宝塚雪組 Music Revolution! / 壬生義士伝 東宝観劇感想 | 百花繚乱

百花繚乱

駆け出し東宝組。宙から花のように降る雪多めに鑑賞。

 

中村一徳先生のショーは、レビューなんだな、と思った。

 

・人海戦術

・左右対称命

・色の洪水で責める

・クラシカルな振りが多い

・ひらひらのジョーゼット衣装

・クラシック曲・ジャズ曲の有名曲のアレンジ

・曲を長めの尺で丸々使う。  

 

岡田先生のレビューに似ていると思う。

レビューがお決まりの型でも安心感満足感があるのと同じで、中村先生のショーも、構成は代代ほぼ同じだけど、見ていてとても楽しい。

 

今回レボリューションしてたのはなんと言ってもテンポ

振りが早い早い。

手拍子も早い早い。

皆さん書いていたように、ひたすら休みなく踊りまくる。

 

奇をてらうのでなく、ダンスと色彩、そして何より演者の全力のエネルギーで楽しませる

余分なものを取り去って、集団で見せる原点に立ち返るようなショーでした。

それをしっかりこなす雪組はさすがの安定感で、組の充実を感じます。

 

 

今回のショーはあまりだいもん色が強くなく、雪組全体で見せていく感じだった。

だいもんに特化したシーンと言うと、背広をびらびら裏返してたり、青ねぎの束背負って吼えてたり、客を威嚇してたり神様になってたりする強いシーンが思い浮かぶけど、今回はそれほど圧のあるオラついたシーンはなし。

ソロのシーンも落ち着いた箇所を担うことが多くてだいもんの歌う力をストレートに堪能できたのがとてもよかった。

ロックばりばりのアップテンポなショーの中で、かちゃが出るシーンは、エレガントでオーソドックスな風味が加わってアクセントになってたと思う。

 

■プロローグ

黒づくめにメタリックな無機的な衣装、だいもんの歌声と共に、舞台上に音楽の騎士達がアジトから続々と登場するのがかっこいい。

話題騒然のFNSのDAPUMPのコラボもこのお衣装で、カラフルなDAPUMPとの対比もよかったし、男役のシャープなかっこよさが映えてて惚れ惚れ。

 

てか、雪組、いつの間にこんなに足育った?

だいもんを挟んでの咲ちゃん・かちゃの無雑作投げ出し御み足シンメですが、せりがほとんど二人の足で埋まってます

そして、ひとこちゃんもあやなも足、前より延びた??

いい音楽聴くと植物ぐんぐん伸びる伝説みたいに、だいきほの音楽が養分にでもなったの?

 

男前にきりりと踊りまくっていた真彩ちゃんが銀橋を渡り、「あなたの声に導かれて」 と歌い始める響きがあまりに滑らかでドラマティックで、一気にひきつけられる。

彩彩はいうまでもなく、翔ちゃんからあーさ(朝美絢)、あーさからひとこ(永久輝 せあ)、ひとこから綾縣へと美から美のバトン、ありがとう、ありがとう。

咲ちゃんには語るような低音のフレーズ、翔ちゃんには高めの声が生かされるメロディ、あーさには中音のメロディがあたってるのも聞きやすい。

最後のだいもんのスキャットは、もう余裕のよっちゃんで、鼻歌なんじゃないかと思うほどの自然さと貫禄。くらくらするわー

 

 

かちゃとひらめ(朝月 希和)ちゃんのシーンは、雰囲気が変わって急にさわやかに。

渚のライムソーダとか白いパラソル的胸きゅんの明るさ。

オープニングと鬘を変えてきてるひらめちゃんとのデュエットはとっても甘くて、かちゃの持ち味の優雅さが、雪組にはなんだか新鮮に見える。

衣装が黒なのだけが実に惜しい!

 

階段奥の、絶妙な小ささの階段が妙にツボでした。

二人乗ると満員で、昔なつかし踏み台昇降のような体育館味がある。

背中合わせに娘役が座ってたり、カップルが上ってたりと、小粒ながら意外に活躍していてついつい見てしまう。

後ろの階段でいちゃついるカップルの一禾あお(いちかあお)君の笑顔に光る白い歯がまぶしい。

 

■革命の男

ガウチョとスペイン兵の戦い。

スパニッシュのリズムに、どこかスイングするような感覚があって、だいもんの陰りのある伸びやかな声が官能的。

「革命のよーる」「革命のこーえ」の芯の強さ、余韻にしみじみ聞きほれる。

だいもんはつくづく歌のストーリーテラーだなあと思う。

 

上からせり下がってくるスペイン兵も皆面構えがいい。ひとこの赤軍服はさすが。

見守る女たちはエクウス(馬)の精。

鮮血が噴出すような真っ赤なドレスの女達、ゴージャス!!

