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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

被相続人が生前に提起して相続人が承継していた所得税更正処分等の取消訴訟において同処分等の取消判決が確定した場合,被相続人が同処分等に基づき納付していた所得税等に係る過納金の還付請求権は相続税の課税財産となるかh22

 

 

相続税更正処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成21年(行ヒ)第65号

【判決日付】      平成22年10月15日

【判示事項】      被相続人が生前に提起して相続人が承継していた所得税更正処分等の取消訴訟において同処分等の取消判決が確定した場合,被相続人が同処分等に基づき納付していた所得税等に係る過納金の還付請求権は相続税の課税財産となるか

【判決要旨】      被相続人が所得税更正処分および過少申告加算税賦課決定処分に基づき所得税、過少申告加算税および延滞税を納付するとともに上記各処分の取消訴訟を提起していたところ、その係属中に被相続人が死亡したため相続人が同訴訟を承継し、上記各処分の取消判決が確定するに至ったときは、上記所得税等に係る過納金の還付請求権は、被相続人の相続財産を構成し、相続税の課税財産となる。

【参照条文】      国税通則法56-1

             相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)2-1

             民法896

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集64巻7号1764頁

 

 

国税通則法

(還付)

第五十六条 国税局長、税務署長又は税関長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下「還付金等」という。)があるときは、遅滞なく、金銭で還付しなければならない。

2 国税局長は、必要があると認めるときは、その管轄区域内の地域を所轄する税務署長からその還付すべき還付金等について還付の引継ぎを受けることができる。

 

 

相続税法

(相続税の課税財産の範囲)

第二条 第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する。

2 第一条の三第一項第三号又は第四号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産でこの法律の施行地にあるものに対し、相続税を課する。

 

 

民法

(相続の一般的効力)

第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

 

 

東海第二原子力発電所運転差止等請求事件

 

 

              東海第二原子力発電所運転差止等請求事件

【事件番号】      水戸地方裁判所判決/平成24年(行ウ)第15号

【判決日付】      令和3年3月18日

【参照条文】      核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律43の3の6-1

             原子力災害対策特別措置法6の2

【掲載誌】        判例時報2524・2525合併号40頁

             LLI/DB 判例秘書登載

 

 

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

(許可の基準)

第四十三条の三の六 原子力規制委員会は、前条第一項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。

二 その者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があること。

三 その者に重大事故(発電用原子炉の炉心の著しい損傷その他の原子力規制委員会規則で定める重大な事故をいう。第四十三条の三の二十二第一項及び第四十三条の三の二十九第二項第二号において同じ。)の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。

四 発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。

五 前条第二項第十一号の体制が原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。

2 前項の場合において、第四十三条の三の三十第一項の規定により型式証明を受けた同項に規定する特定機器の型式の設計は、前項第四号の基準(技術上の基準に係る部分に限る。)に適合しているものとみなす。

3 原子力規制委員会は、前条第一項の許可をする場合においては、あらかじめ、第一項第一号に規定する基準の適用について、原子力委員会の意見を聴かなければならない。

 

 

原子力災害対策特別措置法

第一章の二 原子力災害対策指針

第六条の二 原子力規制委員会は、災害対策基本法第二条第八号に規定する防災基本計画に適合して、原子力事業者、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体、指定公共機関及び指定地方公共機関その他の者による原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策(次項において「原子力災害対策」という。)の円滑な実施を確保するための指針(以下「原子力災害対策指針」という。)を定めなければならない。

2 原子力災害対策指針においては、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 原子力災害対策として実施すべき措置に関する基本的な事項

二 原子力災害対策の実施体制に関する事項

三 原子力災害対策を重点的に実施すべき区域の設定に関する事項

四 前三号に掲げるもののほか、原子力災害対策の円滑な実施の確保に関する重要事項

3 原子力規制委員会は、原子力災害対策指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 

 

 

       主   文

 

 1 被告は,別紙1当事者目録1記載の番号1ないし79の各原告との関係で,茨城県那珂郡東海村大字白方1番の1において,東海第二発電所の原子炉を運転してはならない。

 2 その余の原告らの請求をいずれも棄却する。

 3 訴訟費用は,第1項記載の原告らに生じた費用の全部と被告に生じた費用の224分の79を被告の負担とし,その余の原告らに生じた費用の全部と被告に生じたその余の費用を同原告らの負担とする。

 

       事実及び理由

 

       目   次

第1章 請求

第2章 事案の概要

第1 前提事実

 1 当事者

  (1) 原告ら

  (2) 被告

 2 本件発電所の概要等

 3 原子力発電の仕組み等

  (1) 核分裂と連鎖反応

  (2) 原子力発電の仕組みと原子炉を構成する基本的な要素

  (3) 放射性物質の人体への影響について

 4 本件発電所の基本的安全対策設備

 5 主な自然現象(地震,津波,火山)について

  (1) 地震

  (2) 津波

  (3) 火山

 6 福島第一発電所事故の発生

  (1) 福島第一発電所事故の概要

  (2) 福島第一発電所事故による被害の概要

 7 原子力関連法令の改正及び新規制基準の策定等

  (1) 原子力基本法及び原子炉等規制法の改正

  (2) 原子力規制委員会の設置

  (3) 新規制基準の策定(甲G64(丙Bア25)・51~57頁)

  (4) 新規制基準の概要

  (5) 新規制基準策定後の原子炉等規制法の改正(検査制度)

 8 深層防護の考え方

 9 原子力規制委員会の新規制基準の考え方(甲G64(丙Bア25))

