東海第二原子力発電所運転差止等請求事件
東海第二原子力発電所運転差止等請求事件
【事件番号】 水戸地方裁判所判決/平成24年(行ウ)第15号
【判決日付】 令和3年3月18日
【参照条文】 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律43の3の6-1
原子力災害対策特別措置法6の2
【掲載誌】 判例時報2524・2525合併号40頁
LLI/DB 判例秘書登載
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
(許可の基準)
第四十三条の三の六 原子力規制委員会は、前条第一項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。
二 その者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があること。
三 その者に重大事故(発電用原子炉の炉心の著しい損傷その他の原子力規制委員会規則で定める重大な事故をいう。第四十三条の三の二十二第一項及び第四十三条の三の二十九第二項第二号において同じ。)の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。
四 発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。
五 前条第二項第十一号の体制が原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。
2 前項の場合において、第四十三条の三の三十第一項の規定により型式証明を受けた同項に規定する特定機器の型式の設計は、前項第四号の基準(技術上の基準に係る部分に限る。)に適合しているものとみなす。
3 原子力規制委員会は、前条第一項の許可をする場合においては、あらかじめ、第一項第一号に規定する基準の適用について、原子力委員会の意見を聴かなければならない。
原子力災害対策特別措置法
第一章の二 原子力災害対策指針
第六条の二 原子力規制委員会は、災害対策基本法第二条第八号に規定する防災基本計画に適合して、原子力事業者、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体、指定公共機関及び指定地方公共機関その他の者による原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策(次項において「原子力災害対策」という。)の円滑な実施を確保するための指針(以下「原子力災害対策指針」という。)を定めなければならない。
2 原子力災害対策指針においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 原子力災害対策として実施すべき措置に関する基本的な事項
二 原子力災害対策の実施体制に関する事項
三 原子力災害対策を重点的に実施すべき区域の設定に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、原子力災害対策の円滑な実施の確保に関する重要事項
3 原子力規制委員会は、原子力災害対策指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
主 文
1 被告は,別紙1当事者目録1記載の番号1ないし79の各原告との関係で,茨城県那珂郡東海村大字白方1番の1において,東海第二発電所の原子炉を運転してはならない。
2 その余の原告らの請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,第1項記載の原告らに生じた費用の全部と被告に生じた費用の224分の79を被告の負担とし,その余の原告らに生じた費用の全部と被告に生じたその余の費用を同原告らの負担とする。
事実及び理由
目 次
第1章 請求
第2章 事案の概要
第1 前提事実
1 当事者
(1) 原告ら
(2) 被告
2 本件発電所の概要等
3 原子力発電の仕組み等
(1) 核分裂と連鎖反応
(2) 原子力発電の仕組みと原子炉を構成する基本的な要素
(3) 放射性物質の人体への影響について
4 本件発電所の基本的安全対策設備
5 主な自然現象(地震,津波,火山)について
(1) 地震
(2) 津波
(3) 火山
6 福島第一発電所事故の発生
(1) 福島第一発電所事故の概要
(2) 福島第一発電所事故による被害の概要
7 原子力関連法令の改正及び新規制基準の策定等
(1) 原子力基本法及び原子炉等規制法の改正
(2) 原子力規制委員会の設置
(3) 新規制基準の策定(甲G64(丙Bア25)・51~57頁)
