群青と真紅㉝【テヒョンの快気祝い】 | Yoっち☆楽しくグテを綴る♡

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ガチガチのグテペンです
現在、テヒョンとジョングクをモデルに小説を執筆中☆

来たぁーーー✨✨✨
現実にキム公爵降臨👑
私の物語のテヒョンのイメージはドストライク💯でこの子ですよ😭😭😭😭

そして、みなさんも色んなテテのイメージで、【群青と真紅】を読んで下さっているみたいで嬉しいです😆✨✨



前回の物語



【文中解説】
フランス🇫🇷菓子シブースト
画像:コッタ
シブースト (フランス語chiboust) とは、クレーム・シブースト (crème chiboust) を用いた、フランス発祥のケーキの1種である。フィユタージュ(折りたたんだパイ生地)にリンゴ、クリーム・シブーストを重ねて、上面をキャラメリゼして作られる

クレーム・シブーストは、カスタードクリームゼラチンイタリアンメレンゲを混ぜて作ったクリームである。1840年頃、パリのサントノレ通りに菓子店を開いていた菓子職人シブースト、あるいはその弟子のオーギュスト・ジュリアンが考案したと言われる。シブースト(ケーキ)以外には、サントノーレというお菓子にも使われるため、クレーム・サントノーレとも呼ばれる 
wikipedia参照


ここから物語の続きが始まります


【テヒョンのハートのエース】


昼食の後、スミスはせわしなく部屋を出たり入ったりしていた
明日、テヒョンが屋敷に戻るので、荷物の整理をしているのだ
公爵家から荷物を引き取る為に馬車が向けられ、明日はテヒョンの身一つで帰るだけとなる

ジョンソン男爵とフランシス嬢は、食後の散歩に出掛け、テヒョンとジョングクは、部屋でトランプをしながらくつろいでいた
「明日はいよいよごお屋敷に戻れますね、テヒョン様」
「うん。長がったような気がしていたが、あっという間だったな」
「近衛部隊にいると、みんながテヒョン様のご容態を心配して、私に訊ねて来ていました」
「そうか・・色んな所に心配をかけてしまったな。ジョングク、君の部隊の者達に、気にかけてくれた事へのお礼を伝えてくれ」
「はい。必ず」

「でも・・・」
と、テヒョンは前置きをしてから
「私が1番感謝しなければならないのは君だ」
と、言った
「体力的にも精神的にもとても助けられた。本当にありがとう」
ジョングクは、礼を言いながら真っ直ぐに見つめてくるテヒョンの視線に、甘い雰囲気を感じて心拍数が上がった
「いいえ、そんな・・」
吸い込まれてしまいそうな瞳に耐えられず、ジョングクは言葉の途中で目を逸らした
テヒョンはジョングクを見つめたまま、無造作に手の中で1枚づつカードを捲っていた。そしてカードが最後の1枚になった時、それを自分の前に出すと、ゆっくりひっくり返して見た
「あ!ほら、ハートのエースだ!」
と嬉しそうに言って、ジョングクに見せた
ジョングクはそのカードを見て、テヒョンに視線を向けた
テヒョンはハートのエースのカードを取ると、自分の頰につけて微笑んでいる
・・ジョングクはもう動けなかった

コンコン、と軽やかなノックの音がした。『どうぞ』とテヒョンが答えると、
「ただ今戻りました!」
フランシス嬢の明るい声と共にジョンソン男爵も一緒に散歩から戻ってきた
「聞いてくださいませ!キム公爵、チョン伯爵。今日の牧草地にはとても可愛らしい仔牛が放牧されておりましたの!」
フランシス嬢が少々興奮気味に話す
「私はずっと追いかけられて大変でした・・・」
ジョンソン男爵が辟易した顔で言った
「トーマス様が仔牛と走り回っている姿をお二人にもご覧頂きたかったですわ」
フランシス嬢が思い出し笑いをしながら話す
「ひどいなぁ・・あれは結構必死に逃げていたんだよ」
「あら、あれは逃げてらしたの?私には楽しく追いかけっこをなさってるようにしか見えませんでしたけれど」