  (1) 安全性に対する考え方について(「新規制基準の考え方」1-2参照)

  (2) 深層防護との関係について(「新規制基準の考え方」2-4,2-5参照)

 10 本件発電所の現在の許認可等の状況

第2 争点

第3章 当事者の主張

第1 争点1(原子炉等規制法が違憲無効であることを理由とする差止請求の可否)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第2 争点2(人格権に基づく原子炉運転差止請求における要件・主張立証責任等)について

 1 争点2-1(人格権に基づく原子炉運転差止請求の要件)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 2 争点2-2(人格権に基づく原子炉運転差止請求の主張立証責任等)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第3 争点3(地震に対する安全確保対策(基準地震動の策定))について

 1 争点3-1(新規制基準における基準地震動の意義)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 2 争点3-2(「震源を特定して策定する地震動」)について

  (1) 争点3-2-1(応答スペクトルに基づく地震動評価)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

  (2) 争点3-2-2(断層モデルを用いた手法による地震動評価(SMGAモデル関係))について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

  (3) 争点3-2-3(断層モデルを用いた手法による地震動評価(不確かさの考慮等))について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 3 争点3-3(「震源を特定せず策定する地震動」)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第4 争点4(地震に対する安全確保対策(耐震安全性))について

 1 争点4-1(耐震安全性に関する新規制基準の合理性)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 2 争点4-2(圧力容器スタビライザ・ロッドの耐震安全性)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 3 争点4-3(格納容器の耐震安全性)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第5 争点5(津波に対する安全確保対策)について

 1 争点5-1(基準津波策定)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 2 争点5-2(津波対策)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第6 争点6(火山(気中降下火砕物)に対する安全確保対策)について

 1 争点6-1(気中降下火砕物に係る保安規定変更認可申請前の司法審査の在り方等)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 2 争点6-2(気中降下火砕物濃度の推定手法についての火山影響評価ガイドの規定の合理性)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 3 争点6-3(被告による気中降下火砕物濃度の評価)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第7 争点7(事故防止に係る安全確保対策及びその実効性を確保するための対応)について

 1 争点7-1(内部火災対策)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 2 争点7-2(重大事故等対策(シビアアクシデント対策))について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 3 争点7-3(本件発電所の維持管理)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第8 争点8(立地審査及び避難計画)について

 1 争点8-1(立地審査)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

 2 争点8-2(避難計画)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第9 争点9(東海再処理施設との複合災害の危険性)について

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第10 争点10(経理的基礎の要件の範囲及びその有無等)

  (原告らの主張)

  (被告の主張)

第4章 当裁判所の判断

第1 争点1(原子炉等規制法が違憲無効であることを理由とする差止請求の可否)について

第2 争点2(人格権に基づく原子炉運転差止請求における要件・主張立証責任等)について

 1 争点2-1(人格権に基づく原子炉運転差止請求の要件)について

  (1) 人格権に基づく差止請求

  (2) 発電用原子炉施設の原子炉運転差止請求に係る具体的危険

  (3) 原子力規制委員会の許認可と具体的危険について

 2 争点2-2(人格権に基づく原子炉運転差止請求の主張立証責任等)について

第3 争点3(地震に対する安全確保対策(基準地震動の策定))について

 1 認定事実1(新規制基準以前の原子力発電所の地震対策に係る規制及び大規模地震の発生について)

  (1) 昭和45年安全設計審査指針(本件発電所設計・運転開始時)

  (2) 旧耐震設計審査指針の策定

  (3) 1995年兵庫県南部地震

  (4) 旧耐震設計審査指針に基づくバックチェック

  (5) 2005年宮城県沖地震

  (6) 新耐震設計審査指針への改訂(乙Bイ1,丙D14)

  (7) 2007年能登半島地震(丙D74,75)

  (8) 2007年新潟県中越沖地震

  (9) 新耐震設計審査指針に基づくバックチェックの実施(甲D3,76)

  (10) 東北地方太平洋沖地震

 2 認定事実2(新規制基準の内容・地震動評価の手法等について)

  (1) 新規制基準の内容

  (2) 地震動評価の手法その1(応答スペクトルに基づく地震動評価手法)

  (3) 地震動評価の手法その2(断層モデルを用いた地震動評価手法)

  (4) 他の分野における地震動評価

 3 認定事実3(新規制基準下における本件発電所の基準地震動策定等について)

  (1) 地震に関する各種調査

  (2) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」(内陸地殻内地震)

  (3) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」(プレート間地震)

  (4) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」(海洋プレート内地震)

