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ブランコ

子供の頃、よく友達とブランコに乗った。誰一番高くこげるかを競っては、いつだって皆が同じ高さで限界を迎える。
ブランコの神様は子供を空へ導いてはくれない。地に返しては、彼らは昇ってくるのをあざ笑う。彼らが諦めない限り、そのアソビは繰り返される。

初めから追いかけても間に合わない。追いつきかけては、また、僕達を振り出しに戻す。一体いつまで繰り返すのだろうか。

回れ、廻れ、回れ、廻れ、…いっそうどこまでも。
僕は神様が諦めるまで、ブランコを漕ぎ続ける

スタートウォッチ

時間にしがみついて、始まりの場所へ。 今まで体験したことのないスピードでカウントダウンが進む。
消えてしまうくらい速く進めばどんなに楽か。
すべて無にかえすくらい遅く、いや、止まれば、どんなに幸せか。


始まりの記録。それは、ストップウォッチ。

僕は明日を呼ぶ

去年のあの人がステージを遠目で見て寂しそうな姿をする理由がわからなかった。僕は、ただ、ただ、くだらないものに縛られたまま必死にあの人を振り向かせようとしていた。

あれから一年が経った。彼は去年の僕と同じように必死に目には見えない何かに抗おうとしている。懐かしい匂いと、思い出す去年の光景。
僕は今になって気づいた。いや、ここにくるまであの人も、僕も、きっと彼も気づかないのだろう。ただひたすらに繰り返す。

僕は何にこだわっていたのだろうか。大切なのはそんなことじゃない。そう、そんなことじゃない。大切なのはもう彼の手には握られているから。

去年、あの人が帰るのを引き止めたとき、半分笑った悲しそうな顔で
「この先は、見なくてもだいたいわかってるよ。」と言ってあの場を去った。
僕も、彼の最後の姿を見ずしてあの場を去った。

最後にあの部屋に行って、過去を思い出す。もうここには来ない。あの場所にも来ない。あの人にとってここは二年が経った地で、やっぱり今年は、あの人姿はなかった。
変わりに僕がここにいる。そう、僕が…。きっと来年は彼が…。だから僕はもう来ない。来れない。僕にとってのあの場所はもうなくなった。
あの部屋を出るとき、僕は願う。この先くる子達にとって、いつまでも変わらない場所であってくれと。願う。願い。願わくば、永遠に。