広報力向上ブログ -31ページ目

ポジションペーパーとは何か

私は以前から「ポジションペーパー」という言葉に、誤用というか誤解を含んでいるように感じています。なぜなら、この言葉には二重の意味があるからです。広報に関する指南本に目を通すと、ポジションペーパーとは「共有された情報を整理し、新たな情報が入るたびに、更新して、資料としてまとめたもの」(「広報・PR実務」 日本PR協会編)とあります。


また、別の本には「各部署から集まる情報を“情報マスター”に集中させ、全体の流れを文章にして整理し、真偽の評価まで加えた文書」(「企業不祥事・危機対応 広報完全マニュアル」 山見博康著)とあり、いずれも「内部文書」だということがわかります。


ところが、昔からある広報担当者必携の本には、「事の経緯や事実関係を第三者にわかるようにまとめた説明文書」とあり、いわゆる「統一見解・公式見解」だと解説されています。また、英和辞典を調べるとposition paperの訳として「(企業などの特定の問題に関する)方針説明書」とあり、明らかに「外向けの文書」、つまり公式見解に近いニュアンスを含んでいます。


今年1月に東シナ海で中国海軍の艦艇から海上自衛隊護衛艦がレーダー照射された事件がありました。この際に外務省は「尖閣諸島をめぐる日中関係 中国による火器管制レーダーの照射を受けて」と題した「ポジションペーパー」を2月7日に発表していますが、これはまさに日本政府の立場を示した公式見解と言えるでしょう。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/position_paper3_jp.html


昨年、広報活動の重要性や危機発生時に幹部社員として知っておくべき心得をまとめた、とある会社の「広報ハンドブック」の執筆・編集に関わりましたが、ここではポジションペーパーを社内文書として扱っています。つまり、「重大な事故などが発生した際の事実関係や経過をまとめた資料」で、「ニュースリリースはポジションペーパーに基づいて作成される」ものだと書かれています。


この冊子には、実際にこの会社が使っているポジションペーパーも掲載していますが、これを見て私は思わず、「これは『事故・事件発生速報』だな」と思いました。つまり、この会社では便宜上、ポジションペーパーと称していますが、自分が広報担当者だった頃に見かけた「事故・事件発生速報」とよく似ていたわけです。


リスク発生時には「速やかにポジションペーパーの作成を」と書かれたものを見かけますが、私の感覚からすると、それは「事故・事件発生速報」だと思っています。私の会社が使っていたものは、全社統一の書式となっており、発生現場のしかるべき社員が作成する決まりとなっています。


言うまでもありませんが、“速報”ですから時間との勝負です。重要度に応じて、経営トップはもちろん、広報にも回覧される仕組みになっています。対外発表を行う場合は、この速報をベースにヒアリングを行い、「ニュースリリース」や「想定問答」を作成することとなります。


別の視点であえて付け加えると、企業に降りかかった不祥事や事故といった緊急時に、内部向けの文書であれ、外部向けの文書であれ、それをわざわざポジションペーパー(公式見解、統一見解)と表現するのは少々おこがましさを感じますし、誤解されやすいように思います。


本来の意味に照らせば、前述した外務省のそれのように、利害や主張が対立する相手に、(あるいはそうした相手がいない場合でも、)自分たちの立場や考えを明らかにするという目的でのみ使われるべきではないでしょうか。そのような意図がなければ、内部向けの文書は「(事故・事件)発生速報」、対外向けの文書は「ニュースリリース(あるいはプレスリリース)」と呼ぶべきではないかと私は考えます。

橋本拓志
広報コンサルタント
Twitter ID:@yhkHashimoto https://twitter.com/yhkHashimoto


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リリースのレターヘッド

プレスリリースは報道向けの資料であり、制作物ではありません。あくまでも重要なのは内容であることは言うまでもないでしょう。

しかし単なる白いA4用紙だと他の有象無象のリリースの中に埋没してしまうことは確かだろうと言えます。また年に何本も送るリリースはそれだけでメッセージにもなり得る、意味を持ってしまうとも言えます。

その際、企業ロゴが白黒ではなくコーポレートカラーで表示されていれば、受け手の印象は違うでしょうし、刷り込み効果もあるでしょう。


きっちりとしたレターヘッドを使用することで、広報に力を入れている、しっかりとした広報体制を構築しているという印象も与えることもできます。


ただ注意しなければならないこともあります。


冒頭に申し上げた通り、リリースで大事なのはその内容です。リリースの内容には、新商品や新サービスのみならずあらゆる切り口の内容を書くため、どの様な内容にも適したデザインにする必要があります。


またデザインリッチで内容が負けてしまっているものも散見され、あくまでもリリース内容を前面に出し得る体裁が望ましいでしょう。加えて余りデザインの主張が強すぎると、売り込み色が強く、販促の片棒を担ぎたくないという思いの強い多くの記者から敬遠されるでしょう。


それとリリース本編はA4✕1枚がベストとされています。その限られたスペースの多くをレターヘッドのデザインに占領されているものもあります。デザインを優先すると本来伝えたいこと、書きたいことが書けなくなる懸念もありますので、あくまでもリリースの本質をはき違えないようにしたいものです。


一度自社のリリースを見直してみては如何でしょうか?



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広報マン自身の広報を

広報業務はなかなか正確には理解されていない仕事のひとつだろうと思います。


広報は経営の一環とよく言われますが、そう念頭にあるのは残念ながら広報部門だけなのかも知れません。


とは言え、広報マンだからといって広報を熟知しているとは限りません。もちろん目先の業務、自身の担当の商品や会社で如何に報道を得られるかについては十分に熟考されているでしょうから問題はないと思います。


今日申し上げたいのは、広報担当者自身の広報という点です。


これまで記者の方々に聞くところによると、書きようもないリリースを持ち込まれ、特にリリース以外の情報が出てこない上に、書いてくれるまで帰りませんなどとごねる広報マンがおられるようです。


また如何にも重要な話をすると見せかけて会見などに呼びつけておいて、実際には肝心なことはノーコメントなどと話さないというケースは散見されます。


これらの行為は、報道される否かなどではなく、広報マンの信用を逸する行為であり、間違いなく評価を落とし、かつ今後の活動にもマイナスの影響を及ぼすことは明白だろうと言えます。


目先の露出確保は重要な課題であることは間違いありませんが、企業広報が企業価値を上げるために尽くすように、広報担当者も自身の価値向上、信用を得ること、メディアと永い付き合いが出来うる関係構築を意識した行動が必要だろうと思います。


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