  (5) 「震源を特定せず策定する地震動」

  (6) 基準地震動Ssの策定

  (7) 原子力規制委員会による適合性判断等

  (8) 新規制基準策定後の事情

 4 争点3-1(新規制基準における基準地震動の意義)について

  (1) 新規制基準における基準地震動

  (2) 検討

 5 争点3-2-1(応答スペクトルに基づく地震動評価)について

  (1) 応答スペクトルに基づく手法における補正の在り方

  (2) 内陸地殻内地震について

  (3) プレート間地震について

  (4) 小括

 6 争点3-2-2(断層モデルを用いた手法による地震動評価(SMGAモデル関係))について

  (1) 問題の所在

  (2) 東北地方太平洋沖地震を検討用地震とする基準地震動の策定において周期1~2秒の強震動パルスを考慮することについて

  (3) 被告がSPGAモデル又は不均質なSMGAモデルによらず,標準的なSMGAモデルにより地震動評価を行ったことについて

 7 争点3-2-3(断層モデルを用いた手法による地震動評価(不確かさの考慮等))について

  (1) 内陸地殻内地震における不確かさの考慮等

  (2) プレート間地震における不確かさの考慮

  (3) 小括

 8 争点3-3(「震源を特定せず策定する地震動」)について

  (1) 加藤ほか(2004)について

  (2) 震源の規模が推定できない地震(Mw6.5以上)について

  (3) 震源の位置も規模も推定できない地震(Mw6.5未満)について

  (4) 地震動審査ガイドの見直しの議論について

  (5) 鉄道構造物との比較

  (6) 湾岸構造物との比較

  (7) 小括

 9 争点3(基準地震動の策定)についての総括

第4 争点4(地震に対する安全確保対策(耐震安全性))について

 1 認定事実4(耐震安全性に係る規制の内容等)

  (1) 新規制基準以前における耐震設計について

  (2) 新規制基準における耐震設計規制(原子炉設置(変更)許可段階)

  (3) 地震動審査ガイド(Ⅱ.耐震設計方針)

  (4) 新規制基準における耐震設計規制(工事計画認可段階)

  (5) 工認審査ガイド(丙Bア20)

  (6) 設計用の規格類

  (7) 加圧試験等の知見

  (8) 安全率について

 2 認定事実5(本件発電所の耐震安全性について)

  (1) 本件発電所の基本的な構造(丙D159・41,42頁)

  (2) 本件発電所の耐震安全性評価

  (3) 圧力容器スタビライザ

  (4) 格納容器

  (5) 原子力規制委員会による適合性判断

 3 争点4-1(耐震安全性に関する新規制基準の合理性)について

  (1) 新規制基準における耐震安全性の体系について

  (2) 原告らの主張について

 4 争点4-2(圧力容器スタビライザ・ロッドの耐震安全性)について

  (1) 本件発生値について

  (2) 本件許容値について

  (3) 小括

 5 争点4-3(格納容器の耐震安全性)について

  (1) 座屈について

  (2) 座屈以外について

 6 争点4(耐震安全性)についての総括

第5 争点5(津波に対する安全確保対策)について

 1 認定事実6(津波対策に係る規制等)

  (1) 東北地方太平洋沖地震による津波被害

  (2) 設置許可基準規則・同解釈

  (3) 津波審査ガイド(Ⅰ.基準津波)

  (4) 津波審査ガイド(Ⅱ.耐津波設計方針)

  (5) 技術基準規則・同解釈

  (6) 耐津波設計に係る工認審査ガイド(丙Bア21)

  (7) 船舶の緊急退避又は係留避泊について

 2 認定事実7(本件発電所における基準津波の策定について)

  (1) 津波に関する各種調査

  (2) プレート間地震に起因する津波の評価(丙D159・57~64頁)

  (3) プレート間地震以外の地震に起因する津波の評価

  (4) 地震以外に起因する津波の評価

  (5) 基準津波の策定

  (6) 原子力規制委員会による適合性判断

  (7) 基準津波策定後の事情(巨大地震モデル検討会概要報告の公表)

 3 認定事実8(本件発電所の津波対策について)

  (1) 本件発電所における津波対策

  (2) 基準津波に対する耐津波安全性の確認

  (3) 津波に伴う漂流物について

  (4) 設計を超える事象(津波が敷地内に遡上又は流入する事象)に対する対策

  (5) 原子力規制委員会による適合性判断

 4 争点5-1(基準津波策定)について

  (1) 基準津波の意義について

  (2) 津波審査ガイドについて

  (3) 巨大地震モデル検討会概要報告について

  (4) 小括

 5 争点5-2(津波対策)について

  (1) 津波波源及び流向の想定について

  (2) 大型船舶を津波に伴う漂流物として想定することの要否について

 6 争点5(津波に対する安全確保対策)についての総括

第6 争点6(火山(気中降下火砕物)に対する安全確保対策)について

 1 認定事実9(火山に対する規制等について)

  (1) 設置許可基準規則・解釈(甲Bア5)

  (2) 技術基準規則・解釈

  (3) 火山影響評価ガイドの策定(甲D57)

  (4) 平成29年実用炉規則等の改正

  (5) 令和元年火山影響評価ガイド(甲D202,丙Bア38,丙D201)

  (6) 降下火砕物のシミュレーションソフト(Tephra2)について

 2 認定事実10(本件発電所の敷地周辺の火山に関する評価について)

  (1) 本件発電所に影響を及ぼし得る火山の抽出

  (2) 本件13火山についての設計対応が不可能な火山事象に係る個別評価

  (3) 本件発電所の安全性に影響を及ぼし得る火山事象の抽出及びその影響評価

 3 認定事実11(降下火砕物への対策等について)

  (1) 直接的影響とその対策

  (2) 間接的影響とその対策

  (3) 原子力規制委員会による適合性判断

 4 争点6-1(気中降下火砕物に係る保安規定変更認可申請前の司法審査の在り方等)について

  (1) 「相当の根拠,資料に基づく主張立証」について

  (2) 気中降下火砕物濃度の推定等を保安規定変更認可申請において審査することの合理性

 5 争点6-2(気中降下火砕物濃度の推定手法についての火山影響評価ガイドの規定の合理性)について

  (1) 大きな不確実さを有することについて

  (2) 3.1の手法について

  (3) 3.1の手法と3.2の手法を選択的に用いることについて

  (4) 小括

 6 争点6-3(被告による気中降下火砕物濃度の評価)について

 7 争点6(気中降下火砕物)についての総括

第7 争点7(事故防止に係る安全確保対策及びその実効性を確保するための対応)について

 1 認定事実12(原子力発電所の内部火災対策規制とケーブルについて)

