群青と真紅㉞【慕われるキム公爵】 | Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

Yoっち☆楽しくお気楽な終活ガイド

アラフィフの生活や周辺で起きたことを書いています☆
そしてときどき
終活のガイドをさせていただきます

現在、BTSの底なし沼にハマり浸かっております
ガチガチのグテペンです
現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

フェスタ皆さん楽しみましたか❓
テテのJAZZ良かったですよね💕💕
JAZZ好きな私のパートナーにも聴いてもらったんだけど、褒めてましたよ👍✨

物語のテヒョンもJAZZを聴いたらハマりそうだな😉


前回の物語



物語の続きが始まります✨✨✨



【自宅ヘ戻る日】


ジョングクを見送り、部屋に戻る途中で、スミスが心配をして声を掛けた
「テヒョン様、明日は馬車に乗ることになりますが、大丈夫でございますか」
「直接馬に乗るわけではないからなんとかなる。しかし、今後私が馬に乗らないわけにはいかないから、治していかないといけないな・・・」
心に負った傷は目に見えないだけに、テヒョン本人にもそれがいつ癒えるのか、見通しが立たない。今度はその不安に苛まれる
スミスはただ黙ってテヒョンに寄り添って部屋まで戻った

部屋に戻るとテヒョンはココアが入ったポットをスミスに渡した
「これを温め直してくれるか?」
ジョングクがアフタヌーンティーの時間に、人知れず作ってくれたものだ
テヒョンが飲みたいと頼んでいたのを忘れずに作ってくれた
それも他の人達には敢えて振る舞わず、テヒョンにだけ淹れてくれた特別なココアだ
ただ、フランシス嬢とスミスが作ったシブーストがクリームを使った甘いお菓子だったので、後で飲んで下さいとポットに淹れてくれていた

「はい。ジョングク様が淹れて下さったココアでごさいますね。直ぐに温めて参ります」
「うん、宜しく頼む。あ、スミスの分もあるからね」
テヒョンは独り占めせずに、実はスミスの分もジョングクに頼んでいた
「ありがとうございます」
スミスはそう言うと、ポットを持って直ぐに厨房へ向かった

しばらくして、充分にココアを温め直してスミスが部屋に戻ってくる
「テヒョン様、夕食前ですがアフタヌーンティーの時の、スコーンがございましたので、こちらも温め直して持って参りました」
「おお、そうかまだあったのか」
スミスはカップにココアを注いでスコーンと共にテヒョンへ渡した
部屋にココアの香りが拡がった
一口飲んでみると、やはりテヒョンの好きな甘さになっている
「テヒョン様の好きな甘さでございますね」
スミスがジョングクの味覚に感心しながらココアを飲んだ

テヒョンはココアの温もりが体中に広がるのを感じ、またそれはジョングクの優しさのように思えた
気が付くとテヒョンもスミスもココアの心地よい美味しさに、無意識のうちにスコーンが進んでしまって完食していた
この完食が二人共に、この後の夕食に大きく影響してしまうことになるのだった



次の日の朝
テヒョンの主治医のロバート医師により、背中の怪我の最終チェックが行われた
「もう心配するところはございません。普通になさるのなら運動も大丈夫です。筋肉が落ちているはずですから、定期的な負荷のかかる運動もなさって下さい」
ロバート医師がテヒョンのカルテに完治のサインを記した
「ロバート先生、、」
テヒョンが躊躇しながらも、ロバート医師に声を掛けた
「はい?・・・殿下、如何なされました?」
テヒョンはどう話したらいいか考えていたが、徐ろに話し始める
「私は事故以来、馬に恐怖心というか、目の前にすると心拍数が上がって震えてしまうようになってしまって・・」
ロバート医師は大きく頷いて、それに対してこう答えた
「事故当時のお話は宮廷医のドクターから伺いましたが、かなり飛ばされての落馬だったご様子。恐怖心を抱いても不思議ではございません。いや、むしろ恐怖心を抱く事は普通の事でございますよ」
テヒョンはロバート医師をじっと見つめたまま話を聞いていた
「焦らないことでございます。殿下はもともと乗馬をなさっておいでなのですから、その楽しさや爽快感は覚えていらっしゃるはず。また乗馬をなさりたいと思うまで、待たれてはいかがでしょう」
テヒョンはロバート医師の話に頷いて、最後は穏やかな顔になった
「そうですね。ロバート先生の仰る通り待ってみます」
「大丈夫でございますよ」
ロバート医師はそう言ってテヒョンの背中を擦った
「さて、診察も全て終わりましたので、私はこれで失礼致します。殿下も本日はお帰りでございますね、どうぞ道中はお気を付けて」
「ロバート先生も。ありがとうございました」
スミスが見送りをするために、ロバート医師と一緒に部屋を出た

