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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

商品代金の立替払契約に基づく債務の保証人の意思表示に要素の錯誤があるとされた事例

 

 

              保証債務請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成11年(受)第602号

【判決日付】      平成14年7月11日

【判示事項】      商品代金の立替払契約に基づく債務の保証人の意思表示に要素の錯誤があるとされた事例

【判決要旨】      特定の商品の代金について立替払契約が締結され、同契約に基づく債務について保証契約が締結された場合において、立替払契約は商品の売買契約が存在しないいわゆる空クレジット契約であって、保証人は、保証契約を締結した際、そのことを知らなかったなど判示の事実関係の下においては、保証人の意思表示には法律行為の要素に錯誤がある。

【参照条文】      民法95

             民法446

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事206号707頁

             裁判所時報1319号265頁

             判例タイムズ1109号129頁

             金融・商事判例1159号3頁

             判例時報1805号56頁

 

 

民法

(錯誤)

第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。

一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤

二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤

2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。

一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。

二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。

4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

 

(保証人の責任等)

第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

 

 

証券取引における適合性原則違反と不法行為の成否

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成15年(受)第1284号

【判決日付】      平成17年7月14日

【判示事項】      1 証券取引における適合性原則違反と不法行為の成否

             2 証券会社の担当者による株価指数オプションの売り取引の勧誘が適合性原則から著しく逸脱するものであったとはいえないとして不法行為の成立が否定された事例

【判決要旨】      1 証券会社の担当者が,顧客の意向と実情に反して,明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど,適合性の原則から著しく逸脱した証券取引の勧誘をしてこれを行わせたときは,当該行為は不法行為法上も違法となる。

             2 証券会社甲の担当者が顧客である株式会社乙に対し株価指数オプションの売り取引を勧誘してこれを行わせた場合において,当該株価指数オプションは証券取引所の上場商品として広く投資者が取引に参加することを予定するものであったこと,乙は20億円以上の資金を有しその相当部分を積極的に投資運用する方針を有していたこと,乙の資金連用業務を担当する専務取締役らは,株価指数オプション取引を行う前から,信用取引,先物取引等の証券取引を毎年数百億円規模で行い,証券取引に関する経験と知識を蓄積していたこと,乙は,株価指数オプションの売り取引を始めた際,その損失が一定額を超えたらこれをやめるという方針を立て,実際にもその方針に従って取引を終了させるなどして自律的なリスク管理を行っていたことなど判示の事情の下においては,オプションの売り取引は損失が無限大又はそれに近いものとなる可能性がある極めてリスクの高い取引類型であることを考慮しても,甲の担当者による上記勧誘行為は,適合性の原則から著しく逸脱するものであったとはいえず,甲の不法行為責任を認めることはできない。

             (2につき補足意見がある。)

【参照条文】      民法709

             証券取引法43

             証券取引法(平10法107号改正前)54-1

             証券会社の健全性の準則等に関する省令(昭40大蔵省令60号)8

             証券取引法2-22

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集59巻6号1323頁

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

 

金融商品取引法

(定義)

第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。

22 この法律において「店頭デリバティブ取引」とは、金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う次に掲げる取引(その内容等を勘案し、公益又は投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)をいう。

一 売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品(第二十四項第三号の三及び第五号に掲げるものを除く。第三号及び第六号において同じ。)及びその対価の授受を約する売買であつて、当該売買の目的となつている金融商品の売戻し又は買戻しその他政令で定める行為をしたときは差金の授受によつて決済することができる取引

二 約定数値(第二十四項第三号の三又は第五号に掲げる金融商品に係る金融指標の数値を除く。)と現実数値(これらの号に掲げる金融商品に係る金融指標の数値を除く。)の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引

三 当事者の一方の意思表示により当事者間において次に掲げる取引を成立させることができる権利を相手方が当事者の一方に付与し、当事者の一方がこれに対して対価を支払うことを約する取引又はこれに類似する取引

イ 金融商品の売買(第一号に掲げる取引を除く。)

ロ 前二号及び第五号から第七号までに掲げる取引

四 当事者の一方の意思表示により当事者間において当該意思表示を行う場合の金融指標(第二十四項第三号の三又は第五号に掲げる金融商品に係るものを除く。)としてあらかじめ約定する数値と現に当該意思表示を行つた時期における現実の当該金融指標の数値の差に基づいて算出される金銭を授受することとなる取引を成立させることができる権利を相手方が当事者の一方に付与し、当事者の一方がこれに対して対価を支払うことを約する取引又はこれに類似する取引

