続きです。

 

 

そこは奈良。

今の私が幼い頃に馴染んだ懐かしい山々があった。

でも盆地に広がる巨大な湖が、今とは違う時代だと物語っていた。

広い高床式の神社のような建物の中に、年の離れた弟と暮らしていた。
 (自分が16歳くらいで、弟は8歳くらい。
  もしかすると、弟は血が繋がってなかったのかもしれない。兄はいない)

 

その時の場所は、奈良盆地の西側、大和三山より北側とだけ漠然と分かった。
 (何度も住む場所が変わっている。
  奈良の最後の記憶は三輪山の麓。
  かなり行動範囲が広い)

その土地を統べる一族だということは、その時の”私”の意識から感じた。

 

                 *

ある日、唐突に船が現れた。

船は白く、とても巨大で、真っ白な帆が風をはらんでいた。
今までに見たことがないその異様な巨大さ。

その船が生駒山の頂上を越えてきた。
静かに、ゆっくりと。

その、生駒山の上を飛行する巨大な白い船。
あれは…


<  アマノトリフネ  >              .


 

そう、今の私の中で声がした。

 

 

船が降りて来たのは矢田の丘陵付近。

奈良側の麓に降りて来た、船に乗っていた人々とは、
一時戦になった。

ほとんど一方的。
彼らは、白い衣を着て・・・ちょうど日本神話に

出てくる神達のよう。
私達の里まで攻めてきた。
 
私が建物から出た時、矢が飛んできた。
すぐ横にいた、弟の側の柱に刺さる。

彼をかばいつつも覚悟を決める。
多勢に無勢。
その時、何事かを言ったように思う。


その絶望的な状況を好転させた理由は、たった一つ。
 彼らの長と私が出会ったこと。

どこからか良く通る声がした。
人の波が割れ、現れたその人を見て衝撃が走った。

彼は、リュウだった。
あの洞窟の夢に出てきた人。
お互い、一目見た瞬間に理解したよう。
姿形は違うのに。


*時間の流れでは、「洞窟の夢」、「古代奈良の夢」、
「別の星の夢」の順らしい。



船には、他の「前世の仲間」もいた。
彼らと私とで、この国を治めることになった。

 

****

 

 少し時間を遡って、<アマノトリフネ>が来る前のこと。
その里を”人でないもの”が襲ってきた。

里から、志願した数人と、それらを退治することになった。
大和三山よりももっと南の地域へ。
背の高い草(葦?)が生えていた。

そこに”それら”がいる。

私も武装して、先頭に立った。
匍匐前進のまま進んで、その場所に来た時、金縛りのようなものにあった。
まったく動けない。

なんとか顔を上げると、赤く光る一つの目をした怪物がいた。
”ロボットのようだ”と”今の私”が思ってた。

何体も現れて槍のようなもので、動けなくなった里の人達を刺していった。

その瞬間、金縛りを必死に解いた私が、”人でないもの”に、向かっていった。
だが、思い叶わず。

いくつもの腕に羽交い絞めにされて、引きずられていった。
私の周りにいた男達が、私の力の影響で金縛りから解けていたようだった。

「あなたまで死んだらどうするのですか!」
そんな悲痛な声が聞こえた。

動けず、生きながらに串刺しにされていく里の男達。
帰りを待ってるはずの、奥さんや子供達の顔が次々と浮かぶ。

何を叫んだか覚えていない。
涙が止まらなかった。

その後、彼らの手を振りほどいて、一人で突っ込んでいった。

 

********

 

この夢を見た後、記憶として残ったものがあった。

 

船の人達を里に受け入れたのは、
「前世の仲間」だったという理由だけではなく、各地に現れていた”人でないもの”に対抗する為でもあった。


後にアマノトリフネで各地を巡り、仲間と共に、この”人でないもの”を退治か封印をしていった。
 
それともう一つ。
(その時の)私の親の世代?(もっと前?)に、船の人たちと同じところから、この地へ移り住んだらしい。
船の人達とは同族だったよう。

あの力の意味はそういう事かもしれない。

 

 

  夢のあとさき

 

それは唯の夢ではなかった。

すでにその頃、「前世の仲間」達と出会っている。

今まで見ていた「連続する夢」が彼女らと同じものであったこと。

彼女らから、自分の前世の背景を聞いていた。

 

何より、それらを見た時の自分の感覚が特殊であった。

これは前世だと魂が告げていた。

 

アマノトリフネでやってきた、今まで見た夢とは違う姿の「前世の仲間」。

 

この夢もまた別の前世だと分かった。

しかしその頃は、神話にもあまり興味がなく、アマノトリフネの意味をよく考えなかった。

 

 

☆前世の彼らの力

 

この「古代奈良」の彼らと、「ムーの洞窟」「別の星」の7人は、姿が違えど、同じ魂を持つ。

その力もそれぞれ同じだった。

 

 

 

孔樹は大地を操る。

瑠蘭は水。
桜花林は風。
竜厘(リュウ)は、全般的に強く、空も飛べる。
私(卑弥果)はテレパスと強力な治癒、など。
(希境、沙霧は、よく分からないけど、何かあったはず)


当時だと「神」とされるのは、自然なのかもしれない。

 

 

これも「前世の仲間」の子が同じものを見ていた。

同じような力を使い、怪物を倒していた。
ほんとにムーだったのかは分からない。

 

 

 

  アマノトリフネ

 

夢で見た空を飛ぶ船をそう呼んでいた。

 

それは、神話の饒速日命が大和へと乗っていったもの。

 

あの夢は大和だった。

そこでアマノトリフネに乗った彼と出会って、共に怪物を退治している。

 

後に友人が言った。

「御炊屋姫(みかしやひめ)と言われる人に当たるのではないか」と。

 

しかし、自分には神功皇后の伝承に既視感を覚える。

彼女らは、生まれ変わりなのか?

 

 

この後、「未来の記憶の夢」を見る。

 

 

「私達7人は、現世で出会うだろう。そして、地球を救うだろう。」

 

そう、言われた。

 

その時までに何をしたらいいのか。

彼らは未来を視ていた。

 

ならば、どこかに何かを残しているはず。

 

彼らは何者か。

何があったのか。

 

 

それを知ることが、自分にできる唯一のことだと、悟った。

 

 

アマノトリフネ。

 

それが最大の鍵だった。



それと、以外にも「怪物」の存在。

彼らの伝承の先、本当にそれと対峙していたのだ。

 

御炊屋姫は神功皇后。

饒速日命は高良神(住吉神)。

 

彼らは行く先々で、戦っていた。



*****************:
 

前世は前の世の事。
過去に過ぎない。

だけど、私たちのそれは、今に繋がる。
集団転生の訳を・・・。
何度も思い出す理由を。
 

 

未来の記憶 ⑤ に続く