  (1) ブラウンズフェリー火災事故

  (2) 旧火災防護審査指針(甲C24)

  (3) 設置許可基準規則(甲Bア5,丙Bア9)

  (4) 火災防護審査基準(丙Bア11)

  (5) 電気学会推奨案(丙C12)

  (6) ACAガイド(丙C13)

  (7) 一般用ケーブルの耐用年数について

  (8) 本件発電所のケーブルについて

  (9) OFケーブル火災事例(甲C105,丙C15)

 2 認定事実13(重大事故等対策に係る規制等について)

  (1) 新規制基準策定以前の重大事故等対策に係る規制等

  (2) 新規制基準における重大事故等対策に係る規制の概要

  (3) 重大事故等対策の有効性評価に係る設置許可基準規則・同解釈の定め

  (4) 有効性評価ガイド

  (5) PRAについて

  (6) 水素爆発について

  (7) 水蒸気爆発について

  (8) 大規模損壊対策について

 3 認定事実14(原子力発電所の事故防止に係る安全確保対策の実効性を確保するための規制について)

  (1) 高経年化対策実施ガイド(丙Bア23)

  (2) 延長審査基準及び延長ガイド

  (3) 「亀裂その他の欠陥の解釈」及び維持規格

 4 認定事実15(本件発電所の事故防止に係る安全確保対策について)

  (1) 異常発生防止対策

  (2) 異常拡大防止対策

  (3) 放射性物質異常放出防止対策

  (4) 福島第一発電所事故を踏まえた安全確保対策の強化

  (5) 原子力規制委員会による適合性判断

  (6) 本件意見公募手続における回答

 5 認定事実16(本件発電所の事故防止に係る安全確保対策の実効性を確保するための対応について)

  (1) 本件発電所における維持管理に係る対応の概要

  (2) 具体的な維持管理に係る対応

  (3) 運転期間の延長に係る対応

  (4) 本件発電所における損傷等の事例

  (5) 原子力規制委員会による適合性判断

 6 争点7-1(内部火災対策)について

  (1) 火災防護審査基準が安全系ケーブルに限り難燃ケーブルの使用を要求していることについて

  (2) 難燃ケーブルに代えて複合体を用いることについて

  (3) 内部火災対策についての小括

 7 争点7-2(重大事故等対策(シビアアクシデント対策))について

  (1) 重大事故等対策の有効性評価について

  (2) 水素爆発対策について

  (3) 水蒸気爆発対策について

  (4) 大規模損壊対策について

 8 争点7-3(本件発電所の維持管理)について

  (1) 老朽化(中性子脆化を除く)について

  (2) 中性子照射脆化について

  (3) 小括

 9 争点7(事故防止に係る安全確保対策及びその実効性を確保するための対応)についての総括

第8 争点8(立地審査及び避難計画)について

 1 認定事実17(立地審査指針)

  (1) 立地審査指針について(甲G63,乙Bイ9,19)

  (2) 新規制基準において立地審査指針を採用しない原子力規制委員会の考え方(甲G64(丙Bア25)・385~402頁)

 2 認定事実18(原子力災害対策法制及び本件発電所周辺の地方自治体における避難計画の策定状況等)

  (1) 原子力災害対策に係る法的枠組み等

  (2) 本件発電所周辺地方自治体における避難計画の策定状況等

  (3) 避難時間シミュレーション

  (4) 屋内退避及び避難について

 3 争点8-1(立地審査)について

  (1) 立地審査指針を採用していないことについて

  (2) 原則的立地条件(2)・基本的目標a・指針1(非居住区域)について

  (3) 原則的立地条件(3)・基本的目標b・指針2(低人口地帯)について

  (4) 原則的立地条件(3)・基本的目標c・指針3について

  (5) 立地審査の必要性について

 4 争点8-2(避難計画)について

  (1) 新規制基準の合理性について

  (2) 避難計画について

 5 争点8(立地審査及び避難計画)についての総括

第9 争点9(東海再処理施設との複合災害の危険性)について

 1 認定事実19(東海再処理施設等について)

  (1) 周辺施設の影響審査に係る設置許可基準規則・同解釈の定め

  (2) 近接原子力施設からの影響審査について

  (3) 東海再処理施設について

 2 争点9(東海再処理施設との複合災害の危険性)について

  (1) 東海再処理施設の事故等を設置許可基準規則6条3項の事象として考慮していないことについて

  (2) 審査基準の合理性について

  (3) 小括

第10 争点10(経理的基礎の要件の範囲及びその有無等)について

 1 認定事実20(被告の経理的基礎について)

  (1) 被告の事業等

  (2) 本件設置変更許可申請時

  (3) 本件設置変更許可後の事情

 2 争点10(経理的基礎の要件の範囲及びその有無等)について

  (1) 本件設置変更許可申請に係る原子炉等規制法43条の3の6第1項2号の経理的基礎の要件該当性について

  (2) 維持管理に係る経理的基礎について

  (3) 小括

第11 結論

 

第1章 請求

 被告は,茨城県那珂郡東海村大字白方1番の1において,東海第二発電所の原子炉を運転してはならない。

第2章 事案の概要

 本件は,茨城県外1都1府8県に居住する原告らが,被告に対し,被告が茨城県東海村内に設置する東海第二発電所(以下「本件発電所」という。)の原子炉の運転により,原告らの人格権が侵害される具体的危険性があるとして,人格権に基づく妨害予防請求として,本件発電所の原子炉の運転の差止めを求める事案である。

