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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

東京大学出版会事件・定年後の再雇用

 

 

地位確認請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成21年(ワ)第10447号

【判決日付】      平成22年8月26日

【判示事項】      1 被告財団法人Yが,定年後の再雇用を希望した原告Xに対し,誠実義務および職場規律に問題があり,再雇用者として通常勤務できる能力がないとして再雇用を拒否した件につき,Yにおいては,再雇用就業規則において再雇用条件(健康状態,意欲,能力)が定められていたものの,高年法9条2項にいう「継続雇用制度の対象となる高年齢者にかかる基準を定める労使協定」は締結されていなかったところ,当該規則制定の経過やその運用状況等にかんがみれば,同規則所定の要件を満たす定年退職者は,Yとの間で同規則所定の取扱いおよび条件に応じた再雇用契約を締結する雇用契約上の権利を有するものと解せられ,要件を満たす定年退職者が再雇用を希望したにもかかわらず,Yが再雇用拒否の意思表示をした場合には,解雇権濫用法理(労契法16条)の類推適用により無効となり,XとYとの間には再雇用契約が成立したものとして取り扱われることになるとされた例

             2 本件再雇用就業規則3条(2)の「再雇用者として通常勤務できる意欲と能力がある者」という要件のうちの「能力」の解釈につき,その中心的なものとしては,当該職務を遂行するうえで備えるべき身体的・技術的能力を意味するが,職務遂行に必要な環境および人間関係等に照らせば,その備えるべき身体的・技術的能力を測るに当たり,協調性や規律性等の情意(勤務態度)についても,その要素として考慮しなければならない場合もあるとされた例

             3 Xは定年退職するまで35年以上,一貫して編集業務に携わっていた者で,編集者としての身体的・技術的能力がないとはいえないところ,Y主張の本件再雇用拒否理由1(本件編集業務中断・原稿引渡し拒否)および同理由2(本件席移動の拒否)の事実をもってしても,職務上備えるべき身体的・技術的能力を減殺するほどの協調性・規律性の欠如は認められず,再雇用就業規則所定の「能力」がないとは認められないとして,本件再雇用拒否が無効とされ,Xの申込みに基づきX・Y間において,再雇用契約が成立したものとして取り扱われることになるとされた例

【掲載誌】        労働判例1013号15頁

             労働経済判例速報2085号3頁

【評釈論文】      季刊労働法233号131頁

 

 

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

(高年齢者雇用確保措置)

第九条 定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。

一 当該定年の引上げ

二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入

三 当該定年の定めの廃止

2 継続雇用制度には、事業主が、特殊関係事業主(当該事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある事業主その他の当該事業主と特殊の関係のある事業主として厚生労働省令で定める事業主をいう。以下この項及び第十条の二第一項において同じ。)との間で、当該事業主の雇用する高年齢者であつてその定年後に雇用されることを希望するものをその定年後に当該特殊関係事業主が引き続いて雇用することを約する契約を締結し、当該契約に基づき当該高年齢者の雇用を確保する制度が含まれるものとする。

3 厚生労働大臣は、第一項の事業主が講ずべき高年齢者雇用確保措置の実施及び運用(心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等の継続雇用制度における取扱いを含む。)に関する指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。

4 第六条第三項及び第四項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。

 

 

労働契約法

(解雇)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

 

 

被告人が共犯者らと共謀の上,児童ポルノ,わいせつ図画であるビデオテープを9回にわたって販売し,又女性らの全裸の姿態を録画したビデオテープを全国のビデオ販売店等で陳列させてその女性らの名誉を毀損した本件犯行


児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,わいせつ図画販売,名誉毀損被告事件
【事件番号】    東京地方裁判所/平成13年(特わ)第3187号
【判決日付】    平成14年3月14日
【判示事項】    被告人が共犯者らと共謀の上,児童ポルノ,わいせつ図画であるビデオテープを9回にわたって販売し,又女性らの全裸の姿態を録画したビデオテープを全国のビデオ販売店等で陳列させてその女性らの名誉を毀損した本件犯行の犯情はいずれも悪質で,被告人の刑責は到底軽視できないが、他方,被告人には前科がないこと,反省の意を表し、名誉毀損の被害者らに対して慰謝料を支払うなどの事情を総合考慮し,被告人に対して,懲役刑を量定した上,刑の執行を猶予するのが相当とした事例
【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載


