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晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

晴れた日は山に登り街を走り、 雨の日は好きな音楽を聞きながら本を読む
そんな暮らしがいい!

先週は「大阪クラシック」から始まり、「石田組」を聴きに行ったりと、クラシック三昧でした。そして、日曜日にはその最後を飾る素敵なコンサートに行ってきました。一週間の間に7つものクラシック公演を聴きに行ったのは、最初で最後かな。

 

9月21日日曜日。京都市交響楽団(京響)のコンサートが、西宮北口にある兵庫県立芸術文化センター(芸文センター)でありました。指揮は今注目の女性指揮者 沖澤のどか さん。

 

東京芸大指揮科を主席で卒業し現在38歳の彼女は、2019年32歳の時に、あの小澤征爾や佐渡裕、山田和樹などが優勝したブザンソン国際指揮者コンクールで優勝して、世界の注目を浴びました。その後は世界各地の有名指揮者のもとで研鑽を積み、生前の小澤が自分の後継に指名したという実力者です。

 

国内外の有名オケからの招聘も引きも切らず、2023年からは京響の常任指揮者に就任しています。あの「世界のオザワ」が認めた指揮を見てみたいと思って何とかチケットを入手し、お手並み拝見とばかりに会場に向かいました。

 

今や、なかなかチケットが取れない指揮者のひとりなので、早めに手配したつもりが、空いていたのはバルコニー席のみ。(後で聞いたら、大ホールの2000席が公演半年前に完売!したそうです)

 

バルコニー席かー、と思いながら席に向かったところ、ステージの右上から全体を俯瞰できる、なかなかいい席でした。ここからだと、指揮者の合図とか奏者の指使いなどをよく見ることができます。

 

 

開演30分前には、冲澤さんがステージに登場。彼女もお気に入りというこのホールで指揮する気持ちや、演奏曲目の紹介、そして自身のCDの宣伝(笑)などを話してくれました。

 

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15:00開演。

 

直前に知ったのですが、この日のコンサートマスター(コンマス)は、1週間前に「石田組」のリーダーとして演奏を聞いたばかりの石田泰尚さん!普通のコンサートにも参加するんや、と思いながら見てみると、さすがにサングラス・Tシャツ・ダボパンではなかったものの、相変わらずヴァイオリンのネックではなく、テール部分を掴んでの登場。ステージに出てくるだけで、会場がどよめきます。

 

第1ステージ

ルイーズ・ファランク作曲 

交響曲 第3番 ト短調

 

初めて聞く作曲家の名前です。それもそのはず、19世紀に男ばかりだった音楽界で女性として初めて認められたロマン派の作曲家だそうです。男性が圧倒的に多い指揮者の世界に飛び込んだ冲澤さんが推すのも頷けます。

 

全体の曲調は優しいかなと思ったら、荒々しい響きも多く、知らずに聴いたら女性の作曲とは思われないような感じでした。プログラムの解説で、尊敬する古典派のモーツァルトの交響曲40番に似せて、同じト短調の4楽章で、楽曲の構成も全く同じソナタ形式で書かれているとありました。

 

肝心の冲澤さんの指揮はというと、しなやかな中にもメリハリの効いたタクトで、体幹がしっかりしていて体がブレず、各パートへの指示もわかりやすく、小柄な体でも全身を大きく使ってグイグイとオケ全体を引っ張っていくのが、座席からよく見えました。

 

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第2ステージ

リムスキー=コルサコフ作曲 

交響組曲「シェエラザード」

 

よく演奏される有名な曲ですね。80名を超える大編成のオケの演奏で、打楽器だけで6人もいます。

 

「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」の世界が描かれたこの組曲は、威圧的な王のテーマが大音量かつ重低音で流れ、王に物語を聞かせる王妃シェエラザードの優美なテーマが、流れるようなヴァイオリン・ソロで演奏されます。

 

このヴァイオリン・ソロが、この日の客演コンマスの石田泰尚さんによって演奏されました。王妃のテーマをあの石田さんが演奏する!というミスマッチ?が話題を呼んだのも、この公演の人気が出た理由の一つでしょう。

 

しかし、彼も国立音大を主席で卒業しただけあって、顔に似合わず(失礼)滑らかな弓捌きで、高音のビブラートも綺麗に響いていました。ただ、椅子に斜めに座り大きく股を広げて演奏する姿は、彼らしいスタイルを貫いていて、聴きながらニヤニヤしてしまいました。

 

冲澤さんの指揮を見ながらだと、嫌でもすぐ横で彼が演奏する姿が見えるので、余計気になりました。横に座っていた常任の女性コンマスが演奏する姿との対比も面白かったです。

 

オーケストレーションの名手といわれるリムスキー=コルサコフの曲だけあって、華麗で壮大なハーモニーが響き渡ったかと思うと、冲澤さんのタクトに合わせてピタっと止まり緊張感が溢れます。一つのテーマを各パートがソロで演奏することも多く、これらはもちろん主席奏者が演奏するのですが、結構緊張感が伝わってきます。

 

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演奏が終われば、拍手と「ブラボー!」の嵐。3回4回とステージに呼び出される冲澤さん。その度に拍手が大きくなります。

 

面白かったのは、指揮者がステージ袖に消えた後も、普通はオケのメンバーは立ったままなのですが、この日コンマスの石田さんは(あー、疲れた)とばかりにすぐに椅子に座ります。コンマスがそうすると他の団員も従わざるを得ないので、着席してしまいました。それが何度も繰り返されるのが、側から見ていて可笑しかった。

 

アンコールは、ドビュッシーの「月の光」。壮大な曲の演奏の後に、こういう穏やかな曲を選ぶのも女性ならではですね。おかげで心も落ち着いて、 クラシック三昧の1週間を締めくくることが出来ました!