五 当事者が元本として定めた金額について当事者の一方が相手方と取り決めた金融商品(第二十四項第三号、第三号の三及び第五号に掲げるものを除く。)の利率等若しくは金融指標の約定した期間における変化率に基づいて金銭を支払い、相手方が当事者の一方と取り決めた金融商品(これらの号に掲げるものを除く。)の利率等若しくは金融指標の約定した期間における変化率に基づいて金銭を支払うことを相互に約する取引(これらの金銭の支払とあわせて当該元本として定めた金額に相当する金銭又は金融商品(同項第三号の三及び第五号に掲げるものを除く。)を授受することを約するものを含む。)又はこれに類似する取引

六 当事者の一方が金銭を支払い、これに対して当事者があらかじめ定めた次に掲げるいずれかの事由が発生した場合において相手方が金銭を支払うことを約する取引(当該事由が発生した場合において、当事者の一方が金融商品、金融商品に係る権利又は金銭債権(金融商品であるもの及び金融商品に係る権利であるものを除く。)を移転することを約するものを含み、第二号から前号までに掲げるものを除く。)又はこれに類似する取引

イ 法人の信用状態に係る事由その他これに類似するものとして政令で定めるもの

ロ 当事者がその発生に影響を及ぼすことが不可能又は著しく困難な事由であつて、当該当事者その他の事業者の事業活動に重大な影響を与えるものとして政令で定めるもの(イに掲げるものを除く。)

七 前各号に掲げるもののほか、これらと同様の経済的性質を有する取引であつて、公益又は投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定める取引

23 この法律において「外国市場デリバティブ取引」とは、外国金融商品市場において行う取引であつて、市場デリバティブ取引と類似の取引(金融商品(次項第三号の三に掲げるものに限る。)又は金融指標(当該金融商品の価格及びこれに基づいて算出した数値に限る。)に係るものを除く。)をいう。

 

(善管注意義務)

第四十三条 金融商品取引業者等は、顧客に対し、善良な管理者の注意をもつて有価証券等管理業務を行わなければならない。

 

(業務の不開始又は休止に基づく登録の取消し)

第五十四条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者等が正当な理由がないのに、金融商品取引業等を行うことができることとなつた日から三月以内に業務を開始しないとき、又は引き続き三月以上その業務を休止したときは、当該金融商品取引業者等の第二十九条又は第三十三条の二の登録を取り消すことができる。

 

 

 

 

被告人が,当時2歳ないし3歳であった実子に対し,時期を異にして,ごみ袋に入れてその袋の口を結んだ暴行,顔面にペン様の物を投げつけ,足で複数回踏みつけて前額部刺創の傷害,及び頬を殴打して打撲の傷害を負わせた傷害,暴行被告事件。

 

 

傷害,暴行被告事件

【事件番号】      大津地方裁判所判決/平成30年(わ)第339号、平成30年(わ)第364号

【判決日付】      平成30年10月2日

【判示事項】      被告人が,当時2歳ないし3歳であった実子に対し,時期を異にして,ごみ袋に入れてその袋の口を結んだ暴行,顔面にペン様の物を投げつけ,足で複数回踏みつけて前額部刺創の傷害,及び頬を殴打して打撲の傷害を負わせた傷害,暴行被告事件。

裁判所は,暴行態様は悪質で,暴言,暴行の内容もしつけではなく,動機や経緯に酌量の余地はないとし,被告人の刑事責任は,傷害結果が重篤なものに至らなかったことからすれば最も重い部類にまでは至らないものの軽視はできないとし,前科前歴がなく反省の弁を述べていること等の事情を考慮し,事案の性質等に鑑み猶予期間は長期として,懲役1年6月,執行猶予5年に処した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

 

刑法

(傷害)

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

(暴行)

第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

確定判決に基づく強制執行が権利濫用にあたるとされた事例

 

 

              請求異議事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和35年(オ)第18号

【判決日付】      昭和37年5月24日

【判示事項】      確定判決に基づく強制執行が権利濫用にあたるとされた事例

【参照条文】      民事訴訟法545

             民法1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集16巻5号1157頁

 

 

民法

(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

 

民事執行法

(請求異議の訴え)

第三十五条 債務名義(第二十二条第二号又は第三号の二から第四号までに掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。

2 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。

3 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。

 

 

 

       主   文

 

