モラトリアムな日々 -13ページ目

モラトリアムな日々

隙あらば壁に張りつき、酒あらば飲んでしまう。そんな日常です。

八戸に近づくにつれ、トラックが増えてくる。

僕の通うクライミングジムには八戸出身の人がいて、以前一緒に

飲んだときに散々八戸のよさを語られた。それによって僕に植え付

けられた八戸のイメージは、


海の幸の美味い、自然一杯の町


である。まあ、結構田舎っぽい感じの。

しかし、それはとんでもない間違いであった。


メッチャ都会じゃん!!


この旅でこれまでに見た中では、最大の町であった。しかも少し都

会っぽく洗練されている。これまで姿を消していた、マクドナルド、セ

ブンイレブン、その他ファミリーレストランが姿を見せ始めたのだ。

荷物を積んだ自転車で走っていると目立って仕方ない。全く不覚で

あった・・・・・。

とりあえず大きな目安である八戸に着いたので、一休みし今後の進

路を考えることにした。ミニストップでベルギーチョコソフトを食べ、

地図を開いた。

小川原湖に行くには県道8号線に入りたいが、それまでにも数本ゴ

チャゴチャした細い道を通らなければならない。全く都会の道路らし

く複雑に絡み合っている。面倒だなぁ・・・・・。

ブラブラ八戸市外を走っていると、バッティングセンターを見つけた。

それも室内。さすが都会や・・・・・。2回プレイしていく。チャリのおか

げで下半身が安定したのか、もの凄い当たりを連発した。爽快であ

った。



      446



その後景色が良いという種差海岸を見に行く。うみねこラインという

狭くアップダウンの激しい海岸沿いの道路を20分程ほど走ると、展

望台に辿り着いた。ここからの眺めがまた素晴らしかった。視界をさ

えぎるものが何もないため、どこまでも続く一面の海を見ることが出

来る。


地球は丸い


ということを実感出来た。展望台のすぐ側はいい感じの原っぱなので

ここでの野宿も真剣に考えてしまった。この海から上る朝日はさぞ素

晴らしいものだろうな・・・・・・・。

しかしやはり明日走る距離を縮めるべく小川原湖へ向かう事に。


       地球は

             種差海岸からの眺め


ここから小川原湖への40キロほどの道は、意外にも過酷な物であっ

た。まず道幅が一気に狭くなる。そしてアップダウンが矢継ぎ早に現

れる。そして、空いているだろうと予想した道はかなりの交通量であっ

たのだ。どうやら小川原湖はかなりの観光スポットであるようなのだ。

この車の量は、日曜の観光客によるものだろう・・・・・・。

昼前になると日差しも強くなり、消耗した体は自転車がパンクしたの

かと勘違いするほどペダルを重く感じさせた。4日目にも匹敵する辛

さであった。


小川原湖なんかにするんじゃなかったぜ・・・・・・・。


後悔役に立たずである。途中何度も水分補給の休憩を取りながら

進む。午後1時を過ぎた頃、悪い事に雨まで降り出した。20分ほど

雨宿りをしていると雨足が弱まったので、残り5キロほどの距離を、

ラストスパートと飛ばして走ることにした。


      7741

           早く止まないかな・・・・。


最後の坂道の辛いこと辛いこと・・・・・。狭いのに交通量の多い、急

な上り坂である。車がすれ違う時は僕が邪魔である。わざわざ後ろ

で待って、追い抜いてくれる。


皆さん、ご迷惑お掛けします・・・・・。


全く旅というのは、こうした小さな小さな親切なしには成り立たない。

本当に皆さんには感謝の念が湧いてくる。これは今回の旅で得た

ものの一つ・・・・・。

かなりズタボロになりつつも、何とか道の駅「おがわら湖」に到着。

かなり大規模なこの道の駅には車がズラリと並び、観光客で溢れ

返っていた。出店では焼き鳥やらフランクフルトやら売っていて、ち

ょっとした縁日の雰囲気である。



俺は、


青森ってのはもっと田舎だと思っていたよ。


全然違うんだもんなぁ・・・・・・・・・。



かなりグッタリしつつも、何とか走りきったことに一安心する。

今日は雨も振るみたいだし、めちゃ疲れたし、小川原湖で野宿場所

探すのはかったるいなぁ・・・・・・・(小川原湖までは坂道を2キロほど

進まなければならない)。

安い宿が見つかったらそちらにしてしまおう、そう思い観光案内へ向

かった。

例によって3時半頃に目を覚ます。

夜中だというのにテントの近くの道を人がよく通っていく。

久慈は結構夜更かしの町なのかなぁ?夜更かしするところあるの

かなぁ? そんな事を考えながら、お茶を入れるためのお湯を沸か

していると



ぎゃ~~!!