(4) 新規制基準の概要
(5) 新規制基準策定後の原子炉等規制法の改正(検査制度)
8 深層防護の考え方
9 原子力規制委員会の新規制基準の考え方(甲G64(丙Bア25))
(1) 安全性に対する考え方について(「新規制基準の考え方」1-2参照)
(2) 深層防護との関係について(「新規制基準の考え方」2-4,2-5参照)
10 本件発電所の現在の許認可等の状況
第2 争点
第3章 当事者の主張
第1 争点1(原子炉等規制法が違憲無効であることを理由とする差止請求の可否)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
第2 争点2(人格権に基づく原子炉運転差止請求における要件・主張立証責任等)について
1 争点2-1(人格権に基づく原子炉運転差止請求の要件)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
2 争点2-2(人格権に基づく原子炉運転差止請求の主張立証責任等)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
第3 争点3(地震に対する安全確保対策(基準地震動の策定))について
1 争点3-1(新規制基準における基準地震動の意義)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
2 争点3-2(「震源を特定して策定する地震動」)について
(1) 争点3-2-1(応答スペクトルに基づく地震動評価)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
(2) 争点3-2-2(断層モデルを用いた手法による地震動評価(SMGAモデル関係))について
(原告らの主張)
(被告の主張)
(3) 争点3-2-3(断層モデルを用いた手法による地震動評価(不確かさの考慮等))について
(原告らの主張)
(被告の主張)
3 争点3-3(「震源を特定せず策定する地震動」)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
第4 争点4(地震に対する安全確保対策(耐震安全性))について
1 争点4-1(耐震安全性に関する新規制基準の合理性)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
2 争点4-2(圧力容器スタビライザ・ロッドの耐震安全性)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
3 争点4-3(格納容器の耐震安全性)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
第5 争点5(津波に対する安全確保対策)について
1 争点5-1(基準津波策定)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
2 争点5-2(津波対策)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
第6 争点6(火山(気中降下火砕物)に対する安全確保対策)について
1 争点6-1(気中降下火砕物に係る保安規定変更認可申請前の司法審査の在り方等)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
2 争点6-2(気中降下火砕物濃度の推定手法についての火山影響評価ガイドの規定の合理性)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
3 争点6-3(被告による気中降下火砕物濃度の評価)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
第7 争点7(事故防止に係る安全確保対策及びその実効性を確保するための対応)について
1 争点7-1(内部火災対策)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
2 争点7-2(重大事故等対策(シビアアクシデント対策))について
(原告らの主張)
(被告の主張)
3 争点7-3(本件発電所の維持管理)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
第8 争点8(立地審査及び避難計画)について
1 争点8-1(立地審査)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
2 争点8-2(避難計画)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