 原判決を破棄する。

 本件を高松高等裁判所に差し戻す。

 

       理   由

 

 上告人らの上告理由第一、二点について。

 被上告人を原告、上告人ら夫婦の次男である中原Aを被告とする徳島地方裁判所昭和二四年(ワ)第一七六号損害賠償請求事件につき、昭和二六年八月三日中原Aは被上告人に対し金五〇万円を支払うべき旨の給付判決が言い渡され、該判決は一審限りで確定したこと、その後昭和二八年五月三日中原Aは死亡し、上告人らはその相続人として右債務を承継したこと、被上告人は上告人らに対し右確定判決に基づき強制執行をなすべく、昭和三三年一月一四日の右債務名義につき承継執行文の付与を受け上告人覚所有の全不動産につき強制競売の申立に及んだこと、右確定判決は、被上告人が中原Aの自動車運転上の過失に因り負傷させられ、その結果家業たる荷馬車挽ができなくなつたものとされ、被上告人が荷馬車挽を継続していたとすれば得たであろう利益の喪失をホフマン式計算法により算出して金五〇万円の支払を命じたものであること。―以上は原判決が当事者間に争ない事実として、あるいは証拠によつて確定した事実である。

 本訴は右強制執行に対する民訴五四五条に基づく請求異議の訴であつて、その理由とするところは、被上告人の前示負傷は右判決確定後回復し昭和二八年頃には電話を架設して荷馬車挽営業を自ら堂々と営んでいるから、右確定判決はもはや事情の変更により執行に適せざるに至つたものであり、このような判決に基づき強制執行をなすのは権利の濫用であり、一面信義誠実の原則にも反するものである旨主張するものであるところ、原判決は、被上告人の負傷が前記判決確定後回復し被上告人が荷馬車挽営業を営むことができるに至つている旨の上告人らの主張は、ひつきようするに前記確定判決において認定された被上告人の負傷の程度、労働力の喪失による得べかりし利益の喪失を争い、結局前記確定判決において確定された被上告人の中原Aに対する損害賠償請求権の存在を否定するに帰着するものであるから、かような主張は判決の既判力理論により判決確定後において許されないのは勿論、また民訴五四五条二項にいわゆる口頭弁論終結後に異議の原因の生じた場合にも該当しないものである。故に本件異議の訴はその理由ないものであつて、排斥を免れないものである旨判示していることは原判文上明らかである。思うに、確定判決上の権利と雖も信義に従い誠実に行使すべきであつて、これを濫用してならないことは、多言を要しない筋合であるところ、前記判決において被上告人が中原Aに対して認められた損害賠償請求権は将来の営業活動不能の前提の下に肯定されたのであるから、もし被上告人の前示負傷が上告人ら主張のように快癒し自らの力を以て営業可能の状態に回復するとともに、電話を引きなどして堂々と営業(その規模内容は論旨が特記している)を営んでいる程に事情が変更しているものとすれば、しかも一方において上告人ら主張のように中原Aは右損害賠償債務の負担を苦にして列車に飛込自殺をするなどの事故があつたに拘らず前記判決確定後五年の後に至つてAの父母である上告人らに対し前示確定判決たる債務名義に執行文の付与を受け突如として本件強制執行に及んだものとすれば、それが如何に確定判決に基づく権利の行使であつても、誠実信義の原則に背反し、権利濫用の嫌なしとしない。然るに原判決は叙上の点については、何ら思を運らした形跡がなく、ただ漫然と判決の既判力理論と民訴五四五条二項の解釈にのみ偏して本件を解決せんとしたのは、到底審理不尽理由不備の誹りを免れないものと言わざるを得ない。なお、原審は、大審院が昭和一五年二月三日の判決(民集一九巻一一〇頁)においてなした「……斯ノ如キ債務名義ニ因リ無制限ニ上告人ニ対シ強制執行ヲ敢テスルコトハ不法行為ニ属スルコト論ヲ俟タザルトコロナリ。民訴五四五条が異議ノ訴ヲ認メタルハ、不当ナル強制執行ノ行ハレザランコトヲ期スルモノニ外ナラザルヲ以テ、判決ニョリ確定シタル請求ガ判決ニ接着セル口頭弁論終結後ニ変更消滅シタル場合ノミナラズ、判決ヲ執行スルコト自体ガ不法ナル場合ニアリテモ、亦異議ノ訴ヲ許容スルモノト解スルヲ正当ナリトス」云々との判示に深く思を致すべきである。

