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強みに関する自他での認識差

今ではもう少ないでしょうが、以前の日本の旅館等でのご馳走は、海なき県の山奥であっても豪華な刺身の舟盛りが出されるなど、自身の強み(特長)を無視したモノが散見されました。

地のモノや昔ながら食されている食べ物、そこでしか食べられないものであっても、普段から自分らで食していることもあり、ご馳走ではないと判断していたのでしょう。だから旅館といえば、日本全国どこに行っても似たようなものしか食べられなかった時代がありました。

今ではそこでしか食べられないもの、普段から食べている身近な食べ物(B級グルメ)をその地域のウリ(強み)として堂々と打ち出すようになってきました。これは景気の長期低迷、国内旅行者の減少などで差別化を図ることが余儀なくされた結果なのでしょうか。このお蔭で旅行に出かけた産地の地の食材や文化に触れることとなったわけです。

では、なぜそれまで山奥の旅館で、「舟盛り」が出されていたのでしょうか?
要因を勝手ながらに推測すると...。

1.自身(旅館)の魅力を、自身の尺度でしか判断できていなかった
2.自身の強み、特徴に対して自信を持っていなかった
3.「おもてなし」をしっかりとやっていれば、お客様は解ってくれるはずという認識

これらは旅館のみならず、企業や学校などの団体にだって十分に言えることだろうと思います。昔は家長である親父が背中で語っていれば家族に伝わったことが、今では相手の身になって、かつ言葉で言っていかなければ伝わらない時代です。

広報やPRが注目されているのは良い傾向だと思いますが、後は何を訴求していくのか。
大事なのは自信をもつことと、難しいですが相手の立場で価値検証をすることだろうと思います。価値観の認識差があれば埋めていく努力が必要なのでしょう。


さて皆さんは、外国人旅行者に日本のどこに行くことを薦めますか?
これは情報戦の結果という側面もあるかと思いますが、実際の外国人が選らんだ日本の観光スポット下記のようです。
(出典:世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」外国人に人気の日本観光スポット2014

①伏見稲荷神社 京都府京都市
②広島平和記念資料館(原爆ドーム 広島平和記念公園)広島県広島市
③厳島神社 広島県廿日市市
④金閣寺 京都府京都市
⑤東大寺 奈良県奈良市
⑥高野山奥ノ院 和歌山県高野町
⑦清水寺 京都府京都市
⑧新宿御苑 東京都新宿区
⑨箱根彫刻の森美術館 神奈川県箱根町
⑩新勝寺(成田山) 千葉県成田市
⑪沖縄美ら海水族館 沖縄県本部町
⑫松本城 長野県松本市
⑬三十三間堂 京都府京都市
⑭嵐山モンキーパークいわたやま 京都府京都市
⑮兼六園 石川県金沢市
⑯ロボットレストラン 東京都新宿区
⑰二条城 京都府京都市
⑱長崎原爆資料館 長崎県長崎市
⑲森美術館 東京都港区
⑳明治神宮 東京都渋谷区

個人的には知らないところもあったことも含めて、随分と認識のズレがありましたが、実際に外国人旅行者が評価していることは事実だろうと思います。
まだまだ自身らで気づいていない魅力があるということも事実だろうと思います。

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世間体って悪い意味?

「世間体」という言葉があります。

日ごろから使われる言葉であり、意味も良く知られている言葉のひとつだろうと思います。

世間体を気にする、世間体をつくろう、世間体が悪いなどと余り良い意味ではないこともあり、個人的にはどちらかと言えば”嫌いな言葉”のひとつでした。

しかし先日ふと、世間体を気にすることはそんなに悪いことか?という疑問を抱きました。

何故ならば、良い面を考えると世間体を気にしている人は、

・常に視点が自分自身の中だけではなく、外にも向けられている
・周囲の中での自身の位置づけなどを意識している
・外から見た自分を客観視?している  からです。


逆に
・自分自身のこと、自社のことしか考えていない人
・自分以外に尺度を持たずに自身の価値検証ができていない人

も多いことを考えると、世間体を気にする人の良さもあるなと思ったわけです。

しかし価値検証や世間の中での位置づけを把握した後に、

・見栄を張る
・表面だけとりつくろう(偽る)  ことには当然、抵抗があります。

良く見せる、表面だけとりつくろうことは、インパクトがあるのかも知れませんが、信用を得られるものではなく、またとりつくろっていることが表面化した際には一気に価値を下げてしまうというリスクを含みます。