クモの巣が


引っかかったぁ~~!!




男なんて




一人も





引っかからないのに~~!!




という若い女の声がした。もう一人女の人がいる模様。 あ、そういうこ

とか。昨日は土曜だ。飲んだ帰りなんだ・・・・・・・・。

しかしあの絶叫には笑わせてもらった。もしこのブログをご覧になっ

てたら一報下さい(笑)

頂いたおにぎりとお茶という朝食を摂り、午前4時20分出発。町の外

れのローソンで(昨日見つけたかった・・・)リポビタンDとフルーツジュ

ースを買う。

今日は八戸を通過し、そこから30キロほど先にある小川原湖の辺に

テントを張る予定だ。湖の辺にはいい野宿ポイントが多いと本に書い

てあった。走行距離は100キロ前後だろうか?本格的に走るのは、

恐らく今日が最後になる・・・・。


国道45号線は久慈から40キロほど、JR(?)八戸線と平行して海沿

いを走る。線路と道を分け、少し内陸部に進路を変えると数キロで道の

駅「はしかみ」に到着する。

アップダウンはさすがにリアス式海岸には遠く及ばないが、ないことは

ない。それに八戸に向かうトラックが多く、交通量が増え出す。

道の駅で宮古のUさんに頂いた「がんずき」を食べる。「がんずき」は蒸

しパンのような物だ。一口食べた時は味がないのかな?と思ったが、よ

くよく噛んでいると、優しい甘味がある。表面にはゴマと胡桃が散りばめ

られており風味が豊かだ。


うめえなぁ・・・・・。


しみじみと美味い。俺の第二のふるさとは宮古だな・・・・・。

その後トイレで携帯の充電をすませると(逞しいわこの子)、八戸まで残

り20キロほどの道を走り出した。


     87

       この日、ついに青森県に突入した。



     8mpj.

 青森県に入ると、シュールな案山子たちが歓迎してくれた。

   みなポーズが決まっている・・・・。ちょっと怖い。

昼の三時頃になると、僕はテントからのそのそと這い出した。


「昼飯でも食べに行くか」


、と。宮古でNさんに頂いたおにぎりがあったが、それはここでは

食べきらず晩御飯にもまわして手間を減らせたかった。

しばらく久慈の町を徘徊し、モスバーガーを発見した。


な、なんとモスバーガー!!


ハイカラなものがこの町にもあるじゃないか!どうしたんだ一

体!?実際モスバーガーを目にするのは相当久しぶりであ

たように思える。まさかこんなところでお目にかかれるとは・

・・。迷わず入ることに。昼時の時間を外しているにも関わらず

い店内はかなり混みあっていた。若者に学生カップルに家

れ・・・・・。ひょっとするとモスバーガーは久慈における流

の最先端であるのかもしれない。

僕はモスバーガーとモスチキンを購入し、久慈駅前のベンチで

食べる事にした。

久しく食べたモスバーガーは、とても美味かった。ジューシー

サクサクした衣が特徴のモスチキン、荒く刻んだ玉ねぎの食

を残すドミグラスソースがたっぷり入ったモスバーガー。

どちらも作りたての熱々で、心から美味いと言えた。僕はどち

も食べ尽くすと、


都会の味やぁ・・・。


と深くため息をついた。

まだまだ腹が減っていたのでNさんのおにぎりも頂く事にし

た。中身はウニ(!)、梅、鮭である。せっかくなので珍しいウ

ニから。


むむ、美味い!!