 されば、論旨は結局理由あるに帰し、原判決は叙上の点において破棄を免れないものと認める。

 よつて、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

     最高裁判所第一小法廷

第11章 債務不履行による損害賠償の帰責事由の明確化

債務不履行による損害賠償の帰責事由の明確化

 

問題の所在

旧法415条(債務不履行による損害賠償)に関して、判例や一般的な解釈を踏まえ、債務者に帰責事由がないことを同条後段(履行の不能)のみに限らない一般的な要件として定める。

改正法の内容 【いずれも新§415】

その免責要件の有無は、契約および社会通念に照らして判断される旨を明記する。

「責めに帰すべき事由」という要件について、裁判実務においては、帰責事由の有無は契約や社会通念に照らして判断されているが、条文上は明らかでない。

債務不履行による損害賠償は、債務者に帰責事由(=責めに帰すべき事由)がないときは免責される。このことは旧法415条後段(履行不能)にのみ規定されているが、同条前段(履行遅滞、その他)にも共通のルールと解されており、条文と解釈が齟齬

例:売ったパソコンの引渡しをすることができなくなったが・・・

①通常は想定することができない規模の地震によって壊れてしまった → 通常は帰責事由なし

②売主の不注意による失火でパソコンが焼失してしまった → 通常は帰責事由あり

③引渡しのための運送中に運送人の過失による事故で壊れてしまった → 通常は帰責事由あり

【参照条文(旧法)】

(債務不履行による損害賠償)

第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

会社が商業登記簿上の名称以外の名称を用いて振り出した手形が当該会社振出の手形と認められた事例

 

 

約束手形金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和38年(オ)第45号

【判決日付】      昭和39年4月17日

【判示事項】      会社が商業登記簿上の名称以外の名称を用いて振り出した手形が当該会社振出の手形と認められた事例

【判決要旨】      商業登記簿上の名称が「みつわ林業株式会社」である会社が営業上「三ツ輪林業株式会社」の名称を用いるのを常とし、手形取引においてもその名称を用いていた場合、右名称を用いて振り出した手形は、右会社振出の手形として有効である。

【参照条文】      手形法

             商法16

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集18巻4号543頁

 

 

手形法

第一章 為替手形ノ振出及方式

第一条 為替手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ

一 証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル為替手形ナルコトヲ示ス文字

二 一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル委託

三 支払ヲ為スベキ者(支払人)ノ名称

四 満期ノ表示

五 支払ヲ為スベキ地ノ表示

六 支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称

七 手形ヲ振出ス日及地ノ表示

八 手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名

 

 

商法

(他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止)

第十二条 何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。

2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 

第9章 意思表示に関する見直し

第1節 要約

意思表示とは、一定の法律効果の発生を欲する旨の意思の表明

⇒当事者の意思表示の合致によって契約は成立する。

売買契約の申込み・承諾(Ex.「20万円でパソコンを買う・売る」)

意思表示に問題があるケース

民法は5つのケースを列挙して規定している

内 容 事 例 改正の有無

心裡留保

(§93)

わざと、真意と異なる意思を表明した場合

退職をする意思はなかったが、反省の意を強調する趣旨で、退職届を提出した

○(第三者保護規定の新設等)

通謀虚偽表示

(§94)

相手方と示しあわせて真意と異なる意思を表明した場合

財産を債権者から隠すために、土地について架空の売買契約をする

なし

錯誤(§95)

間違って真意と異なる意思を表明した場合

売買代金として¥10000000(1000万円)と記載すべきところ¥1000000(100万

円)と記載した契約書を作成してしまった

(売主に錯誤)

◎(次頁以降参照) 真意どおりに意思を表明しているが、その真意が何らかの誤解に基づいていた場合(動機の錯誤)

土地の譲渡に伴って自らが納税義務を負うのに、相手方が納税義務を負うと誤

解し、土地を譲渡した(売主に錯誤)

詐欺(§96)

だまされて、意思を表明した場合 だまされて、二束三文の壺を高値で買わされた

○(第三者保護の要件の見直し等)

強迫(§96) 強迫されて、意思を表明した場合 強迫されて、不必要な土地を買わされた

なし

 

第2節 錯誤に関する見直し(要件の明確化)①

錯誤に関する見直し(要件の明確化)①

改正法の内容

① 意思表示が錯誤に基づくものであること(判例①の要件に対応)

② 錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであること(判例②の要件に対応)