 なお,原告らは,本件と併せて国を被告とする本件発電所の原子炉設置許可処分の無効確認の訴え及び本件発電所使用停止命令の義務付けの訴えを併合提起したものの,これらの訴えを取り下げた。

通信網の作動方法及び通信システムに関する特許権の侵害立証のために特許権者が申し立てた書類提出命令の判断に当たり,インカメラ手続が行われた事例

 

 

特許権に基づく損害賠償請求権不存在確認等請求控訴事件

【事件番号】      知的財産高等裁判所判決/平成27年(ネ)第10029号

【判決日付】      平成28年3月28日

【判示事項】      通信網の作動方法及び通信システムに関する特許権の侵害立証のために特許権者が申し立てた書類提出命令の判断に当たり,インカメラ手続が行われた事例

【参照条文】      特許法7

             特許法105-1

             特許法105-2

【掲載誌】        判例タイムズ1428号53頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      別冊ジュリスト244号92頁

 

 

特許法

(特許発明の技術的範囲)

第七十条 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。

2 前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。

3 前二項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。

 

(書類の提出等)

第百五条 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。

2 裁判所は、前項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない。

3 裁判所は、前項の場合において、第一項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあつては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。

4 裁判所は、第二項の場合において、同項後段の書類を開示して専門的な知見に基づく説明を聴くことが必要であると認めるときは、当事者の同意を得て、専門委員(民事訴訟法第一編第五章第二節第一款に規定する専門委員をいう。第百五条の二の六第四項において同じ。)に対し、当該書類を開示することができる。

5 前各項の規定は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。

 

捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法四二条一項の自首が成立しるとされた事例

 

 

              銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷決定/平成12年(あ)第1006号

【判決日付】      平成13年2月9日

【判示事項】      捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法四二条一項の自首が成立しるとされた事例

【参照条文】      刑法42-1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集55巻1号76頁

 

 

刑法

(自首等)

第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

 

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 当審における未決勾留日数中130日を本刑に算入する。

 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

 

       理   由

 

 弁護人河井匡秀の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するもので,本件に適切でなく,その余は,量刑不当の主張であって,いずれも適法な上告理由に当たらない。

 なお,所論にかんがみ,職権で判断すると,1,2審判決の認定によれば,被告人は,けん銃1丁を適合実包と共に携帯して所持し(銃砲刀剣類所持等取締法3条1項,31条の3第1項,2項),そのけん銃を用い対立する暴力団組事務所に向けて銃弾4発を発射した(平成11年法律第160号による改正前の銃砲刀剣類所持等取締法3条の13,銃砲刀剣類所持等取締法31条)上,被告人が犯人であることが捜査機関に発覚する前に,警察署に出頭し,警察官に対し前記事務所に自ら発砲した旨述べたが,その際,これらの犯行に使用したものとは異なるけん銃に発射を装う偽装工作を施して持参し,そのけん銃を使用したと虚偽の供述をしたものである。

 以上によれば,【要旨】被告人は,前記各犯行について,捜査機関に発覚する前に自己の犯罪事実を捜査機関に申告したのであるから,その際に使用したけん銃について虚偽の事実を述べるなどしたことが認められるとしても,刑法42条1項の自首の成立を妨げるものではなく,その成立を否定した原判決の判断は,同条項の解釈を誤ったものといわなければならない。

 しかし,記録に徴すると,被告人に対し前記両罪について自首を理由に刑の減軽をすることが相当とは認められないから,その法令違反は判決に影響を及ぼさないというべきである。

 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項本文,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

夫婦の一方が他方と不貞行為に及んだ第三者に対し離婚に伴う慰謝料を請求することの可否

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成29年(受)第1456号

【判決日付】      平成31年2月19日

【判示事項】      夫婦の一方が他方と不貞行為に及んだ第三者に対し離婚に伴う慰謝料を請求することの可否

【判決要旨】      夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対し,当該第三者が,単に不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできない。

【参照条文】      民法709

             民法710

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集73巻2号187頁

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

同一の租税逋脱行為について重加算税のほかに罰金を科することと憲法三九条

 

 

法人税法違反

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和45年(あ)第884号

【判決日付】      昭和45年10月8日

【判示事項】      同一の租税逋脱行為について重加算税のほかに罰金を科することと憲法三九条

【判決要旨】      同一の租税逋脱行為について重加算税のほかに刑罰たる罰金を科しても憲法三九条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決(昭和二九年(オ)第二三六号同三三年四月三〇日判決、民集一二巻六号九三八頁)の趣旨に徴して肯認しうるところである。

【参照条文】      国税通則法68

             法人税法(昭和40年法律34号による改正前のもの)48

             憲法39

【掲載誌】        最高裁判所裁判集刑事178号13頁

             税務訴訟資料61号222頁

 

 

国税通則法

(重加算税)

第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

2 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第七項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

3 前条第一項の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第二項若しくは第三項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者が事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつたときは、税務署長又は税関長は、当該納税者から、不納付加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る不納付加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を徴収する。

