無意識に開けたその扉

甘くて…

心地よくて…

そして苦しくて…

全てを飲み込む大きな闇

その全てを背負い

悲しく笑う愚か者

それが罪を背負いし者
時刻は23時に差し掛かるところだ…

少しずつ空席が出てきた。

もう少し話をして場所を変えたいところだが…

あちらで騒いでいるアホども(後輩たち)に素晴らしい言い訳をしなければならない。

一緒に行きます!なんて空気の読めない言動を平気で言えるヤツだからな。

フゥ…やれやれだ

よく考えてみてくれ。
何故、俺が後輩に気を使って行動しなきゃならないんだ?
しかも、財布にまでもなって…

……
………まてよ!?
俺は何を先走ってるのだ?彼女が次の店に行くとは言ってないぞ。

俺は、一番大事な事を忘れていた。

やっぱり面倒くさい。

タバコを取り出し、大きくため息をついた。

「お待たせ…
どうしたの?何か考え事してた?」

彼女がグラスを差し出しながら不安そうな顔で俺を見つめている。

そんな彼女を見ていたら、俺の下心なんかどうでもよくなってきた。

今、楽しければいい…

少しあきらめとも思える気持ちと、素直に二人で楽しめたらいい…と言う気持ちが同居している。

「楽しく飲んでるよ。」

不安そうな顔をしている彼女に優しく答えた。

すると少し微笑みながら、彼女が語りかけてきた。

「勝幸はどんな女性がタイプなの?」

可愛いかったら誰でもいい…ってのが本音だか、その気持ちをストレートに言うのはマズだろうな。

細かくタイプを話すべきか…

面倒くせぇ~な…
俺は残りの酒を一気に飲み干した。

「次も同じでいい?」

俺のグラスが空になった事に気付いてくれていた。
そんな小さな気遣いや、気配りの出来る女は好きだ。

「あぁ…同じので頼む。」

そうは言ったが、少しペースが早いかもしれないな。ペースを落として、彼女に合わせようか…

……って、おい!

アンタも飲み干してますやん!!
えっ!何?もしかして…お酒…強いんですか?

強かったらどうしましょ;
俺が先に潰れては洒落にならんぞ。

カウンターに向かって歩く後ろ姿…
参ったなぁ…間違いなくシラフだな;

まさか、軽い気持ちで来たコンパで、これを使う事になるとは…

俺はカバンの中から、肝臓の動きを活発にさせる飲み薬を取り出した。

間に合ってくれよ、俺の肝臓ちゃん!!

そんな願いを込めて一気飲み…
かなり不味い。

ここまで頑張ってるんだから、真面目に口説くとするか…


この瞬間から、罪と罰への扉が開かれた…