広報活動の前提は、継続すること
良い商品をアピールしたい、業績の良さをアピールしたいとは誰しも思うこと。これらを広報という手法でメディアに取り上げてもらえれば効果が大きいことは周知の事実です。
では、業績の悪い時、企業として余り触れて欲しくない時はどうでしょうか。
答えは”広報活動は継続しなければならない”です。もちろん、発信する情報などは減るでしょうが、メディアからの問い合わせなどには、これまでと同様の対応をしなければなりません。
調子の良い時だけ、良い情報がある時だけ広報活動を行うということは、記者からしてみれば”企業の宣伝活動の片棒を担ぐ”という記者が最も嫌うことを強要されることになります。また調子が悪くなった際に、急に問合せしてもレスポンスが悪くなった、情報発信をしなくなったとなれば、記者のからの信用を一気に失うことになります。
以前、一部上場企業のお客様で、好況時に広報活動を行っていたが、業績低迷で広報活動をストップしていた。改めて業績も戻ってきたので、IR広報をお願いしたいという依頼が来ました。活動再開に先立ち、メディアヒアリングを実施しましたが、結果は予想通り散々でした。内容は下記。
・昔は名前をよく聞いたが、最近聞かないね。
・そんな会社ありましたっけ?知りません。
・どうせ都合が悪くなったらどうせ引っ込むんでしょ!
歴史ある上場企業でもこの様に嫌味たっぷりの扱いです。
広報活動は企業活動を行う上で必須のものと思いますが、安易な考えで目先のことだけを考えて取り組むのは決してプラスにはならないとも言えます。企業姿勢に批判的な感情を抱かれていると、ストレートな情報も否定的にとられてしまうことも少なくはありません。
単にアピールしたいから広報を!と考えるのではなく、企業姿勢を理解頂きたいから広報活動を行っていくと考えるべきだと思います。どの企業も業績が悪い時はあります。しかしどうやってその業績を回復しようとしているのかが大事であって、単に業績が悪いことなどは余り重要事項ではないのではないでしょうか。
それよりも”逃げ隠れ”する方が、企業姿勢を問われることであり、リスク要因ではないでしょうか。
ご参考:景気後退時の広報活動
記事クリッピングの重要性
皆さんの会社では、”記事クリッピング”をどの様な位置づけにされていますか?
新人の登竜門、下っ端の仕事、外注任せで自動的にまとめられるものなどさまざまだと思います。
しかしこの様な感覚で仕事を回されている広報部門の”広報力”は残念ながら高くない場合が多いと言えます。
クリッピング作業は広報活動の基本であり、とても重要な仕事です。これをやるか否かではなく、どうやるかによって広報スキルに大きな差が出てきます。これを面倒だから外注、大変だから若手にと考えるのは大きな間違いであると言えます。
クリッピングをする際、単に自社の記事を拾うだけではなく、事前に登録したキーワードでクリッピングされた記事で満足することなく、是非”目視”で行ってみてください。自社や競合の記事のみならず、業界動向や規制などの情報、営業部門がヒントになる情報などが拾える他、新聞自体の傾向や日経本紙と日経産業の違いなどが解ってきます。
また何故この発表案件(リリース等)で、どの様な媒体でどの様に掲載されたのか、なぜこの媒体に掲載されて、この媒体には掲載されなかったのか、なぜこの面でこの様な切り口であったのか、という目を肥やすことは非常に重要となります。広報の仕事で一番大事なことのひとつに、”ニュース性評価”ということが挙げられます。これは勉強して直ぐに身に付くものではなく、日々の積み重ねに他なりません。
単にクリッピングを繰り返しても身に付かず、意識して色んな事を吸収しようとしてクリッピングを行う必要があります。これをするか否かでは、格段に広報力に差がつきます。
現在クリッピング作業の多い若手の方は、是非意識してクリッピングを行って欲しいと思います。ろくに新聞などを読まない先輩方の広報スキルなどは、容易に抜くことが出来るのではないでしょうか。
やるか否か、どの様にやるかは、あなた次第です!
CSR広報の大間違い 人の為は”偽”
CSRを単なる社会貢献活動と捉え、安易な活動やアピールが根付いてきている様に感じる。単にどこかの財団に寄付をしたからと言って、本当に誇れることなのだろうか。安易に人の為に活動してますよ!と謳うことは偽善とまでは言わないまでも、かえって安く見られることが少なくはない。
誰でも出来る活動を行うのではなく、自社だからできること、自社だからこそやらねばならないことを行うことが社会貢献活動と言えるのではないだろうか。そのためには、まず業界内での自社の位置づけ明確にすることのみならず、一般社会からの位置づけを明確にすることが非常に重要なことと言えます。
そして自社の一般社会からの役割、位置づけを明確にしたあと、それらの人にどの様に社会の一員として応えていくかを考え、継続的に取り組んでいくことがCSRではないかと考えます。その際に大事なのは、本業に即した活動を行い、継続的に行うこととと言えます。
CSRの成功例と言えば住友化学。
同社が取り組むのは、WHOが制圧を目指す”結核””エイズ”と並んで三大感染と位置付けられている”マラリア”対策である。蚊によって媒介されるマラリアは、世界で毎年5億人以上の人が感染し、100万人を超える人が亡くなっている。加えて地球温暖化の進行により、状況の深刻化が懸念されている。
その中で化学メーカーでもあり、農薬メーカーでもある同社が開発したのが、防虫剤を練りこんだ糸で編んだ蚊帳である。これまでの蚊帳と違い、洗ったあとにも効果が持続するとのこと。同社は中国やベトナム、タンザニアの複数の地元の向上に糸の素材を供給し、製品を同社が買い上げて政府機関などに納入している。つまり、蚊帳の浸透によりマラリア被害を抑えることに加えて、雇用創出にも寄与していると言える。
また同社は、これらの活動を特にメディアに取り上げられるように注力している訳でもない。淡々と自社の社会的位置づけ、役割を認識して取り組んでいる。また特に無理をしている訳でもなく、本業から出来る役割を見出しているから継続して取り組まれているところが他社と大きな違いではないだろうか。
CSRはこうありたい、と言うべき希少な事例ではないだろうか。
ご参考:住友化学のアフリカ支援