第9 争点9(東海再処理施設との複合災害の危険性)について
(原告らの主張)
(被告の主張)
第10 争点10(経理的基礎の要件の範囲及びその有無等)
(原告らの主張)
(被告の主張)
第4章 当裁判所の判断
第1 争点1(原子炉等規制法が違憲無効であることを理由とする差止請求の可否)について
第2 争点2(人格権に基づく原子炉運転差止請求における要件・主張立証責任等)について
1 争点2-1(人格権に基づく原子炉運転差止請求の要件)について
(1) 人格権に基づく差止請求
(2) 発電用原子炉施設の原子炉運転差止請求に係る具体的危険
(3) 原子力規制委員会の許認可と具体的危険について
2 争点2-2(人格権に基づく原子炉運転差止請求の主張立証責任等)について
第3 争点3(地震に対する安全確保対策(基準地震動の策定))について
1 認定事実1(新規制基準以前の原子力発電所の地震対策に係る規制及び大規模地震の発生について)
(1) 昭和45年安全設計審査指針(本件発電所設計・運転開始時)
(2) 旧耐震設計審査指針の策定
(3) 1995年兵庫県南部地震
(4) 旧耐震設計審査指針に基づくバックチェック
(5) 2005年宮城県沖地震
(6) 新耐震設計審査指針への改訂(乙Bイ1,丙D14)
(7) 2007年能登半島地震(丙D74,75)
(8) 2007年新潟県中越沖地震
(9) 新耐震設計審査指針に基づくバックチェックの実施(甲D3,76)
(10) 東北地方太平洋沖地震
2 認定事実2(新規制基準の内容・地震動評価の手法等について)
(1) 新規制基準の内容
(2) 地震動評価の手法その1(応答スペクトルに基づく地震動評価手法)
(3) 地震動評価の手法その2(断層モデルを用いた地震動評価手法)
(4) 他の分野における地震動評価
3 認定事実3(新規制基準下における本件発電所の基準地震動策定等について)
(1) 地震に関する各種調査
(2) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」(内陸地殻内地震)
(3) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」(プレート間地震)
(4) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」(海洋プレート内地震)
(5) 「震源を特定せず策定する地震動」
(6) 基準地震動Ssの策定
(7) 原子力規制委員会による適合性判断等
(8) 新規制基準策定後の事情
4 争点3-1(新規制基準における基準地震動の意義)について
(1) 新規制基準における基準地震動
(2) 検討
5 争点3-2-1(応答スペクトルに基づく地震動評価)について
(1) 応答スペクトルに基づく手法における補正の在り方
(2) 内陸地殻内地震について
(3) プレート間地震について
(4) 小括
6 争点3-2-2(断層モデルを用いた手法による地震動評価(SMGAモデル関係))について
(1) 問題の所在
(2) 東北地方太平洋沖地震を検討用地震とする基準地震動の策定において周期1~2秒の強震動パルスを考慮することについて
(3) 被告がSPGAモデル又は不均質なSMGAモデルによらず,標準的なSMGAモデルにより地震動評価を行ったことについて
7 争点3-2-3(断層モデルを用いた手法による地震動評価(不確かさの考慮等))について
(1) 内陸地殻内地震における不確かさの考慮等
(2) プレート間地震における不確かさの考慮
(3) 小括
8 争点3-3(「震源を特定せず策定する地震動」)について
(1) 加藤ほか(2004)について
(2) 震源の規模が推定できない地震(Mw6.5以上)について
(3) 震源の位置も規模も推定できない地震(Mw6.5未満)について
(4) 地震動審査ガイドの見直しの議論について
(5) 鉄道構造物との比較
(6) 湾岸構造物との比較
(7) 小括
9 争点3(基準地震動の策定)についての総括
第4 争点4(地震に対する安全確保対策(耐震安全性))について
1 認定事実4(耐震安全性に係る規制の内容等)
(1) 新規制基準以前における耐震設計について
(2) 新規制基準における耐震設計規制(原子炉設置(変更)許可段階)
(3) 地震動審査ガイド(Ⅱ.耐震設計方針)
(4) 新規制基準における耐震設計規制(工事計画認可段階)
(5) 工認審査ガイド(丙Bア20)
(6) 設計用の規格類
(7) 加圧試験等の知見
(8) 安全率について
2 認定事実5(本件発電所の耐震安全性について)
(1) 本件発電所の基本的な構造(丙D159・41,42頁)
(2) 本件発電所の耐震安全性評価
