告,乙事件原告ら(乙事件原告社団法人X4を除く。)および乙事件参加人のその余の請求を棄却する。

  5 乙事件原告社団法人X4の請求を棄却する。

  6 訴訟費用については,乙事件原告社団法人X4と被告の間に生じたものは同原告の負担とし,甲事件原告,その余の乙事件原告ら,乙事件脱退原告および乙事件参加人と被告の間に生じたものは,これを3分し,その2をこれらの原告ら(乙事件脱退原告を除く。)および乙事件参加人の,その余を被告の各負担とする。

  7 この判決の第1項ないし第3項は,仮に執行することができる。

       事実および理由

第1 請求

 1 被告は,甲事件原告協同組合X1,乙事件原告協同組合X2,乙事件原告社団法人X3,乙事件原告社団法人X4および乙事件参加人に対し,235万8720円およびこれに対する平成13年5月8日(甲事件原告協同組合X1の訴え(平成13年(ワ)第8593号)の訴状が被告に送達された日)から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 2 被告は,甲事件原告協同組合X1,乙事件原告協同組合X2,乙事件原告社団法人X4および乙事件参加人に対し,23万5872円およびこれに対する平成13年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

   本件は,甲事件原告,乙事件原告らおよび乙事件脱退原告と被告との間で締結された被告による同時再送信における著作物使用に関する契約に基づき,甲事件原告および乙事件原告らおよび乙事件参加人(以下,併せて「原告ら」という。)が,被告に対し,契約に定められた使用料(平成6年度から平成11年度分)の支払いを求めている事案である。

   原告らの主張に対し,被告は,①原告らは,著作権法上,被告によるテレビ番組の同時再送信について何らの権利を有していないのに,著作物使用に関する契約に基づき使用料を請求し得ると主張しているものであって,契約自体錯誤無効であるし,そうでなくとも原告らの請求は著作権法に反するものであるから認められない,②被告による同時再送信は,原告らが放送事業者に対して許諾した著作物の使用の範囲に含まれているものであって,そもそも原告らは被告に対して使用料等の請求をなし得る立場にないので,本件各契約はその要素に錯誤があり無効である,③原告らの請求は判例あるいは信義則に反する,④乙事件原告社団法人X4(以下「原告X4」という。)は,本来被告に対して著作隣接権を行使できる立場にないのに,同時再送信について著作隣接権を有するかのごとく被告を欺罔して契約を締結したものであるから,上記契約は,少なくとも原告X4に関する部分については詐欺により取り消されるべきものであるか,錯誤により無効である,⑤原告らの請求は,契約期間満了または消滅時効により認められない等と主張して争っている。

 1 前提となる事実関係(証拠により認定した事実については,末尾に証拠を掲げた。)

 (1)当事者

   ア 甲事件原告協同組合X1(以下「原告X1」という。原告X1の前身は,協同組合Cであるが,以下においては両者を区別することなく「原告X1」という。),乙事件原告協同組合X2(「以下「原告X2」という。),乙事件原告社団法人X3(以下「原告X3」という。)および乙事件参加人(以下「参加人」という。)は,著作権管理事業法に基づき文化庁長官の登録を受けた著作権等管理団体であり,著作物の管理等を行っている団体である(なお,原告X1,原告X2および原告X3は,平成13年10月1日の著作権等管理事業法施行前においては,著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律(以下「仲介業務法」という。)に基づき著作権に関する仲介業務をなすことの許可を受けた著作権仲介団体であった。)。

     原告X4は,著作権法第95条,95条の3,104条の3に基づき,文化庁長官により「実演を業とする者の相当数を構成員とする団体」として指定を受けた団体である。

   イ 乙事件脱退原告社団法人X5(以下「脱退原告」という。)は,平成13年10月1日の著作権等管理事業法施行前においては,仲介業務法に基づき著作権に関する仲介業務を行うことの許可を受けた仲介業務団体であり,著作権等管理事業法施行後においては,同法に基づき文化庁長官の登録を受けた著作権管理団体であった。平成15年10月1日,参加人は,脱退原告から著作権管理業務と共に本件A契約および本件B契約(以下,両契約を併せて「本件各契約」という。)に基づき被告に対して有する債権を承継した。

