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晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

晴れた日は山に登り街を走り、 雨の日は好きな音楽を聞きながら本を読む
そんな暮らしがいい!

「成瀬は天下を取りにいく」で本屋大賞を受賞した、宮島美奈の「成瀬あかりシリーズ」の3作目で、シリーズの完結編といわれている作品です。

 

 

去年の12月に刊行された時にすぐに予約を入れたものの、市内の図書館に26冊が納入されたにも関わらず、人気作ということで500人以上の予約待ちになり、今週になってやっと順番が回って来て読むことができました。

 

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滋賀県の進学校膳所高校から、京都大学に合格した成瀬あかりの一回生のエピソードが、6作収められています。

 

それぞれのあらすじをざっくりと。

 

「やすらぎハムエッグ」

片想いの彼氏と同じ京大を受験したが、彼は東大に入学してしまい、失恋のどん底にいた坪井さくらという女子学生が、京大の入学式で同じ理学部に入学した成瀬と出会い、成瀬の勧めで料理を始めてハムエッグを作ることに。

 

「実家が北白川」

京大農学部一回生の梅谷誠は、入学前の健康診断で訪れたキャンパスで、ひょんなことから「達磨研究会」という森見登美彦を語る怪し気なサークルに入ってしまう。北白川に住む梅谷は、サークルの会長が森見の作品「夜は短し歩けよ乙女」に出てくる黒髪の乙女を小説を真似るように探していると聞いて、偶然キャンパスで会った成瀬を引き合わせる。

 

「ぼきののか」

立命館大学二回生で「ぼきののか」のハンドルネームで配信している簿記ユーチューバー田中ののかは、簿記一級合格を目指している。彼女が合格祈願のため北野天満宮で生配信をしている最中に、びわ湖大津観光大使の衣装でPRをしている成瀬に出会う。本当は簿記二級にも合格していないことがバレたののかに同情して、成瀬も二級試験の受験勉強を始める。

 

「そういう子なので」

滋賀のローカルTVの情報番組に成瀬と一緒に出演することになった母親の美貴子。彼女の年少期から親友の島崎みゆきとの出会いなど、いままで明かされなかった成瀬あかりの経歴が明らかになる。表題は成瀬の変わった所を聞かれた時に母親が答えた言葉。

 

「親愛なるあなたへ」

競技かるたの高校選手権で成瀬と出会い、スマホを持っていない成瀬と文通を続けていた広島出身の西浦航一郎は、成瀬を追いかけて京都の大学に入学。成瀬と再会した西浦は、彼女が次々と予定をこなすのに振り回される。「ぼきののか」や「達磨研究会」も登場する。

 

「琵琶湖の水は絶えずして」

高校時代の「ゼゼカラ」コンビで、今は東京に住む島崎あかりは、盲腸で緊急入院した島崎から呼び出され、翌日行われる「びわ湖大津観光大使」の最後のイベントの代役を頼まれる。

京都の蹴上から滋賀の大津まで、琵琶湖疏水を船に乗ってPRするイベントだが、琵琶湖に着く直前に間に合った成瀬と落ち合い、最後は大津のメンバーや京都のメンバーが勢揃いをして大団円となる。

 

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相変わらず自分の信念に基づいて真っ直ぐに突き進む成瀬あかりに、いつのまにか周囲が巻き込まれていくスタイルが健在です。

 

文章は相変わらず読みやすくて、私はすぐに読み終わるのが勿体無くて、2日に分けて読みましたが、読むのが速い人なら1日で読み終えることができます。それだけテンポも良くて、さらっと読めます。過去の二作品を読んだ人なら、思わず頬が緩んでしまう内容です。

 

一作目ほどのインパクトは無いですが、個人的には「そういう子なので」が成瀬の人となりをより詳しく知ることができて面白かったです。

 

成瀬を表に出さずに、周りの人を描くことで彼女の生き様を浮かび上がらせる書き方は、今回も安心して読めました。ある意味天才特有の変わった性格だけど、ぶっきらぼうでも人を見下さずに交流する姿が印象的ですね。

 

完結編とありますが、またいつかひょっこりと出てくる気がしてなりません。(また、それを期待します)