外国人技能実習制度をめぐり、政府の有識者会議が4月末にまとめた中間報告書では、技能実習制度の廃止と新しい制度をつくる方針を決めています。今年秋にまとめる最終報告では具体的な内容がわかります。今のところ、外国人技能実習生を受け入れる窓口である、監理団体、技能実習者の仕組みがどうなるかわかりません。

 そこで、中間報告から見直しの動きをまとめてみました。

 

ポイントは5つ

 

新しい制度の方向性として有識者会議で検討された主なポイントは次の5つです。

①外国人技能実習制度の法の目的である、「開発途上国の人材育成を通じた国際貢献」から、「人材確保」と「人材育成」を目的とする新しい制度にする

 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律では、労働力の需給調整の手段としてはならない、としていました。

 しかし、実際は労働環境が厳しい業種を中心に人手を確保する手段になっていて人権侵害や給料未払いなどのトラブルが相次ぐなど、目的と実態がかけ離れていたのは周知の事実です。新しい制度は人材確保という目的を明確にした制度になる、ということです。

②外国人が技能、知識の面で成長しつつ、中長期に活躍できるキャリアパスの構築

技能実習2号、3号を終えた外国人実習生が、技術、知識をさらに高めて特定技能の在留資格に移行し、中長期にわたって日本に滞在して活躍できる道筋を示します。

 

③外国人の受け入れ人数の見込み数、上限が設定されます。

現在の外国人技能実習制度の受け入れ見込み数は定められていません。特定技能は各産業の分野ごとに2023年までの受け入れ人数の上限が決められています。

 

④これまでの技能実習制度では、原則、転籍ができませんでしたが、緩和されることになります。

 

⑤監理団体や外国人技能実習機構での指導・監督や支援で不十分な点があるとされた問題について

監理団体が担っている機能は重要としたうえで、人権侵害などを防止・是正できない監理団体は厳しく排除する必要があるとしています。そして、優良な監理団体へのインセンティブ、たとえば受け入れ人数枠の拡大などを引き続き議論していきます。

 

選ばれる国へ

 

以上です。これまでの技能実習制度でアンタッチャブルだった「人材確保」を目的に打ち出し、国際労働市場における労働力争奪戦で勝ち抜こうという国の意識が見えます。日本が持続的な成長を続けるため、外国人労働者に選ばれる国になって欲しいと願っています。