     これに伴い,参加人は,民事訴訟法47条1項に基づき本件訴訟に参加し,脱退原告は,被告の同意を得て本件訴訟から脱退した。

   ウ 被告

     被告は,有線テレビジョン放送法(以下「有テレ法」という。)による放送事業等を目的として,平成元年1月13日に設立された株式会社であり,平成3年2月5日,有テレ法3条に基づき,有線テレビジョン放送施設の設置について郵政大臣の許可を受け,平成4年4月1日からサービスを開始し,以後現在に至るまで,有線テレビジョン放送を継続して行う有線放送事業者である。

 (2)使用許諾契約の締結

   ア 原告X1,原告X3,原告X2,原告X4および脱退原告(以下,上記5団体を併せて「原告ら5団体」という。)は,平成4年7月6日,被告との間で,有線テレビジョン放送に関し,次の内容の契約を締結した(甲1,以下「本件A契約」という。)。

    第1条(使用許諾)

       原告X1,原告X3,原告X2,脱退原告(以下「原告X1ら4団体」という。)は,被告に対し,第2条に掲げる使用料を支払うことを条件として,原告X1ら4団体がコントロールを及ぼし得る範囲に属する著作物を使用して製作された放送番組をケーブルによって変更を加えないで同時再送信することを許諾する。

     2 原告X4は,被告が第2条に掲げる補償金を支払うことを条件として,原告X4の会員の実演によって製作された放送番組を,被告がケーブルによって変更を加えないで同時再送信することに対し,放送事業者に異議を申し立てないことを約定する。

    第2条(使用料,補償金の支払い)

       上記使用料と補償金の合計金額は,被告が当該年度に受領すべき利用料総額に,各々次の料率を乗じて算出した額とする。

      ① 区域内再送信は,1波について0.015%

      ② 区域外再送信は,1波について0.09%

       但し,被告が支払う使用料と補償金の合計額は,受領すべき利用料総額の0.35%を限度とする。

     2 使用料および補償金に課される消費税は,別途添付の上,被告から原告X1ら4団体および原告X4に支払う。

    第3条(利用料収入の報告)

       被告は,当該年度の利用料収入を原告X1ら4団体および原告X4に報告するものとし,当該年度終了後2か月以内に有線テレビジョン放送施行規則36条の規定による業務運営状況報告書の写しにより,原告X1ら4団体および原告X4の代表者である原告X1に報告する。

    第4条(使用料,補償金の支払い)

       被告は,原告X1ら4団体および原告X4に対し,第2条の使用料,補償金を当該年度終了後2か月以内に,代表者である原告X1の事務所に持3または送金して支払う。

    第5条(契約の解除)

       被告が,本契約の規定に違反したときは,代表者である原告X1は1か月間の通知催告の上,本契約を解除することができる。

    第6条(差止め請求と損害賠償請求)

       被告が,本契約の規定に違反したときは,代表者である原告X1は,被告に対し,当該違反行為の停止と損害賠償を請求することができる。

    第7条(管轄裁判所の合意)

       (省略)

    第8条(契約期間)

       本契約の有効期間は,平成4年4月1日から平成5年3月31日までとする。

       本契約の期間満了の日の1か月前までに,原告X1ら4団体,原告X4または被告から本契約の廃棄,変更について特別の意思表示が文書によってなされなかった場合は,期間満了の日の翌日から起算しさらに1か年間その効力を有する。以降の満期のときもまた同様とする。

   イ 原告X1,原告X2,原告X4および脱退原告は,平成4年7月6日,被告との間で,有線ラジオ放送に関し,次の内容の契約を締結した(甲2,以下「本件B契約」といい,本件A契約と併せて「本件各契約」という。)。

    第1条(使用許諾)

       原告X1,原告X2,脱退原告(以下「原告X1ら3団体」という。)は,被告に対し,第2条に掲げる使用料を支払うことを条件として,原告X1ら3団体がコントロールを及ぼし得る範囲に属する著作物を使用して製作されたラジオ放送番組を,ケーブルによって変更を加えないで同時再送信することを許諾する。

     2 原告X4は,被告が第2条に掲げる補償金を支払うことを条件としてX4の会員の実演によって製作されたラジオ放送番組を,被告がケーブルによって変更を加えないで同時再送信することに対し,放送事業者に異議を申し立てないことを約定する。

    第2条(使用料,補償金の支払い)

