俺があなたを見つけますから。
絶対に見つけてみせますから。
いつかまた会いましょう。




ほんっとごめんなさい。
ファラウェイ 」を読んで、スピンのこちらはまったく期待していなかったの。。
買うのも最初はどうしようかと思ったくらいだもの。
でも、でも、
これは良かったーーーーー!!
正直、泣きました。はい。


私、輪廻転生ものに弱いんです‥‥。
気が遠くなるくらいの長い時間を相手を探してさまよい
出会えるかもわからない、出会ってもまた恋に落ちるとは限らない、
だけどひたすら愛する魂を求めて・・・
っていうのが好きなのよ。
過去輪廻転生もので泣いた作品は・・・

Unit Vanillaの「SASRA1 2EX.【全サ小冊子】
音羽井 廉の「闇に小夜曲(セレナーデ)
ですかねー。

今回は前回出て来たちょいといい加減な悪魔(と言ってもエネルギー体なんですが)が、
人間に本気で恋をしてしまい、悪魔でありながら神に仕える牧師になり、子育てに奮闘するのだ!


英田 サキ著「神さまには誓わない」

神さまには誓わない (リンクスロマンス)/幻冬舎
¥898 Amazon.co.jp
何百万年生きたかわからないほど永い時間を、神や悪魔などと呼ばれながら過ごしてきた、腹黒い悪魔のアシュトレト。アシュトレトは日本の教会で名前の似た牧師・アシュレイと出会い、親交を深める。しかし、彼はアシュトレトが気に入りの男・上総の車に轢かれ、命を落としてしまう。アシュトレトはアシュレイの5歳の一人娘のため、柄にもなく彼のかわりを果たすべく身体の中に入り込むことに。事故を気に病む上総がアシュレイの中身を知らないことをいいことに、アシュトレトは彼を誘惑し、身体の関係に持ち込むが…。




前作の「ファラウェイ 」が萌えなかった一つの要因に
攻めである悪魔が死んだ人に入って受けちゃんと恋に落ちたってところだったのよね。
今回もそれは同じなの。
もともとアシュトレトはアモンが入っている人間ユージンの会社の弁護士ポールに入っていた。
ところが、ちょっとしたことで知り合いになった牧師父娘のことが気に入り、
その牧師が交通事故死したとき、娘を不憫に思い牧師に入り込んじゃうのだ。

ってわけで、それならばなぜこちらの作品は萌えたのー?って感じだけど、
それが全然違うのよーーー!
今回は牧師父娘を気に入っていたアシュトレトが父の事故を目の当たりにした娘のために
とっさにその父の身体に入ったのね。
で、そのあと事故を起こした張本人であるケーキ屋の上総と恋に落ちちゃうのだ。
彼と恋をしたことで、アシュトレトはずっとずっとこの身体に入ったことを悩み続けるんですよ。
前回と違って苦悩と葛藤があるから良かったし、それが胸を打ったというか・・。

一応今回の話は三部作となっています。


「神さまには誓わない」
自由気侭な悪魔であるアシュトレトの日課と言えば、
前作で同じ悪魔仲間であるアモンとくっついた珠樹をからかうこと。
そのアシュトレトがオルガンの綺麗な音色に惹かれて入った教会の牧師アシュレイと仲良くなってしまった。
悪魔といっても教会が苦手とかそういうのはまったくない。
最初は何気なく人の良い牧師と会話を楽しんでいただけだったが、
その娘マリーを見たとき、マリーの愛らしさに思わず微笑ましく思い、
この父娘にとても親しみを感じたのだった。
そしてもう一人、アシュトレトには気になる人物が。
それはケーキ職人である上総。
若いのに職人気質で腕が良い。なんといっても彼の作るケーキはとっても美味しい。
しかし悲劇は突然だった。
上総の運転する車がスリップしてアシュレイを轢いてしまう。
アシュトレトにはもうアシュレイの魂が天に召したのがわかっていた。
でも傍らで泣き叫ぶ娘マリーを見ていてこの子にはまだ父親が必要だ、と
そして上総が罪に問われればあの美味しいケーキが二度と食べられなくなる、
咄嗟にアシュトレトはアシュレイの身体に入ってしまう。
上総は上総で人を死なせてしまったと焦っていたのだが、
アシュレイの中に入ったアシュトレトはむくりと起き上がって、マリーと上総に心配ないと言うのだった。

これをきっかけにアシュレイ(アシュトレトが中に入っているけど)とマリー、そして上総は
急激に親密さを増していくのだ。
あれほどアモンのことをバカじゃないのー!と小馬鹿にしていたアシュトレト自身が
まさか死んだ人間の中に入り(しかも天敵とされている牧師)、
ましてや人間の子供を育てるだなんてアシュトレト自身もビックリ。
しかもアシュレイを事故に巻き込んでしまった上総はあの事故以降、
何かと理由をつけてはアシュレイのもとへを足繁く通ってくる。

ふふふ。上総は美しいアシュレイに惚れてしまったんですねー。
もともとゲ/イだったようでして。。。。
で、牧師とはいえ、中身は悪魔のアシュトレト。
快楽には何の背徳感はない。だもんで、アシュトレトってば上総を誘惑しちゃうのだ。
そんな感じで始まった二人の秘密の関係なもんだから、
アシュトレトはいつも自分の方がアドバンテージを握っていると思っていたんだけど、
気付くとアシュトレトはどっぷり上総にハマってしまっていたのだ。
今まで人間を器として気ままな恋・・といっても身体だけの関係だけど、
そういうのを楽しんでいたアシュトレトにとってはまさに青天の霹靂。
そしてそういう自分を否定したかったのだ。
だから上総に別れを告げ、上総の記憶操作をしてしまう。自分とは一切関わりがなかったと。