児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
(定義)
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

(児童ポルノ所持、提供等)
第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
2 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
6 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
8 第六項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。


刑法
(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

(名誉毀き損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。



 

船舶共有者が商法690条の規定により負担する債務の性質

 

 

              損害賠償請求控訴事件

【事件番号】      名古屋高等裁判所判決/昭和49年(ネ)第389号

【判決日付】      昭和52年2月15日

【判示事項】      1、船舶共有者が商法690条の規定により負担する債務の性質

             2、中古船舶の減失による損害額の算定事例

【参照条文】      民法709

             商法690(昭和50年法律第94号による改正前と改正後のもの)

             商法696

             船舶の所有者等の責任の制限に関する法律

             船舶の所有者等の責任の制限に関する法律6

             船舶の所有者等の責任の制限に関する法律7

【掲載誌】        判例タイムズ352号209頁

             判例時報868号89頁

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

 

商法

(船舶所有者の責任)

第六百九十条 船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。

 

(持分の譲渡)

第六百九十六条 船舶共有者の間に組合契約があるときであっても、各船舶共有者(船舶管理人であるものを除く。)は、他の船舶共有者の承諾を得ないで、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができる。

2 船舶管理人である船舶共有者は、他の船舶共有者の全員の承諾を得なければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。

 

 

 

船舶の所有者等の責任の制限に関する法律

(船舶の所有者等の責任の制限)

第三条 船舶所有者等又はその被用者等は、次に掲げる債権について、この法律で定めるところにより、その責任を制限することができる。

一 船舶上で又は船舶の運航に直接関連して生ずる人の生命若しくは身体が害されることによる損害又は当該船舶以外の物の滅失若しくは損傷による損害に基づく債権

二 運送品、旅客又は手荷物の運送の遅延による損害に基づく債権

三 前二号に掲げる債権のほか、船舶の運航に直接関連して生ずる権利侵害による損害に基づく債権(当該船舶の滅失又は損傷による損害に基づく債権及び契約による債務の不履行による損害に基づく債権を除く。)

四 前条第二項第三号に掲げる措置により生ずる損害に基づく債権(当該船舶所有者等及びその被用者等が有する債権を除く。)

五 前条第二項第三号に掲げる措置に関する債権(当該船舶所有者等及びその被用者等が有する債権並びにこれらの者との契約に基づく報酬及び費用に関する債権を除く。)

2 救助者又はその被用者等は、次に掲げる債権について、この法律で定めるところにより、その責任を制限することができる。

一 救助活動に直接関連して生ずる人の生命若しくは身体が害されることによる損害又は当該救助者に係る救助船舶以外の物の滅失若しくは損傷による損害に基づく債権

二 前号に掲げる債権のほか、救助活動に直接関連して生ずる権利侵害による損害に基づく債権(当該救助者に係る救助船舶の滅失又は損傷による損害に基づく債権及び契約による債務の不履行による損害に基づく債権を除く。)

三 前条第二項第三号に掲げる措置により生ずる損害に基づく債権(当該救助者及びその被用者等が有する債権を除く。)

四 前条第二項第三号に掲げる措置に関する債権(当該救助者及びその被用者等が有する債権並びにこれらの者との契約に基づく報酬及び費用に関する債権を除く。)

3 船舶所有者等若しくは救助者又は被用者等は、前二項の債権が、自己の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらした自己の無謀な行為によつて生じた損害に関するものであるときは、前二項の規定にかかわらず、その責任を制限することができない。

4 船舶所有者等又はその被用者等は、旅客の損害に関する債権については、第一項の規定にかかわらず、その責任を制限することができない。

 

(責任の制限の及ぶ範囲)