       原告X1ら3団体および原告X4に対する前条の使用料と補償金の合計金額は,被告が当該年度に受領すべき利用料総額に,各々次の料率を乗じて算出した額とする。

      ① 区域内再送信は,1波について0.015%×10/100

      ② 区域外再送信は,1波について0.09%×10/100

       但し,被告が支払う使用料と補償金の合計額は,受領すべき利用料総額の0.35%×10/100を限度とする。

     2 使用料および補償金に課される消費税は,別途添付の上,被告から原告X1ら3団体および原告X4に支払う。

    第3条(利用料収入の報告)

       被告は,当該年度の利用料収入を原告X1ら3団体および原告X4に報告するものとし,当該年度終了後2か月以内に有線テレビジョン放送施行規則36条の規定による業務運営状況報告書の写しにより,原告X1ら3団体および原告X4の代表者である原告X1に報告する。

    第4条(使用料,補償金の支払い)

       被告は,原告X1ら3団体および原告X4に対し,第2条の使用料,補償金を当該年度終了後2か月以内に,代表者である原告X1の事務所に持3または送金して支払う。

    第5条(契約の解除)

       被告が,本契約の規定に違反したときは,代表者である原告X1は1か月間の通知催告の上,本契約を解除することができる。

    第6条(差止め請求と損害賠償請求)

       被告が,本契約の規定に違反したときは,代表者である原告X1は,被告に対し,当該違反行為の停止と損害賠償を請求することができる。

    第7条(管轄裁判所の合意)

       (省略)

    第8条(契約期間)

       本契約の有効期間は,平成4年4月1日から平成5年3月31日までとする。

       本契約の期間満了の日の1か月前までに,原告X1ら3団体,原告X4または被告から本契約の廃棄,変更について特別の意思表示が文書によってなされなかった場合は,期間満了の日の翌日から起算しさらに1か年間その効力を有する。以降の満期のときもまた同様とする。

(後略)

 

第5章 担保権の負担

大阪地判昭和57年9月22日判タ486号109頁
1、不動産仲介業者が不動産売買の仲介をするに当り、抵当権の種類、内容の調査等を怠ったとして、仲介契約上の債務不履行責任が認められた事例 
2、右の場合、依頼者にも、抵当権の内容等について不動産仲介業者の言のみを信じた点等において、損害の発生および拡大に関して過失があるとして5割の過失相殺が認められた事例

東京地判平成8年7月12日判タ926号197頁
1 宅地建物取引業者が土地売買の仲介をするに当たり、当該土地の権利関係についての調査説明義務違反があったとして債務不履行責任が認められた事例 
2 売主からの要求のまま、土地の登記等を確認せずに売買代金を支払った買主にも過失があるとして、5割を過失相殺した事例
 Xは、宅地建物取引業者Yの仲介でAから土地を購入し売買代金をすべて支払ったが、右売買契約と残代金支払との間に、当該土地にAを債務者、第三者Bを債権者とする根抵当権設定登記が経由されていたことが後日判明した。
そこで、Xは、Yが登記簿等の調査義務を尽くし、Xに右根抵当権設定登記の存在の事実について説明しておれば、Xは残代金の支払をせずに済んだとし、Yには宅地建物取引業者として仲介の相手であるXに対して信義則上要求される調査説明義務違反があるとして、債務不履行による損害賠償を求めた。
  本判決は、Aは転売目的で土地を購入する際、Bから購入資金の融資を受け、購入した土地にBのために根抵当権を設定して根抵当権設定登記を経由し、その後、当該不動産を転売して得た代金から右融資金を返済して、その根抵当権設定登記を抹消するという方法を採っていたこと、XがAと土地売買契約を結んだ際、当該土地はいまだ第三者Cの所有名義であり、その後、本件土地について、CからAへの所有権移転登記がされたが、同日にBのための根抵当権設定登記もされたこと、Aは、Xから本件売買代金全額を受け取ったにもかかわらず、Bに対し本件土地購入資金の返済を終えないまま倒産したことを認定した上、宅地建物取引業者は、不動産の売買等の取引に関し専門の知識経験を有する者として信頼され、その介入によって取引に過誤のないことを期待されており、委託を受けた相手方に対し、準委任関係に立ち、善良な管理者として、目的不動産の瑕疵、権利者の真偽等につき格段の注意をもって取引上の過誤による不測の損害を生じさせないように配慮すべき高度な注意義務がある旨判示し、Aは本件土地の登記簿を全く閲覧していないなど、本件不動産の権利関係に注意して委託者であるXに取引上の過誤による不測の損害を生じさせないように配慮すべき義務を果たしておらず、その結果Xは損害を被ったと判断したが、Xにも、売主であるAにいわれるまま登記等を確認せず売買残代金を支払った過失があるとして、5割の過失相殺をした。

