#1 成長する会社の評価基準
はじめに
会社が成長するためには、社員の能力を最大限に引き出し、組織全体が同じ方向を向くことが重要です。そのために欠かせないのが「人事評価制度」です。しかし、多くの企業で「評価が不透明」「評価が給与に結びつかない」「社員のモチベーションが下がる」といった問題が発生しています。
では、どうすれば人事評価制度を効果的に運用できるのでしょうか?今回は、成長する会社が取り入れている人事評価の考え方と、そのポイントを解説します。
1.人は資産である
会社にとって最も大切なものは「人」です。機械や設備はお金で購入できますが、優秀な人材は育てるものです。そのため、人事評価制度は単なる査定のためではなく、社員一人ひとりの価値を高める仕組みであるべきです。
(1)人材を「コスト」ではなく「資産」として考える
給与や研修費をコストと考えると、なるべく抑えようという発想になりがちです。しかし、社員の成長が会社の成長につながると考えれば、研修や教育に投資することが長期的な利益になります。
(2)スキルアップの機会を提供する
評価の際に「今の能力」だけを見るのではなく、「どれだけ成長できるか」を考えることが重要です。たとえば、IT企業ではエンジニアに最新の技術研修を受けさせたり、飲食店では接客スキル向上の研修を行うことで、社員のスキルを高めることができます。
2.人の育成は企業の責任
成長する企業は、社員の成長を会社の責任と考えています。評価制度を通じて、社員が成長できる環境を整えましょう。
(1)「できていない部分」を指摘するだけでは不十分
評価の場で、できていないことばかりを指摘してしまうと、社員は「自分はダメな人間だ」と思い、モチベーションが下がってしまいます。大切なのは、「できていない部分をどう改善すればよいか」を示すことです。
(2)フィードバックを丁寧に行う
評価の際には、一方的に結果を伝えるのではなく、本人と話し合いながら改善策を考えることが重要です。建設業界では、新人職人に対して経験豊富な先輩が指導する「OJT(On-the-Job Training)」を取り入れることで、実践的なスキルアップが図れます。
3.組織文化をつくる
会社の成長には、共通の価値観や文化が必要です。人事評価制度は、その文化をつくるための重要なツールでもあります。
(1)評価基準を明確にする
評価基準があいまいだと、社員は「何を頑張ればいいのか分からない」と感じてしまいます。評価制度を通じて、「会社が求める行動や価値観」を明確にすることが大切です。たとえば、運輸業では「時間厳守」「安全運転」を評価基準に取り入れることで、社員の行動を会社の方針に一致させることができます。
(2)社員同士の信頼関係を築く
評価制度が公平に運用されていると、社員同士の信頼感が生まれます。飲食店では、接客態度が評価される仕組みを取り入れることで、スタッフ同士が互いに助け合い、チームワークが向上するケースもあります。
事例:成功した企業の人事評価制度
あるIT企業では、「成果」だけでなく「プロセス」も評価の対象にしました。プロジェクトの成功だけでなく、その過程での努力やチームワークを評価することで、社員が安心して挑戦できる環境を作りました。その結果、社員の定着率が向上し、新しいアイデアが生まれやすくなったのです。
一方、ある運輸会社では、ドライバーの「安全運転」を評価基準に組み込みました。事故の減少に加え、安全運転を意識する文化が根付き、会社全体の信頼度が向上しました。
まとめ
人事評価制度は、単なる査定の仕組みではなく、「会社の成長の土台」となるものです。
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人は資産である → 人材に投資し、成長を促す
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人の育成は企業の責任 → フィードバックを丁寧に行い、スキルアップの機会を提供する
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組織文化をつくる → 明確な評価基準と信頼関係を築く
評価制度を適切に運用することで、社員のやる気を引き出し、会社全体の成長につなげることができます。
しかし、人事評価制度の設計・運用には多くの手間がかかります。制度が複雑になりすぎると、かえって社員の不満が高まることもあります。そうならないためにも、専門家である社会保険労務士に相談し、自社に合った評価制度を整えることが大切です。
「成長する会社をつくるために、どのような人事評価制度が必要なのか?」そう考えたときは、ぜひ専門家に相談してみてください。







