子持ちシングルで、貰い手が無くなるでしょ? | アスペルガー症候群の娘が妊娠しました 〜回想録です

アスペルガー症候群の娘が妊娠しました 〜回想録です

大学生シンママになったアスペルガー症候群の娘。

妊娠から出産、出産から今までの育児。
その間の相手家族とのやり取りなど、
周りの人にはあまり話せない事が沢山。

“王様の耳はロバの耳” 的な回想録になりますが、
ツラツラと綴らせていただきます。

5月12日、夜7時

シュン ママが
横浜からあまり出た事が無く、
品川までしか行けない。と言うので、
仕事が終わってから、自宅とは真逆の方向へ
出向いてあげる事になった。


「シュンの彼女になる子は
 私より綺麗な人じゃないと認めない」
と言って、前カノを気に入ってくれなかったという話も聞いていたので、

(お嬢様育ちの綺麗な人なんだろうな)
そう思いながら行った。


プリンスホテルの高級料理店。
シュン ママの名前を受付で言うと、
ワイングラスを傾けながら
ゆったりとくつろいでいる女性を案内された。


え、全然綺麗なんかじゃない
普通のオバさんじゃん。
ツンと気取ってるけど…


後で亜香里から聞いたが、
産後掛かった甲状腺機能障害で太ったけど
昔は綺麗だったらしい。


「はじめまして。
 亜香里の母です」


「あら、可愛い。
 亜香里ちゃんにそっくり!
 歳はお幾つ?」


「44ですけど…?」


「あら!私の方が2歳年上ね!」
マウントを取った気分になったのか、
鼻高々な様子で言った。


その後、自分の華々しい経歴と
今も自宅で英語教室を経営しながら
大学院で英語を勉強している事、

障害児の教育に携わっている妹さんの事や、
旦那さんは経営コンサルタント会社を起業し、障害者を雇用するメリットを説いている大学教授だという事など
一通り自慢話を聞かされた。


そして、

「だから、困るのよ。
 主人の母親も大阪の大学で教授だったし、
 教授の孫や息子が18で父親になったとなると
 世間的にも良くないでしょ。

 私の父も議員をしていて
 親戚も皆んなこの辺に住んでいるし、
 認知とかになったら相続権だなんだって、
 色々と揉める事になるから困るのよ」


自慢話を更に加えつつ、
認知するのは大変困るという事を
切々と語ってきた。


とりあえず、ひたすら相槌をうって
シュン ママの言い分を全部聞いて行った。


「それにね、シュンはまだまだ若いでしょ?
 あの子には将来があるのよ。
 これから医大を受けるのだけど、
 子供がいるなんて事になったら、
 面接で不利なのよ。
 ただでさえ、浪人してる事で不利なのに
 医大受験は面接にとても厳しいのよ」


「なるほど…。
 それは大変ですね」


「亜香里ちゃんだって、大学もあるし
 他に夢もあるんでしょ?
 あんなに頑張ってるのに、
 断念させるのは可哀想よ。

 今回は残念だけど一旦堕ろして、
 シュンと結婚してから
 産めば良いんじゃない?」



「いや、亜香里の夢は、
 子供がいても叶えられます。
 むしろ、人生経験が豊富な方が良いですし。

 私の仕事も親の会社の手伝いなので
 時間の融通が効くし、子供の面倒も見れます。
 なので、亜香里は大学に行かせられます」



「今はそれで良いかもしれないけど、
 シュンだって、大学に入って他に好きな子が
 出来るかも知れないのよ?
 そしたら、亜香里ちゃんは、
 子持ちのシングルになるのよ?
 子持ちだと、貰い手が無くなるでしょ?

 シュンは良いかもしれないけど、
 シュンと結婚出来ないと困るのは
 亜香里ちゃんじゃない?」


カチンと来た!
まるで、情けから結婚してあげる風な言い方!!


「あ、それは大丈夫です。
 子持ちでも再婚してる人は沢山いますし、
 亜香里だって、他に
 好きな人が出来るかも知れないですし。

 だってシュン君は
 失礼だけど、本気で亜香里を愛しているとは
 思えませんから。

 亜香里が避妊してと何度も頼んでたのに
 避妊してくれなかったんでしょ?
 本当に愛していたら、亜香里のお願いを聞いてくれてたはずですよね」


「違うのよ〜。
 あの子は亜香里ちゃんの事が好き過ぎて、
 そうなっちゃったのよ。

 今まで、勉強ばかりで
 女の子と付き合った事なんてなかったから
 舞い上がっていたのよ」


は?
亜香里の前の彼女の話、
私はシュンから聞いたことあるぞ。

あまり美人じゃなかったから、
母親が気に入ってくれなかったって…


…この人、
        嘘つくの…慣れてる?






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※大筋の記事はこちらです。

最初の記事。
アスペルガー長女が妊娠した

長女 亜香里が堕胎を考え始めた出来事。

長女 亜香里が赤ちゃんを産む事を決めた出来事。


亜香里がシュンと別れた。