両家初顔合わせ(1) 母体保護法と堕胎罪 | アスペルガー症候群の娘が妊娠しました 〜回想録です

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大学生シンママになったアスペルガー症候群の娘。

妊娠から出産、出産から今までの育児。
その間の相手家族とのやり取りなど、
周りの人にはあまり話せない事が沢山。

“王様の耳はロバの耳” 的な回想録になりますが、
ツラツラと綴らせていただきます。

左脚の足首を骨折した亜香里を
大学まで毎日車で送り、それから出勤。

帰りは亜香里がタクシーで会社まで来て、
車で一緒に帰る。

私は車の運転があまり得意ではないので、
神経を使う毎日だった。

…が、話ができる時間が増えたのは
良かったかもしれない。


度々、シュン ママから亜香里にLine電話がかかって来て、
「母体保護法」だとか、「お母さんは亜香里ちゃんを大切に思っていないから中絶させてくれないのね」などと吹き込まれてる様子も分かるので、その都度対処出来て良かった。



2016年5月27日(金)夜

新横浜駅直ぐ近くのホテルのラウンジ。

父親同士も含めて、母親達、本人達、
6人揃って初顔合わせ。


妊娠が発覚してから3週間。
遅すぎる初顔合わせだ。

まぁ、これから何度か話し合う機会があるだろうから、今は良しとしよう。



長いテーブルを挟んで向かい合わせに、互いの母親同士、本人同士、父親同士 が並んで席に着き、
シュンの父親が和樹と挨拶を交わした。

穏やかそうな感じの人だ。

「息子がご迷惑をお掛けしまして…」と、まともな事を言うし、ごく普通の常識人に見える。


やはり問題なのはシュンの母親だろう。

「母体保護法って言うのがあるのよ」
やっぱり言い出した。



あらかじめ調べていたので、直ぐに返答した。

「母体保護法が適用されるのは、

  ・母体に命の危険がある場合。
  ・経済的に子供を育てるのが困難な場合。

  この2つだけです。
  亜香里にはこのどちらも当てはまりませんから、中絶したら堕胎罪に値します。

  娘を犯罪者にはしたくないですし、
  中絶はさせません」



「中絶なんて誰でも皆んなやってる事でしょう!!
  皆んな犯罪者だって言うの?!
  誰も検挙されないじゃない!!」
憤ったシュン ママが、声を荒げて言った。



「皆んなやってるんだからやって良い。
  捕まらなければやって良い。って
  親が子供に言って良い言葉じゃ……」


と言う私の言葉を、亜香里が遮って話し出した。


「皆んながやっていようが、検挙されていなかろうが、中絶は悪いことだって私は思ってます。
  それでも、敢えて中絶を選ぶなら、
  自分は罪を犯したと思いながら生きて行く覚悟です」


シュン ママは唇を噛み締め、もの凄く悔しそうな顔でこちらを睨んでる。


畳み掛けるように、私は用意していた用紙をバッグから取り出し、

「まぁ、とにかく。
  どうしても堕ろすと言うなら、
  中絶に私達親は同意しませんので、
  亜香里が来月20歳になってからにしてもらいます。

  その時にはシュン君はまだ未成年ですので、シュン君の他に、ご両親お二人の同意の署名捺印が必要になります。
  その際は宜しくお願いします」

と、人工中絶同意書をシュンの目の前に
丁寧に差し出した。


こんな同意書がある事を知らなかったのだろうか?

自分達にも責任が降りかかってくるという現実をようやく目の当たりにして、恐れ始めたのだろうか?


シュン ママ、シュン、シュン パパ 3人が顔を寄せ、1枚の人工中絶同意書を食い入る様に

暫く見つめていた。





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※大筋の記事はこちらです。

最初の記事。
アスペルガー長女が妊娠した

長女 亜香里が堕胎を考え始めた出来事。

長女 亜香里が赤ちゃんを産む事を決めた出来事。


亜香里がシュンと別れた。