6月30日は『夏越の大祓』でしたね。
三の鳥居。
先週6月24日(水)に、武蔵一宮氷川神社に茅の輪をくぐりに行って来ました
毎年6月下旬には、神社検定受験のため、会場である武蔵一宮氷川神社を訪れていました。
今年は試験がなくなってしまいましたが、やっぱりこの季節には訪れておきたくて
二の鳥居
緑が豊富な時期の参道はいいですね~
三の鳥居の手前、右手にある
勅使斎館。
「武蔵一宮氷川神社」は勅祭社であるため、毎年8月1日の例祭に、天皇陛下からの幣帛を携えた勅使が遣わされます。
勅使をお迎えするのが勅使館。
斎館は、神職が祭典神事に先立って先籠し、潔斎する建物のことです。
勅使館+斎館=勅使斎館です。
重厚な門の横から少し覗いてみました
今年は8月1日の例祭を見学したいな、と思っています
いつも逆光になっちゃう
その先、神橋へ向かうと…
茅の輪が設置されています
全国の多くの神社では、6月30日と12月31日の年に2度、『大祓』という神事が行われます。
半年の間、日々の生活の中で知らず知らずのうちに犯してしまった罪や、積もり積もった心身の穢れを祓い清め、本来の清浄な姿を取り戻すための祭祀です
神社における日頃の祭典でも、必ず修祓があります。
お祓いによって罪穢れを取り除き、清らかな姿となって神様と対面するためです
6月の大祓は「夏越の祓」「名越の祓」「六月の祓」などと呼ばれ、
12月の大祓は 「年越の祓」「師走の祓」とも呼ばれます。
大祓では、神職さんが大祓詞を奏上し、参拝者は「茅の輪」をくぐり、「人形」に罪穢れを移し、 疫病除け・災難除けを祈り、平穏無事な生活を願います
茅の輪とは、茅(ちがや)を束ねて作られた輪のことで、これを3回くぐることで罪や穢れを祓い清め、無病息災を願うものです。
知らない方のために…
【茅の輪くぐりの方法】
①一礼して茅の輪をくぐり、左に回る。
②再び一礼して茅の輪をくぐり、右に回る。
③さらに一礼して茅の輪をくぐり、左に回る。
④最後に一礼して茅の輪をくぐり、そのまま拝殿前へ進み参拝する。
「8の字」を描いて回るイメージです
※今年は密を避けるため、くぐるのは1回だけとされていました。
ちなみに、『三ツ鳥居』の正式なくぐり方も、
まず中央の鳥居をくぐってから、左の脇鳥居をくぐって戻り、また中央をくぐり、右の脇鳥居をくぐって戻る。
さらにもう1度中央をくぐってから、左をくぐって戻り、最後に中央をくぐって進む。
というのを読んだことがあります。
茅の輪くぐりの方法と全く同じです
楼門
舞殿
今年は特に、新型コロナウイルスの感染拡大により不安が広がっている時期。
罪穢れを祓い清めるとともに、コロナウイルスの早期終息を祈ります
拝殿
ご本殿
本当は、6月30日に行われる「大祓式」を見学するつもりでした。
ですが、神職さんに確認したところ、
当日は、この社殿左手・神饌所前の広い場所で神事が行われるのみで、密を避けるため近くでは見学出来ないとのことでした。
昨日6月30日は大雨だったし、この日に行って来てよかったです
【大祓の起源】
大祓は、記紀神話に見られるイザナギの禊祓を起源としていて、宮中においても古くから行われてきました。
『養老律令』の神祇令によると、
中臣氏が御祓麻を、東西文部が祓刀を天皇に奉って、祓詞を読むことが定められていました。
この儀式の後、百官の男女が朱雀門の祓所に集まり、中臣氏が祓詞を読み、卜部氏が解除の儀式を行いました。
『大祓詞』は延喜式祝詞全27編のうち、「六月晦大祓」として収録されています。
大祓詞を奏上したのが中臣氏の役割であったため、のちに『中臣祓』とも呼ばれるようになりました。
室町時代、応仁の乱によって中断され、長い間行われていませんでしたが、明治4年、宮中の賢所の前庭で大祓が行われ、明治天皇は翌年に全国の神社で行うよう布告をお出しになりました。
現在では、多くの神社の年中行事として恒例化されています
大祓では、「人形(ひとがた)」を用いて祓をします。
「形代」「撫物」とも呼ばれ、人の形に切り抜いた紙に姓名と年齢を書き、その人形で身体を撫でて息を吹きかけます
罪穢れを移した人形を、海や川に流したり焚き上げたりすることで、お祓いをして、清めてもらうというものです。
【茅の輪の起源】
昔、旅の途中で宿が見付からず困っている武塔の神(武塔天神)という神様がいました。
神様は、その地で暮らす蘇民将来(そみんしょうらい)、巨旦将来(こたんしょうらい)という兄弟に宿を貸してほしいと頼みます。
裕福な弟・巨旦将来は宿を貸さず、貧しい兄・蘇民将来は宿を貸し、粟飯などの御馳走でもてなしたそうです。
数年後、武塔の神はお礼に蘇民将来の家を訪れ、
「もしも疫病が流行した時は、茅の輪を腰に付ければ逃れられるでしょう。」
とお教えになりました。
するとその地域で疫病が流行したにも関わらず、茅の輪を腰に付けた蘇民将来の家族だけは助かったそうです。
武塔の神は、自分が須佐雄能神(スサノオノカミ)であることを明かしました。
『備後国風土記』より
武塔天神は、牛頭天王と同一視され、ともにインド系の神様です。
スサノオとも習合しています。
この説話が、疫病退散・無病息災を祈願する、祇園社(八坂神社)の縁起となりました。
以降、腰に茅の輪を付ける信仰が広まり、時代とともに茅の輪が大きくなっていきました。
境内の緑が本当に美しい
茅の輪の写真何枚も、しつこいくらいにアップしました。
茅の輪くぐりに行くことが出来なかった方に、行った気分になっていただければ幸いです
「武蔵一宮氷川神社」の過去記事。
5月に『大祓詞』を毎日書いて、内容を勉強し、いちばん印象に残ったのは
「異心(ことごころ)」という言葉です。
日々の生活の中で、悩んだり、妬んだり、憎しみを持ったり、誰かの言動にイライラしたり…心を覆う灰色のもやもやは、全て「異心」。
「異心」が消えない限りは、本来の清々しい心は取り戻すことが出来ません。
日々どんな行いをしていても、茅の輪をくぐりさえすれば、半年間の穢れをキレイにリセット出来るとは思えません。
日頃からこまめに掃除していないと、年末の大掃除が超大変になり、隅々までは手が回らないままになってしまうようなもの
自分の「異心」に気が付いたら、その都度リセットしておけば、半年に1度の大祓でピッカピカの清々しい心になれると思うのです
今日からまた新たな気持ちで、残りの半年を過ごしたいと思います