「マウンティング」*もしくは「マウントを取る」という言葉を、数年前からよく耳にするようになりました。
(*マウンティングー相手に対して自分が優位な立場を誇示すること)
否定的な意味合いで使われることが多いのですが、「マウンティング」こそ現代社会を生き抜くうえで最強の教養で、これを上手く使えば人生も豊かになるという本が話題になっているというので、読んでみました。
著者によると、人間の行動の大半はマウンティング欲求によって支配されているとか。確かにSNSなどの発達で、自分の行動をアピールする機会は格段に増えています。
この本は、様々なマウインティングの実例を紹介しつつ、対人コミュニケーション、特にビジネスシーンでのマウンティングの有効な使い方を解説しています。
実例1 グローバルマウント
”申し訳ありません、その日はあいにくニューヨーク出張で、同窓会に参加することができません”
(飲み会などに参加できない理由として、「ニューヨーク出張」を挙げ、自身のグローバルな活躍ぶりを周囲に見せつける)
実例2 学歴マウント
”もともと音大志望でしたが、親に言われて仕方なく東大を受験することにしたんです”
(東大に合格する能力を持っているだけでなく、芸術などの分野においても優れた才能を持っていることをアピールする)
実例3 教養マウント
”「ブルージャイアント」は、なかなか良い映画でした。ジャズをあまり知らない人たちにもぜひ見てほしいな”
(ジャズがテーマの映画作品をオススメすることで、自分がジャズに精通していることをさりげなく示す)
中でも厄介なのが「ステルスマウンティング」です。これは特にエリートと呼ばれる人たちが駆使する手法で、一見するとマウンティングと分かりづらいけれど、自分の能力や地位を自然な形?で相手に示すことです。
実例4 自虐マウンティング
”年収1億円稼いでも、ほとんど税金で召し上げられるわけで、国のためにボランティアで働かされているようなもんだよ。もちろん、海外移住を考えたことは何度もあるけど、自分は日本が好きだし、この国の未来に貢献したい気持ちも強いからね。”
(「ボランティアで働かされている」と自虐しながら、自身の年収の高さをさりげなく見せつけていることに成功している。)
もう一つ高度なテクニックとして、「マウントする」のではなく、「マウントさせてあげる」=相手のメンツを立てることで、自分の味方になってもらう、という手法が紹介されています。
最も効果的なのは、発言の冒頭に「マウンティング枕詞」を加えること。
①まさに〇〇さんの仰るとおりでして、.....
②いただいたご指摘を踏まえ、改めて考え直してみたのですが、.....
③私の理解力が追いついていないせいかもしれませんが、.....
などなど。
著者の言いたいことはわかりますが、あからさまにそこまでしてマウントを取らなくても、と思うのは昭和人間だからでしょうか?会社内の打ち合わせ、他部署との交渉、社外セールスなどの現場から長いこと離れてしまった自分には遠い世界のような気もします。
普段の生活の中でも、対人コミュニケーションがあまり得意でない人には、紹介されたテクニックを使うのも無理があるし、逆に相手にそのように言われても胡散臭く思うだけのような気がします。
また、笑いをとって周囲を和ませるために、わざとマウントをとる人もいますね。「コミュ力(こみゅりょく)」という言葉もよく耳にしますが、この中に書かれていることもその能力を高めるためだとしたら、良くも悪くもそんな時代なんでしょうか。