第六条 船舶所有者等又はその被用者等がする責任の制限は、船舶ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての人の損害に関する債権及び物の損害に関する債権に及ぶ。

 救助船舶に係る救助者若しくは当該救助船舶の船舶所有者等又はこれらの被用者等がする責任の制限は、救助船舶ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての人の損害に関する債権及び物の損害に関する債権に及ぶ。

 前項の救助者以外の救助者又はその被用者等がする責任の制限は、救助者ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての人の損害に関する債権及び物の損害に関する債権に及ぶ。

 前三項の責任の制限が物の損害に関する債権のみについてするものであるときは、その責任の制限は、前三項の規定にかかわらず、人の損害に関する債権に及ばない。

 

(責任の限度額等)

第七条 前条第一項又は第二項に規定する責任の制限の場合における責任の限度額は、次のとおりとする。

 責任を制限しようとする債権が物の損害に関する債権のみである場合においては、船舶のトン数に応じて、次に定めるところにより算出した金額。ただし、百トンに満たない木船については、一単位の五十万七千三百六十倍の金額とする。

 二千トン以下の船舶にあつては、一単位の百五十一万倍の金額

 二千トンを超える船舶にあつては、イの金額に、二千トンを超え三万トンまでの部分については一トンにつき一単位の六百四倍を、三万トンを超え七万トンまでの部分については一トンにつき一単位の四百五十三倍を、七万トンを超える部分については一トンにつき一単位の三百二倍を乗じて得た金額を加えた金額

 その他の場合においては、船舶のトン数に応じて、次に定めるところにより算出した金額

 二千トン以下の船舶にあつては、一単位の四百五十三万倍の金額

 二千トンを超える船舶にあつては、イの金額に、二千トンを超え三万トンまでの部分については一トンにつき一単位の千八百十二倍を、三万トンを超え七万トンまでの部分については一トンにつき一単位の千三百五十九倍を、七万トンを超える部分については一トンにつき一単位の九百六倍を乗じて得た金額を加えた金額

 前項第二号に規定する場合においては、制限債権の弁済に充てられる金額のうち、その金額に同項第一号に掲げる金額(百トンに満たない木船については、同号イの金額)の同項第二号に掲げる金額に対する割合を乗じて得た金額に相当する部分は物の損害に関する債権の弁済に、その余の部分は人の損害に関する債権の弁済に、それぞれ充てられるものとする。ただし、後者の部分が人の損害に関する債権を弁済するに足りないときは、前者の部分は、その弁済されない残額と物の損害に関する債権の額との割合に応じてこれらの債権の弁済に充てられるものとする。

 前条第三項に規定する責任の制限の場合における責任の限度額は、次のとおりとする。

 責任を制限しようとする債権が物の損害に関する債権のみである場合においては、一単位の百五十一万倍の金額

 その他の場合においては、一単位の四百五十三万倍の金額

 第二項の規定は、前項第二号に規定する場合について準用する。

 制限債権者は、その制限債権の額の割合に応じて弁済を受ける。

 

 

 

取得時効期間の起算点

 

 

土地所有権確認事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和32年(オ)第344号

【判決日付】      昭和35年7月27日

【判示事項】      取得時効期間の起算点

【判決要旨】      時効期間の計算は、時効の基礎たる事実の開始された時を起算点とすべきもので、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。

【参照条文】      民法144

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集14巻10号1871頁

 

 

民法

(時効の効力)

第百四十四条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。

 

 

保険代理店において自動車損害保険の契約者に対する二六歳未満不担保特約についての告知義務違反がなかったとして所属保険会社の損害賠償義務が認められなかった事例

 

 

              交通事故による保険金請求控訴、附帯控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成2年(ネ)第1922号、平成2年(ネ)第3022号

【判決日付】      平成3年6月6日

【判示事項】      保険代理店において自動車損害保険の契約者に対する二六歳未満不担保特約についての告知義務違反がなかったとして所属保険会社の損害賠償義務が認められなかった事例