     ybn8


ウニのおにぎりなんて初めて食べた。ゴージャスな味わいや。

ウニおにぎりと梅おにぎりを感謝しつつ食べ終え、テントに戻

った。

原っぱのベンチに座ると地図を広げ、さて、と考える。


久慈は青森と岩手の県境の辺りに位置する。旅もいよいよ終

盤ということである。

この旅の目標は「北海道に到達する」ということ。別に最北端

宗谷岬を目指しているわけではない。だとすれば、ゴールを迎

るプランはいくつか考えられる事になる。


・八戸からフェリーで室蘭に渡り、函館まで2日間ほどかけてゆ

 っくり走り、電車で帰る。北海道に渡るだけならこれが最速。


・せっかくだから本州最北端である大間まで走り、そこからフェリ

 ーで函館に向かう。その場合、北海道に渡るのは明後日とい

 う事になる。


・青森からフェリーで函館に渡る。久慈から青森は150キロの

 距離。明日かなり頑張ればいけないことはないが、ゆとりをも

 っ走るなら二日がかりだろう。


結局最後のプランをとる事にした。それも、明日100キロ走り、

後日はゆとりを持ってフェリーに乗れるようにしよう。

別に本州最北端に魅力は感じないし、かといって八戸から渡る

ではショートカットし過ぎのような気がしたのだ。最後のプラン

がちょうどいいような・・・・・・。


夕方になると僕のテントは中高生達の帰宅に鉢合わせることに

た。駅近くにテントを立てた事を後悔した・・・・・・。さらにサ

レンのような物が町中に響き、ビビらされた。河原には「ダム

水時にはサイレンを鳴らす」という看板が立てられていたの

だ。


ダムに放水されたら俺の命はないな・・・・・。


そういえばさっきから感じる人々の視線はそういう意味も込めて

のだろうか?

いや、だとしたらさすがに教えてくれるよな・・・・。


晩御飯に「赤いきつね」とNさんのおにぎりを頂き、8時過ぎに就

寝した。

行程だけでいえばこの旅2番目の辛さであったが、道の広さと交通

量の少なさにも助けられ、思っていたよりも楽に久慈に到着する事

が出来た。

国道45号線を左折し28号線に入り10分ほど進むと久慈市街に出

る。野宿場所を物色しながらゆっくり走る。


少し古い街並だけど、結構大きいなぁ。また川沿いを探すか。


あ、ここいい感じ。


この旅最速タイムで野宿場所を確保。小さな川の辺の広い広

原っぱである。所々地元の人が耕して家庭菜園ほどの畑にして

いる。10分ほどその場に立ってみて、人通りの多さや地元の人

の反応を観察(怪しいが人)する。大丈夫だろうと判断したので、

荷物を置いてシートで包み、風呂を探しに行く事にした。

自転車を走らせてみると、僕の野宿場所は駅から徒歩5分であ

る事が判明。


い、一等地や!!


大丈夫かいな?お巡りさんとかに怒られたら嫌だな~・・・・。

久慈駅はそこそこ大きい。駅前はバスターミナルで、そこから分

ていく細い道には小さな万屋やスナック、定食屋が並んで

て昔ながらの商店街という雰囲気だ。駅の正面にはデパートらし

き物があるが、3階建てで建物も老朽化し、


これは明治に建てられたのですか?


