社長と喧嘩せよ
「君はサラリーマンだろう、俺の指示に従え!」「いや、それはできません」。これは企業の広報担当者であった頃の私と社長との会話である。多少極端かもしれないが、これを単に無謀な会話と思うか、広報担当にはそう言う時もあると思うかで、広報業務に対する“想い”が解る。ではサラリーマンである広報担当者が社長とぶつからなければならないケースとはどういう時か。
本来広報は経営の一端であり、経営トップと立場的に対立するものではない。しかし広報的視点が常に経営判断の中で優先される訳ではないのも確かであり、時に経営陣と観点が分かれる場合がある。経営者も色々で、営業畑や技術畑出身者で特徴がある様に、広報畑出身者が経営トップに数多くなれば状況も変わってくるとは思うのだが…。
経営トップと意見が対立するケースで特に多いのは、有事の際の広報対応ではないだろうか。双方とも会社を守りたいと言う想いは同じだろうが、守るために「情報を出し渋る」「情報を開示する」という意見で割れるのではないだろうか。また同じ情報を出すにしても、タイミングや出し方によっても結果が大きく変わってしまうのも広報の怖さである。それを実務感として理解しているのは、社内の中でも広報担当者でしかない。加えて有事の際に社長にアドバイスができるのは、広報担当でしかないというのも確かである。
一般的に経営トップに異を唱えるのはタブーとされるだろう。しかしマイナス情報の素早い対応、マイナスイメージの社長への直言など、社会とのパイプ役である広報担当者は時として社長にNOと言える、言い難いことを言える存在でなければならない。
広報75箇条 NOと言うことも広報の仕事と認識せよ
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IPO企業にこそ必要な広報活動
東京証券取引所は、今後新たにマザーズに上場する企業のうち、上場時に比べ9割以上値下がりした状態が9カ月程度続いた企業を上場廃止にする方針を打ち出し、本年11月にも施行するようだ。これまでは時価総額が著しく下がった場合には、増資を行うことで時価総額の底上げを行っていたが、株価自体を評価対象とすることで、この手法も使えなくなる。今後上場を検討している企業は、どういう点に気を使うべきなのか。
新規に上場した場合、上場直後はそれなりに株価や出来高も上がるが、その殆どが直ぐに下がってしまう傾向がある。しかしこれは一般的な傾向であり、特に問題視することではない。問題なのは、その後再び株価や出来高が上がるか否かである。最近では売り出し時に値がつかない、或いは上場直後も上がらずに下がるパターンもある。では何が悪いのだろう。
悪いパターンの殆どが、適時開示情報以外に情報開示していないということだ。自社の新商品や新サービスに関するリリース配布や、個別取材などを積極的に展開していく必要がある。上場したからと言って知名度が上がる訳ではない。知名度をより上げていくための環境が整っただけと理解すべきであろう。
またIPO企業で注意したい点は、上場後の積極的な広報活動だけではない。上場申請前の広報活動である。目論見書を提出したあとは、規制のため広報活動ができなくなる。そのため上場申請する前に如何に広報活動を行い、“あの企業が上場するのか”と思わせることが大変重要である。“こんな会社が上場するんだ”と言うのとは大違いである。また非上場企業の方が、情報開示に対する規制も少ないため、積極的に広報活動を展開できるのではないだろうか。
広報74箇条 広報活動は上場申請前が勝負と認識せよ
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逃げちゃダメ
有事の際に備えたいとは広報担当者なら誰しも思うこと。しかし幸か不幸か有事はそう起こることではないため実務を勉強する機会が少ない。だが身近に勉強になる生きた事例が転がっているので、幾らでも勉強することができる。それはテレビでの記者会見の報道である。最近ではYou Tubeなどの動画サイトでも“不祥事”や“謝罪会見”などと検索すれば多少タレントの案件が多いのは否めないが、容易にたどり着ける。ではどういう点を見れば良いのだろうか。
細かい点を挙げれば内容や服装など色々とあるが、TVで一番見るべき点はズバリ“姿勢”である。しっかりと説明しようとしているか、謝罪の気持ちを伝えようとしているかである。もっと言えば真実を話しているように伝わっているかということが大事である。新聞や雑誌と違い、TVでの報道は詳細情報までは伝わらない。“説明している姿勢”が最大で唯一の情報と考えた方が無難である。
失敗事例の多くは、最初の会見で胡散臭さを感じる。逃げる、嘘をつく、情報を出し渋っていると必ず記者は間違いなく逆の動きをとる。逃げれば追っかけてくる、嘘っぽい、情報が少ないと追及してくるのだ。説明するに適切な情報量は当然準備しておく必要がある。
併せて時系列で新聞記事やインターネットでのニュース記事を追いかけてみるとより解る。第一報はどの様な形で報じられたのか、社長はどの時点で登場しているのか、論調の変化はどうか、何度会見したのか、そしてそれぞれでのポイントはなにかなど。
これらは何も難しいことではなく誰しも解ること。ただ時間を作るか否かだけの問題である。意識して見なければ身に付かない。今から有事の際に向けてのイメトレを始めては如何だろうか。
広報73箇条 “姿勢”も大事な情報と認識せよ
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