うきちゃんの華やかな押し出しといい、ひまりちゃんの脚線美といい、きゃび様やかれんさんのアシンメトリーなアップの髪型が野生的でセクシー。

真彩ちゃんが一番素朴と言うか、村娘のような衣装なのは何故だ。

 

■Jazz sensation

雪組定番のブライアント先生のジャズ場面。

今回はニューオリンスの町でジャズを踊り狂う咲ちゃんたち。

曲がMelodiaのダウンタウンジャズと全く同じだけど、オマージュだと思うことにしよう。

 

男役の後ろから、「JAZZ」の大文字の看板が競りあがり、そこへもたれかかりながら娘役が競りあがってくる。かっちょええ。

Jazzの確か「A」に壁ドンして、ハットに金髪縦ロールで背中見せてるひーこさんに惚れる以外の選択肢はない。

 

サックスとトランペットを片手に、あやなちゃんと縣君が出てきてダンスバトル。

途中から掛け声も加わり、ビバップジャズのアドリブ合戦を思わせるワイルドな応酬が繰り広げられて、熱気むんむん。

舞台上の人数がどんどん増えていって (ブライアント先生のシーンで最多の人数じゃなかろうか?)、皆が飛んだり跳ねたりする足音や掛け声も打楽器みたいに音楽の厚みの一部になっていく。

ジャズ発祥前夜の猥雑な生命力が舞台上にあふれかえっていて、見ていてこっちまで上気してくる。 

 

このシーンで私が見惚れるのは、娘役さんのハット!!

男役のハットもかっこいいけど、娘役さんのハットも大好きなのです。

特にあゆみさん(沙月 愛奈)ハットのツバの折り返し、キレキレでかっこよすぎる。

ひらめちゃんは臙脂のハットをモガみたいな丸っこいシルエットにしてて、クラシカルな雰囲気がするし、みちるちゃんは深めにガーリーにかぶってるし、潤花ちゃんのシャギー調の金髪ショートがハットの下から覗くのもかわいい。みんな自分らしくアレンジしててすごく楽しい。

 

 

■clasic world

設問:以下の色の補色を述べよ。

 

黄色    

水色 

 

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正解: 黄色 ・  ②青・オレンジ  ③水色 ・ピンク 

 

たぶん、このシーンを凝視するとカラーコーディネーター3級がとれます。(※推定)

 

カルフルなブライトカラーの組み合わせのお衣装で、組子達がクラシックの名曲のラテンアレンジを踊りまくる。

スーパーボイジャーの加藤真美先生とは思えないきつめの色使いのお衣装で、補色はインパクトを出す手段とは言え、ちょっとインパクトありすぎて、老眼の目に染みました

しかも娘役さんは、スカートに見せかけて、くす玉みたいに左右にぱかーーーっと割れる便利服

確かに裾は綺麗に割れ、回転すると波だって美しいけど、便利と色気は反比例するような・・。

スカートの下の黒のレギンスがはっきり見えて気づいたんだけど、娘役さんはオープニングの衣装の前あてとスカートをとって、カラフルなリボンとスカートを装着してる? 

着替えのステップがあからさまに透けて見えたのは初めてで、ちょっとショックを受ける。

 

 

だけど二階席から見たら、ぐるぐると渦を巻く色彩の洪水が圧巻の迫力だった。

回旋する体の動きを通して、色彩が音というエネルギーに変換されてるみたい

光が点滅するように、多彩な色が渾然一体となって溶けて、リズムと音階が混沌と混ざり合った音楽の原始的なパワーを感じる。

セットもないし、ただひたすら踊っているだけなのに、とにかくスピーディーで、皆があまりに楽しそうに絶え間なく全身で踊るので、躍動感にどんどん引き込まれていく。

 

 

ラテンリズムの「威風堂々」乗せての客席降りは、音楽が譜面から飛び出して、客席に、巷に拡散して一体となるよう。

実は、うきちゃん(白峰ゆり)の投げキッス唇をくらって撃沈し、慌てふためいてオペラを床に落としたあげく、何をとち狂ったか脊髄反射で投げキッス返ししまった。

(※注 脳を経由できてません)