(3) 圧力容器スタビライザ
(4) 格納容器
(5) 原子力規制委員会による適合性判断
3 争点4-1(耐震安全性に関する新規制基準の合理性)について
(1) 新規制基準における耐震安全性の体系について
(2) 原告らの主張について
4 争点4-2(圧力容器スタビライザ・ロッドの耐震安全性)について
(1) 本件発生値について
(2) 本件許容値について
(3) 小括
5 争点4-3(格納容器の耐震安全性)について
(1) 座屈について
(2) 座屈以外について
6 争点4(耐震安全性)についての総括
第5 争点5(津波に対する安全確保対策)について
1 認定事実6(津波対策に係る規制等)
(1) 東北地方太平洋沖地震による津波被害
(2) 設置許可基準規則・同解釈
(3) 津波審査ガイド(Ⅰ.基準津波)
(4) 津波審査ガイド(Ⅱ.耐津波設計方針)
(5) 技術基準規則・同解釈
(6) 耐津波設計に係る工認審査ガイド(丙Bア21)
(7) 船舶の緊急退避又は係留避泊について
2 認定事実7(本件発電所における基準津波の策定について)
(1) 津波に関する各種調査
(2) プレート間地震に起因する津波の評価(丙D159・57~64頁)
(3) プレート間地震以外の地震に起因する津波の評価
(4) 地震以外に起因する津波の評価
(5) 基準津波の策定
(6) 原子力規制委員会による適合性判断
(7) 基準津波策定後の事情(巨大地震モデル検討会概要報告の公表)
3 認定事実8(本件発電所の津波対策について)
(1) 本件発電所における津波対策
(2) 基準津波に対する耐津波安全性の確認
(3) 津波に伴う漂流物について
(4) 設計を超える事象(津波が敷地内に遡上又は流入する事象)に対する対策
(5) 原子力規制委員会による適合性判断
4 争点5-1(基準津波策定)について
(1) 基準津波の意義について
(2) 津波審査ガイドについて
(3) 巨大地震モデル検討会概要報告について
(4) 小括
5 争点5-2(津波対策)について
(1) 津波波源及び流向の想定について
(2) 大型船舶を津波に伴う漂流物として想定することの要否について
6 争点5(津波に対する安全確保対策)についての総括
第6 争点6(火山(気中降下火砕物)に対する安全確保対策)について
1 認定事実9(火山に対する規制等について)
(1) 設置許可基準規則・解釈(甲Bア5)
(2) 技術基準規則・解釈
(3) 火山影響評価ガイドの策定(甲D57)
(4) 平成29年実用炉規則等の改正
(5) 令和元年火山影響評価ガイド(甲D202,丙Bア38,丙D201)
(6) 降下火砕物のシミュレーションソフト(Tephra2)について
2 認定事実10(本件発電所の敷地周辺の火山に関する評価について)
(1) 本件発電所に影響を及ぼし得る火山の抽出
(2) 本件13火山についての設計対応が不可能な火山事象に係る個別評価
(3) 本件発電所の安全性に影響を及ぼし得る火山事象の抽出及びその影響評価
3 認定事実11(降下火砕物への対策等について)
(1) 直接的影響とその対策
(2) 間接的影響とその対策
(3) 原子力規制委員会による適合性判断
4 争点6-1(気中降下火砕物に係る保安規定変更認可申請前の司法審査の在り方等)について
(1) 「相当の根拠,資料に基づく主張立証」について
(2) 気中降下火砕物濃度の推定等を保安規定変更認可申請において審査することの合理性
5 争点6-2(気中降下火砕物濃度の推定手法についての火山影響評価ガイドの規定の合理性)について
(1) 大きな不確実さを有することについて
(2) 3.1の手法について
(3) 3.1の手法と3.2の手法を選択的に用いることについて
(4) 小括
6 争点6-3(被告による気中降下火砕物濃度の評価)について
7 争点6(気中降下火砕物)についての総括
第7 争点7(事故防止に係る安全確保対策及びその実効性を確保するための対応)について
1 認定事実12(原子力発電所の内部火災対策規制とケーブルについて)
(1) ブラウンズフェリー火災事故
(2) 旧火災防護審査指針(甲C24)
(3) 設置許可基準規則(甲Bア5,丙Bア9)
(4) 火災防護審査基準(丙Bア11)
(5) 電気学会推奨案(丙C12)
(6) ACAガイド(丙C13)
(7) 一般用ケーブルの耐用年数について
(8) 本件発電所のケーブルについて
(9) OFケーブル火災事例(甲C105,丙C15)
2 認定事実13(重大事故等対策に係る規制等について)
(1) 新規制基準策定以前の重大事故等対策に係る規制等
(2) 新規制基準における重大事故等対策に係る規制の概要
(3) 重大事故等対策の有効性評価に係る設置許可基準規則・同解釈の定め