【判決要旨】      保険募集取締法の立法趣旨からすれば、運転者の年齢制限についての特約に関する事項は、同法一六条一項一号にいう「重要な事項」に該当すると解され、右条項に基づく告知義務は各更新契約毎になされるべきであるが、右告知は、特段の事情のない限り、相当の方法、態様、程度により、通常の常識を持った保険申込者に右事項を認識、理解させうるものであって、右認識、理解のもとに当該申込者が契約につき任意の意思決定ができるものであれば足りる。

【参照条文】      保険募集の取締に関する法律11-1

             保険募集の取締に関する法律16-1

【掲載誌】        判例タイムズ767号236頁

             金融・商事判例889号31頁

             判例時報1443号146頁

 

 

 

保険募集の取締に関する法律(略称、募取法)は、保険業法に統合されました。

 

 

保険業法

(所属保険会社等及び保険募集再委託者の賠償責任)

第二百八十三条 所属保険会社等は、保険募集人が保険募集について保険契約者に加えた損害を賠償する責任を負う。

2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

一 所属保険会社等の役員である保険募集人(生命保険会社にあっては、当該役員の使用人である生命保険募集人を含む。)が行う保険募集については、所属保険会社等が当該役員の選任について相当の注意をし、かつ、これらの者の行う保険募集について保険契約者に加えた損害の発生の防止に努めたとき。

二 所属保険会社等の使用人である保険募集人(生命保険会社にあっては、当該使用人の使用人である生命保険募集人を含む。)が行う保険募集については、所属保険会社等が当該使用人(生命保険会社の使用人の使用人を除く。)の雇用について相当の注意をし、かつ、これらの者の行う保険募集について保険契約者に加えた損害の発生の防止に努めたとき。

三 所属保険会社等の委託に基づく特定保険募集人又はその役員若しくは使用人である保険募集人が行う保険募集については、所属保険会社等が当該特定保険募集人の委託をするについて相当の注意をし、かつ、これらの者の行う保険募集について保険契約者に加えた損害の発生の防止に努めたとき。

四 保険募集再委託者の再委託に基づく特定保険募集人又はその役員若しくは使用人である保険募集人(以下この条において「保険募集再受託者等」という。)が行う保険募集については、所属保険会社等が当該保険募集再受託者等に対する再委託の許諾を行うについて相当の注意をし、かつ、当該保険募集再受託者等の行う保険募集について保険契約者に加えた損害の発生の防止に努めたとき。

3 保険募集再委託者は、保険募集再受託者等が保険募集について保険契約者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、当該保険募集再委託者が再委託をするについて相当の注意をし、かつ、当該保険募集再受託者等の行う保険募集について保険契約者に加えた損害の発生の防止に努めたときは、この限りでない。

4 第一項の規定は所属保険会社等から保険募集人に対する求償権の行使を妨げず、また、前項の規定は保険募集再委託者から保険募集再受託者等に対する求償権の行使を妨げない。

5 民法第七百二十四条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)及び第七百二十四条の二(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)の規定は、第一項及び第三項の請求権について準用する。

 

 

 

中華民共和国人民法院がした権利関係の確認判決について,我が国と中華人民共和国との間には民訴法118条4号に規定する相互保証関係が認められないとして,その我が国における効力を認めなかった事例

 

 

投資金額確認請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/平成14年(ネ)第2481号

【判決日付】      平成15年4月9日

【判示事項】      中華人民共和国人民法院がした権利関係の確認判決について,我が国と中華人民共和国との間には民訴法118条4号に規定する相互保証関係が認められないとして,その我が国における効力を認めなかった事例

【参照条文】      民事訴訟法118

【掲載誌】        判例タイムズ1141号270頁

             判例時報1841号111頁

【評釈論文】      ジュリスト1274号215頁

             ジュリスト1308号211頁

 

 

民事訴訟法

(外国裁判所の確定判決の効力)

第百十八条 外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。

一 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。

二 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。

三 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。

四 相互の保証があること。

 