テヒョンとジョングクはテーブルで、トランプのカードを持ったまま、二人のやりとりを見ていた
「我々が実際に見に行かなくでも、情景はハッキリ想像がつくよな?ジョングク」
「はい、今まさに頭の中で見ております」

このまま自分達が介入しては、散歩話に収拾がつかなくなりそうなので、テヒョンはジョンソン男爵とフランシス嬢をトランプゲームに誘った。二人とも素直に応じたので、これでジョンソン男爵とフランシス嬢の《喧騒》の収拾は着いた


4人でテーブルを囲んでトランプゲームに興じていると、荷物の整理に一段落ついたスミスが部屋に戻って来た
そして、テヒョンの側まで来ると、うやうやしく封書を渡した
「テヒョン様、お父上がクリスマスからテヒョン様のお誕生日前には、ご帰還なさいます。屋敷の者がテヒョン様宛の私信を持って参りました」
テヒョンは封書を受け取ると、早速封を切り書面に目を通す
「父上は暫くこちらにいらっしゃるようだな」
テヒョンは今回の父親の帰国が、国王からの命令であることを知っている。不穏な世界情勢が懸念される中での帰還である為、手放しで喜ぶことは出来ない

だけれども、テヒョンの父親は他国で多忙な執務を熟してきた身。心置きなくゆっくり静養してもらいたいし、何より父親の帰りは喜ばしいことだと思った
「久しぶりのご帰還だ。父上には心ゆくまで我が家を堪能して頂きたい」
「そうでございますね。我々も心してお迎え致したいと存じます」
「テヒョン様、お父上が落ち着かれました頃、是非ご挨拶に伺わせて下さい」
ジョングクがそう申し出た
「うん。僕も父上に君を一番に紹介したい」
「ようございましたね、キム公爵。今年はお父上と年末年始はご一緒出来ますのね」
フランシス嬢が安堵の言葉を掛ける
「そうなりますね。父上と過ごすのは本当に久しぶりですよ」
「しばらくは親子水入らずでいられますね!」
ジョンソン男爵が自分のことのように歓んだ
「ははは。でも仕事の事ばかりになりそうだな」

テヒョンが嬉しそうに笑っている姿をジョングクは見て微笑む
例え帰国の理由がシビアなものでも、父親の存在のお陰で、あの屋敷でのテヒョンの食卓が、孤独な食卓にならずにすむ事に、ジョングクはほっとしていた


【プチ・パレスのアフタヌーンティー】


お待ちかねのアフタヌーンティーの時間になった
スミスとフランシス嬢が厨房から、朝から二人で頑張って作ったお菓子と紅茶のセットを運んできた

スミスがデザートトレイに綺麗に盛り付けをする
一番下にサンドイッチ、中トレイに温野菜、そして一番上にスミスとフランシス嬢お手製の焼き菓子が乗った
その他にもアミューズ、スープ、スコーン、チョコレートが揃っている
「うわぁ、これは初めて見る焼き菓子です!何というお菓子ですか?」
ジョンソン男爵がスミスとフランシス嬢が作ったお菓子に目を奪われた
「それはシブーストといって、フランスで生れた新しいお菓子ですわ」
「今回、テヒョン様のプチ・パレスでの快気祝いを親しい皆様方とお過ごし頂けたらと思いまして、フランシス嬢に兼ねてからお菓子の相談をしていたのです」
「丁度、フランスにいるお友達から手紙でシプーストのレシピを頂いていたので、それをお召し上がり頂こうと思いました。こちらでは、まだ珍しいお菓子ですのよ」
「さあ、皆様どうぞお召し上がり下さい」
「テヒョン様、ご快気おめでとうございます」
ジョングクがテヒョンの隣に座り、言葉を贈った
「キム公爵、ご快気おめでとうございます」
ジョンソン男爵がフランシス嬢と一緒に言葉を贈る
「ジョングクもフランシス嬢もジョンソン男爵も、ありがとう、、スミスもほら、一緒にテーブルに着いて!」
「ありがとうございます。テヒョン様、ご快気おめでとうございます」
スミスもテヒョンに促されて席に着くと、そう言葉を掛けた

