
【回顧録】⑧出会いと覚悟
↓続きです。
私がお手伝いする事になったのは
とても穏やかな女の先輩で
私の他には2年生の女の子がふたりついていた。
私が馴染めず距離を置いた同期たちよりも
チームの2年生と居るほうが気が楽だった。
この時点で私は留年が確定していて
もし復帰するとしたら現2年生と一緒に
グループワークをする事になるので
もう同期と行動を共にする必要もなかった。
私は「ただ1年間怠けていた人」でいたかった。
道を見失って思い悩んでいた事を誰にも知られたくなかったから
何も考えていない風を装って別人格を演じた。
馬鹿みたいだけれど
そうしなければそこには居られなかった。
それから私は毎日チームで作業して
時には徹夜したりして
1年前はただただ苦痛でしかなかった事が
次第に楽しめるようになっていった。
先輩が作る作品は
型にはまる事しか出来なかった私に
たくさんの新しい気づきをもたらした。
物には作り手の想いが宿る。
自由でいいのだと
思う通りに作っていいのだと
その作品を通して
自分の生き方まで覆るような感覚を覚えた。
どちらにせよ留年か中退は確定なのだ。
たとえ想像していたレールから外れても
私は、私の覚悟で、自分が選んだ道を歩くと。
そして2ヶ月後、私のチームの先輩は
「奨励賞」(銀メダル)をとって卒業した。
思い返せば
これまで辛い時に私を助けてくれたのはいつも
親ではない誰かだった。
ギリギリのところで
私にとっての正解を選んで来られたのは
大事なタイミングで私を導いてくれる人が
何故だかいつも、運良く現れたから。
卒業制作のお手伝いも
付いたのがこの先輩でなければきっと
人生観を変えるような出会いにはならなかった。
運は人が運んで来るものだと誰かが言った。
うまく出来なくても
何も返せる物がなくても
差し伸べられた手をその度にちゃんと掴めた事が
私が真っ当に生きてこられた理由だと思う。
↓続きます
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