被告人が,実子の身体が極度に衰弱しているにもかかわらず,生存に必要な保護をしなかったのが,刑法218条後段に該るとの一審判決を正当とした原審判断を認め,上告を棄却した事例

 

 

              保護責任者遺棄傷害

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/昭和37年(あ)第1521号

【判決日付】      昭和38年5月30日

【判示事項】      被告人が,実子の身体が極度に衰弱しているにもかかわらず,生存に必要な保護をしなかったのが,刑法218条後段に該るとの一審判決を正当とした原審判断を認め,上告を棄却した事例

【判決要旨】      原判決の支持した第一審判決の認定にかかる事実関係、すなわち、被告人が、実子Aが昭和三五年一二月頃身体が極度に衰弱し、両足が凍傷にかかり、昭和三六年二月初め頃には足趾が欠除し、歩行不可能となり、かつ常時鼻血をにじませており、次いで同年二月末頃には左手上腕部を骨折し、左手全体が極度に腫張し、日常の動作が不自由となつた事態にあつたことをそれぞれ知りながら同年三月一〇日過ぎ頃まで医師の専門的施療等を受けさせることなく放置した事実関係の下においてなされた被告人の行為は刑法第二一八条後段にいう被保護者の生存に必要なる保護をなさない罪に該当するものとした第一審判決の診断は、当裁判所もこれを正当と認める。

【参照条文】      刑法218-1後段

【掲載誌】        最高裁判所裁判集刑事147号409頁

 

 

刑法

(保護責任者遺棄等)

第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

 

 

泉佐野市事件・特別地方交付税の額の決定取消請求事件

 

 

特別地方交付税の額の決定取消請求事件

【事件番号】      大阪地方裁判所判決/令和2年(行ウ)第66号

【判決日付】      令和4年3月10日

【判示事項】      1 地方交付税法15条2項に基づき総務大臣が行う特別交付税の額の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか

             2 地方交付税法15条2項に基づく総務大臣による特別交付税の額の決定を受けた地方団体は、当該決定の取消しを求める訴えの利益を有するか

             3 特別交付税に関する省令附則5条21項(令和2年総務省令第111号による改正前のもの)及び同附則7条15項(令和2年総務省令第12号による改正前のもの)の各規定の法適合性

【判決要旨】      1 地方交付税法15条2項に基づき総務大臣が行う特別交付税の額の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。

             2 地方交付税法15条2項に基づく総務大臣による特別交付税の額の決定を受けた地方団体は、当該決定の取消しを求める訴えの利益を有する。

             3 特別交付税に関する省令附則5条21項(令和2年総務省令第111号による改正前のもの)及び同附則7条15項(令和2年総務省令第12号による改正前のもの)の各規定は、いずれも地方交付税法15条1項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である。

【参照条文】      地方交付税法15-1

             地方交付税法15-2

             特別交付税に関する省令附則(令和2年総務省令第111号による改正前のもの)5-21

             特別交付税に関する省令附則(令和2年総務省令第12号による改正前のもの)7-15

【掲載誌】        判例時報2532号12頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      法学教室502号116頁

             地方財務818号186頁

 

 

地方交付税法

(特別交付税の額の算定)

第十五条 特別交付税は、第十一条に規定する基準財政需要額の算定方法によつては捕捉されなかつた特別の財政需要があること、第十四条の規定により算定された基準財政収入額のうちに著しく過大に算定された財政収入があること、交付税の額の算定期日後に生じた災害(その復旧に要する費用が国の負担によるものを除く。)等のため特別の財政需要があり、又は財政収入の減少があることその他特別の事情があることにより、基準財政需要額又は基準財政収入額の算定方法の画一性のため生ずる基準財政需要額の算定過大又は基準財政収入額の算定過少を考慮しても、なお、普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して、総務省令で定めるところにより、当該事情を考慮して交付する。

 総務大臣は、総務省令で定めるところにより、前項の規定により各地方団体に交付すべき特別交付税の額を、毎年度、二回に分けて決定するものとし、その決定は、第一回目は十二月中に、第二回目は三月中に行わなければならない。この場合において、第一回目の特別交付税の額の決定は、その総額が当該年度の特別交付税の総額のおおむね三分の一に相当する額以内の額となるように行うものとする。

