皆んなのパイセン!ヒロ君のレッスン今昔物語・前編 | 福岡 鞍手町 ピアノ•エレクトーン•リトミック•障がい児対応レッスン 「みずま音楽教室」

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福岡県鞍手町でピアノ•エレクトーン•リトミック教室の講師をしています!
レッスンのひとコマやPVなお話、マジメなお話から笑っちゃうお話…色々と綴っています♪HPもぜひご覧下さい♪ http://mizumamusicschoolforeb.jimdo.com




音符福岡県 鞍手 郡 鞍手 町の音楽教室音符
 みずま音楽教室



今回は『みずま音楽教室』が障がい者の方を初めて受入されて頂いた頃…私の障がい者向け指導が未熟も未熟だった時の指導状況を恥ずかしながら振り返りつつ、試行錯誤のレッスンのひとコマを綴ってみたいと思います

その事をお伝えする上で絶対に外せない生徒さんがいらっしゃいます

ヒロ君です
 
我がお教室の中に“障がい児さん向けレッスン”を作るキッカケになった、ある意味とても思入れのある生徒さん♪(ヒロ君は知的障がいの生徒さんです)


ヒロ君とのお付き合いももう12年

ヒロ君とのレッスンの年月は
そのまま
私の障がい者向けレッスン暦ととなります


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現在の『みずま音楽教室』の生徒さん達…
健常の生徒さん方
障がいのある生徒さん方の中で
1番長く通って下さっているヒロ君は
正真正銘

皆んなのパイセンなのです
 ٩(^‿^)۶





ヒロ君はお母様のお車で遠方からお越し下さっています

いつも感謝の気持ちでいっぱいです



実年齢はすっかり大人のヒロ君ですが、精神遅滞の特性故、理解の深さやスピードに緩やかさと幼さが有ります


そしてADDの傾向がかなり強いので、いわゆる“注意の継続”がかなり難しいと言う課題があります

重ねて視覚や空間認知の部分での課題もありますので、楽譜・音を読む事は本来彼にとって高いハードルなのです

※今でこそ障がいのあるお子さんとのレッスンスタート前には、親御さんと“事前ミーティング”を必ず行い、お子さんの特性等をお伺いさせて頂くのですが、実はヒロ君とヒロ君のお母様とも事前のお顔合せをしないまま、お会いしたその日からレッスンスタートでしたので(笑)、私はヒロ君との長い長いレッスン年月を通じて、少しずつ少しずつ“ヒロ君の特性”を実感しながら知る事が出来ました。

←“その生徒さんの特性が分かるまでに月日を要する”からこそ、事前ミーティングと講師側にある程度の知識を持つ事は、生徒さんの為にも必要だと身を持って学びました

今では必ず事前ミーティングを行っておりますし、障がい者支援についての学びは継続中です

ヒロ君のお母様の場合、“事前に知ってもらって…”と言うよりも、「障がいのあるこの子を受け入れて下さって有難うございます。」「受け入れて下さっただけで十分です。」と、初日のレッスンで仰いました。




元々ピアノを弾く事が大好きだったヒロ君♡

お家にあるグランドピアノで思うがまま、自己流で長年弾いてきた彼のピアノ暦

ヒロ君のレッスンをスタートさせた数ヶ月間は、正直な話、“レッスン”と言うには程遠い状態でした

では何をしていたのか?と言いますと…

“音読み”を完全に後回しにし、(今思えばなんて事を!と思いますし、その頃の自分に喝を入れたい‼︎)、ヒロ君のピアノ愛を最優先にした「彼の気持ちに波風を立てない事に徹したレッスン」になっていました

その頃の私と言えば…まだまだ手探り状態だった障がいのある生徒さんとのレッスン

彼を受け入れるにあたり、障がいについての勉強はしたものの…浅い知識=実践とは自分が思う様にはいかず、その当時のヒロ君に対する私の指導意識は「ピアノレッスン」と言うよりも、「彼の弾きたい気持ちや楽しさを壊さないレッスン」「彼を傷つけないレッスン」になっていたと思います

でも今だからこそ分かる事ですが、それは私の勉強不足や認識不足からくる“自分(指導者)擁護”だったとも思います


これじゃいかん!

そう思えた時が、指導者としての『学び時』であり、『スキルアップのチャンス』なのだと今は思います




ヒロ君…仕上がる迄に時間は要しますが、そもそも両手奏へのハードルはそれほど高くはありませんでした♪

それはレッスンスタート期から数ヶ月もしない内に私は把握できました


どちらかと言えば若干耳で覚える特性がヒロ君

何故“若干”と言う表現をしたのかと言うと、彼の記憶の中での音が若干間違っていたり、若干アレンジが入ってしまうので(^^;)レッスンで学んだ事が次のレッスンではゼロになっている事もしばしば

お家での練習も定着し辛く(ヒロ君の場合、練習自体を忘れてしまう事も特性なので、決して練習する事が嫌いではないのです)、例え練習が出来たとしても楽譜を開いて…と言う訳では無く、ミスはあっても彼の記憶の中の音を辿って弾いた方が彼にとっては身近な音楽であり、楽しいのです


ですが…このレッスンの形が“今”は楽しくて良いかもしれないけれど、“彼はこの先ずっとフォローのつもりで私が書いたドレミの文字追いをしながら演奏するのか?”と言う、指導者としてのごく当たり前の悩みが出てきました

だからこその当然の思いですが、

「ヒロ君に音読みの力をつけさせてあげたい。」

「お家で楽譜を開いた時に譜面を読めて、いつでも演奏出来て、ピアノを楽しめる人になって欲しい。」と改めて強く思う様になりました

「先ずはト音譜表に書かれた音だけでも読める様にしてあげたい!」と思い、その当時、まだレとミの違いが読み取れなかった(視覚的・空間認知の問題で読み取れなかった)ヒロ君との本格的な音読みレッスンがスタートしました


彼の両手奏に対する意欲や満足感はキープしつつ、音名の書き込みは左手のみにする事で左手の譜読みの負担を軽減し、たった一つの大きな目標である“右手の音読み”のみに集中してもらう事にしました


一音一音コツコツコツコツ音読みを重ね…そして彼の頑張りとお母様の力強いサポートも有り、ト音譜表の中央ドから1オクターブ上のド迄を(レッスンスタート期を省いて)約8,9年ほど掛けて自力で読める様になりました٩(^‿^)۶


本当に本当に良く頑張ったと思います


そして…昨年からは新たな挑戦をしているヒロ君!


昨年から私が考えていた事は、『ヒロ君にヘ音譜表での音読みにチャレンジしてもらう事‼︎』でした




つづく