でもね、その選択はまさにアシュトレト自身を苦しめるだけだったのよ。
別れて初めて上総の存在の大きさを知り、自分が思っていた以上に上総を愛していたことに気付くの。
だけど、上総の記憶にはもうアシュレイ父娘の存在はない。
それでも、奇跡は起きる。
上総の魂に刻まれたアシュレイ(アシュトレト)を愛した記憶は残っていたのだった。


冒頭は、珠樹をからかうアシュトレトの意地悪さにプププと笑い、
まさかそんなアシュトレトが健気受けになろうとは思わなんだ!∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
しかも何?何?アシュトレトってばマリーに骨抜きになって父親になる決意をしちゃうんだもん!
口リじゃないよね!?www でもそれほどまでにマリーは外見も中身もとっても可愛い女の子なの。
悪魔までメロメロにさせたんだからすごいよね。
だけど、泣くのはこの最初の話ではないの。次の話で号泣してしまいました!


「神さまには祈らない」
すっかり恋人同士となったアシュトレトと上総。
今ではアシュレイ、マリー、上総と三人で暮らしている(表向き上総は下宿人)。
だけどそんな蜜月は長くは続かなかった。
アシュトレトは悪魔、ということは当然天使と呼ばれる天敵もいるわけでして・・・。
ましてや、アシュトレトが善良な牧師の中に入っているなんて天使が知ったら・・・。
その嫌な予感は的中。

力のある絶対的天使ミカエルにアシュトレトの所業は知られるところとなってしまう。
悪魔が人間に入り込み、ましてや神に仕える牧師として生活する。
ミカエルはアシュトレトを排除しようとして・・・・


なんですかねー!読んでいると天使の融通のきかなさにイラッとするわけむかっ
でも、もちろん本当はアシュレイは死んだ人なわけで、
いくら子供や上総を助けるためとはいえ、回りの人間を騙していることにはかわりない。
わかっているよー!でもさーーー!!
別に人間をたぶらかそうとしているわけではない。
そして本当に娘マリーと恋人上総のことを心から愛し、
だからこそ、アシュレイの中にいることを心苦しくも思っているアシュトレトなんだよぅ。
結構さ、、BLに出てくる天使って意地悪じゃね?
それに天使の方がよほど人間に近い感情(同族に対して嫉妬丸出しにしたり、それによっていやがらせをしてみたり~)を持ってて、でも偉そーという。

だけど、ミカエルもただの意地悪じゃなかった。そりゃそーだよね。
アシュトレトにとある試練を与える。
それに見事クリアすることが出来るのか??

アシュトレトが試されていることは読み手も最初はわからないの。
だから読みながら一緒にハラハラしたり・・・。
そして「ええ?こんなんなってこのあとどうするんだよー?」なんて心配してしまったのだ。

どうやってアシュトレトがこの試練を乗り越えるのかは、読んでからのお楽しみ。

でもね、本当の試練ってのはミカエルの与えた作られた試練ではないの。
上総がアシュレイの本性を知ってしまい(中身がアシュトレトという悪魔だということ)、
そして人間と悪魔では生きる時間の長さがまるで違うということが
アシュトレトにとっての本当の試練と言っていい。

全てを知った上総がアシュトレトを愛していく気持ちがわからなくなってしまい、アシュトレトの元を去ってしまうのだ。
な、な、なんでーーー!なんでよぅ、上総ーーー!
と思うのだけど、上総の気持ちもよく理解できる。
そしてここからのアシュトレトの健気さがこれまた泣かせるのだ。
自分の気持ちを何通もの手紙に寄せて、でもそれを出すことはできず。。。

この健気な悪魔はいったい誰なんだい!?

二人の静かで、それでいて強い愛情は、
くっついて別れて、でもやっぱりお互いしかいないと再認識して・・
そうして紆余曲折を経ているからこそ、より強くなっていくんですよね。


アモンと珠樹、そしてアシュトレトと上総はそれぞれ人間と恋をしたのは同じだけど、
この二組は違う道をそれぞれ歩むの。
でも、作中でも言っているようにそれはどちらが正しいというものではなくて、
どちらもありなんですよね。
そしてアシュトレトと上総が選んだ道は最後の話へと続くのだ。


「終わらないお伽噺」
SSだけど、その後のアシュトレトと上総が読めます。
「神さまには祈らない」がちょっと切ない感じで終わったので、
最後のこの話でほっとさせられるんだけど、

それにしてもなんで弟なんだよ

という台詞がすべてを物語っておりますwww



前作があまり好みでなかったという意見がやっぱり多いので、
このスピンも手を出さずにいる人がたくさんいるんじゃないだろうか、と思ってしまった。
私もあるもの、そういう作品が。。。。
シリーズものの1作目で蹴つまずいてしまい、次読む気力が失われてしまった・・・というような。
だけど、そういうのもまたもったいないことだよねーと、
この作品を読んでしみじみ思ったのでした。


H度ドキドキドキドキ
ストーリー度満月満月満月満月半月



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