大善寺玉垂宮
ここは神功皇后と高良神（住吉神）の伝承地。
福岡県久留米市大善寺町宮本。
こちらは側の公園の駐車場から近い鳥居。
道路側から廻って、表の方へ。
手前に川がある。
毎年１月７日に鬼夜というお祭りがあった。
「玉垂宮と鬼夜（おによ）」
日本三大火祭りの一つとされている。
以下、上の説明板から。
この火祭りは「鬼夜」と言い、その縁起は古く、仁徳天皇五六年（三六八年）に、
肥前に桃桜沈輪（ゆすらちんりん）という悪徒がいて、これらを伐つため、
藤大臣が勅命を受け、大松明をかざして打ち亡ぼした故事から。
ご祭神 玉垂宮（藤大臣、高良神）
八幡大神
住吉大神
大善寺玉垂宮のHPには、「藤大臣は神功皇后の出兵に大功がある」とある。
ご祭神の藤大臣は、高良大社の神、高良玉垂宮大菩薩。
故に、ここが玉垂宮。
高良の伝承の高良玉垂宮神秘書には、住吉の底筒男神だと記されていた。
藤大臣は、彼が人として姿を現した時の名。
彼は物部の祖神、饒速日命であった。
神功皇后の船の舳先に現れた
記紀にあるそれは、住吉神が彼女と共にあったことを意味するもの。
件の神秘書には二柱が夫婦だともある。
住吉神、高良神、藤大臣
名を変えているが、すべて同じ神。
では、この社の藤大臣の桃桜沈輪退治の時も傍らに彼女がいたはず。
この社の伝承でも、藤大臣は神功皇后の三韓出兵に協力している。
二柱が同じ時代なのは、間違いないのだ。
しかし、彼女については、この社の伝承では「神功皇后の船が着いた」としかない。
あちこちの伝承で、少しず変えられていた。
彼らの伝承地は、当時の海面よりも上にあり、それが「筑紫島四つの面」の神話に繋がる。
神話の「筑紫島の四つの面」のそれぞれは、
豊日別（豊姫、豊受）である神功皇后（御炊屋姫）
白日別（高良神）である住吉神（饒速日）
建日別（熊襲の本拠地）＊1
彼らが対峙していたのが熊襲であり、そうであるからこそ、この地形の状態時に二柱が共に在ったのだ。
この社の伝承では別の伝承のようだが、実は同じもの。
伝承はこのように少しずつ記載が変わっていく。
しかし、すべてを俯瞰して見て行くと、核心は同じであることが分かる。
神功皇后と共にあった武内宿禰も彼。
佐賀の武雄神社に祀られるのがこの武内宿禰。
そこには「御船山」があり、御船神＝饒速日命＝高良神を表す。
この社の神仏習合時代の屋号は「御船山大善寺玉垂宮」。（写真上から３枚目）
「神功皇后の船が着いたから」
果たして、それだけの理由だろうか。
他にも彼女が「着岸」した地はたくさんある。
ここは御船という山（地名）ではない。
（山ですらもない）
これはこの社の御祭神が、御船神である饒速日命であるから。
そう考えると腑に落ちないだろうか。
＜桃桜沈輪＞
神功皇后の前に現れ、共に異類を退治したという高良の神。
「基山の荒穂神社」
「筑紫神社」
「大根地神社」
これらの伝承に共通すると思われる白羽熊襲というヰルイ（異類）。
この神社の「桃桜沈輪（ゆすらちんりん）という悪徒」とは？
鬼夜の祭りは、それを松明で撃退したことによる。
火で祓われるものは、人ではない。
「追儺（鬼やらい）」の儺は、儺の国（奴国）の儺でもあるのだ。
「な」は、完全な、完成したという意味の言霊。
神の国を表す「な国」。
祓われたものは、「鬼」であった。
（追記）
＊1
玉垂の神である高良神が、白日別であった。
高良大社は筑後国一ノ宮、彼は筑紫の国魂なのだから。
ではその高良神（玉垂宮）と、共にある神功皇后が豊日別。
大社に合祀の豊姫が、彼女だ。
☆違うのならば、后を差し置いて共に祀られない。
彼が住吉神だから、住吉神と神功皇后が夫婦だと伝わる高良大社と大阪の住吉大社の伝承は、それを裏付けしてることになる。
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