車のエンジンをかけて、目的地をナビで設定した。

タバコの煙がルーフに消えていくのを見ながら、大きくため息をついた。

面倒くせぇな…

そんな思いも知らずに、ナビの案内が始まった。

目的地には21時5分頃に到着予定です…

20時50分には着くな…
俺のナビは、必ず遠回りさせやがる。

いままでの9割は、俺のカンと予想で走る方が早いからな…

初夏

窓を開けて走るには、ちょうどよい気候だ。
この季節になると、夜のコンビニでたむろする若者が目につく。
本格的な夏を前にして、楽しげな姿…

…ん?まてよ…俺は若者じゃないのか?

とりあえず、自分にツッコミを入れておいた。

腕をくんで歩くカップル…
幸せそうな笑顔。
いつからだろう…あんな感情がなくなったのは…

フゥ…やれやれだ

いくらクールに気取っていても、今の俺はコンパに向かって走っている。

彼女が欲しくてたまりません!!

まわりから見たら、そんな感じにしか見えないだろうな;

彼女ねぇ…

面倒くせぇ。

俺は心と裏腹にアクセルを踏み込んだ。
罪 誰がそう決めたのか

罰 誰が私を許すのか

全ての想いを
氷の仮面で隠し

生かされながら
生きていく愚か者

背負いし男
18時頃~

携帯が小刻みに震えている。

「はい…」

俺は面倒くさそうに応えると、受話器の向こうから鼓膜を破りそうな大きな声が頭を貫いた。

「お疲れ様です♪」

フゥ…やれやれだ

「どうした?」


「勝雪さん、今日の夜、空いてますか?」

甲高く、大きな声のヤツは、俺の後輩で…と、言っても仕事では、まったく関係ないんだが…
まぁ、面倒くさいが理由くらいは聞いてやろう。

「急にどうした?」


「今日、コンパがあるんすよ♪
勝雪さんの事を皆に話したら、逢いたい♪って楽しみにしてるんすよ。」

誰が楽しみにしてるんだよ…
適当な事を言いやがって…

「ただ、お前たちが金がないだけだろ?」

俺は直球で、言葉を突きつけた。

「へへへっ♪ その通りっす。あっ!で…でも、凄くべっぴんが来ますんで♪
損はしないっすよ♪」

何なんだ…その安物の風俗店の呼び込みみたいなセリフは…

だいたい、べっぴんとか、可愛いとかいう話が的中した事はない。
この確率は年末ジャンボより薄いだろう…

「コンパねぇ…何時からだ?」


「21時です。必ず来て下さいよ。待ってますんで♪」

………
……………

こいつ…勝手に電話を切りやがった。

フゥ…やれやれだ