 

法人税法上の企業支配株式の価額の算出に当たつての企業支配に係る対価の額の意義

 

 

法人税更正決定処分等取消請求事件

【事件番号】      仙台地方裁判所判決/昭和47年(行ウ)第3号

【判決日付】      昭和51年9月13日

【判示事項】      1 法人税法上の企業支配株式の価額の算出に当たつての企業支配に係る対価の額の意義

             2 企業支配株式の1株当たりの株価がその帳簿価額に比べて19・6パーセント低下したにすぎない場合は、いまだ法人税法施行令68条2号ロに規定する「その価額が著しく低下した」場合には当たらないとされた事例

【判決要旨】      1 企業支配に係る対価の額は、新たに他の企業を支配するために通常の株価を超えて支出される金額のほか、既に支配している企業に対する支配力を維持又は強化する場合に、通常の株価を超えて支出される金額もまたこれに含まれる。

             2 <略>

【参照条文】      法人税法施行令34-3

             法人税法33

             法人税法施行令68

【掲載誌】        訟務月報22巻9号2330頁

             税務訴訟資料89号613頁

【評釈論文】      税務弘報25巻3号105頁

 

 

法人税法

第二目 資産の評価損

第三十三条 内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

2 内国法人の有する資産につき、災害による著しい損傷により当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたことその他の政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は、前項の規定にかかわらず、その評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

3 内国法人がその有する資産につき更生計画認可の決定があつたことにより会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定に従つて行う評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、第一項の規定にかかわらず、その評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

4 内国法人について再生計画認可の決定があつたことその他これに準ずる政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人がその有する資産の価額につき政令で定める評定を行つているときは、その資産(評価損の計上に適しないものとして政令で定めるものを除く。)の評価損の額として政令で定める金額は、第一項の規定にかかわらず、これらの事実が生じた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

5 前三項の内国法人がこれらの内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人で政令で定めるものの株式又は出資を有する場合における当該株式又は出資及びこれらの規定の内国法人が通算法人である場合におけるこれらの内国法人が有する他の通算法人(第六十四条の五(損益通算)の規定の適用を受けない法人として政令で定める法人及び通算親法人を除く。)の株式又は出資については、前三項の規定は、適用しない。

6 第一項の規定の適用があつた場合において、同項の評価換えにより減額された金額を損金の額に算入されなかつた資産については、その評価換えをした日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、当該資産の帳簿価額は、その減額がされなかつたものとみなす。

7 第四項の規定は、確定申告書に同項に規定する評価損の額として政令で定める金額の損金算入に関する明細(次項において「評価損明細」という。)の記載があり、かつ、財務省令で定める書類(次項において「評価損関係書類」という。)の添付がある場合(第二十五条第三項(資産の評価益)に規定する資産につき同項に規定する評価益の額として政令で定める金額がある場合(次項において「評価益がある場合」という。)には、同条第六項に規定する評価益明細(次項において「評価益明細」という。)の記載及び同条第六項に規定する評価益関係書類(次項において「評価益関係書類」という。)の添付がある場合に限る。)に限り、適用する。

8 税務署長は、評価損明細(評価益がある場合には、評価損明細又は評価益明細)の記載又は評価損関係書類(評価益がある場合には、評価損関係書類又は評価益関係書類)の添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、当該記載又は当該添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第四項の規定を適用することができる。

9 前三項に定めるもののほか、第一項から第五項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 

法人税法施行令

(資産の評価損の計上ができる事実)

第六十八条 法第三十三条第二項(資産の評価損の損金不算入等)に規定する政令で定める事実は、物損等の事実(次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める事実であつて、当該事実が生じたことにより当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたものをいう。)及び法的整理の事実(更生手続における評定が行われることに準ずる特別の事実をいう。)とする。

一 棚卸資産 次に掲げる事実

イ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。

ロ 当該資産が著しく陳腐化したこと。

ハ イ又はロに準ずる特別の事実

二 有価証券 次に掲げる事実(法第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券にあつては、ロ又はハに掲げる事実)