廊下でロバート医師がスミスに話す
「殿下のお背中の症状は、既に完治されておりました。マージリングの効能が目覚ましい証でもありますね」
「さようですか」
スミスとロバート医師はそれ以上何も言わず、ハイレベルなマージリングについては納得をしてお互い頷く事が出来た
「それから殿下の馬へ対する恐怖心についてでございますが、患部の完治が早かったので案外こちらも早くに解決するのではないかと思っております」
「そうですか、早く解決致しますか?」
「患部の治癒に時間を要すれば、それだけ恐怖心も募ります。痛みが伴っておりますから、その分精神的負担が伸し掛かります。ですが、痛みが早期に無くなれば、その痛みを早く忘れる事が出来ますし、恐怖心も和らぐのが早いと思われます」
「そうであるように願うばかりですね」
「馬に触れる機会があれば、お誘いするなどして、多く触れて頂くことです。勿論、無理強いはなさらぬように」
「よく分かりました。ありがとうございますドクター」
話をしているうちに、ちょうど玄関まで来ていた
ロバート医師はスミスに会釈をすると、帽子を被り馬車に乗り込んだ

ロバート医師を乗せた馬車が走り去ってすぐに、厩舎の馬丁がスミスの所まで来て伝える
「スミス様、公爵の馬車のご用意が出来ております」
「分かりました。エントランスホールの方へ寄せて下さい」
「かしこまりました」
スミスは部屋へ戻る


【敬われるテヒョン】


「テヒョン様、馬車のご用意が出来ております」
「分かった。私はもう出られるぞ」
丁度そこへノックの音がして、宮廷職員が二人テヒョンの部屋へやってきた
「ご苦労様です。公爵はじきに出られます。後のことは宜しくお願い致します」
「かしこまりました。キム公爵におかれましては、ご快気おめでとうございます」
「うん、ありがとう。世話になりましたね。陛下にも宜しくお伝え下さい。私からも改めて陛下にご挨拶に伺います」
テヒョンの言葉に二人の宮廷職員がお辞儀で応えた

スミスが手回り品を持って、テヒョンの後に部屋を出た。2週間近くの滞在でプチ・パレスには愛着も湧いた頃だったが、今日で元の生活に帰っていく
廊下を歩き階段を降りてしばらく行くとエントランスホールが見えてくる
キム公爵家の馬車が既に停まっていて、主人の乗車を待っていた
そして、馬車の前に繋がれた馬の尻尾が左右に揺れているのを見た時、一瞬テヒョンの肩に力が入った
すると、いつの間にかテヒョンの隣に付いていたスミスが、テヒョンの肩をしっかりと抱き寄せる
お互い何も言わず、テヒョンは《大丈夫》という意味で頷いた

エントランスホールに入ると、そこには館内にまだ残っていた宮廷職員と厨房のシェフやスタッフが並んで待っていた
テヒョンがエントランスホールに入ってくると
「「キム公爵、ご快気おめでとうございます」」
皆揃ってテヒョンに挨拶をした
「みんなありがとう」
テヒョンは、一時的にとはいえ既に慣れ親しんだスタッフ達の見送りを有り難いと思った
「シェフ、療養中あなたの作る料理に慰められ、癒やされました、ありがとう」
シェフが涙ぐんで頭を下げた
「職員の方々もよくしてくれて、プチ・パレスでの療養は居心地がよかった。本当に感謝します」
宮廷職員の一人がテヒョンに
「次回は是非、お元気な時の殿下をサポート致したいと存じます」
と声を掛けた
「うん。私の公務で滞在が伴う時は君達にお願いしよう」
テヒョンの返事に、職員達は深々とお辞儀をした


御者が馬車の扉を開けて踏み台を出すと、テヒョンは素早く乗り込んだ
ビロード地のシートに深く座って大きく息を吐いた。次にスミスが乗り込むと扉が閉められた
御者が御者台に乗ると直ぐに馬車が動き出した。軽快な蹄鉄の音がエントランスホールに響き渡る
そして馬車が外に出ると、宮廷職員やシェフやスタッフ達も外に出た。そして頭を下げて見送っている