 

・・・・お前がやってどうする。

 

うきちゃんがやればファンサービスだが、こっちからやったらただのセクハラだ。

すみません。すみません。本当にすみません。

その後、石仏と化していたので前後の記憶がありませんが、かわいかったです。楽しかったです。

 

ひとこちゃんのソロのカノンの登場の場面は、、爽やかな登場。

トンチキ衣装なのに品のある涼やかな美貌が映えて、甘さと華のある存在感がすばらしい。

雪組の王子様が・・・・ううう・・・うん、でもとてもあうと思います、花組。

きっといつかれいちゃんと髑髏城のような総髪の和物をやってくれると信じています。

 

バリバリのエレキギターアレンジにのせて、黒のパンツにカラーシャツに着替えて踊り続ける姿は、まるで鍵盤の黒いキーの上を、カラフルな16分音符とか付点音符が跳ね回っているみたい。

舞台の端から端まで使って踊るJIJIジジ(鳳華はるな)のソロシーンもぐっとくる。

 

そして、最多人数かつ最長のフェッテ!!

10何人がくるくると一斉に回転する姿は壮観の一言。

ターンにも抑揚や強弱がついていて、音楽と戯れてるみたい。

全力で賞賛の拍手を贈ったよ。

 

突風の、見ごたえあるシーンでした!! お見事!!

 

■music is  my life

そこまでの網膜大フィーバーのカラフル砂嵐はこのシーンのためかと思うほど、白一色の世界が美しい。

トーンダウンした優美なメロディにたゆたうだいもんの歌声の耳心地のよさよ。

 

単色のジョーゼットお衣装に、ねじりはちまき。

パルテノン神殿+冠的なものなのか、一瞬丹波哲郎的大霊界をも思わせる全員総出のシーンは中村レビューの定番。

ちぎさんの絆、壮さんのMy Dream TAKARAZUKAとブレが一切なくて、もはやすがすがしい。

 

「あなたこそ音楽の天使」 

「君こそmusic」 

「音楽の神はいた」

「望海マエストロ風斗」

「最the高」 

 

等々絶賛の賛辞を浴びているだいもんと音楽は切っても切り離せないけど、ついに献歌登場

Music is my life 「音楽は人生だ」 といつもだいもんが言っているのを受けて、中村B先生が作ってくださったという曲。

 

だいもんにそう言われると、「力こそパワー」 「毎日がエブリデイ」 みたいな、ひたすらな説得力

 

雪組の望海風斗の記念写真みたいな曲ができましたね。

(コンサートで緑のペンライト振る己の姿が見えた。)

 

だいもんの壮大な公開デレ 「音楽が君との出会いを与えてくれた この世にひとつだけの君の歌」 におののいていると、

「この世にひとつだけのあなたの歌声、あなたの声が愛に代わる」 真彩ちゃんの直球アンサー。

いや、万歳。

えがった。ええ歌やった

 歌でがっつり愛を交わすのが実にこのコンビらしい。

ここの二人のダンスが、とても無邪気で楽しげで大好き。 

 

 「二人の愛の証」か、つながっている・・のような歌詞のとき、だいもんはヘ音記号、真彩ちゃんはト音記号を手で書いてた気がする?

 

皆が笑顔でだいもんを見上げているのもお約束だがぐっとくるし、どSちぎもんの握手シーンのソロを歌っていた咲ちゃんが、またもや皆を見守る位置で歌を歌っているのが感慨深い。

(鐘の音がかすかに聞こえた気がしました。)

 

 

■青年の歌

あやな(綾凰華)ちゃんの銀橋ソロ。おめでとう! 待ってたぜ!!

ロカビリー調、似合うね! 

(ライズングスターのジェームスディーンもすごくよかった。)

あやなちゃん歌うまくなったね!

男臭いベタな歌も照れなしでこってり歌いきり、オヤ?っと思いつがちなところも、キラキラで強引に押し切る。いいぞ!!

相変わらず目を引くダンスに、FNSの緊張した姿はなんだったんだ・・・と思うほどの余裕すら感じる客席アピールもすばらしい。

 

続く水色の若手陣たちも、ほっこりフレッシュ!

あみちゃん(彩海 せら)、お顔立ちがかわいらしいけれど、キザりはしっかり男っぽくってオッと思わされた。

 

 

■ロケット

テンポがとにかく速い! 手拍子あんな早く打ったの初めてです。

潤花ちゃん、ここぞとばかりのびのび踊って目だってました。ブライアント先生振りつけのラインダンスは、ちょっと抜け感があって面白い。

開脚ドミノはすごい華やか!

