神戸モダン建築祭2023 | 晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

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去年は京都市内で、非公開の建物が期間限定で一般公開されるモダン建築祭が開催されたので行ってきました。

(その時の模様はこちら↓)

 

 

 

京都に負けず劣らず、神戸市内にもいわゆるモダン建築(明治期以降に建てられたもの)があちこちに点在しています。神戸で今秋モダン建築祭が行われると知って、早速観覧するためのパスポートを入手しました。

 

開催されるのは、11月24日から26日までの3日間のみ。土日は混みそうと思って、24日金曜日に行ってきました。

 

一般公開される建築は全部で18ヶ所。有料のガイドツアーもありましたが、時間が限定されるので避けて、走って回ってみることにしたのです。

 

建物の場所はこんな感じで点在しています。

 

こういうイベントの鉄則は遠くの場所から回るですが、地図を見ると人気の北野エリアは建物が集中していて混雑しそうなので、真っ先に攻めることにしました。

 

朝9時過ぎ、三宮駅に近い三宮プラッツ(地図22)というインフォメーションセンターで、Webで申し込んだパスポートを受け取ります。

 

名刺大のパスポートとイベントパンフをもらいました。

 

三宮から北野坂を上がって、北野異人館街へ。北野エリアの建物の公開が始まるのは10時からなので、その前にひとつ行きたいところへ向かいました。

 

それがこのうろこの家。建物の屋根に、その年の話題の人物の人形が飾り付けられます。うろこの家は10時開場なので、それまで待つことなく横の道からパチリ。ちょっと遠いですが、なんとか分かります。

 

今年はまずこれでしょう!阪神タイガーズの岡田サンタの『アレのアレ」(笑)

 

その他にも、大谷選手とか藤井聡太八冠の人形もありますね。(遠いのでスマホの望遠ではこれが精一杯)

 

人形の飾り付けはここだけかと思ったら、下りた先にある洋館にもいろいろありました。(それもほとんどがタイガース絡み 笑)

 

ここから順番に異人館街の公開建築を回ります。

(この日訪れた建物は、すべて写真撮影やWeb公開OKでした)

 

1つ目の会場の神戸バプティスト教会(1952年竣工 地図⑦)へ。開場と同時に入館しました。

 

神戸出身の洋画家小磯良平の邸宅跡に建てられた、小じんまりとしたシンプルなデザインの教会です。

 

一階の礼拝堂のみの公開です。

 

次は、中華民國留日神戸華僑總會(1909年竣工 地図⑥)。三角の破風屋根が特徴的ですね。

 

中に入ると、中華系らしい飾りがあり

 

それぞれの部屋には暖炉もあり

 

台湾らしく孫文の肖像画が架けられていました。(蒋介石の肖像画もありました)

 

次は、シュウエケ邸(1896年竣工 地図①)です。建築家のハンセルが自ら設計した自邸だそうです。

 

裏(南)側の庭から見るとこんな感じです。コロニアル形式といわれる建物。

 

一階と庭のみの公開でした。部屋の中はまるで美術館のようにたくさんの絵画で飾られています。

 

ローズガーデン(1977年竣工 地図②)。安藤忠雄の初期の作品だそうです。

 

北野アレイ(1977年建築 地図③)これも安藤忠雄の初期の作品です。彼の設計の特徴であるコンクリート打ち離しの原型が見られますね。

 

商業施設ですが、使われていない2部屋が公開されました。

 

北野メディウム邸(1990年代竣工 地図④)。外国人貿易商の私邸だった建物で、北野異人館街の中でも最も古いといわれているそうです。

 

今はリノベされて、こんな急階段を登った2階は

 

展示会などのコワーキングスペース

 

1階はカフェなどで使われているそうです。

 

北野エリアの最後は、松廼家(まつのや 1907年竣工 地図⑤)です。今は料亭になていますが、元々は貿易商の邸宅で

 

昭和になって洋館部分が増築され、和洋折衷の建物になったそうです。

 

北野エリアの7棟を回った後は、少し離れた兵庫県庁の近くへ。

 

そこにあるのが、日本基督教団 神戸栄光教会(1922年竣工 地図⑧)です。近くは何回も通っていますが、中に入るのは初めて。

 

阪神大震災で全壊しましたが、2004年にレンガ造りから鉄筋コンクリート造りに生まれ変わった建物です。

 