と突っ込みたくなる。その建物があることで、逆に久慈の町に寂

れたイメージを与えているようであった。

観光案内があったので風呂の場所を聞きに入る。しかしお姉さん

(というには歳行ってるな・・・)は宅急便のお兄さんと話し込んで

いる。仕方なく地図など眺め10分ほど待っていた。ようやく話が

終ったらしく宅急便は行ってしまったので、聞きに行こうとすると、

今度は電話でなにやら話し出した。


もういいよ・・・・・。


風呂の場所聞くのに20分も30分も待ってられっか。観光案内の

仕事せんかい!急速に久慈に悪いイメージを抱きつつ、外へ出た

(一日しか滞在しない人間の感覚なんてそんな物である)。その

後地元の人3人ほどに聞いてようやく銭湯の位置を突き止めた。


いつものように体をマッサージしながらゆっくり湯に浸かり、風呂を

出る。よろずや(まさにそんなイメージ)でカップめん、レトルトカレー

を買い、酒屋でビールを一本購入し、野宿場所に戻る。酒屋では

爪切りを貸してもらい、1週間伸びっぱなしになった爪を切った。

この感覚、今では少し信じがたい・・・・・。


原っぱにある壊れそうな木のベンチに座り、缶ビールを飲みながら

本を読む。1時間ほどそうしていると少し肌寒くなってきたので、テ

ントを立て中に入ることにした。


宮古で大きな大きな親切を受けた僕は(最後の親切には息切れした

が)心も満たされ、いよいよ青森県に差し掛からんとする「久慈」を目

指し走り始めた。

未明の岩手県の寒さはさすがのもので、9月上旬で はあるが、自転

車を漕いでいなければ防寒着を必要とするほどである。

スタートして間もない所にローソンがあったので、リポビタンDを購入。

やっぱりさっきのダメージ(笑)と、たろう、田野畑の峠越えが不安だ

っ たのだろう。


20分も走りいくつか連続したトンネルを越えると、ちょっとした峠があ

りそこを下り終えると田老の町に出た。なんだ、「たろう」の登りなんて

たいした事ないじゃないか。


Uさん、俺を見くびってもらっては困りますぜ・・・・・・。


心配していた「たろう」がこんな物じゃ、今日は楽勝だな。そう思い安心

して走っていると、見覚えのある「上り坂斜線」が現れ、その先には長

大な上り坂が現れた。しかも角度が結構急。


こっちが「たろう」かァ・・・・・・・・・。


そりゃないぜ、たろう。名前はかわいいのに、エグイ坂やでぇ・・・・。

「たろう」はこれまで登ったどんな峠より厳しい物であった。途中2度ほ

ど自転車を降りて休憩する。通り過ぎる車の視線が集まる。それは、

こんな坂登るなんて、頑張るなァ。


であったか


あ~あ、へばってるよ。


であったか?

それでもいつしか登りは終わり、爽快な下り坂が始まった。

長大な登りにふさわしい、長い長い下り坂が終る頃、摂待市(面白い名

前)を通過し小本に到着した。小本で朝日の反射する美しい海を見ると

、道は再び内陸部に向かっていく。


      0p8lp0

         きれいだな~~・・・・・・


ここからしばらくの間は、登ってもそ の分は下りず、どんどん高度を稼

いでいる感があった。途中何度か、深 い谷底を渡る高度感のある橋を

通過すると、道の駅「たのはた」が現れた。


この先に控えるだろう田野畑の登りを思い、一休みする事に。小さな休

憩所ではおばさんが蕎麦を作っている。値段も安いので、蕎麦とオカラ

ドーナツを注文。ここの蕎麦には、からし味噌を入れて食べるのがオス

スメとの事。その通りにして食べると、これがなかなかオツな味わい。に

んにくと唐辛子、擦りリンゴなど数種類がブレンドされた「からし味噌」を

入れると風味がグッと上がるようであった。オカラドーナツもサクサクした

食感が面白く、全て平らげてしまった。


      777

           からし味噌が面白い


満腹になった僕は道の駅を出、高度感も長さもピカイチの思惟大橋を

渡り、残り数キロの田野畑の登りをやっつけにかかる。

体力切れから途中何度か自転車を押して歩く。1時間近く頑張っている

と、記念すべき標識が現れた。

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380メートルって・・・・・


俺は今日一日で何メートル登ったんだろう?


出発したのは明らかに海抜0メートルだから・・・・・・


しかもそういう峠が2~3本あったぞ?


・・・・・考えるのはよそう。知らない方がいいこともある。


しかし国道45号線最高地点という文字には妙な安心感を抱いた。

ここより高い所はないって事だ。ある意味、今回の旅のハイライトな

のかも・・・・・・・。 長く楽しい下りが終ると、再び海沿いを走る。

陸中野田の道の駅は、JRの野田駅と兼用で、駅のホームもある。

道の駅って本当に多種多様だと思う。大きなドライブスルーのよう

な立派な物から、さっきのようにおばちゃん2人でやっているこじん

まりした物。電車の駅と兼用しているのは初めて見た。結構レアだと

思う。

タイミングが良かったのか(あるいは悪かったのか)観光バスが4台

ほど止まっていて、おじさんおばさんで賑やかだった。


大注目を浴びつつ出発。最後に大きな峠を一つ越え、12時半に久

慈に到着した。