イ 第百十九条の十三第一項第一号から第四号まで(売買目的有価証券の時価評価金額)に掲げる有価証券(第百十九条の二第二項第二号(有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法)に掲げる株式又は出資に該当するものを除く。)の価額が著しく低下したこと。

ロ イに規定する有価証券以外の有価証券について、その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したこと。

ハ ロに準ずる特別の事実

三 固定資産 次に掲げる事実

イ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。

ロ 当該資産が一年以上にわたり遊休状態にあること。

ハ 当該資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用されたこと。

ニ 当該資産の所在する場所の状況が著しく変化したこと。

ホ イからニまでに準ずる特別の事実

四 繰延資産(第十四条第一項第六号(繰延資産の範囲)に掲げるもののうち他の者の有する固定資産を利用するために支出されたものに限る。) 次に掲げる事実

イ その繰延資産となる費用の支出の対象となつた固定資産につき前号イからニまでに掲げる事実が生じたこと。

ロ イに準ずる特別の事実

2 内国法人の有する資産について法第三十三条第二項に規定する政令で定める事実が生じ、かつ、当該内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額する場合において、当該内国法人が当該評価換えをする事業年度につき同条第四項の規定の適用を受けるとき(当該事実が生じた日後に当該適用に係る次条第二項各号に定める評定が行われるときに限る。)は、当該評価換えについては、法第三十三条第二項の規定は、適用しない。この場合において、当該資産(同条第四項に規定する資産に該当しないものに限る。)は、同条第四項に規定する資産とみなす。

 

昭和27年改正前の自転車競技法第14条第1号後段にいわゆる勝者投票券発売類似の行為に当る事例

 

最高裁判所第2小法廷判決/昭和27年(あ)第6430号

昭和29年10月8日

自転車競技法違反被告事件

【判示事項】    昭和27年法律第220号による改正前の自転車競技法第14条第1号後段にいわゆる勝者投票券発売類似の行為に当る事例

【判決要旨】    競輪施行者でない個人が営業として不特定多数の者から競輪の連勝式勝者投票券購入の依頼を受け、投票券1枚につき110円替の金員を徴収しこれと引換えに購入依頼者に対しそれぞれ同人等が勝者投票の的中者となった場合、競輪主催者が当該競争の的中勝者に払い戻す金額と同一金額を払い戻す預かり証と題する証票を交付する行為は、昭和27年法律第220号による改正前の自転車競技法第14条第1号後段にいわゆる勝者投票券発売類似の行為に該当する。

(少数意見がある。)

【参照条文】    自転車競技法(昭和23年法律第209号)1

【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集8巻10号1579頁

 

自転車競技法

(投票の無効)

第十四条 車券(重勝式勝者投票法に係るものを除く。)を発売した後、当該競走について次の各号のいずれかに該当する事由が生じたときは、当該競走についての投票は、無効とする。

一 出走すべき選手がなくなり、又は一人のみとなつたこと。

二 競走が成立しなかつたこと。

三 競走に勝者がなかつたこと。

2 単勝式又は複勝式勝者投票法において、発売した車券に表示された選手が出走しなかつたときは、その選手に対する投票は、無効とする。

3 連勝単式又は連勝複式勝者投票法において、次の各号のいずれかに該当する事由が生じたときは、その組に対する投票は、無効とする。

一 異なる連勝式番号をつけられた選手を一組とした場合にあつては、発売した車券に表示された選手のうち連勝式番号を同じくする選手のすべてが出走しなかつたこと。

二 同一の連勝式番号をつけられた選手を一組とした場合にあつては、発売した車券に表示された選手のすべてが出走せず、又はそのうちいずれか一人のみが出走したこと。

4 重勝式勝者投票法に係る基本勝者投票法の投票が前三項の規定により無効となつた場合は、当該投票の車券に表示された選手(連勝単式又は連勝複式勝者投票法を基本勝者投票法とする場合にあつては、その車券に表示された組)をその車券に表示する重勝式勝者投票法の投票は、無効とする。

5 入場者以外の者に対し発売した車券の発売金額の全部又は一部を、天災地変その他やむを得ない事由により、入場者に対し発売した車券の発売金額と合計することができなかつたときは、入場者以外の者の投票であつて合計することができなかつたものは、無効とする。

6 前各項の場合においては、当該車券を所有する者は、競輪施行者に対し、その車券と引換えにその券面金額の返還を請求することができる。