1階の礼拝堂。ペンダントライトが綺麗ですね。

 

2階の小礼拝堂も公開されていました。

 

道の反対側には兵庫県公館(旧兵庫県庁)があります。今回は特別公開はありませんが、ここも明治期のモダン建築ですね。

 

時刻はまだ11時過ぎ。午前中に全部回れそうな勢いですが、ここからが距離があるところばかり。とりあえず一番離れている神戸新港第4突堤(通称よんとつ)まで走りました。

 

ゆるゆると30分ほど走って、第4突堤Q2上屋(1932年竣工 地図16)に到着。

 

港の倉庫街にある建物ですが、もとは客船ターミナルと鉄道駅だったそうです。

 

そこかしこにレトロっぽい雰囲気が残っています。

 

ここから三宮に向かって北上します。

 

新港貿易会館(1930年竣工 地図15)

 

曲線を生かしたアールデコ調のデザインがあちこちに。床は大理石です。

 

船を思わせる円窓もいいですね。

 

さりげないステンドグラスも素敵です。

 

その横にある、デザイン・クリエイティブセンター神戸(地図14)。元は生糸検査場だった建物を、最新のデザイン関係の拠点になっています。(通称 KIITO(キート))

 

旧館(1927年竣工)と

 

新館(1932年竣工)

 

旧館の北玄関。

 

新館の玄関。よく見るとなかなか凝っています。

 

内部は古いものと、新しいものが混在。

 

その近くにある神戸税関本関(地図13)も今回の公開建築になっていましたが、平日は業務中なので入れませんでした。

 

東遊園地に2022年に建てられたこども本の森 神戸(地図17)も今回の対象施設ですが、開場が15:30からだったので、外観のみ。コンクリート打ち放しという安藤忠雄設計の代名詞のような建物です。

 

安藤建築の文化施設というと必ず「青りんご」が置いてありますが、ここは無いかなと思っていたら館内にありました。

(写真はHPからおかりしました)

 

そこから東に向かったところにある、神戸商工貿易センタービル(1969年竣工 地図18)。

 

いろいろな会社が入っているビルですが、元は展望室だった26階の会議室が一般公開されていました。

 

神戸の港湾施設や

 

みなとのもり公園が一望できます。

 

三宮に近づいて、高砂ビル(1949年竣工 地図12)へ。

 

個人的にはこのビルが一番面白かったです。元々は港の倉庫ビルとして建てられましたが

 

1972年にリノベされて、音楽スタジオや

 

映画やドラマの撮影地としても使われているそうです。402号室は北野武の「アウトレイジ」の撮影が行われたとか。

 

壁には弾痕や血痕の跡が残っていましたが

 

HERMESのタイプライターなども置いてあり、私が新入社員の時に使っていたのを思い出して懐かしかったです。(手動でキーが重かった^^; )

 

一階のロビーには、(今は使われていない)古いタバコの自販機が残っていて、CABIN・LARK・CASTER・MILD SEVENなど、これも懐かしい銘柄がいっぱい。

 

最後は神港ビルジング(1939年竣工 地図11)です。ニューヨークを思わせるアールデコ建築の傑作だそうです。

 

元は川崎汽船の本社ビルですが、その後商業ビルになりました。公開されているのは1階と地下食堂です。

 

入り口は珍しい回転ドア。

 

大理石がふんだんに使われ、床はタイル張り。

 

エレベーターもクラシカルです。

 

ここを最後にしたのは、地下の社員食堂の公開が営業が終わる13:30以降だったからです。

 

でもその前にお腹が空いたので、1階にあった懐かしい雰囲気の喫茶店でランチ。

 

時間になったので、地下食堂に下りてみました。凝ったデザインの内装です。

 

壁にこんな船の操舵室の計器盤(実際に使われていたもの)が残っているのも、元船舶会社のビルらしいですね。

 

予定していた建物を全部見終わっても14時前、走ったり歩いたりして17kmほど。

 

この日回ったのは14ヶ所(+外観だけ2ヶ所)。同じように回っていた人に、「もう(走って)全部回ったんですか⁈」とビックリされましたけど(笑)。

 

多分神戸のモダン建築のほんの一部でしょうが、京都とはまた違った港町神戸らしい建物が多かったのが印象的です。