(4) 有効性評価ガイド
(5) PRAについて
(6) 水素爆発について
(7) 水蒸気爆発について
(8) 大規模損壊対策について
3 認定事実14(原子力発電所の事故防止に係る安全確保対策の実効性を確保するための規制について)
(1) 高経年化対策実施ガイド(丙Bア23)
(2) 延長審査基準及び延長ガイド
(3) 「亀裂その他の欠陥の解釈」及び維持規格
4 認定事実15(本件発電所の事故防止に係る安全確保対策について)
(1) 異常発生防止対策
(2) 異常拡大防止対策
(3) 放射性物質異常放出防止対策
(4) 福島第一発電所事故を踏まえた安全確保対策の強化
(5) 原子力規制委員会による適合性判断
(6) 本件意見公募手続における回答
5 認定事実16(本件発電所の事故防止に係る安全確保対策の実効性を確保するための対応について)
(1) 本件発電所における維持管理に係る対応の概要
(2) 具体的な維持管理に係る対応
(3) 運転期間の延長に係る対応
(4) 本件発電所における損傷等の事例
(5) 原子力規制委員会による適合性判断
6 争点7-1(内部火災対策)について
(1) 火災防護審査基準が安全系ケーブルに限り難燃ケーブルの使用を要求していることについて
(2) 難燃ケーブルに代えて複合体を用いることについて
(3) 内部火災対策についての小括
7 争点7-2(重大事故等対策(シビアアクシデント対策))について
(1) 重大事故等対策の有効性評価について
(2) 水素爆発対策について
(3) 水蒸気爆発対策について
(4) 大規模損壊対策について
8 争点7-3(本件発電所の維持管理)について
(1) 老朽化(中性子脆化を除く)について
(2) 中性子照射脆化について
(3) 小括
9 争点7(事故防止に係る安全確保対策及びその実効性を確保するための対応)についての総括
第8 争点8(立地審査及び避難計画)について
1 認定事実17(立地審査指針)
(1) 立地審査指針について(甲G63,乙Bイ9,19)
(2) 新規制基準において立地審査指針を採用しない原子力規制委員会の考え方(甲G64(丙Bア25)・385~402頁)
2 認定事実18(原子力災害対策法制及び本件発電所周辺の地方自治体における避難計画の策定状況等)
(1) 原子力災害対策に係る法的枠組み等
(2) 本件発電所周辺地方自治体における避難計画の策定状況等
(3) 避難時間シミュレーション
(4) 屋内退避及び避難について
3 争点8-1(立地審査)について
(1) 立地審査指針を採用していないことについて
(2) 原則的立地条件(2)・基本的目標a・指針1(非居住区域)について
(3) 原則的立地条件(3)・基本的目標b・指針2(低人口地帯)について
(4) 原則的立地条件(3)・基本的目標c・指針3について
(5) 立地審査の必要性について
4 争点8-2(避難計画)について
(1) 新規制基準の合理性について
(2) 避難計画について
5 争点8(立地審査及び避難計画)についての総括
第9 争点9(東海再処理施設との複合災害の危険性)について
1 認定事実19(東海再処理施設等について)
(1) 周辺施設の影響審査に係る設置許可基準規則・同解釈の定め
(2) 近接原子力施設からの影響審査について
(3) 東海再処理施設について
2 争点9(東海再処理施設との複合災害の危険性)について
(1) 東海再処理施設の事故等を設置許可基準規則6条3項の事象として考慮していないことについて
(2) 審査基準の合理性について
(3) 小括
第10 争点10(経理的基礎の要件の範囲及びその有無等)について
1 認定事実20(被告の経理的基礎について)
(1) 被告の事業等
(2) 本件設置変更許可申請時
(3) 本件設置変更許可後の事情
2 争点10(経理的基礎の要件の範囲及びその有無等)について
(1) 本件設置変更許可申請に係る原子炉等規制法43条の3の6第1項2号の経理的基礎の要件該当性について
(2) 維持管理に係る経理的基礎について
(3) 小括
第11 結論
第1章 請求
被告は,茨城県那珂郡東海村大字白方1番の1において,東海第二発電所の原子炉を運転してはならない。
第2章 事案の概要
本件は,茨城県外1都1府8県に居住する原告らが,被告に対し,被告が茨城県東海村内に設置する東海第二発電所(以下「本件発電所」という。)の原子炉の運転により,原告らの人格権が侵害される具体的危険性があるとして,人格権に基づく妨害予防請求として,本件発電所の原子炉の運転の差止めを求める事案である。
なお,原告らは,本件と併せて国を被告とする本件発電所の原子炉設置許可処分の無効確認の訴え及び本件発電所使用停止命令の義務付けの訴えを併合提起したものの,これらの訴えを取り下げた。