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金木犀の香りに導かれて

嵐が過ぎ去った朝、確かに空が高くなった。

澄んだ空気が呼ぶ冬の予感。微かに漂う金木犀の香りが僕の足を軽くする。

もう決めた。



たとえ過酷な戦いであっても、
どんなに辛い結末であっても、
けっして辿り着かない景色であっても、




僕は探す。探す旅に出る。この冬を越えると同時に

僕は、
僕は………





僕は鳥かごを壊す。


飛び立つために


青空を見るために

自由も平等?平等も自由?

今日、僕を時間が通り過ぎた。

朝、家を出て駅へ向かう途中に自分の目に写る映像が止まった。
瞳孔が開き、右耳から乱れたノイズ音が入り、左耳まで抜ける間に…

雨の音が消える

横切る人の足が止まる

歩道の青信号の点滅が停止する

僕は、強く握りしめていた傘を落として目を覚ます。確かに、今、目には見えない時間が僕を通過した。



時間は万人に平等に与えられる?
時間は万人に自由に与えられる?

平等は万人に自由に与えられる?
自由は万人に平等に与えられる?


誰がためにそれは与えられ。誰がそれを与えるのか、その謎を知るものはいるのだろうか。

白い鳩

生活のほとんどを過ごすこの街が、僕は好きだ。日が落ちると、オレンジ色の落ちついた明かりが灯り、ゆったりとした音楽が頭上を流れる。高台で、下を見ると、帰りの人が駅から戻るべき場所へと絶え間なく通り過ぎる。

僕は、昼に食べ損ねた弁当をほおばる。すると、どこから現れたのか、一羽の白い鳩が気付かない間に僕の足下にいた。 オレンジ色の明かりに照らされて白い羽は暖かみを帯びた色に変わっていた。
余った米粒を投げると、すかさず、その方向へと飛んで行く。僕は愚かにも、秋から冬へと変わる空の下、鳩とじゃれあう。

「どっから来たんだ、おまえ?」

「おまえ、これからどこに行くんだ?」

返って来ない言葉を送る。帰って来ないことなどわかっている。きっと僕の声など届いていない。それでも、僕は繰り返し君の名前を呼ぶ。


飛び立つ白色の鳩よりも先に、僕はこの場を去る。還る場所を見つけるために…
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