伊達政宗騎馬像の今昔 番外編⑭ -馬事博物館が開いていた!- 《by マッツアン》 | いっきゅう会がゆく~宮城マスター検定1級合格者のブログ~

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 マッツアンです。2024年3月24日、トリビア№98で取り上げられた馬事博物館に行ってきました。開いている日数が極端に少ない博物館ですが、春に開催される竹駒神社の初午大祭の時は開いている確率が高いようなので再訪してみました。ネット上の情報では午前9時から開館するようなので、開館していれば確実に開いている9時半を目指していきました。

 

 馬事博物館です。2021年(令和3)に国の登録有形文化財になりました。外観は銅板葺きの屋根、秋保石の外壁、タイル張りと洗い出し仕上げとなっていて、荘厳な雰囲気を醸し出しています。

 

 なんと!今日は開館していました。脇を見ると開館日は初午大祭と併せて3月19日から3月25日までと7日間です!すでにトリビア150に記述されていた5日間を越えています。さすが竹駒神社のメイン行事である初午大祭です。開館時間は9時半から16時まで。開いたばっかりのようです。さっそく、入館料200円を払って入場しました。

 

 まず目に入ってきたのは、伊達政宗公騎馬像の3/4スケール試作品石膏像(以下、試作品騎馬像)です。1938年(昭和13)の馬事博物館開館に伴い、岩沼町の馬商・渡邉豊蔵(1877~1949)からの要請で作者の小室達(1899~1953)から寄贈されたものです。小室達と渡邉豊蔵の関係についてはこのブログの↓こちらをご覧ください。

伊達政宗騎馬像の今と昔 -騎馬像の馬のモデルは?- 《by マッツアン》 | いっきゅう会がゆく~宮城マスター検定1級合格者のブログ~ (ameblo.jp)

試作品騎馬像は2022年(令和4)の福島県沖地震で一部が破損しましたが、2023年(令和5)秋までに修復され、秋季大祭でお披露目となりました。どの辺を直したのか?解説していた竹駒神社の学芸員さんに確認してみました。それによると、鉄筋コンクリートでできた博物館の土台がしっかりしていたことから、細かい部分が剥落・破損した程度で済んだそうです。

その細かい破損部分を教えていただきました。前立てや手綱などの石膏が折れたり剥落したりしたそうで、近づいて注意深く見てみると修復されているのがわかります。今回の修復にあわせて、刀の位置が寄贈されていた時と違っていたので元に戻したそうです。その様子が竹駒神社の広報紙「すいとく」第827号(令和56月号)に掲載されていました。

【竹駒神社「すいとく」第827号 令和56月号記事】

 

この刀の位置ですが、昭和50年以降に試作品騎馬像を金色に塗装した際に刀を動かしたままにした可能性があるのでは?との話でした。しかし、なぜ金色にしたのでしょうか。この騎馬像の文化財としての意識が当時は低かったのかもしれません。

 今回は竹駒神社の学芸員さんだけでなく、小室達の出身地・柴田町の「しばたの郷土館」の学芸員さんからも解説がありました。作者の小室達はこまめに日記をつけていたので、渡邉豊蔵氏の来訪から馬事博物館に納められるまでの様子がしっかり記述されています。

 

また、修復時の観察では馬と政宗公の胴体部分の分離が可能で、上部は空洞になっている可能性が高いそうです。そうであればこの上部が軽いという点も地震で大きく壊れなかった要因かもしれません。

 

 博物館には、他に鯨細工、埋もれ木細工の馬像や、色々な絵馬、古い鞍や蹄鉄などたくさんの馬関係の資料が建設当時からの展示ケース(展示ケースも文化財)に飾られています。ここに納められている資料は展示されていない資料を含めると1,100点を超えるとか。まだまだ調査しきれていないそうで、今後の調査によってはその中から新たな発見があるかもしれません。楽しみです。

 せっかくですので、初午大祭も見学させていただきました。だいたいの観光客はこちらがお目当てでしょう。()

 

 市の無形民俗文化財の「竹駒奴」、神輿行列に連なる神職が乗る馬たち、全国銘菓奉献会に奉納されたお菓子、大道芸の猿回し、岩沼市が舞台とされるアニメ「バクテン!!」ののぼり旗を鑑賞しながら会場を後にしました。

 竹駒神社の学芸員さんによると、馬事博物館の次の開館は、秋季大祭(9/22)頃に予定とのことでした。期日が近づいたら竹駒神社に開館日を確認の上、馬事博物館に行きましょう!