広報力向上ブログ -8ページ目

広報に対する無理解

―――「弁護士から言うなと言われているのでコメントできない。」
―――「その件についてはお答えしかねる。」

これは、ある大手企業が行った記者会見で繰り返された発言です。これによって、複数の記者が疑問と非難の声を上げ、会見が紛糾したという話を聞きました。発言をそのまま記事に引用したメディアもありました。

「弁護士から言うなと言われている」と説明されて、「わかりました。それならやむを得ないですね」と記者が引き下がるとでも思ったのでしょうか。「お答えしかねる」理由が判然としなければ、判然とするまで記者は繰り返し質問するはずです。何度もそうした説明の場に臨んでいるはずの経営幹部にしては、あまりにもお粗末な対応でした。

記者会見は社会的な関心が高いと判断した場合や企業姿勢を示す必要がある場合に開かれます。この会社の場合、通常の四半期決算に加え、財務体質の改善に向けた資金調達がこの日の発表のテーマでした。つまり、何か不祥事を起こしたために開いた謝罪会見で、「答えに窮して、つい口が滑った」わけでもなかったのです。

無論、謝罪会見だったらこうした許される発言というわけではありませんが、いわば通常の経営戦略の説明の場だけに余計、説明者の真意が測りかねます。広報をはじめとした事務方が想定問答を用意し、事前レクチャーを通じて、予想される鋭い質問への対処法も共有できていたはずですが、なぜこうした受け答えをしてしまったのでしょうか。

考えられるのは「広報に対する説明者の無理解」です。広報活動を経営戦略の一環として、重視する企業が増える一方で、「広報活動に対する理解や認知が社内で不足している」という話は今でも聞こえてきます。今回のケースも「本当ならこんな煩わしいことはしたくないが、広報が言うから仕方なくやっている」と常々感じていた説明者の不遜な態度が発言に出てしまったのではないでしょうか。

この会社はベテラン広報パーソンが複数おり、しっかりとした広報対応を行う会社です。それだけに会見後に必死にフォローしたことは想像に難くないですが、副社長の発言とは残念ながら重みが違いますし、発言を取り消すこともできません。

この話を聞いて、広報対応が優れている会社にも落とし穴があると感じました。その一つが、今回のように社内の広報に対する理解のない人に、どう理解してもらうかということです。説明者の一言によって会社の信用が毀損することのないよう、管理職や幹部研修の場で広報の重要性やマスコミ対応の勘所を定期的に説明したり、模擬記者会見を各拠点で行ったり、広報に対する社内の理解を高める方策はいくつもあります。「広報に対する無理解な人たち」のことを嘆く前にできることを考えたいものです。


橋本拓志

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手法論より目的や狙いの明確化を!

最近、SNSの充実、浸透により、新たな発信手法が増えたことは広報関連部門に携わる方々からすると喜ばしいことと言えます。(怖い部分でもありますが...)

twitterやFacebookでの成功事例などを目にすると、「うちもやりたい」と思うのはごく自然な流れだろうと思います。

ある意味当然なのでしょうが、最近、twitterありき、Facebookありきの話が多いこと多いこと。twitterやFacebookなどでの成功事例を目にしたのでしょうが、twitterやFacebookを使えば成功するという訳では当然ありません。

しかしまずツールありき、手法ありきという風潮を感じざるを得ません。

まずそもそもの発信の目的はなんだったのか。具体的に何を狙っているのか。そしてどの様な伝達や掲載がされることが良いのかなどを改めて明確にする必要があると思います。

そうすると今回は、SNSではないよね?ということも多々あろうかと思います。

またonlineメディアでもこれらSNSを活用しているところは少なくありません。自社で発信せずにこれらを活用するという手も当然あるでしょう。

まずは根っこの部分、幹の部分をじっくり考え、その上でどう発信していくかという中にSNSというツールがあるということを念頭におく必要があると日々感じる今日この頃です。

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謝罪会見の表情

4人もの誤認逮捕者を出した遠隔操作ウィルス事件で、威力業務妨害やハイジャック防止法違反などの罪に問われていたIT関連会社元社員K氏がようやく逮捕。

否認を続けていたものの、1,000万円の大枚を払って保釈されたものの、別に真犯人がいると見せかけるために自作自演でメールを作成し、タイマーをかけたスマホを河原に埋めたことが決定打となり事実を認めざるを得なかったという長期間、大騒ぎした割にはお粗末な結末。

逮捕され移送車に乗り込むシーンをテレビで見ましたが、面白い?ナレーションが気になりました。

「逮捕されたK被告です。なんだか笑顔を見せているようにも見えます...」

散々逃げ切ろうと長期間戦ってきたものの、最後は自爆し悔しい気持ちと、諦めてからの反省も多少あったものと推測しますが、決して「笑顔」になる気持ちは想像できません。

しかし私も画面で確認したら確かに少し笑っているように見えましたが、段々と移送車前で待ち構えていたカメラに近づき判明したのですが、表情は変えていなかったものの近くで見れば反省している、神妙な面持ちでした。

つまり、そもそもが「笑顔」に見えやすい顔だったということです。

この様な方はごく偶にではありますが、お見かけします。

例えば謝罪会見などの場合、どのタイミングで、どこで、誰が、どこまで、どのように話をするかということは当然重要な事項となりますが、表情という情報も非常に重要な情報となります。

口では綺麗なことばで飾れますが、表情は本当に反省しているのか、どれほど重要視しているのか、反省をしているかという裏付けとなります。

そのためベースが笑顔の人はそのこともよく頭に入れた上で会見に臨む必要があります。

自分では反省している気持ちを表現できたつもりであっても、相手にどう伝わるかは別問題であり、そういう点でも日ごろから自身の顔がどうとられるのかという視点で検証してみるのも必要かと思いました。

私は平穏無事な際、「怒ってますか?」「体調悪いのですか?」と聞かれたことが何度かありましたが何か?

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