4 前三項の規定に該当する場合において、これらの規定に規定する税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものに基づき期限後申告書若しくは修正申告書の提出、更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は納税の告知(第三十六条第一項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)若しくは納税の告知を受けることなくされた納付があつた日の前日から起算して五年前の日までの間に、その申告、更正若しくは決定又は告知若しくは納付に係る国税の属する税目について、無申告加算税等を課され、又は徴収されたことがあるときは、前三項の重加算税の額は、これらの規定にかかわらず、これらの規定により計算した金額に、これらの規定に規定する基礎となるべき税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。

 

 

法人税法

第五編 罰則

第百五十九条 偽りその他不正の行為により、第七十四条第一項第二号(確定申告)に規定する法人税の額(第六十八条(所得税額の控除)又は第六十九条(外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十九条第二号(退職年金等積立金に係る確定申告)(第百四十五条の五(申告及び納付)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額若しくは第百四十四条の六第一項第三号若しくは第四号(確定申告)に規定する法人税の額(第百四十四条(外国法人に係る所得税額の控除)において準用する第六十八条の規定又は第百四十四条の二(外国法人に係る外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同項第三号又は第四号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)若しくは第百四十四条の六第二項第二号に規定する法人税の額(第百四十四条において準用する第六十八条の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした法人税の額)につき法人税を免れ、又は第八十条第十項(欠損金の繰戻しによる還付)(第百四十四条の十三第十三項(欠損金の繰戻しによる還付)において準用する場合を含む。)の規定による法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者(人格のない社団等の管理人及び法人課税信託の受託者である個人を含む。以下第百六十二条(偽りの記載をした中間申告書を提出する等の罪)までにおいて同じ。)、代理人、使用人その他の従業者(当該法人が通算法人である場合には、他の通算法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者を含む。第百六十三条第一項(両罰規定)において同じ。)でその違反行為をした者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前項の免れた法人税の額又は同項の還付を受けた法人税の額が千万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、千万円を超えその免れた法人税の額又は還付を受けた法人税の額に相当する金額以下とすることができる。

3 第一項に規定するもののほか、第七十四条第一項、第八十九条(第百四十五条の五において準用する場合を含む。)又は第百四十四条の六第一項若しくは第二項の規定による申告書をその提出期限までに提出しないことにより、第七十四条第一項第二号に規定する法人税の額(第六十八条又は第六十九条の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十九条第二号(第百四十五条の五において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額又は第百四十四条の六第一項第三号若しくは第四号に規定する法人税の額(第百四十四条において準用する第六十八条の規定又は第百四十四条の二の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同項第三号又は第四号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)若しくは第百四十四条の六第二項第二号に規定する法人税の額(第百四十四条において準用する第六十八条の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした法人税の額)につき法人税を免れた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

4 前項の免れた法人税の額が五百万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、五百万円を超えその免れた法人税の額に相当する金額以下とすることができる。

 

 

憲法

第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

 

 

いけす養殖魚事件・動産譲渡担保が重複設定されている場合における後順位譲渡担保権者による私的実行の可否

 

 

              所有権確認請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成17年(受)第948号

【判決日付】      平成18年7月20日

【判示事項】      1 動産譲渡担保が重複設定されている場合における後順位譲渡担保権者による私的実行の可否

             2 構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保の設定者が目的動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合における処分の相手方による承継取得の可否

【判決要旨】      1 動産譲渡担保が同一の目的物に重複して設定されている場合,後順位譲渡担保権者は私的実行をすることができない。

             2 構成部分の変動する集合動産を目的とする対抗要件を備えた譲渡担保の設定者が,その目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合,当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められない限り,当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない。

【参照条文】      民法369

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集60巻6号2499頁

 

 

民法

(抵当権の内容)

第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

 

非公開会社において、株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法によってなされた募集株式の発行と新株発行無効

 

 

              新株発行無効等請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成31年(ワ)第5518号

【判決日付】      令和3年12月20日

【判示事項】      1 株主名簿上の株主が無権利者であることにつき、会社に少なくとも重大な過失があったとされた事例

             2 非公開会社において、株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法によってなされた募集株式の発行と新株発行無効

【判決要旨】      1 株主総会の開催日の約2週間前に下されている前件訴訟の第1審判決の判断、同判決における当該判断部分は控訴審でも維持されて確定していることに照らせば、会社には、株主名簿上の株主が無権利者であることについて少なくとも重過失があったというべきである。

             2 非公開会社において、株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合、その発行手続には重大な法令違反があり、この瑕疵は株式発行の無効原因となる。

【参照条文】      会社法130

             会社法199

             会社法309

             会社法828

【掲載誌】        金融・商事判例1645号49頁

【評釈論文】      法学教室507号142頁

 

 

会社法

(株式の譲渡の対抗要件)

第百三十条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。

2 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。

 

(募集事項の決定)

第百九十九条 株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。

一 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)

二 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法

三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額

四 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間

五 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

2 前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。

3 第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

4 種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

5 募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

 

(株主総会の決議)

第三百九条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。

一 第百四十条第二項及び第五項の株主総会

二 第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。)

三 第百七十一条第一項及び第百七十五条第一項の株主総会

四 第百八十条第二項の株主総会

五 第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号、第二百四条第二項及び第二百五条第二項の株主総会

六 第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号、第二百四十三条第二項及び第二百四十四条第三項の株主総会

七 第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役(監査等委員である取締役を除く。)を解任する場合又は監査等委員である取締役若しくは監査役を解任する場合に限る。)

八 第四百二十五条第一項の株主総会

九 第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)

イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。

ロ 第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。

十 第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)

十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会

十二 第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会

3 前二項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く。)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。