③ 動機の錯誤については、動機である事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていること(判例③の要件に対応)

※ 例えば、離婚に伴う財産分与として土地等を譲渡する場合において、分与をする者の側に課税されないことがその財産分与の前提とされていることが表示されているようなときに、認められる(最判平成元年9月14日)

問題の所在

旧法95条は 「法律行為の要素」に錯誤があることが必要であると規定。

判例はこの要件について、次のように判断。

① 表意者が錯誤がなければその意思表示をしなかったであろうと認められることが必要(主観的因果性)

② 通常人であっても錯誤がなければその意思表示をしなかったであろうと認められることが必要(客観的重要性)

③ ⅰ)間違って真意と異なる意思を表明した場合(表示の錯誤)とⅱ)真意どおりに意思を表明しているが、その真意が何らかの誤解に基づいていた場合(動機の錯誤)とを区別し、動機の錯誤については、上記①、②の要件に加えて、その動機が意思表示の内容として表示されていることが必要。

⇒旧法95条の文言と判例の考えは必ずしも一致しない。意思表示の効力を否定する要件を明確化することが必要ではないか。

(改正法)

第95条

1 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。

一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤

二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤

2 前項第2号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

3、4(略)

 

(旧法条文)

第95条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

 

第3節 錯誤に関する見直し(効果を「取消し」に変更)②

錯誤に関する見直し(効果を「取消し」に変更)②

(旧法)

旧法95条は、錯誤による意思表示は無効としている。 行使権者 期間制限

無効 制限なし なし

取消し 誤解した者

(相手方は不可)

5年

改正法の内容

改正法は、錯誤の効果を「無効」から「取消し」に改める。

(旧法条文)

(取消権者)

第120条

1 (略)

2 詐欺または強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者またはその代理人もしくは承継人に限り、取り消すことができる。

(取消権の期間の制限)

第126条 取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、 時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

 

〈無効と取消しについての一般的理解〉

問題の所在

ⅰ)判例は、錯誤を理由とする意思表示の無効は、誤解をしていた表意者のみが主張でき、相手方は主張できないと判示

⇒通常の無効とは異なる扱い

(例えば、売買契約において買主に錯誤があるケースでは、買主は無効を主張できるが、売主は無効を主張できない。)

ⅱ)詐欺があった場合は、意思表示の効力を否定することができるのは5年間

⇒錯誤があった場合に期間制限を設けないのは、バランスを欠く

(例えば、売買契約において詐欺があったケースでは、5年間しかその売買契約の効力を否定できないが、錯誤があったケースでは、 5年を経過した後も、売買規約の効力を否定できる。)民法の一般的理解では、

➀無効は誰でも主張することができ、

①    無効を主張することができる期間に制限はない。

 

所有権保存登記抹消登記手続請求訴訟において勝訴の確定判決を得た原告が被告の口頭弁論終結後の承継人に対し真正な登記名義の回復のための所有権移転登記手続を求める訴と訴の利益

 

 

              建物所有権移転登記抹消登記手続請求本訴、建物明渡請求反訴事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和53年(オ)第528号

【判決日付】      昭和54年1月30日

【判示事項】      所有権保存登記抹消登記手続請求訴訟において勝訴の確定判決を得た原告が被告の口頭弁論終結後の承継人に対し真正な登記名義の回復のための所有権移転登記手続を求める訴と訴の利益

【判決要旨】      所有権保存登記抹消登記手続請求訴訟において勝訴の確定判決を得た原告が被告の口頭弁論終結後の承継人に対し真正な登記名義の回復のための所有権移転登記手続を求める訴は、右確定判決の存在によつて訴の利益を欠くものではない。

【参照条文】      民事訴訟法201

             民事訴訟法2編1章

             民事訴訟法519

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事126号43頁

             判例タイムズ396号79頁

             金融・商事判例566号46頁

             判例時報918号67頁

 

 

平成八年法律第百九号

民事訴訟法

(判決書)

第二百五十三条 判決書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 主文

二 事実

三 理由

四 口頭弁論の終結の日

五 当事者及び法定代理人

六 裁判所

2 事実の記載においては、請求を明らかにし、かつ、主文が正当であることを示すのに必要な主張を摘示しなければならない。

 