 激(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第二条第一項に規定する激甚災害その他の事由であつて、関係地方団体の財政運営に特に著しい影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認められるものが発生したことにより、前項の規定により難い場合における関係地方団体に交付すべき特別交付税の額の決定については、総務省令で定めるところにより、決定時期及び決定時期ごとに決定すべき額に関し特例を設けることができる。

 総務大臣は、第二項前段又は前項の規定により特別交付税の額を決定したときは、これを当該地方団体に通知しなければならない。

(交付時期)

第十六条 交付税は、毎年度、左の表の上欄に掲げる時期に、それぞれの下欄に定める額を交付する。ただし、四月及び六月において交付すべき交付税については、当該年度において交付すべき普通交付税の額が前年度の普通交付税の額に比して著しく減少することとなると認められる地方団体又は前年度においては普通交付税の交付を受けたが、当該年度においては普通交付税の交付を受けないこととなると認められる地方団体に対しては、当該交付すべき額の全部又は一部を交付しないことができる。

交付時期

交付時期ごとに交付すべき額

四月及び六月

前年度の当該地方団体に対する普通交付税の額に当該年度の交付税の総額の前年度の交付税の総額に対する割合を乗じて得た額のそれぞれ四分の一に相当する額

九月

当該年度において交付すべき当該地方団体に対する普通交付税の額から四月及び六月に交付した普通交付税の額を控除した残額の二分の一に相当する額

十一月

当該年度において交付すべき当該地方団体に対する普通交付税の額から既に交付した普通交付税の額を控除した額

十二月

前条第二項の規定により十二月中に総務大臣が決定する額

三月

前条第二項の規定により三月中に総務大臣が決定する額

 当該年度の国の予算の成立しないこと、国の予算の追加又は修正により交付税の総額に変更があつたこと、大規模な災害があつたこと等の事由により、前項の規定により難い場合における交付税の交付時期及び交付時期ごとに交付すべき額については、国の暫定予算の額及びその成立の状況、交付税の総額の変更の程度、前年度の交付税の額、大規模な災害による特別の財政需要の額等を参()()()して、総務省令で定めるところにより、特例を設けることができる。

 道府県又は市町村が前二項の規定により各交付時期に交付を受けた交付税の額が当該年度分として交付を受けるべき交付税の額をこえる場合においては、当該道府県又は市町村は、その超過額を遅滞なく、国に還付しなければならない。

 第一項の場合において、四月一日以前一年内及び四月二日から当該年度の普通交付税の四月又は六月に交付すべき額が交付されるまでの間に地方団体の廃置分合又は境界変更があつた場合における前年度の関係地方団体の交付税の額の算定方法は、第九条の規定に準じ、総務省令で定める。

 

『国際法入門〔第3版〕ー逆から学ぶ』法律文化社

 

著者       山形英郎編

判型       A5判

頁数       434頁

発行年月              2022年10月

定価       2,970円(税込)

 

ジャンル              国際関係法

本の説明

全体から抽象への目次構成、QuizやPoint等でわかりやすく解説。冷戦を背景とする20世紀国際法と対比して21世紀国際法を叙述。ウクライナ情勢等国際社会を批判的に見る眼を養う。索引を付し、見出し項目を3つの学習レベルで分類するなど学習の便宜を図る。

 

 

コメント

詳しく解説している。

条約の条文が引用されているので、理解しやすい。

取得時効と登記

 

 

所有権確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和38年(オ)第516号

【判決日付】      昭和41年11月22日

【判示事項】      取得時効と登記

【判決要旨】      不動産の時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から当該不動産の譲受を受けその旨の移転登記を経由した者に対しては、登記がなくても、時効による所有権の取得を主張することができる。

【参照条文】      民法162

             民法177

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集20巻9号1901頁

             最高裁判所裁判集民事85号207頁

 

 

民法

(所有権の取得時効)

第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

 

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。