スミスが後ろを振り返りながら
「テヒョン様はこちらで沢山のファンを増やされましたね」
と、言った
「ん?どういうことだ?」
「プチ・パレスで仕事をしていた職員達が皆、口を揃えて申しておりましたよ。テヒョン様の為に働く事がとてもやり甲斐があって、更にお世話をして差し上げたくなると。シェフ達も沢山召し上がって頂けるので、料理を作る張り合いになったそうでございますよ」
「そんな風に言って貰えたのか、有り難いな」
「それだけではございません。テヒョン様は時折メッセージカードを置いていらっしゃったそうですね」
「うん。お礼やお願い等書いてな。スミスは気付かなかったろ?その仕事をする者しか分からない場所に置いたからな。勿論、身体が動かせるようになってからだが」
「それも嬉しかったそうですよ。王族の方々の中で、テヒョン様は一番近寄りがたい高みにいらっしゃる存在だったらしいですから」
スミスは笑って言った
テヒョンは腕組みをして微笑しながら聞いていた
「テヒョン様が彼等の仕事をよく見て下さっている上に、労いの言葉を頂けて、優しさが身に沁みると申しておりました」
「良かった。私の気持ちが伝わっていたのだな」
「はい。彼等にとってはテヒョン様に一気に親近感が湧いたことでございましょう。私はことある毎に何度も呼び止められて話を聞かされました。
しかしお仕えしている自分の主人に敬意を寄せられることは、誠に誇らしい事でございます」
意気揚々に話すスミスを横目に、テヒョンは少し気恥ずかしそうに笑った

馬車はようやくキム公爵家の門を潜った
門の中に入ると、門番の他に厩舎の職員達が並んで馬車を迎えていた
「テヒョン様、門番以外の厩舎の者達もおりますよ」
テヒョンは思わず窓を開けて『ただいま!』と、声を掛けた。馬車の後ろから『お帰りなさいませ!』の声が飛ぶ
テヒョンは窓から身を乗り出して、手を振り続けた
「テヒョン様!それ以上身を乗り出してはいけません!」
スミスが慌ててテヒョンの体を押さえた
「大丈夫だ、スミス。ちゃんと考えてやっている」
テヒョンは嬉しくて仕方がない様子だった
馬車が庭園に差し掛かると、木々の合間から宮殿の佇まいが見えてきた
このまま宮殿の正面出入口に向かう

宮殿前の広場まで来た。正面出入口には既に沢山の人がいた
従僕達から下僕達、女中達に厨房のスタッフ達までがテヒョンの帰りを迎える為に出てきていた
馬車が正面出入口に着けられた
御者が馬車の扉を開けると、テヒョンが降り立った
「みんなただいま」
「「お帰りなさいませ!テヒョン様!」」
皆が一斉にお迎えの声を掛けた
女中達はみな泣いている
「よくお元気にお帰り下さいました、テヒョン様・・・。」
女中頭が涙ながらに言う
「事故で落馬なされたと聞いた時には、みな凍りつきました」
「テヒョン様がいらっしゃらない宮殿は本当に生気を失いました」
「お元気なお姿でお帰り頂けて、幸せでございます」
宮殿の者達がそれぞれに主人の帰りを喜んでいた
「皆、心配を掛けたな。スミスも不在の中、家を守ってくれてありがとう」
テヒョンの言葉に拍手が起こった
「さあさ、お出迎えはこの辺にして、テヒョン様がなかなか入れませんよ」
スミスの言葉に、女中頭が先導してテヒョンを屋敷内へ迎え入れた

「スミス様、お疲れ様でございました。テヒョン様の看護ありがとうございました」
スミスの補佐を任されている近侍が、スミスを迎えた
「私の留守中よくやってくれたね。問題はないか?」
「はい、普段からスミス様が滞りなくされていらっしゃったので、お屋敷内は問題なく運営出来ております」
「そうか、よかった」
「スミス様、この先が凄いことになっておりますよ」
「ん?どうしたのだ?」
「見て頂いたらお分かりになります」
近侍がそう言ってテヒョンの後にスミスを促した

「これはどうしたのだ!?」
テヒョンが宮殿の中心部に当たる大階段がある広間に入った所で、驚きの声を上げた
「どうなさいましたか、テヒョン様」
スミスがテヒョンの声を聞いて、慌てて側にきた
「これは・・・・」
広間の階段の近くには、赤いビロードの敷物が敷いてあり、その上には沢山の贈り物が置いてあった。それは山高く積み上げられ、まるでクリスマスプレゼントのように華やかな色合いで置いてある
そして、階段や飾り棚の上には、大小様々な花瓶が置いてあり、冬の様々な花が沢山挿してあった

「こちらはテヒョン様へのお見舞いの品々でございます。お怪我をされた事が公式に知らされた後、毎日のように当家に届けられました」
近侍が説明をした
「本来であればお客様をお迎えする重要なこの場所に、贈り物を置いたままにする事自体、贈って下さった方々に対し失礼になる所ではございますが、テヒョン様がご不在でございましたので、贈り物と共にお迎えしようという事になり、この様な状態になったのでございます」
女中頭がそういう事情をテヒョンに説明した
テヒョンは積まれた贈り物に近付いて、1つ1つ見ていく。スミスも近付いてテヒョンと一緒に贈り物を見ていく
「スミス、しばらくは礼状を書くことに専念しなければならないな」
「そうでございますね。私もお手伝い致しますよ、テヒョン様」
テヒョンは丁寧に、時折メッセージカードに触れたりしながら見て回った



※ 画像お借りしました