人や周囲と比較した際、悪い面だけをみるから自身を良く見せようと思うのではないでしょうか?良い部分も必ず評価することと、悪い部分でも少しでも評価できる点、切り口を探すことが需要だろうと思います。

つまりは、常に前向きであること。そうすればつくろうこともないばかりか、その姿勢自体も評価対象になっていくのではないかと思います。
それとどんな現状であっても自信をもてる切り口を探すことも重要なことかと思います。

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想定問答を作るにあたっての心得

マスコミに対して発表を行う時に欠かせないものとして想定問答があります。このため、プレスリリースの作成に合わせて、準備され、対外説明にあたるメンバー間で共有されます。説明者によって回答内容に齟齬が生じないようにするための虎の巻とも言えるものです。

質問は広報担当者が作成するのが一般的です。マスコミから必ず聞かれる勘所は発表内容によって当然異なりますが、例えば新製品であれば「価格」や「販売目標」、機械やプラントの受注であればその「金額」、不祥事であればその「原因」や「責任の所在」が挙げられます。

前回のレポート(2014年5月30日付「広報に対する無理解」)で資金調達に関する記者会見に臨んだ経営幹部が記者からの質問に「弁護士から言うなと言われているのでコメントできない」と答え、会見が紛糾した話を書きました。そのうえで、説明者である経営幹部の広報に対する理解のなさがその要因ではないかと指摘しました。その後、その会社の別の関係者と話す機会があり、少し見方を変えました。

説明者は事務方が作った筋書に基づき、“振付”通りに振る舞うことが会見では少なくありません。重要であればあるほど、事前のシミュレーションも繰り返されていたはずで、想定問答にも「コメントできない」と書かれていた可能性が高いと言えます。仮にそうだとしたら、事情は違います。なぜなら、広報担当者が「弁護士から止められている」と答えることを容認していたことになるからです。あるいは、広報担当者が法務部門などの意向に押し切られてしまったのかもしれません。

記者からの質問に対する説明の仕方には3種類あると言われます。それは、「積極的に説明する」、「消極的に説明する」、そして「(現時点では)説明しない(できない)」です。「積極的に説明する」内容は本来リリースに書いておくのが原則ですが、あえて文字には残しておきたくない場合もあるので、その場合は質問されなくても説明の際に一言触れておく必要があります。「消極的に説明すること」は報道されることで与える影響に鑑みて、できれば答えたくないが、聞かれたらやむを得ず答えるような質問です。

「説明しない」場合、「相手との守秘義務契約がある」とか「原因を調査中」といった理由を示さずに「ノーコメント」と突っぱねるのは、避けなければなりません。説明しない理由を明らかにすることが求められますが、その理由は記者の「一定の理解」が得られるようなものでなければなりません。

その意味で、「弁護士から止められている」という回答を奇異に感じるのは記者であれば当然であり、理解を得られるはずもありません。仮に想定問答にそのように書かれていたとすれば、事前に再考の余地があったはずです。通常、想定問答の質問は広報担当者が起案し、回答は関連部署で作成されます。今回のようなケースでは法務部門も関係していたと思いますが、広報担当者は躊躇することなく疑問を呈すべきでした。

広報担当者にとって想定問答は、質問を作って終わりではありません。出来上がった回答が招くマスコミの反応まで見据える必要があります。想定問答の作成には、あらゆる角度からの質問を「予測力」も大事ですが、それ以上に社内の異なる立場の意見をまとめる「調整力」、「交渉力」、そして無用な誤解を避けるための「(回答の)表現力」が欠かせないことを今回の事例が示しています。

橋本拓志
広報コンサルタント Twitter ID:@yhkHashimoto
https://twitter.com/yhkHashimoto

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