一 その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会

二 第七百八十三条第一項の株主総会(合併により消滅する株式会社又は株式交換をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等(同条第三項に規定する譲渡制限株式等をいう。次号において同じ。)である場合における当該株主総会に限る。)

三 第八百四条第一項の株主総会(合併又は株式移転をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会に限る。)

4 前三項の規定にかかわらず、第百九条第二項の規定による定款の定めについての定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く。)を行う株主総会の決議は、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の四分の三(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。

5 取締役会設置会社においては、株主総会は、第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、第三百十六条第一項若しくは第二項に規定する者の選任又は第三百九十八条第二項の会計監査人の出席を求めることについては、この限りでない。

 

(会社の組織に関する行為の無効の訴え)

第八百二十八条 次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。

一 会社の設立 会社の成立の日から二年以内

二 株式会社の成立後における株式の発行 株式の発行の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、株式の発行の効力が生じた日から一年以内)

三 自己株式の処分 自己株式の処分の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、自己株式の処分の効力が生じた日から一年以内)

四 新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債を含む。以下この章において同じ。)の発行 新株予約権の発行の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、新株予約権の発行の効力が生じた日から一年以内)

五 株式会社における資本金の額の減少 資本金の額の減少の効力が生じた日から六箇月以内

六 会社の組織変更 組織変更の効力が生じた日から六箇月以内

七 会社の吸収合併 吸収合併の効力が生じた日から六箇月以内

八 会社の新設合併 新設合併の効力が生じた日から六箇月以内

九 会社の吸収分割 吸収分割の効力が生じた日から六箇月以内

十 会社の新設分割 新設分割の効力が生じた日から六箇月以内

十一 株式会社の株式交換 株式交換の効力が生じた日から六箇月以内

十二 株式会社の株式移転 株式移転の効力が生じた日から六箇月以内

十三 株式会社の株式交付 株式交付の効力が生じた日から六箇月以内

2 次の各号に掲げる行為の無効の訴えは、当該各号に定める者に限り、提起することができる。

一 前項第一号に掲げる行為 設立する株式会社の株主等(株主、取締役又は清算人(監査役設置会社にあっては株主、取締役、監査役又は清算人、指名委員会等設置会社にあっては株主、取締役、執行役又は清算人)をいう。以下この節において同じ。)又は設立する持分会社の社員等(社員又は清算人をいう。以下この項において同じ。)

二 前項第二号に掲げる行為 当該株式会社の株主等

三 前項第三号に掲げる行為 当該株式会社の株主等

四 前項第四号に掲げる行為 当該株式会社の株主等又は新株予約権者

五 前項第五号に掲げる行為 当該株式会社の株主等、破産管財人又は資本金の額の減少について承認をしなかった債権者

六 前項第六号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において組織変更をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は組織変更後の会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは組織変更について承認をしなかった債権者

七 前項第七号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において吸収合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は吸収合併後存続する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは吸収合併について承認をしなかった債権者

八 前項第八号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において新設合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は新設合併により設立する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは新設合併について承認をしなかった債権者

九 前項第九号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において吸収分割契約をした会社の株主等若しくは社員等であった者又は吸収分割契約をした会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは吸収分割について承認をしなかった債権者

十 前項第十号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において新設分割をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は新設分割をする会社若しくは新設分割により設立する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは新設分割について承認をしなかった債権者

十一 前項第十一号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において株式交換契約をした会社の株主等若しくは社員等であった者又は株式交換契約をした会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは株式交換について承認をしなかった債権者

十二 前項第十二号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において株式移転をする株式会社の株主等であった者又は株式移転により設立する株式会社の株主等、破産管財人若しくは株式移転について承認をしなかった債権者

十三 前項第十三号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において株式交付親会社の株主等であった者、株式交付に際して株式交付親会社に株式交付子会社の株式若しくは新株予約権等を譲り渡した者又は株式交付親会社の株主等、破産管財人若しくは株式交付について承認をしなかった債権者

 

 

 

 

       主   文

 

 1 被告が平成30年3月20日になした普通株式200株の新株発行を無効とする。

 2 訴訟費用は被告の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 請求

1 主位的請求

 主文同旨

2 予備的請求

 被告が平成30年3月20日になした普通株式200株の新株発行が不存在であることを確認する。

第2 事案の概要

1 本件は、被告の株主である原告が、公開会社でない株式会社である被告においてされたとする新株発行について、株主総会の特別決議を経ていないなどとして、主位的に当該新株発行を無効とすることを求め、発行済株式の過半数を有する株主である原告に当該株主総会の招集通知を行っていないなどとして、予備的に当該新株発行が不存在であることの確認を求める事案である。

捜査機関による押収処分を受けた者の還付請求権の有無(肯定)

 

 

              司法警察員がした押収物の還付に関する処分に対する準抗告の決定に対する特別抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成15年(し)第42号

【判決日付】      平成15年6月30日

【判示事項】      一 捜査機関による押収処分を受けた者の還付請求権の有無

             二 押収物の還付請求却下処分に対する準抗告に理由がある場合に準抗告裁判所がすべき裁判

【判決要旨】      一 捜査機関による押収処分を受けた者は、刑訴法二二二条一項において準用する一二三条一項にいう「留置の必要がない」場合に当たることを理由として、当該捜査機関に対して押収物の還付を請求することができる。