テヒョンは皆から言葉を掛けられて、嬉しそうに皆の顔をゆっくり見つめていった
「皆がそれぞれに心を寄せてくれたお陰で、怪我だけで心の病にだけはならずに済んだ。本当に感謝している。そして忙しい中でも私の為に、時間を割いて友情を示してくれた事を有り難く思う。ありがとう」
ジョングクがテヒョンの背中を優しく擦った
「マナーは気になさらず、ご自由にお召し上がり下さい。それがテヒョン様独自のルールでございます」
スミスが笑顔でそう言った。テヒョンも笑顔で頷く

スミスが紅茶の準備をすると、フランシス嬢が各々のお皿に取り分けをしてくれた

「これは本当に美味しい焼き菓子だ!」
テヒョンが早速シブーストを一口食して言った
「クリーム最高ですね!お二人共凄いです!」
あまりの美味しさに、ジョングクも驚きの声を上げる
「フランシス、このシブースト、また作ってくれるかい?」
ジョンソン男爵は哀願するようにフランシス嬢に頼み込んだ
「勿論作って差し上げますよ」
ジョンソン男爵はその言葉に安心して、満面の笑みで次の一口を頬張った
その様子に、テヒョンとジョングクは顔を見合わせて笑った

スミスとフランシス嬢の心のこもったアフタヌーンティーのテーブルに、テヒョンだけでなく同席した者皆が幸せな気持ちになれた

ひとしきり皆で談笑をして、ジョンソン男爵とフランシス嬢が、先に帰って行った
暗くなる前にと、スミスが灯りを取りに部屋を出た

「さて、私もそろそろ屋敷に戻ります、テヒョン様」
テヒョンとジョングクは同じソファに並んで座っていたが、立ち上がったジョングクの上着の裾をテヒョンが掴んだ
「夕食は食べていかないのか?」
その言葉にジョングクがテヒョンへ視線を向けると、見上げるテヒョンの揺れる視線とぶつかった
「・・・はい、申し訳ありません。どうしても明日は早く出なければなりませんので」
「そうか、それならば仕方ない」
テヒョンは掴んでいた裾を離すと、立ち上がり、ジョングクの背中に頭をつけた。そして
「暫くは、、また会えないのだな」
と言ってそっと両手を回して抱きしめる

自分の大胆な行動に、テヒョンの心拍数が上がる。そして、ジョングクの心拍数も上がった

ジョングクは自分の体に回されたテヒョンの手を握った。そしてゆっくりと体からその手を解くと、そのまま振り返りテヒョンを抱きしめた
その瞬間にふわりとジョングクの香りが、テヒョンの鼻をくすぐる
その心地よい香りで、高鳴る鼓動と共にテヒョンの気持ちが高揚する

テヒョンは宙に浮いた自分の両手を恐る恐るジョングクの背中に回すと抱きしめ返した
ジョングクは、その腕の力に応えるように
「またすぐに会いに行きます、テヒョン様」
と、テヒョンの耳元で言うと、そっと頬に唇をつけた
突然の事にテヒョンの鼓動は更に高鳴り、泣きそうになった

テヒョンはジョングクの胸の中に包まれながら、今やっと完全に観念する

魂はずっとテヒョンの心を叩いていたのだ
ジョングクが好きだ》という事をはっきりと、またしっかり己に言い聞かせて欲しいと

そして、全てを受け止めたテヒョンは不思議と心が楽になった
そして湧き上がる幸福感に包まれた

テヒョンは、自分から体を離すと真っ直ぐにジョングクを見つめた。そして
「会えない間、寒いから風邪をひかないようにな。次に会える日を楽しみにしている」
と、しっかりとした口調でジョングクに言った