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人植松繁一の上告理由第一点について

 原審の適法に確定したところによると、(一)被上告人は、本件建物を新築してその所有権を取得し、訴外炭本かずとの合意により同女の名義を借用して所有権保存登記を経由していたが、その後炭本に対し本件建物につき被上告人が所有権を有することの確認及び右所有権保存登記の抹消登記手続を求める訴訟(以下「前訴」という。)を提起し、昭和四四年四月六日被上告人勝訴の確定判決を得た、(二)上告人は、前訴の口頭弁論終結後である昭和四五年八月二六日炭本から本件建物を買い受け、同年九月一八日所有権移転登記を経由したが、右買受け当時炭本が無権利者であることにつき善意であったものということはできない、というのである。そうすると、上告人は民訴法二〇一条一項所定の口頭弁論終結後の承継人にあたり、これに前訴の判決の効力が及ぶものであることは明らかであり、所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。そして、被上告人において前訴の判決につき上告人に対する承継執行文の付与を受けて登記申請手続をしたとしても、本件建物につき上告人の経由した所有権移転登記及び炭本の経由した所有権保存登記が抹消されるにとどまり、登記簿上直接被上告人の所有名義が実現されるものではないのであるから、上告人に対して真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求する被上告人の本訴は、前訴の判決の存在によって当然に訴えの利益を欠くこととなるものではない、と解するのが相当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 同第二点及び第三点について

 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、独自の見解に基づき原判決を論難するか、又は原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

北九州市交通局事件・地方公営企業労働関係法一一条一項と憲法二八条

 

 

不当労働行為救済命令取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和56年(行ツ)第37号

【判決日付】      昭和63年12月8日

【判示事項】      地方公営企業労働関係法一一条一項と憲法二八条

【判決要旨】      地方公営企業労働関係法一一条一項は、憲法二八条に違反しない。

【参照条文】      地方公営企業労働関係法11-1

             憲法28

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集42巻10号739頁

 

 

地方公営企業等の労働関係に関する法律

(争議行為の禁止)

第十一条 職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおつてはならない。

2 地方公営企業等は、作業所閉鎖をしてはならない。

 

 

憲法

第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 

被害者本人が幼児である場合と民法722条2項にいう被害者の範囲

 

 

慰藉料請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和40年(オ)第1056号

【判決日付】      昭和42年6月27日

【判示事項】      被害者本人が幼児である場合と民法722条2項にいう被害者の範囲

【判決要旨】      被害者本人が幼児である場合における民法第722条第2項にいう被害者の過失には、被害者側の過失をも包含するが、右にいわゆる被害者側の過失とは、被害者本人である幼児と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられる関係にある者の過失をいうものと解するのが相当である。

【参照条文】      民法722-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集21巻6号1507頁

 

 

民法

(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)

第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。

2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人池田正映の上告理由について。

 民法七二二条二項に定める被害者の過失とは単に被害者本人の過失のみでなく、ひろく被害者側の過失をも包含する趣旨と解すべきではあるが、本件のように被害者本人が幼児である場合において、右にいう被害者側の過失とは、例えば被害者に対する監督者である父母ないしはその被用者である家事使用人などのように、被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいうものと解するを相当とし、所論のように両親より幼児の監護を委託された者の被用者のような被害者と一体をなすとみられない者の過失はこれに含まれないものと解すべきである。けだし、同条項が損害賠償の額を定めるにあたつて被害者の過失を斟酌することができる旨を定めたのは、発生した損害を加害者と被害者との間において公平に分担させるという公平の理念に基づくものである以上、被害者と一体をなすとみられない者の過失を斟酌することは、第三者の過失によつて生じた損害を被害者の負担に帰せしめ、加害者の負担を免ずることとなり、却つて公平の理念に反する結果となるからである。

 原審の確定した事実によれば、城東保育園保母Aの被害者Bを監護するについての過失が本件事故発生の一因となつているのであるが、Bの通園する右保育園と被上告人らを含む園児の保護者との間には、園児の登園帰宅の際には一定の区間は保育園側において監護の責任を受けもつ旨の取極めがされていたとはいえ、右Aは、Bの両親である被上告人らより直接に委託を受け被上告人らの被用者としてBの監護をしていたのではなく、城東保育園の被用者として本件事故当日Bその他の園児を引率監護していたに過ぎないというのであるから、右の事実関係に基づけば、Aは、被害者Bと一体をなすとみられるような関係を有する者と解することはできず、右Aの過失をもつて民法七二二条二項に定める被害者の過失にあたるとすることはできない。従つて、これと同旨の原審の判断は正当であり、論旨は理由がない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文とおり判決する。

     最高裁判所第三小法廷