             二 捜査機関による押収処分を受けた者から、還付請求を却下した処分の取消しと自己への還付を求めて刑訴法四三〇条二項の準抗告が申し立てられた場合において、押収物について留置の必要がないときは、申立人以外の者に還付することが相当である場合や、捜査機関に更に事実を調査させるなどして新たな処分をさせることが相当である場合を除き、準抗告裁判所は、原処分を取り消すとともに、捜査機関に対して押収物を申立人に還付するよう命ずる裁判をすべきである。

【参照条文】      刑事訴訟法123-1

             刑事訴訟法222-1

             刑事訴訟法426-2

             刑事訴訟法430-2

             刑事訴訟法432

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集57巻6号893頁

 

 

 本件は、氏名不詳の被疑者が申立人の所有する漁船に乗り組み、愛媛県海域において操業が禁止されている夜間の潜水器漁業を操業したという、愛媛県漁業調整規則違反被疑事件に関して、申立人が、差し押さえられた漁船等の還付を申し立てたところ、それが却下されたため、刑訴法四三〇条二項の準抗告、さらに、特別抗告に及んだという事案である。

 

 

刑事訴訟法

第百二十三条 押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない。

② 押収物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、決定で仮にこれを還付することができる。

③ 押収物が第百十条の二の規定により電磁的記録を移転し、又は移転させた上差し押さえた記録媒体で留置の必要がないものである場合において、差押えを受けた者と当該記録媒体の所有者、所持者又は保管者とが異なるときは、被告事件の終結を待たないで、決定で、当該差押えを受けた者に対し、当該記録媒体を交付し、又は当該電磁的記録の複写を許さなければならない。

④ 前三項の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。

 

第二百二十二条 第九十九条第一項、第百条、第百二条から第百五条まで、第百十条から第百十二条まで、第百十四条、第百十五条及び第百十八条から第百二十四条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条、第二百二十条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第百十条、第百十一条の二、第百十二条、第百十四条、第百十八条、第百二十九条、第百三十一条及び第百三十七条から第百四十条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条又は第二百二十条の規定によつてする検証についてこれを準用する。ただし、司法巡査は、第百二十二条から第百二十四条までに規定する処分をすることができない。

② 第二百二十条の規定により被疑者を捜索する場合において急速を要するときは、第百十四条第二項の規定によることを要しない。

③ 第百十六条及び第百十七条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条の規定によつてする差押え、記録命令付差押え又は捜索について、これを準用する。

④ 日出前、日没後には、令状に夜間でも検証をすることができる旨の記載がなければ、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第二百十八条の規定によつてする検証のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることができない。但し、第百十七条に規定する場所については、この限りでない。

⑤ 日没前検証に着手したときは、日没後でもその処分を継続することができる。

⑥ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第二百十八条の規定により差押、捜索又は検証をするについて必要があるときは、被疑者をこれに立ち会わせることができる。

⑦ 第一項の規定により、身体の検査を拒んだ者を過料に処し、又はこれに賠償を命ずべきときは、裁判所にその処分を請求しなければならない。

 

第四百二十条 裁判所の管轄又は訴訟手続に関し判決前にした決定に対しては、この法律に特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合を除いては、抗告をすることはできない。

② 前項の規定は、勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する決定及び鑑定のためにする留置に関する決定については、これを適用しない。

③ 勾留に対しては、前項の規定にかかわらず、犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告をすることはできない。

 

第四百二十六条 抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。

② 抗告が理由のあるときは、決定で原決定を取り消し、必要がある場合には、更に裁判をしなければならない。

 

第四百三十条 検察官又は検察事務官のした第三十九条第三項の処分又は押収若しくは押収物の還付に関する処分に不服がある者は、その検察官又は検察事務官が所属する検察庁の対応する裁判所にその処分の取消又は変更を請求することができる。

 司法警察職員のした前項の処分に不服がある者は、司法警察職員の職務執行地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にその処分の取消又は変更を請求することができる。

 前二項の請求については、行政事件訴訟に関する法令の規定は、これを適用しない。

 

第四百三十二条 第四百二十四条、第四百二十六条及び第四百二十七条の規定は、第四百二十九条及び第四百三十条の請求があつた場合にこれを準用する。

 

 

エホバの証人事件・宗教上の信念からいかなる場合にも輸血を受けることは拒否するとの固い意思を有している患者に対して医師がほかに救命手段がない事態に至った場合には輸血するとの方針を採っていることを説明しないで手術を施行して輸血をした場合において右医師の不法行為責任が認められた事例

 

 

              損害賠償請求上告、同附帯上告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成10年(オ)第1081号、平成10年(オ)第1082号

【判決日付】      平成12年2月29日

【判示事項】      宗教上の信念からいかなる場合にも輸血を受けることは拒否するとの固い意思を有している患者に対して医師がほかに救命手段がない事態に至った場合には輸血するとの方針を採っていることを説明しないで手術を施行して輸血をした場合において右医師の不法行為責任が認められた事例

【判決要旨】      医師が、患者が宗教上の信念からいかなる場合にも輸血を受けることは拒否するとの固い意思を有し、輸血を伴わないで肝臓の腫瘍を摘出する手術を受けることができるものと期待して入院したことを知っており、右手術の際に輸血を必要とする事態が生ずる可能性があることを認識したにもかかわらず、ほかに救命手段がない事態に至った場合には輸血するとの方針を採っていることを説明しないで右手術を施行し、患者に輸血をしたなど判示の事実関係の下においては、右医師は、患者が右手術を受けるか否かについて意思決定をする権利を奪われたことによって被った精神的苦痛を慰謝すべく不法行為に基づく損害賠償責任を負う。

【参照条文】      民法709

             民法710

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集54巻2号582頁

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。