 

■フィナーレB

真彩ちゃん&娘役によるJAZZバラード。

後ろのカナリアイエローのドレス&黒長手袋の娘役たちと、真彩ちゃんのミッドナイトブルーのロングドレスもパキッとした見事な補色

ボブ姿の真彩ちゃんは、大人な色気と言うより、夜に香る白いジャスミンを思わせる清潔なシックさ。それもまたグッド!

 

・・・とそこへ、なんと、かちゃ登場。

かちゃの昭和的なためのある色気はすごく好き。

「遊びの愛も楽しいもの」なんて、だいもんとじゃあ歌えないもんね。

かちゃにくどかれるも、しらしらっと受け流す真彩ちやん、ナイスあしらい。

 

今回娘役さんが、どの場面も鬘を変えていてとても楽しい。

この場面はブロンドのロングのダウンスタイルで、トップにキラキラのストーンキラキラをつけてる娘役さんが多くて、二階からみたらくるりと回転する度に光の粒が飛んでとても綺麗。

ショーは全体的にとてもシンプルだけど、その分鬘とか小物で華やかにする娘役さんの匠の技が目をひく。

 

 

■フィナーレC 男役大階段

Ticotico fubaラテンの曲に真紅の大階段での男役群舞。

雪組の燕尾に、熱を感じました。

荒々しくどやる燕尾ではないのに、熱情が静かに滾って見える。

男役がぐるりと円形に囲み、燕尾姿で地に伏している中央でだいもんが踊る姿は壮観。

 

中詰めpart2タイム、ラテンのリズムも楽しいticoticoにあわせての銀橋ベルトコンベアタイム。

だがしかし、なんたってすごいスピードなので、皆様もはや口言葉のラッパー状態

何を言っているんだかはわからないが、誰も噛まないのはさすがの滑舌。

聞き取れたのはラストフレーズ 「恋の歌―!」「愛の物語--!!」のみだったが、うん、愛と恋の物語なのは伝わった。

ラテンの曲はリズムが命、もはやなにを歌おうが、音を発してればそれでよござんす。

民族楽器の土臭い音もしっかり残しつつ、洗練された燕尾ドレス姿で華やかに見せてくれる宝塚的潤色がつくづく好き。

 

 

■フィナーレ デュエットダンス

リストの「愛の夢」にあわせたデュエットダンス。

階段中央で歌っているだいもんと交差して、真彩ちゃんがスカートの裾を広げながら階段を斜めに横切って降りていく姿が幻想的で、夢の世界へ先導していってくれる。

ふと、ひかり降る路のラストシーン、マキシムとマリーアンヌとの別れのシーンの続きを連想した。

すみれ色のお衣装を着ただいもんが歌う「愛の夢」が、劇場空間いっぱいに広がっていって、浮かんだ一句。

 

「岩に染み入る 風斗の声」

 

ショーが、夏が終わってしまう。

夢が美しすぎて楽しすぎるから、幸せで悲しくなる。

 

優美で可憐なデュエットダンスは、急に止まったり、テンポが変わったりと、ダンスで変拍子の歌を一緒に歌っているような振り付け

乳白色のもやのかかった菫色の階段で踊る、菫色のお衣装の二人が、宝塚らしくて美しい。  

SVはほとんど歌だったし、ガトボニは戦うようなデュエダンだったし、20世紀号はアメリカのショータイム風だし、ファントムは真紅ドレスだったので、王道の夢夢しいデュエダンが見れてとても嬉しい。

手をつないでの銀橋わたりも愛らしい。

 

 

■パレード

はおりん(羽織夕夏)本公演エトワールおめでとう!!

 

パレードの曲もばりっばりのロックでかっこいい。

大階段から、舞台花に出てくるときに、「ちょっと待った!」 パー的、ストップモーションの振りが一瞬入るのがツボ。

しつこいけど、早い!

オペラ→手拍子→オペラ→手拍子の往復運動が大変なことになりました。

 

 

 

しっかし、あれだね、JPOPと男役の女装がないショーは、心に優しいです。

(それはそれでパンチがあって面白くはあるのですが)

 

だいきほの技量の確かさとクラシックな風合に、咲ちゃん始めとした次世代のシャープさ、雪組ベテラン中堅の分厚さがよく噛み合ったパワフルなショーでした。

 

 

 

 

 

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