さっきの静かに甘えるような感じから一転、自信に満ちたようなテヒョンの表情にジョングクは驚いた
「はい。私も次にお会いできるのを楽しみに職務に励みます」
ジョングクが言い終わらないうちに、テヒョンがそっと手を繋いできた。そしてそのままその腕により掛かる
ジョングクは意表をついたテヒョンの仕草に心は翻弄されるばかりだ
『このお方は、なんて純粋に可愛らしい事が出来てしまうのだろう』そう思いながら、テヒョンがする事の全てを受け入れてあげたいという思いに駆られる
テヒョンの何もかもが愛おしくて仕方がなかった
そして、繋いだ手の指を絡ませて繋ぎ直した
テヒョンは嬉しそうに微笑む

ジョングクは自分でも驚くほど積極的だった
この先気持ちがこのままいったら、恐れている事に巻き込んでしまう懸念があるにも関わらず・・・・・
でも今はこのままこのお方の側にいたい、単純にその一点だけだった

二人はしばらく、このままお互いの温もりを黙って感じていた・・・

部屋が薄っすらと暗くなり始めた頃、スミスが灯りを携えて部屋に戻って来た
「スミス、ジョングクが帰るぞ」
「そうでございますか。では厩舎に連絡を致します」
「スミス殿、灯りをこちらへ。私が点けておきますよ」
ジョングクはそう言って、スミスから手持ち燭台を受け取った
「恐れ入ります、ジョングク様。それでは宜しくお願い致します」
そう言ってスミスが再び部屋を出た

ジョングクはシャンデリアのロープを解きに行く。テヒョンもついて行き手伝った
「大丈夫ですか?テヒョン様」
「大丈夫だ。これでも力はあるよ」
こうして二人でロープを解くと、シャンデリアを下げる
ジョングクは細長い点火用の棒に火を移すと、シャンデリアのてっぺん中央から火を点けていった
テヒョンはジョングクの後ろで、その手際の良い点火の様子を見ていた

あっという間にシャンデリアの灯は全て点けられた
「さすがだな、ジョングク。見ていて気持ちがいい」
「ありがとうございます。さ、すぐに上げてしまいましょう」
そう言って再びロープを握ると二人でシャンデリアを上げた。そして仕上げはジョングクが、しっかりとロープを結んで固定させた

その後は部屋の燭台に次々と灯を燈していった
全てに灯りが点いた頃、スミスが戻ってきた
スミスは部屋の灯りを見回して
「さすがでございますな、ジョングク様」
と言って頷いた
「さ、もう伯爵家の馬車が待機しておりますので、エントランスホールまで参りましょう」
テヒョンも見送りのため、一緒に部屋を出た

エントランスホールまで行くと、スミスの言う通り、チョン伯爵家の紋章がついた馬車が待機していた
馬車に繋いでいる馬が鳴いた時、テヒョンがピクリと反応した
「大丈夫でございますか、テヒョン様。無理にお見送り下さらなくてもよいのですよ」
ジョングクが心配してテヒョンの肩を擦った
「いや、ちゃんと見送らせてくれ」
テヒョンがそう言って笑ってみせた
ジョングクはスミスを見た。スミスはにっこり笑って頷いた
「ではテヒョン様、参ります」
「うん。わざわざ貴重な休みの日に見舞ってくれてありがとう」
ジョングクは笑顔で応えた
「スミス殿も美味しいお菓子をありがとう」
「喜んで頂けて何よりでございます。どうぞ道中お気をつけて」
ジョングクは再びテヒョンを見て握手を交わすと、名残惜しい気持ちを断ち切って馬車に乗り込んだ

スミスが素早くテヒョンの横についた
出発の合図に鞭が打たれると、馬が再び鳴いて馬車が動き出した
テヒョンが少し震えた
スミスがテヒョンの肩に手を掛けて、しっかりガードした

ジョングクが乗った馬車がエントランスホールを出ると、夕暮れの中を通り抜けて行った



※ 画像お借りしました